第14海 提督、東西奔走してやらかした☆
<執務室>
翔「I am free」
長門姉妹「「ミートゥー」」
徐々にむし暑くなり、そしてそろそろある意味嫌いな時期を迎える寸前にある六月上旬。
九州地方の周辺海域には、深海棲艦は綺麗さっぱりいなくなっていた。内陸にいた漁港の人々は、沖合という限定された海域で漁を始めた。佐世保鎮守府という存在も知らぬ人々は、たったの一~二ヶ月で何があったのかも理解することもなく何処か嬉しそうにしていた。
だが、対照的に俺達は完全に暇となった。演習は一日一回から五回までという原則で皆それを守っている。
だが、それでもこれである。今日、潮達は希と望との演習を行っているため不在だが、代わりに暇をもて余したビッグセブンの二人である長門と陸奥がいる。
翔「暇だな……」
長門「ああ、全くだ。何処かの誰かさんのおかげで我々の働き所が無くなっただがな」
翔「それはすまねえな、長門。でも、こうでもしなきゃお前らに十分な休息や睡眠ができねえだろ」
その理由は二人も首を横に振らなかった。というより、流石に暇になる程の猶予を与えられてそれで文句が言えるわけがないのだ。
そもそも、言い方は悪いが艦娘という一つの生物は、成人が生物学上に生物に必要な条件を全て満たしているからだ。細胞や遺伝子も存在しており、病原体に感染して、病気にもなる。集団生活しなくては生きられないし、人間と同じ恒常性を持つ。しかし、体細胞分裂による成長はしないものらしい。だが、それでも十分『人間』と言える。
そんなのを証明することもなく、勝手に『兵器』呼ばわりしている海軍の連中は何処まで頭がイカれていることか。
陸奥「でも、油断出来ないわよ?いつ泊地からの陸上機による絨毯爆撃が来ても可笑しくないからね」
翔「問題ねえよ。そういうことの為に対空ビーム砲を鎮守府中に内蔵したし、そもそも辺りの島に深海棲艦を感じ取って応戦するセンサー対深海棲艦レーザーキャノンも設置しておいたからな」
陸奥「用意周到わねぇ……でも、そうでもしなくちゃ海軍とも戦えないからね」
長門「……だがこんなに戦力が大きすぎるのが五人いても、数が少なすぎる。時には質より量が勝ることも少なからずあるからな」
物量作戦か……確かに、それは頭に入れねばならない。少数精鋭でも、数倍ほ敵を相手にすれば無双ゲームでもなきゃ全滅だからな。
翔「確かに……建造もいいとこだが、流石にそれは潮達で十分だ。何かこう言うのも何だが、ただの資源で艦娘が出来るのは気味が悪いからな……成人もそれを嫌がっている」
長門「だから、建造を頑なに拒んだのか。だが、どうするのだ?これでは効率よく戦力は強化されないぞ」
長門の言う通り、あまりにもそれで戦力の増加は難しすぎる。ブラック鎮守府の艦娘を戦力にするにしてもそれには相当な時間がかかる。
やはり、建造せざるを得ないのか……?
コンコン
陸奥「あらあら~?誰かしら?」
文月「むつさん~?ふみつきだよ~♪」
長門「ああ、文ちゃんか。入っていいぞ」
ガチャ
陸奥によって扉が開かれると、俺の作った縫いぐるみを抱えた文ちゃんがとことこと現れた。
翔「いらっしゃい、文ちゃん。ん……咲姫はどうしたんだ?」
文月「さきおりょうりするがあるらしくて、ふみつきとあそんでくれなかったの~」
そういえば、今日のお昼は洋食だった。そもそも金曜以外は咲姫と成人、そして希と望の順で料理を行うため今日は文ちゃんの事を構えないのだ。
長門「そうなのか。ならば、私達と遊ぼうか」
陸奥「なら、何して遊ぼうかしら?」
長門姉妹と文月はソファで何をしようか微笑ましく話し合っている。
俗説では長門は駆逐艦の艦娘等や小さくて可愛いものに目が無いらしいが、清志の長門は……
長門「……おっ、久しぶりに鬼ごっこでもするか?」
文月「えぇ~、ながとさんあしはやいからむり~」
長門「アハハ、そうだったな」
微妙なとこだ。清志の長門は駆逐艦の艦娘と遊んでくれる光景も多く見られて、駆逐艦からも人気である。しかし、戦いとなると連合艦隊旗艦ともいえる威厳で駆逐艦達に指示を送ったり砲弾を庇ったりと、まさに歴戦の戦士とも言うべき艦娘だ。長門という艦娘の中でまれに見られる変態行為は全くない。それどころか、そういうのはプライドに関わるため興味はないらしい。
そう考えると、駆逐艦に対する愛は基準値の半分以上であるが越えていることはないといったところだ。
翔「(……そういや、文ちゃんってどうやって鎮守府に来たんだっけ?)」
最初から?いや、駆逐艦は吹雪と電を始め7人だった。それに、文ちゃんがいたら雪風とほぼ同じであるが少しは浮くはずだ。それに、雷は世話焼きな性格だから、もしその時いたとしたら文ちゃんの面倒を見ているはず。
建造か?その時は建造用ドックは四つと大淀から聞いたからあり得ない。それに、日常的に『提督』と呼ぶのは直属である潮、羽黒、村雨、如月だ。他は直属でないから執務がない限り絶対に名前で呼ぶ。
ブラック鎮守府から?それは絶対あり得ない。俺に対して普通に抱きつく子だし、咲姫とはほぼ一緒ともいえる。
なら、文ちゃんはどうやって……?
