艦隊これくしょん~五人の最強提督~   作:ODINMk‐3

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第15海 提督と艦娘達の関係

<埠頭>

 

グラーフ「…………」

 

やあ、グラーフ・ツェッペリンだ。

数日前、私達がこの鎮守府のAdmiralである翔の元に着任した訳だが……どうも、気になって仕方ないことがある。

 

翔「ゴルアァァァァァァァ!!!!彗星一二甲と江草隊九九艦爆の性能確認で、俺を使うんじゃねエエェェェェェ!!!!」

 

蒼龍「ひえええぇぇぇぇぇ!!!に、逃げますよ赤城さん!!」ダッ!

 

赤城「分かってます!一航戦の誇り、たかが提督に追われるだけで失うわk__」シュタタタタtガシッ

 

翔「つぅかまぁえた♪」

 

「「あ」」

 

ドゴオオオォォォォォンッ!!!!!

 

逃げ惑うアカギとソウリュウを捕まえて、物凄く痛そうなプロレス技をかましている翔の事と、そんな彼を従う海外艦以外の日本艦娘の事である。

駆逐艦とかはともかく、何故翔は部下である艦娘からの砲撃や爆撃を受けても咎めないのか。そしてそんな彼に罰を与えられることもあるのに、承知の上で艦娘達は攻撃を仕掛けるのかである。

私が規律正しいドイツ艦であることもあるが故なのかもあるが、どう見てもあり得ない光景である。部下が上司に攻撃を仕掛け、逆に上司がそれを反撃する。どう考えても、こんな関係なのは極々稀であろう。

 

赤城&蒼龍「「」」チーン

 

翔「ふぅ……ったく、このバカは。……あっ、そうだった!昼飯の準備手伝うんだった!!

……コイツら、放置しとくか」タッ

 

グラーフ「(放置しておくのか……まあ、翔だな)」

 

というより、見慣れた光景であるからだ。昨日はヒリュウとカガが雷撃機で水上に立つ翔を雷撃し、その昨日はショウカク型姉妹が艦載機の陣形調整(という名のただ単に翔を爆撃)している。恨みでもあるのか、とも思える攻撃っぷりである。

私やアクィラ、サラトガもこんな反乱染みた一部始終に違和感を持っていたが、私以外はすぐに慣れている。

 

グラーフ「ともかく、二人を埠頭に上げるか」

 

埠頭の両端にある石畳のスロープを下りて履いている靴に主機を展開、水上を滑ってプカプカと水死体のように浮かぶ二人の元に駆け寄る。

 

グラーフ「アカギ!ソウリュウ!大丈夫か?」

 

赤城「いつつ……あっ、グラーフさん。大丈夫ですよ、いつもの事ですから……」

 

蒼龍「アハハ……シメられる所を見られるなんてね、ちょっと恥ずかしい……」

 

アカギは苦笑いを、ソウリュウは恥じらいの顔をしてゆっくりと立ち上がる。頭をぶつけられたのか、二人の頭にマンガのような大きいタンコブができている。

 

グラーフ「大丈夫……なのか?」

 

赤城「大丈夫ですって。こう見えて、私達は翔さんに何度も爆撃して、そして何度も反撃されてますから!」

 

グラーフ「そこ自慢するところなのか、貴殿達……?」

 

本気で言っているが、どこか外れているアカギの発言に……日本のいわゆる『ツッコミ』を入れる。それに、お見事!と意味も分からずに褒めるソウリュウに思わず首をかしげる。

 

グラーフ「すまないが、貴殿達に聞きたいことがあるのだが……」

 

赤城「ああ、ならもう少しでご飯ですし、食堂で空母の皆さんと一緒にお答えしましょうか」

 

蒼龍「あ゙~~……今回はメッチャ痛かったですね、赤城さん。艦娘で女とはいえ、翔さんは容赦しませんね」

 

グラーフ「貴殿達はいわゆる『ドM』とやらか?」

 

「「断じて違います」」ニッコリ

 

