艦隊これくしょん~五人の最強提督~   作:ODINMk‐3

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第38海 深海の帝

<MI島 埠頭>

 

翔「トラック泊地が空襲で壊滅?航空機の航続距離から考えても、それは実現し得ることじゃないのか?」

 

成人「いえ。僕が分裂して寄生させた鳥から確認したところ、一人の深海棲艦から発艦したものだと分かりました。

それにわざわざ航続距離の比較的短い艦上機ばかりが爆撃や機銃掃射をしてましたから、飛行場や基地からではなく空母からの攻撃だと確信しました。もし基地からの空襲ならば、『ワンショトライター』……一式陸攻やB-29のような大型の陸上機を用いるはずですしね」

 

艦娘達の訓練を眺めながら、休暇を終えて海軍所属泊地の監視を行っていた成人からの報告を聞く。時々、耳には罵声を散らしたりそれに震えた声の返事が耳に入る。だが、それを簡単にスルーしながら成人の報告を聞く。

 

翔「んで……そいつは今どのような動きを?」

 

成人「日本本土に空襲を仕掛けると思ったら、反転して太平洋に向かいましたね。

しかし……この航路だと確実にMI島に向かってきている。迎撃すべきかと」

 

翔「そうか……迎撃に向k「成人さん、それを私達にいいですか?」んぉっ、お前ら!?」

 

すると、足音も気配も感じられずに俺達の後ろに赤城を除く日航空母艦五人が艤装を展開したままそこに並んでいた。

 

成人「……しかし、敵空母の搭載数は1000は優に超えています。合計で1000機も満たぬ貴女達に、制空権を得られると?」

 

加賀「だったら、貴方の予想を覆すまでです。赤城さんにも協力して、この島が空襲を受ける前にその空母を叩いてやります」

 

瑞鶴「それに明石達が開発した新しい艦載機を使いたいし、新しい材質でできたこの艤装の強度を試したいのよ」

 

翔「……なら、行け!」

 

俺の名前を叫んで成人が此方を見る。だが、目で心配するなとウィンクするとため息をついて成人は五人を見上げた。

 

成人「……しかし気を付けて下さい。あの戦力からすると、ベースは実在、架空問わず強力な航空母艦です。改造したとでも苦戦を強いられる可能性は大、生きて帰られるかは……」

 

蒼龍「何言ってるの成人!私達は鋼翼団の主力空母なのよ!!翔さん達の力が無くたってやれるばい!」

 

翔鶴「何で博多弁を?」

 

蒼龍「いや、可愛いかなぁって……」

 

相変わらず仲の良い五人。俺も成人も笑みを溢してしまい、余計に安心してしまう俺がいる。

 

赤城「新しい空母ですか……無論、行かせてもらいます」

 

翔「うぉ赤城!アイツらの訓練はどうした?」

 

赤城「もうへたばったんで自習させてます。それに、久々に翔さん以外に雷撃や爆撃できる相手も見つかりましたからね」

 

飛龍「よし!赤城さんも揃ったことだし、その空母を叩いてやるわ!!」

 

『オォー!!』

 

拳を突き上げて張り上げる声は、潮達にも勝る強さがにじみ出ている。やっぱ、コイツらは潮達に並ぶくらい頼れる奴だぜ。

 

翔「んじゃ……行ってこい!!」

 

『はい(ええ)!!』

 