長門「そういえば、文ちゃんは深海棲艦から現れた艦娘だよな。何か、分かるか?」
文月「えっ?それは……あまり、わからないや」
翔「(ん……?深海棲艦から……?)」
そういや、そんなことがあったな。高雄の砲弾がイ級に直撃。その時に眩い光を発してそしたら……文月がいた。
翔「……そうか」
長門「……ん、どうしたのだ?」
翔「……ああ!その手があった!!」
ふとしたことが、こんな重要な事を忘れていたとはな……俺も長年生きてるだけであって意外にも肝心な事を忘れてしまうとは、年は取りたくねえな……。あっ、不老不死でそんな事ありゃしねえけど。
文月「ふぇっ!?ど、どうしたのかける?」
翔「……ああ、ごめんな文ちゃん。
それよりも長門に陸奥。戦力の強化方法がまだあったぞ!!文ちゃんが此処に来たようにに、深海棲艦を倒すことだ!!」
それに二人はきょとんとした顔をしたが、瞬時に目を見開いて感嘆の声を上げた。
長門「そうか……そうだったな!!ああ、こういう方法もあったとは私は何を悩んでいたのだ!!」
陸奥「まさに、灯台元暗しわね。深海棲艦に戦力強化の鍵があったとは……」
長門「第一、沈めるどころか壊しているお前のせいだがな……」
わりい、と罰が悪そうに謝罪をする。文ちゃんは俺達が話していることに首をかしげているが、陸奥がその内容について何でもないと促してくれた。
翔「とりあえず、俺遠くの海に出る!補給用の資源はほぼ無限、戦艦だろうが空母だろうが連れて来るわ!!」
長門「分かった!とりあえず、壊すなよ!!」
了解!という返事と共に、提督服を脱いで執務室の窓を開け、そのまま未知の海域へとひとっ飛びしていったのだった。
(一時間後…)
<地中海>←!?
プリンツ「宜しくお願いします!提と……あっ、翔さん!」
翔「おう、よろしくな!ふぅ……これで9隻目だな」
「随分とハイペースですね、翔さん」
鎮守府を飛び出て早一時間……。
俺はまず、太平洋東部に飛んで現れた海月と何かビフォーアフターがすごい姫級をホーリーランスしたところ、見事に戦艦と空母をドロップした。
そして、その調子で地中海へルー○してまたまた姫級7隻にホーリーランスしたら戦艦2隻、空母2隻、重巡3隻をドロップした。しかも、見たところ海外の艦娘のようだ。
翔「これで……十分かな?“サラトガ”」
サラトガ「サラでよろしいですよ、翔さん。それよりも私を含め9隻もおりますから、十分に戦力を強化できたと思いますよ」
翔「まあ、駆逐艦や巡洋艦が少ないことが痛手だがな……だが、火力の要が多くドロップした事には良い事には変わり無しだな、サラ」
アイオワ「Wait!Wait!!カケル、ミーもいるわよ!!」
後ろから抱きついてくるアイオワ。嫁にも負けん胸部装甲の感触がするが、言わないでおこう。何かサラから視線が……
グラーフ「にしても、今思えば貴殿は日本のadmiralだろ。私とプリンツのようなドイツやリットリオやローマのようなイタリアの艦娘はともかく、アイオワやサラトガのようなアメリカの艦娘はまずいのではないか?」
翔「ああ、問題ねえ。戦いながら電子メールを送信した。そして、全員がOKサインを貰ったから大丈夫だ。ホラ」
心配そうなグラーフに向けて携帯をつきつける。画面にはOKサインの画像と短い文章。
そして……
ザラ「……あら?翔さん、文章の最後に……」
翔「その代わりに俺の死亡フラグが立ったんだよ……ウチの鎮守府、こう見えて時間や門限が厳しいから……」シクシク…
ローマ「もはや普通の家庭わね……」
翔「という訳で帰ろう、今すぐ!!」
○ーラの呪文を唱えた!しかし、MPが足りない!!ていうかいるのか!?ドラ○エの主人公はMP0でやれるのに、何故だ!!!
