(1週間後…)
<執務室>
長門「翔よ。アイツらの更正は終わった。そいつら全員、反省したようだ」
翔「そうか……んで、そいつらは?」
長門「自室に一旦戻ったようだ……何かヒステリックだったのだが、私何かやったか?」
翔「(こ、コイツら何やったんだ……!?)」
演習と妙高達の話から丁度1週間が経った。鋼翼団のメンバーから聞いたのか、俺達に対して少しずつだが信用を持ってきたようだ。偽りなく話したアイツらにお礼しねえとな……
長門「まあそれはさておき、少し耳にしただけだが潮達が完治したらしい。お前は聞いたか?」
翔「いや、聞いてない……だが、成人からのメールで完治するまでは1週間かかるとあったから、今日がその日だからきっと戻って来るからだろう」
長門「それに、艤装も今日で修理と改修が終わると夕張から聞いた。聞いたところ、損傷が激しいと聞いたな」
確かに……あの損傷や内部構造から考えりゃ最低1週間以上かかってもおかしくはない。一応様子を見たところ、何か変なのあったが……大丈夫だろうと願う。
翔「ん、ああ、長門。ちょっと話があるが……」
長門「ん、何だ?」
翔「この鎮守府を……」
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<ハザマ>
「フッ……フッ……」
「皆さ~ん、そろそろ戻りますよ~」
疲れるどころか足も縺れることなく走り続けて3時間、どこからか現れた成人さんに呼ばれて私達は成人さんの元へ向かう。
成人「どうでしたか、この1週間。つまらなかったでしょう?」
「まあ、そうですね。提督やお姉ちゃん達とも会えずにつまらなかったです」
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成人「その体でよく言いますよ」
確かに、と私達は控えめに笑った。
何故なら、私達の体はほぼ大学生に近くなってるからだ。証拠こそこの体だが、声とかはあまり変わってない。後身体能力くらいだ。私である名残は髪と服ぐらいしかない。
「とりあえず、私達見たら提督どんなリアクションするかしら?」
「『Who are you?!』とか言いそうですね」
「でも、それは睦月ちゃん達にも言われそうわ」
それに、私も頷いた。すると、成人さんが呼びかけてハザマを開いてくれた。
成人「さてと……僕は処刑される覚悟でもしますか」
「し、処刑って……私達がちゃんと自分の意志でこうしたって言っておきますから大丈夫ですよ!」
「羽黒さんの言う通りよ、成人さん。寧ろ、私達の力を制御できるし提督を魅了できそうな体にしてありがとね♪」
ハハハ……と彼は明後日を向いて枯れた声で笑った。それくらい提督私達の前の姿が良かったんでしょうね。
「……ハッ!もしかして、ロリk」
「はいは~い、これ以上はやめて潮ちゃん」
潮「アハハ……ごめんなさい」
村雨ちゃんにツッこまれ、私は苦笑いを浮かべる。それに私と同じ事を思ったのか、如月ちゃんと羽黒さんはそっぽを向いてた。
成人「とりあえず、執務室行きますよ」
「「はい」」
「はいは~い」
「は~い♪」
成人「(体が大きくなれど、彼女達は彼女達なのですね……)」
何を思ったのか、成人さんは私達を尻目で見た。そして、執務室へと繋がる穴に飛び込むのだった。
タッ
成人「翔さ~ん、四人完治しましたよ」
翔「おう、ありがとう。なり…と……!?!?」
あちゃー、やっぱりこういう反応ですか提督。余計傷つきます……まあ、仕方ないや。
翔「……ふっ………」
『ふ?』
翔「フーアーユー!?誰だテメエら!?!?」
潮「えっ、潮ですよ提督(当たった……)」ドヤッ
提督の反応はオーバーで、座っていた席を瞬速で離れて隅に退いている。それに、思わずドヤ顔が溢れる。
翔「いや、ウソだろ!?アイツらと全然違うぞ!?!?UがSじゃなくて6になる感覚だよ!?!?」
・
成人「3+3=8だ……って、やらすな!!」
羽黒「(あっ、成人さんのタメ口初めて聞いた)」
知ってる人は知ってるネタだ。私もハザマにいた時そのコミック読んだけど全く訳分からなかったよ……特にサー○スマンとか……
翔「あ、ええと……お前らに問題だ。
ドットガトリングガンは毎秒何発?」
『125発』
翔「K・アーサーのロンドニア隊長機版は?」
『エアライドス』
翔「オーディーンが止めたリニアモーターカーは止まらずにTO社内のリニアと激突した。本当か嘘か、そしてその詳細を言え」
潮「嘘です。リニアモーターカーは止まりました」
村雨「詳細は海道ジンのプロトゼノンで無理矢理止めたから」
如月「次いでに乗員は全員無事で、操ってたのはマスターコマンド」
羽黒「そしてオーディーンはグングニルでそれを仕留めました」
成人「(……完璧にLBXの事やら覚えている)」
これぐらい簡単だ。難しいのは暴走したリニアモーターカーが止まったリニアモーターカーとどれくらいの距離とか、オーレギオンがA国で襲った艦隊は第何艦隊かとかだ。
翔「……ああ、全部正解だ。つうことは……」
成人「……ええ、本当に彼女達です」
翔「……マジか」
と、確信したのか提督が私達の元にどこか疲れたような顔で近づいてきた。私のアホ毛が常に提督に向かってカールしている。何か、提督が北みたいな感じ。
翔「さてと……何ていうか、凛々しくなったな」
潮「ありがとうございます、提督」
村雨「どう?大人になった私達の姿、見惚れたでしょ?」
翔「……お、おう……///////」
『(えっ、まさかの……!?)』
て、提督が頬を染めた!?ま、まさか本当に……!!
