<深海鎮守府>
提督「……そうか。彼らは指導や特訓に勤しんでいるのか」
『ハイ、提督。指導サレテイル艦娘ガ多数デアルコトカラ、恐ラク「ブラック鎮守府」カラ拐ッタ艦娘カト思ワレマス』
提督「……もしかしたら、俺は性能に頼りすぎたかもしれないな」
『……ハイ?私達ノ性能デスカ?確カニ、私達ノ性能ハ艦娘ヲ上回ルモノデス』
提督「だからこそだ。君達のその力をより生かすためには、他の深海棲艦との連携や君達自身の技量も十分でなくてはならないんだ。
彼らこそそうだ。他の鎮守府よりも少ない艦娘の人数だが、戦力は通常の数倍は普通にある。
此方も自身の力を過信するのではなく、その力を発揮するために自らも強くならなくてはならないんだ。
なぁ、『中間棲姫』。深海棲艦に、毎日特訓するように呼び掛けてはくれないか?」
中間棲姫『……ハイ!分カリマシタ。ソレデハ、呼ビ掛ケニ……ト、私モ特訓シニ行ッテイイデスカ?』
提督「勿論だ。お昼は俺が作るから」
中間棲姫『アリガトウゴザイマス。ソレデハ……』
提督「……ふぅ、俺も深海棲艦の提督となって、早10年か。もう老いることもない体になっちゃったし、親父とお袋、それに姉ちゃんは大丈夫かな……?」
~~~~
<鋼翼鎮守府 埠頭>
高雄「漣遅い!行進が遅れれば大惨事になりかねないわよ!ちゃんと速力を合わせて、旗艦の命令を聞きなさい!!」
漣「は、はいぃっ!!」
愛宕「うふふっ♪私が優しいからって変なことしたら許さないわよ?誰が勝手に突撃しろと言ったかしらぁ?」ゴゴゴ…
神通「……」ガタガタ…
長門「フンッ、貴様らの力はそんなものか……まあ、駆逐艦を盾にしていた奴らが昔の国の名も航空機を持つ資格もないがな……」
日向「チッ……!!」
赤城「貴女達の持っているのは数十名のパイロット達!そして貴女達はそれを迎える者よ!!
放ったからといって逃げるバカがどこにいるか!!一人でも撃墜以外で死なせたら空母の恥だと思え!!」
龍驤「は、はいっ!!」
沖合には、それぞれの艦種で集まって舞鶴の艦娘を指導していた。しかも、全員が鬼どころか鬼神となっている。罵声に慣れている舞鶴の艦娘でも、耐えられるものじゃないだろう……
加賀「り、龍驤が赤城さんに敬語使ってる……」
大和「流石は元第一航空戦隊の赤城さん……例え旧一航戦の龍驤さんでも容赦ありませんね」
暁「あ、愛宕さん怖い……」ガタガタ…
陸奥「あ、あらあらぁ……長門ったらフルスロットルね」
埠頭に座ってその光景を他の艦娘達と見ているが、彼女達の言葉にはほとんど恐怖が表れている。
今は勝てる気がしない……あの四人には……
武蔵「……む、そういえば潮達はどうした?沖合といえば、アイツらと翔の特訓する場所ともいえるのだが」
咲姫「ああ、あの子達は成人君のハザマにある特別な特訓場にて特訓してるわ」
雷「それ興味あるわ、咲姫さん!どんなの?」
咲姫「……初見殺しどころか、もはや拷問場やら処刑場わね。最も簡単なレベルでも」
『(あのバカ、何やらせてんだ……!?)』
内心に翔君に対する怒りがひしひしと現れている。まあ、仕方ないよ。一応雌雄家の血もあるわけだし。
~~~~
潮「うぉっ!?あbブッ!!」ドゴォ!
村雨「……ぶべらァッ!!」ブチィッ
羽黒「あああああああぁぁぁぁ!!!」チュドーン!
如月「オワタ」ドゴオォォォン!!
