艦隊これくしょん~五人の最強提督~   作:ODINMk‐3

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第4章“海軍と深海棲艦の挟撃が激化します。そろそろ潰しにかかるか……”
第35海 人間と深海棲艦と“元”人間


<海軍本部 司令長官室>

 

「元帥様!失礼してもよろしいでしょうか?」

 

元帥「ん、報告か?今は食事中だから後にしてほしいのだが……」

 

「舞鶴鎮守府に送った偵察隊からの報告です。元帥様から結果が来た次第報告をせよ、と」

 

元帥「……おお、そうだったな。ならば、仕方ない。部屋に入って報告をお願いする」

 

「ハッ、失礼致します」

 

ガチャ

 

元帥「それで……どうだった?」

 

「……舞鶴鎮守府全ての施設が消滅。提督、憲兵、艦娘共に音信途絶です。生存率は……絶望的かと」

 

元帥「そうか……ならば、早急に舞鶴鎮守府の機能を回復させて近海防衛に務めさせろ。此方から新しい提督と艦娘を向かわせる」

 

「ハッ、分かりました。海軍所属の建設会社に要請します。それでは、自分はこれで……」

 

元帥「待ちたまえ。呉鎮守府は、どうだ?」

 

「提督の死後、義孫にその権威を移したとの報告があります。しかし、碌に報告書を出してません……権威を使って遊び呆けているのかと」

 

元帥「(仕方のない子供だ……)大目に見てやろう。もう、君は持ち場に戻りたまえ」

 

「それでは、元帥様。失礼します」

 

 

 

元帥「(……舞鶴鎮守府がやられるとは……だが、いくらなんでも唐突すぎるな。深海棲艦が襲来したとしても静かすぎた……)」

 

元帥「(だとすると、これは人間の襲撃?だが憲兵は武装化されて、艦娘も戦闘となれば人間なんて瞬殺される……。

つまりは、相手は人間でも深海棲艦でもない存在か。艦娘の反乱だと考えられるか?

いや……違うな。これは……)」

 

~~~~

 

<深海棲艦軍 深海司令部>

 

『提督、MI島ガ奪還サレタヨウデス。寄セ集メノ姫級及ビイロハ級合ワセテ数千ノ軍勢ガタッタノ9人ニヨッテ全滅トイウ結果デス』

 

深海提督「……MI島を攻めた連中と同じ感じがするな。奴らは最初は島に隠れて奇襲をして残りの深海棲艦を破壊しつつ撤退、今回は9人で突撃して全滅させたか……」

 

『偵察サセテオイタイ級ハ隠レテイタ為、無事ダッタ模様。彼ラハ何カノ魔術デ鎮守府ヲMI島ニ移シタヨウデス』

 

深海提督「出来れば、相手にしたくないなぁ……。でも、普通とは違う気がするな」

 

『??ドコガデスカ?』

 

深海提督「今まで相手にしてきた艦娘達は顔が死んでいたし、服も艤装もボロボロだった。しかも、特攻も仕掛けてきたという報告が当たり前のようだった。

でも、MI島でやってきた連中は練度、性能、コンディションが完璧だったし、お互いに連携をしていた。しかも、提督らしき人物が見られたそうだ。

恐らく、彼らは今まで傷ついた艦娘を指揮した提督なんかより仁義溢れた素晴らしい提督なのだろう」

 

『……提督、モシカシタラ私達ノ存在意義ヲ説明シタラ手ヲ貸シテクレル可能性ガアルノデハ?』

 

深海提督「そうだな……俺達も、存在意義を忘れて好き勝手する深海棲艦を相手にするのは辛くなってきたからな。

是非ともその機会が欲しい。だが、今は敵の深海棲艦と海軍の動きを見よう。急がば回れ、ってやつだ」

 

『了解シマシタ、提督』

 

~~~~

 

<MI島 鋼翼鎮守府 執務室>

 

翔「……なあ、妙高」

 

妙高「はい、どうしましたか?」

 

鎮守府をMI島に移し、名前を『鋼翼鎮守府』に改名してより激しい戦いの道に踏み入れることとなった。

ある意味艦娘の反乱も激しくなったこの鎮守府の執務室で、俺は少し認めてくれた妙高に質問を問う。

 