ギイィィ…
咲姫「翔~、何か騒がしかったけど、どうs……!?!?」
成人「ああ、咲姫さん。実は、潮さん達が復帰s」
咲姫「結婚するの?」
成人「俺はテメエの何なんだよ……」
翔「(あ、天草○ノ会長……胸ペッタン版長門だな……)」
『(自重して下さい、提督)』
提督の心が読めたのか、思わず私は心の中で自重を促す言葉を放った。まあ、聞こえないけどね。
咲姫「冗談冗談。それよりも、この子達って村雨ちゃん達だよね?」
成人「ええ、翔さん頬染めてましたよ?」
咲姫「えっ……」ハイライトオフ
あっ、何か恐ろしい予感がしてきた。そういえば、提督曰く咲姫さんってヤンデレだったっけ。表には出てないけど。
咲姫「翔、どういうこと?」
翔「あ、ええと……」
咲姫「私じゃ足りないわけ?1000年も繋がったままで愛し合ったのに?」
『(何やってたの、この夫婦!?)』
せ、1000年も繋がったままとか……というか、無理でしょ!?で、でも考えてみると二人にとって天国だったんだろうな……
翔「え、えっと……」
咲姫「……まあ、そうだよね。こんなに綺麗になった如月ちゃん達を見て、頬を染めて当たり前だよ」
成人「あ、これター○ンズフラグですね。翔さんが名○で咲姫さんがアミ○ですね」
翔「死亡フラグ立たせるな、つーかあの兄ちゃんくらいの女作らねえし!!」
な、何か成人さんが壊れていってる……死ぬ覚悟があって故にこうしてるのかな……?
翔「あー、それよりも……何でこんなに大きくなった?」
成人「単刀直入に言えば、貴方達の血と細胞を注入したんです。その結果が、これです」
翔「……だからデカくなってんのか」
咲姫「(うわぁ……私並だね)」
な、何か提督と咲姫さんから視線が……主に胸。
翔「う~ん……まあ、いいんじゃないの?問題は姉妹達だけど、こうなったって話せるよね?」
潮「はい、提督。大丈夫ですよ」
翔「ああ、それと……艤装も直ったらしい。
それで、すまないが……俺達と付き合ってくれないか?」
突然そう言われたので質問してみると、どうやら海軍の連中が私達に気づいたらしくまた身を潜める為に遠くの島に鎮守府を移すらしい。一応位置はMI島だが、また深海棲艦が巣食っているのでそれの殲滅をするそうだ。
羽黒「そうなのですか……確かに、MI島は隠居するのに持ってこいですね。きっと、海軍はもう関係ないから無視しますので」
翔「ああ、だが情報によると飛行場姫の上位互換である中間棲姫や空母棲姫、レ級フラグシップ、後期型の戦艦から駆逐艦やらで沢山らしい。
まともに真っ向からやれば勝てないから、ゲリラ戦を仕掛けて乱戦に持ち込ませ、各個撃破ということだ」
潮「私達の事を察知して、戦力を溜めてますね。そこを叩くわけですか……」
確かに、全戦力をもって物量作戦を行うより私達のような少数精鋭によるゲリラ戦を仕掛けるほうがいい。相手が誤射しかねないし、此方は狙う手間がいらない。乱戦になれば此方のものだ。
羽黒「航空戦はどうするつもりですか?私達では艦載機一つも持ってませんよ」
翔「艦載機か……」
成人「僕がどうにかします。要するに航空戦力を叩けばいいんですよね?」
そういえば、成人さんってどうやって戦ってるのか知らなかった。物理的な戦闘は提督達なら、成人さんは何だろう?いわゆる魔法とかだろうか?
翔「……巻き込むなよ」
成人「分かってますよ。とりあえず、長門達は鎮守府内待機を呼びかけてますので、ちゃっちゃとやっちゃって下さい!!」
翔「そうか。んじゃ、出るぞ!!」
『了解!』
提督と咲姫さんが窓から下りる。相変わらずのようだ。でも、私達は変わった……皆を守るために……!!
<成人による艦娘卒業改装>
ルミナスシューター、更に暴走によって体の内外部に酷いダメージを与えられた潮、村雨、如月、羽黒。この四人を完治することは出来るものの、後遺症や再暴走時の反動を予防することが不可能なことから、最善策として生物の概念を超えている翔や咲姫、希、望の家系である『雌雄家』の血と細胞を体内に注入した。
結果、純粋な雌雄家である翔達には大きく劣るものの艦娘は愚か、深海棲艦の概念を凌駕する身体能力を得た。反射神経や柔軟性、視力や聴力も鋭くなり敵の距離や行動すら読めるようになった。知識面でもより賢くなっている。
しかし、その代償として体が大学生くらいに急成長して、しかも胸部装甲も血(雌雄家の女性は全員爆乳)のせいでデカくなっている。
また艦種や種族が全くなまでに変わっており、成人は半分が艦娘で半分が雌雄家の血を持つことから北欧神話に出てくる主神オーディンに仕える半神の名を取って、種族名及び艦種名が『ヴァルキリー』となった。