私に向けられた笑顔がやけに黒かったことに、私は二人に僅かな恐怖を覚えたのだった……

 

~~~~

 

<食堂>

 

赤城「」ガツガツ…

加賀「」ガツガツ…

 

翔鶴「赤城さん、加賀さん、お茶置いておきますね」コトッ

 

瑞鶴「無駄な気遣いはいらないわよ翔鶴姉。一航戦なんて、喉詰まらせればいいのよ」

 

加賀「ひほえへひふはよ、ぶいか(聞こえているわよ、瑞か)……フゴッ!?」

 

瑞鶴「ああもう言わんこっちゃないわね!ちゃんと噛みなさいよ!!ほら、お茶よ!」

 

加賀「ゴク、ゴク……恩に切るわ、五航戦のまな板」

 

瑞鶴「何ですってぇっ!!!」

 

何というか……初対面では一航戦のカガと五航戦のズイカクは仲良くなかったという印象だが、全然だな。いつもは互いに罵り合っているが、時々仲の良い一面もあるようだ。

 

赤城「ふはひとほだはっへくりゃはい(二人共黙って下さい)!!」

 

瑞加賀「「あ、ごめんなさい」」

 

飛龍「蒼龍、翔さんどういう攻撃してきたの?」

 

蒼龍「岩石落としよ。私達の頭掴んで水面に叩きつけたのよ。後頭部がヒリヒリするわ……」

 

サラトガ「……何というか、こんなに騒がしいんですかね。日本の空母は」

 

グラーフ「此処だけの事なのではないか?」

 

アクィラ「もむもむ……やっぱり、日本のご飯は美味しいです~♪」

 

代わって、此方は比較的静かな方である。いつも、あの人達のテンションが凄すぎて引くこともあるが……演習や訓練の際の実力は確かである。

日常的に彼女達は弓矢の練習を怠らず、艦載機の練度も落ちることはない。寧ろ、その練度は上がっていく一方だ。日々の成果なのか、翔のおかげなのか……いや、流石に後者はないな。

 

グラーフ「アカギ、ソウリュウ。聞きたいことがあることを忘れてはないか?」

 

赤城「ふっ?ゴクン……そうでしたね、ご飯で忘れてました」

 

蒼龍「ああ、そうだった。グラーフ、何が聞きたいの?」

 

グラーフ「ええと……その、何だ……艦娘達とAdmiralの翔との関係についてだ」

 

赤城「何ですか、そんな単純な質問ですか」ガツガツ…

 

翔鶴「赤城さん、一応グラーフさんの質問に答えるので言葉の合間合間にご飯をかきこむ事は……」

 

ショウカクの言葉にアカギは理解して、ご飯をかきこむ事をやめて私の方を向いてこの一言で済ませた。

 

赤城「仲間ですよ」

 

グラーフ「仲間……?」

 

加賀「そうよ。翔は私達は『仲間』、そして『家族』でもあると言ったの。私達には元々提督がいたの。でも、彼は海軍によって更迭された。で、今の提督……というより、この鎮守府のリーダーが翔なの。それで、一応提督業である執務以外では翔の事を名前で呼んでいるのよ」

 

確かに……アカギ達も、ナガト達も翔の事を名前で呼んでいる。だが……ウシオやハグロ、ムラサメ、キサラギは提督と呼んでいるのだが……

 

グラーフ「なら、何故ウシオ達は……?」

 

瑞鶴「それは、この鎮守府の中で唯一の『直属』の艦娘だからよ。アンタ達は深海棲艦を倒した時に現れたいわゆる『ドロップ艦』。少なからず、元々は翔以外の提督の元で戦っていたはずと思うわ。でもアイツらは翔が最初で最後に建造した艦娘、翔が『提督』と呼ばれるのを見ると違和感を感じるけど、アイツらにとっての提督は翔なのよ。

それに……翔はあの四人を沈めかけたことがあるのよ」

 

サラトガ「……!?あの翔さんがですか!!」

 

ズイカクはゆっくりと頭を縦に振る。

 

翔鶴「はい。実はというと、この鎮守府付近海域は弱いノーマルタイプの深海棲艦しかいないのですよ。いわゆるエリートやフラグシップ、後特別強い姫級や鬼級といったのがいない海域です。

でも……その深海棲艦が大規模艦隊を展開して襲来したんです。弱い艦しかいないだろう、という翔さんの判断が見事に外れました。それで、潮さん達は大規模艦隊に一方的な戦闘となって、沈む寸前にまで追い込まれました。

勿論、その直後に私達と翔さんが来ましたけどね。でも深海棲艦が現れた時から、鎮守府付近海域には弱い艦しかいないという定義が元々あって、大規模艦隊が襲いかかった事は仕方ないことです。でも、今でも翔さんは大袈裟にもその事を強く悔やんでおります」

 

確か、以前翔は大切な存在を二人も消したと言っていた。たった二人でも翔が彼処まで引き摺っていたのは、大切な存在であったこともあるが翔自身がたった四隻を助ける事と同じように、たった一人でも欠けてはならない『仲間』だからだろう。