ポーラ「あれぇ?翔さん、私の名前呼びましたか~?」←もう既に酔っている
翔「ポーラじゃねえよ!ルーr「翔さん、それでは伏せ字の意味が!」っと、すまねえサラ」
プリンツ「……何というかフリーダムなadmiralですね」
グラーフ「私は会って半時間だが、慣れたぞ。聞けば鎮守府の艦娘は彼が油断した時に爆撃を行うそうらしい」
アクィラ「ば、爆撃?というと、空母限定ですけど……」
翔「ああ。あのバカ共、いちいち爆撃してくるんだよ。だからガラスが割れたりするんだよ。最悪火事が起きたこともあるし……
もはや、俺の鎮守府の日常的な名物だ。次いでに俺もそうされりゃ、パイルドドライバーとか岩石落としとかで俺は反撃する。まあ見れば結構な暴力だが、日本の今の海軍を考えりゃ全然軽いからな……」
地中海のど真ん中で、俺は日本のある方角の空を仰ぐ。イタリアやドイツの鎮守府を覗いてみたが、見たところ日本のようなブラックではなく、寧ろホワイトな感じだ。そうすると、此処の空はとても澄んでいるように見える
翔「ハァ……イタリアやドイツの艦娘はとても幸せそうなのに、日本はどうしてこうなったことか……」
グラーフ「……だな。翔はそんな日本とも戦うのか。この戦い、生きれることが奇跡かもしれないな」
翔「何言ってんだグラーフ。俺は、仲間なんざ絶対沈ませんさ。……俺の油断で死んでしまった大切な家族の二の舞にはな……!!」
一人は業火のレーザーに焼かれ、一人は死ぬこともない俺を庇って死んだ。どれもが、俺の油断が生んだこの上ない不幸だ。
だからこそ俺はコイツらも、潮達も死なせはせん!!俺の身が……何回傷つけられても……!
グラーフ「……すまない、翔。だが、そんな貴殿がadmiralである理由が分かった。
それよりも……帰るのだろ?貴殿の鎮守府に」
翔「……あーーーーーーー!!!!!ヤベェ、死ぬぅ!!と、とりあえず!」
俺はキ○ラの翼を天高く放った!!
ビュウゥンビュウゥン!!
~~~~
シュンッ!!
翔「よし、逃げる!!!!」ビュンッ!!
長門「全艦、提督雄崎翔を討て!!」ジャキッ
『了解!!!!』ジャキッ
サラトガ「……本当にこの人達のようになりそう」
グラーフ「ああ、私達の運命や如何に……」
アクィラ「ホント、フリーダムですね……」
プリンツ「な、長門さんェ……」
リットリオ「だ、大丈夫なのかしら……?」
ローマ「こういうの普通だったら反乱ものね……」
ザラ「翔さーん!?翔さあぁぁぁん!!!」
ポーラ「ザラ姉様うるさいよ~。ンク、ンク……プハァッ!」
アイオワ「本当にadmiralに反乱しているわね……Japanese nevy is afraid……」
この後翔さんは捕まり、ボコボコにされました。対して私達は歓迎されて、皆さんがこの鎮守府にすぐ慣れました。
翔さん、ご愁傷様(?)です。byサラトガ他8名
※着任艦
戦艦アイオワ
戦艦リットリオ
戦艦ローマ
空母サラトガ
空母アクィラ
空母グラーフ・ツェッペリン
重巡ザラ
重巡ポーラ
重巡プリンツ・オイゲン