モニターには綱渡りで不規則に揺れるハンマーに叩きつけられた潮が吹っ飛ばされたり、大量の達磨落としのだるまの間に挟まった村雨が真上からのハンマープレスで潰れたり、大量のRPGの弾幕を避けきれずに直撃喰らう羽黒や地雷源にはまってしかも踏んじゃって吹き飛ばされる如月が面白いように現れている。
翔「(まあ、一時間前よりはマシだな。これを一ヶ月間続ければ戦闘能力は著しく向上する。この子達の成長に期待するか)」
此処は、成人が特別に作り上げた特訓場『死兆星』。名前がアレだが理由は挑戦したら誰もが死兆星を見て死ぬことから。
レベルは1000もあり、難易度もイージー、ノーマル、ハード、ルナティックと4つから選べる。元ネタは昔の故郷である。
しかしイージーでもその難易度は恐ろしく、今潮達やってるのもイージーでまだレベルも50以下のものだ。
そんな鬼畜故に、ルナティック全クリしたのは俺のみで、咲姫はハード、希と望はノーマルでしかクリアは不可能である。そりゃ、内容とかスゲエからな。ハードまでは爆撃はただの爆弾だが、ルナティックだと隕石やら核爆弾になったりとか高速回転刃がビームになるという謎鬼畜仕様。
次いでに今やってるのは潮Lv.40、村雨Lv.35、羽黒Lv.29、如月Lv.28である。
シュン
村雨「ハァ……ハァ……ちょっと、ヤバすぎない?」
潮「ヤバすぎじゃないよ。これ、一種の拷問場……」
如月「こんなのやってたなんて……提督や咲姫さんのバケモノぶりが分かるわね……」
羽黒「でも、初見では失敗したんじゃないの?」
翔「ん?してないよ。初見でルナティックをクリアした」
「「「「アンタ、バケモノすぎだぁ(泣)!!!!!」」」」
強制転送されてボロボロである四人の涙目のツッコミがこの空間に木霊する。だが、涼しい顔で次に行くよう促す。
翔「ほらほら、今日のノルマはレベル50以上だ。休憩するヒマねぇぞ」
潮「提督のバカ!アホ!!鬼!!!」
羽黒「サディスト!女殺し!!」
如月「鈍感!!悪魔!!!」
村雨「種馬!!」
翔「よし分かった今日中にレベル500までやれ。やらねえとぶっ殺す」
「「「「うわあああああああぁぁぁぁぁぁん!!!!!」」」」
※ちゃんとノルマ達成しました。
~~~~
<トラック泊地>
提督「なっ……なっ………!?!?」
ドゴドゴドゴドゴドゴオオオォォォォン!!!!
夢なのか?今見ているのは夢なのか?
埠頭にて対空戦闘をしていた非戦闘艦を含む艦娘達は大量の爆撃や雷撃によって全員が轟沈というより、粉砕されていた。
最早、鎮守府も工廠も無尽蔵に降ってくる爆弾や機銃によって原型すら留めていない。妖精を除く、まだ生き残っているのは俺だけだろう。
提督「俺は……栄えある日本海軍の提督なのだぞ。元帥様は……社会に見捨てられた俺を助けてくれて、前線に立たせてくれたのだぞ……」
空には何処かの国にいるコウモリの群れでもあるかのような見たこともない艦載機が俺に構わず爆弾をその機体に見合わぬ量を落として、この鎮守府だったものを囲む森すらも焼き払っている。
その時俺の目の前には着物にもチアガールの大胆な服にも似た色白の美少女が、不敵な笑みと彼女を守るかのように宙に舞っている龍と共に佇んでいた。
その少女が持つ旗と、龍の長い胴体から勢いが収まる気がしないくらい大量の艦載機が飛ばされている。
提督「俺はっ、トラック泊地の提督なのだぞおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」
グルアアアアァァァァァ!!!!
提督「此処でっ、死んでたm」
グチャッ