翔「……深海棲艦と艦娘、どっちが正しい存在なのか?」

 

妙高「……はい?何を言ってるのですか貴方」

 

翔「艦娘は人類と海を救う為に生まれた。だが、深海棲艦は自然の再生の為に生まれた存在だと俺は考察する。

深海棲艦が現れる前、世界は地球温暖化対策なんてなんのそのと言わんばかりに発展していた。伐採や土地開発、そんなのが日常茶飯事だったそうだ」

 

妙高「それを無理矢理に、かつ直接的に歯止めをかけたのが深海棲艦ってわけですか」

 

そういうことだ、と望からもらった艤装及び装備の強化案の書類を眺める。連装から三連装といった砲門数の増加や装甲にスタンフィール・インゴットや強化ダンボールを混入するという強化案がびっしりとある。

実際潮達の改三への改造は望に任せてたし、もうアイツ一人で大丈夫だろうな。何気にやってくれる明石と夕張、そして妖精さん達も。

 

妙高「じゃあ、何で私達が生まれたのでしょうか?」

 

翔「光と陰みたいなものさ。生があれば死が、昼があれば夜が、希望があれば絶望もあるように、艦娘があれば深海棲艦もあるってことさ」

 

妙高「いや、そうじゃなくて……今の私達には存在意義がないかと」

 

翔「あるに決まってる。海軍を潰して、深海棲艦も潰すという最大の目的がこの組織の艦娘にも、俺達にもある。この世界に目的も無しに生まれてくる奴なんざいねぇよ」

 

文句あるかという目で妙高の顔を見ると、当の妙高はきょとんとしていた。そして俺の顔を見て我に返った。

 

妙高「そう、なんですか……(どうやら……私達にも生きる目的と理由が見つかったようです)」

 

翔「んじゃ、妙高の仕事は終わりだ。報酬のアイスだ」

 

冷蔵庫からチョコミントのカップアイスを手渡す。それに、何故か雰囲気が変わった顔でお辞儀して出ていった。

 

翔「ふわぁ……ねm「こんにちは!死ね!!」うぉっ!!」

 

突然扉を蹴り開けて、撃ってきた砲弾を回避する。そして、その隙に中段回し蹴りで吹っ飛ばす。

 

村雨「あら、提督。あ、やっぱりコイツ此処にいたのね。とりあえず、電ちゃんとこに連れて行くわ」

 

翔「おう、よろしく」

 

村雨「にしても懲りないわね~!もう、私達四人で毎日貴方を殺しにかかる奴らの相手してんだからね!!此処に来て以来このようなケースが平均8回はあるわよ!!」

 

翔「ハイハイ、ありがとな。ご褒美用意しとくよ」

 

やったぁ♪と喜んでスキップで気絶した艦娘を担いで廊下を駆ける村雨を眺めていた。この光景を見ると、所詮は艦娘のやってる事も人間と同じだなと思った。

 

翔「(……人間も艦娘も同じだなぁ)」

 

敵は敵であると固定している。それを揺さぶるのは難しいものだ。それこそまさに艦娘=人間だってのに、あのバカな連中は……

……いや、深海棲艦も敵ではないと言える。もし、俺や成人の考察した理由が合っているとするならば、此方から深海棲艦に手をさしのべることもできる。そしたら深海棲艦も大人しく、もしくは人類と共存することもあり得る。

深海棲艦=悪ではない。逆に、艦娘=正義というわけでもない。この世、善悪もないってわけだ。良いも悪いも必ずある。この人類の敵か味方か分からん立場にある鋼翼団のように。

 

翔「(俺は、“元”人間になってから何か変わったなぁ……まあ、あの楽園のおかげかな?)」

 

人間の見た目で人間以上の力誇る奴らがゴロゴロいた楽園で心身共に育ってきたからこそ、こんな俺がいるんだろう……一度でもいいから今俺達の事を見ているアイツらに頭下げねえと、スペカで倒されるな。

 

翔「(さて、執務室直そっと)」

 

開けていた執務室の中に入って砲弾でぼろぼろになった執務室を一人直すのだった。


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