……

 

蒼龍「まあ、大規模艦隊は私達……まあ、ほとんどは翔さんのおかげで倒せたけれど潮ちゃん達の艤装が壊れたの。妖精さん曰く艤装は完璧に直せるらしいけれど、翔さんが四人を沈めかけてしまったお詫びに翔さんの持つ技術を使った新しい艤装を設計してもらって、妖精さんが作ったの」

 

サラトガ「……だからですか、潮さん達の艤装がやけに近未来的なのは。

にしても、翔さんってホントに仲間想いな人なんですね。皆さんが彼に対して遠慮なく接しているのが分かります」

 

飛龍「そうなの!だから、爆撃を仕掛けて仕打ちを受けそうになっても何故か心から翔さんの事が恐くないの。むしろ、もっと爆撃してやろうっていう好奇心が募ってるのよ!だから、私達は飽きずに翔さんを爆撃してる訳よ。

私達にとって、翔さんに爆撃するこそが『仲間』、そして『家族』としての証なのよ!!」

 

随分と暴力的な『証』だが……面白そうだな。私も、いつかは爆撃してやろうか……。

 

翔「おい、バカ航戦共!変な事促してんじゃねえぞ、ゴルァ!!」

 

飛龍「あっ、そうでした!翔さん、サラトガさんやグラーフさん、アクィラさんの爆撃は受けますか?」

 

翔「どんと来い!……って、何促しとんじゃボケェ!!」

 

そのやり取りに、食堂は笑いに包まれた。

そして……

 

グラーフ「フフフ……爆撃してやるからな!」キリッ

 

翔「グラーフ!!バカ航戦の言葉に毒されたか!!!」

 

グラーフ「ハハハ、冗談だと良いがな。にしても、翔はとてもいじり甲斐のある男だ」

 

翔「ッ/////////るっせぇな……////」

 

笑っている私がいた。それに、翔は赤面していた。それに、皆は自然とにやけていた。

 

希「おぉ~!パパっていじられるのが好きなんだね!!」カシャカシャ…

 

翔「あっ!?黙れ!雌雄家唯一のまな板!!」

 

希「パパァ~?炎崩し・極で灰してやるよ?」

 

翔「あァッ!?来いやゴルァ!!」

 

間宮「二人共うるさいです」ブゥンッ!

 

希「あっ、ちょ、間mブグフォッ!!?」バンッ!!

 

翔「ちょっ、間mあづぁっ!!!」ジュウゥゥ…

 

咲姫「熱したフライパンを翔の顔に直撃させるなんて、見事よ間宮!!」bグッ

 

間宮「成人さんにフライパンの投げ方教わりましたので……」

 

マ、マミヤ?何を教わってるんだ??

 

翔「何教えてんだよテメエ!!」

 

成人「貴方がうるさいからですよ、伊○誠が」

 

翔「あのクズと一緒にs危っ!!!」シュッ

 

咲姫「チッ、『悲~し~みの、向~こ~う~へと…』の処刑BGM流そうかと思ったのに」レ○プ目

 

翔「最近俺への仕打ち恐ろしくね!?つーか、そのネタご飯の時にはダメだろうが!!」

 

……だが、これはおかしすぎる……。

 

グラーフ「(確かに信頼できるAdmiralだが……そんな彼を信頼する艦娘達がある意味凄いな……)」

 

この鎮守府に来て苦しいことは沢山あるだろう……だが、翔ならば戦いを終わらせれるだろうな。

頼りにしているぞ、雄崎翔。




<翔と艦娘の関係>
翔は艦娘達に自分達は『仲間』、そして『家族』であるということを告げて、互いに対等な立場にあることを示した。
無論、長門達は清志こそが本当の『提督』であり、翔の事は提督という立場であるが、一人の『仲間』として見ている。無論、翔達五人も艦娘達を『仲間』として見ている。
だが、問題点として艦娘達は翔に攻撃を仕掛け、逆に翔は艦娘達に反撃するということだ。反乱ではない、信頼(物理)なのだ!
だが、翔の反撃にはとんでもない効果が付いており、艦娘達が翔から逃げたり攻撃を受けたりすることで耐久力や回避能力、速力等を上げるという物理的な強化を施している。無論、翔自身にはその自覚がない。艦娘達にも強化された自覚はない。上昇値は200ぐらいまでらしくレベル、搭載、運は上がらないようだ。
つまりこの反撃を受けることにより、艦娘達は無意識に普通じゃなくなるわけだ……
次いでに言うと、駆逐艦や潮達といった弱い存在は流石に殴れないため、強化はあまりできないようだ。しかし、叱る時には拳骨ぐらいする時に少しだけ上がる。

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