その威勢のある返事と共に、六人は海に下りてその空母に向かって出撃するのだった。

 

~~~~

 

<敵空母接触地点>

 

ザザァン……

 

赤城「……加賀さん、彩雲からの報告は?」

 

加賀「ないわ、水平線の先からでも見えない」

 

手頃な島の影に隠れて、無駄な戦力削減を防ぐ為に、加賀さんの彩雲を全機発艦させて敵空母の偵察をしてもらう。

加賀さん以外の私達は、新型の航空機の矢を弓にかけたままで待機している。特に翔鶴さんの能力は迎撃にも最適である為、常に周囲の様子をうかがっている。

 

『グルルル…』

 

蒼龍「ああっ。落ち着いて、ね?」

 

瑞鶴「それ生きてるのね……」

 

飛龍「うん、人工知能を搭載してるから私達の言葉も理解してくれるよ」

 

赤城「気を緩めないで、いつ爆撃されてもおかしくない状況よ」

 

謝罪と了解が混ざった返事に、私も頷いて視線を水平線の先に向ける。その時、加賀さんの肩が震えた。

 

加賀「彩雲3番機、敵空母見ユ!!!三枚の飛行甲板を搭載してるようわ!……此方に気づいて偵察機を発艦!!」

 

瑞鶴「一人空母三隻ってワケ?どこの超兵器なのよ……というか、元戦艦?」

 

翔鶴「無駄口叩いたらダメよ瑞鶴!」

 

分かってる!という言葉と共に、3番機が向かった彩雲の方角に首を向ける。と同時にそれと一直線状になるように身を潜める。

 

加賀「ッ、なかなか速いわ……1、4、5番機撃墜!6、9、11番機損傷!!水上に不時着したわ!」

 

赤城「ッ、偵察機ではなく戦闘機のようね……瑞鶴さん、あの島に閃光矢を放って下さい。敵の注意を引きつけましょう!!」

 

瑞鶴「無論よ!飛龍、敵が来たらその龍の弾で落とすのよ!!」

 

飛龍さんと瑞鶴さんが準備をして、瑞鶴さんが閃光矢を射った。矢は光へと変化させて、敵の偵察機らしき飛行物体は彼方に……!?

 

赤城「しまった!光のせいで此方の位置が!!」

 

加賀「ッ、なら迎撃するまでよ!」ガチャン

 

瑞鶴「ッ、光が逆効果なんてね……」

 

此方の位置が分かった偵察機は、此方に接近してくる。それに、私達は飛行甲板の側面にあるブラストマグナムで全てを迎撃した。

 

赤城「とりあえず迎撃はした。でも……敵は私達の位置を把握されたわね」

 

翔鶴「完璧に追い詰められましたね……」

 

瑞鶴「……そうだ!ねえ、翔鶴姉の風で絨毯爆撃してくる敵艦載機を一気に墜とせない?」

 

そうだった。成人さんからの情報によると敵空母は絨毯爆撃を泊地にも見つけた艦娘の艦隊にもしてきた。恐らくそれが主流なのだろう。

それに、相手は島があることから空襲で火だるまにして此方を曝け出させるつもりだ。なら、翔鶴さんの風の力を利用すれば……!!

 

翔鶴「加賀さん、私は貴女達も守りますから貴女は水中からの雷撃を仕掛けて下さい。貴女の能力ならば、艦載機を水中にでも発艦できます。それに、錯乱も可能ですから」

 

加賀「……ええ、分かったわ。攻撃と錯乱任せて。貴女はタイミングを見計らいなさい!!」

 

翔鶴さんが天に矢を向け、加賀さんは水中に矢を向ける。此方は、それぞれ迎撃をする。

その時、深海棲艦の艦載機特有の機関音が近づいてくる。此方にも緊張が走る。

 

カチャ

 

翔鶴&加賀「「!!!」」バシュ!!

 

ヒュオオォォォ……!!

 

僅かな金属の音と共に、二人は引き絞った弓を放し、矢を射る。天に上げられた矢は風を放ちながら向かってきた艦載機と落とされた爆弾を次々と巻き込み、水中に射落とされた矢は新たな噴式戦闘兼攻撃機『軍神』と姿を変えて水中を泳ぎ始めた。

 

翔鶴「全機撃墜!!」

 

赤城「あの数ならば100機近くは墜ちたわ!でも油断はしないで下さい。敵はこの数倍は艦載機を残しています!!」

 

加賀「……!!水柱を確認、直撃したわ」

 

その時、何処からか大きな轟音と水柱が生じるのが見える。遠くはない。肉眼で確認できるほどだ。その直後、魚雷を発射して帰ってきた軍神が矢に変化して加賀さんの手元に戻った。

 

瑞鶴「ッ!!!左右から雷撃機計60!」

 

蒼龍「海を凍らせて雷撃を受け止めます!」

 

『グルアアァァァ!!』

 

蒼龍さんの龍の吐息が周囲の海を凍らせて、雷撃を受け止めた。しかし、爆発で氷の破片が落ちてきたので私の飛行甲板の熱を利用した盾で全て溶かす。雷撃機の迎撃は皆さんがやってくれたので、此方は破片の融解に専念できた。

 

赤城「挟撃を一隻で行うとは……艦載機の性能も数も今までの深海棲艦とは比較になりませんね」

 

加賀「相手は我々の知る深海棲艦よりも圧倒的に強いわ……成人の言うことも耳に入れておくべきだったわね」

 

瑞鶴「いや、それ普通でしょ……」

 

敵が近くにいるのにこの人達は……と頭を抱えたものの、何処か頼もしさも感じられる。敵がいるのに話しているこの余裕……

 

赤城「仕方ありませんね。ならば、此方も突撃しましょう!!」

 

飛龍「ハハハ、賛成です。私もこの双刃をあまり使ったことないので、白兵戦でやっちゃいますよ!!」

 

瑞鶴「せいぜい、アイツのように爆撃されないことね」

 

翔鶴「それじゃあ、一二の三で行きましょう」

 

そういう訳で、それぞれ島の二手に別れて待機する。翔鶴さんの張りのある声が聞こえてくる。

 

翔鶴「一二のッ……!!」

 

翔鶴「三ッ!!!」

 

ダッ

 

水面を蹴って、それぞれが水上スキーに移行して敵空母に突撃する。敵空母は驚いたような顔をするがすぐに目を鋭くする。

 

『クックックッ……飛ンデ火ニ入ル夏ノ虫トハコノ事ネ……』

 

加賀「あら、悪くて?」

 

瑞鶴「蒸し暑いからってそんなことわざ使うな!余計暑くなる!!」

 

加賀さんと瑞鶴さんが矢を射る。加賀さんと瑞鶴さんも同様に雷撃装備をした軍神に変化して、魚雷を落として戻ってくる。

 

ドゴオオォォンッ!!!

 

『キャンッ!ウゥ……私ノ逆鱗ニ触レルトハ……!!』

 

翔鶴「(あら、なかなか可愛い悲鳴ね)」

 

赤城「(ッ……雷撃でもかすり傷程度……やはり、他の深海棲艦とは全く格が違う!)」

 

グルアアアアァァァァ!!!

 

すると、敵の空母にまとわりつく龍から琴の音が響く。それと同時に飛行甲板から無数の艦載機が発艦させられる。

 

蒼龍「ッ、集団で来るとはね!!」バシュ!

 

蒼龍の射った矢は氷の礫へと変化して集団の艦載機を撃墜、あの龍にダメージを与えた。

 

『『グルルルル……』』

 

飛龍「??……あの龍と張り合いたいの?」

 

蒼龍「なら、尚更この子に近接戦闘させたいわね」

 

赤城「なら私達は本体を、蒼龍さんと飛龍さんは龍を叩きましょう……!!」

 

『フフフ……コノ龍神棲帝サマヲ分断シテヤルッテノ……竜頭蛇尾ニナラナイコトネ!!』

 

グルアアアアアアアアァァァァッ!!!!!

 

加賀「それは此方の台詞よ。貴女の体から叢雲剣なんか出てきたらいいわね」

 

あの敵空母……龍神棲帝と私達の戦いが幕を上げた。




・軍神(噴式戦闘爆撃兼攻撃機)

対空:50
雷装:40
爆装:40
回避:30
索敵:20
運 :20

山野淳一郎という天才が作り出したロボットのフレームを、艦載機としてアレンジした主力戦闘兼攻撃機です。
機名はそのフレームの二つ名でもあり、強度もあらゆる艦載機の一線を画す最強とも言えるくらいの性能を誇ります。
鋼翼団主力空母六隻にとっては何よりも扱いやすく頼れる音速の神、空を守り敵を葬っていきます!!

(※通常のLBXとは異なる素材や、妖精さん達の設計によって出来た艦載機である為、LBXじゃありません)

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