艦隊これくしょん~五人の最強提督~   作:ODINMk‐3

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プロローグ~水上を立てる青年達~

<日本 沿岸部>

 

ザザアァン……

 

さざ波の音、波が岸を削る音が響く。

周りには、生い茂った草木や僅かな火薬や鉄の臭いがする……

 

男1「……なあ、皆…」

 

男2「……言うまでもありません」

 

そんな中、五人の若者が荷物を持って歩いていた。

先頭に立つフランクな男と、一番後ろに立つ真面目な男がこの状況を見て感じたのだ。

 

男2「静かすぎます……沖合ですら漁船を見かけませんし、何より航空機すらも……」

 

女1「それに内陸部に都市や人口が集中してたし、途中途中で寂れた都市もあった……おかしいよ」

 

フランクな男の後ろに立つ女も、この状況をおかしく捉えていた。

 

男1「……成人(なりと)」

 

男2→成人「……はい、翔(かける)さん」

 

男「何か、聞こえねえか……?」

 

それに、成人は目を瞑って精神を集中させた。

その時、僅かに船が海を切る音と砲撃音が聞こえた。

 

成人「……砲撃…?日本は、イージス艦しか保有してないはずです」

 

翔「何か嫌な予感がするな……。咲姫(さき)、オーディーンを出してくれ」

 

翔に名を呼ばれた女は頷き、手元から12~14cmくらいの小さな人型ロボットを出した。

そのロボットは小さく跳ぶと飛行機に形を変え、白い雲がちぎれちぎれにある青い空を飛びたった。

 

女1→咲姫「……ッ!!

皆、海の上で女の子達と変なバケモノが戦ってる。何か背中とか肩に大砲とか板とか付けてたけど……やられかけてるよ!」

 

翔「ッ!マジかっ!!

お前ら、助けに行くぞ!オーディーンをそのままホバリングさせて位置を把握、大砲を持ってるとしたら敵はロングレンジの戦闘が中心だ。銃器をメインに使うぞ!

俺は近接で仕留めるから咲姫は援護射撃!成人、希(のぞみ)と望(のぞむ)はその女達を守りながらバックアップだ!!」

 

全員が翔の指揮に頷き、それぞれ持つ荷物から刀やらライフルやらハンドガンを取り出して、人間とは思えぬスピードでその戦っている女達の元へと向かった。

 

~~~~

 

<交戦海域>

 

金剛「ッ、赤城っ、加賀、大丈夫ネッ!?」

 

赤城(中破)「飛行甲板に被弾しました……」

 

加賀(中破)「私にもですっ……」

 

電「赤城さん、加賀さん、下がって下さい!」

 

私は、特III型駆逐艦四番艦『電(いなずま)』なのです。

突然現れた人類の脅威……深海棲艦(しんかいせいかん)が襲撃して、駆逐艦の私とお姉ちゃんの雷(いかずち)ちゃん、戦艦の金剛さんと比叡さん、そして空母の赤城さんと加賀さんと迎撃をしましたが、相手の数が多くて私と金剛さん以外戦うことが難しくなったのです……

 

比叡(中破)「すみません、金剛御姉様っ……!!」

 

金剛「大丈夫ネ、比叡。それよりも、雷は大丈夫デスカ?」

 

比叡「はい。ですけど、もう一撃食らえば沈む可能性が……!!」

 

金剛「……分かったネ。電、行きマスヨ!!」

 

電「なのですっ!!」

 

私は、赤城さんと加賀さんを後退させた後に金剛さんと突撃した。金剛さんは戦艦だけど、高速戦艦。私といった駆逐艦よりスピードは遅いけど、他の戦艦よりはよっぽど速い。

 

金剛「行くネ!Fire!!」

 

電「なのですっ!!」

 

金剛さんは四門の主砲を一斉発射し、私は足に取り付けられている魚雷管から魚雷を発射した。金剛さんの主砲は敵を何隻かに直撃し沈め、私の魚雷も当たったけど数が増える一方だ。

 

ル級「……」

リ級「……」

 

すると、先頭にいるル級とリ級が私と金剛さんに向けて砲撃した。それに、直撃は免れたけど大きなダメージを受けてしまった。

 

金剛(中破)「Shit!!」

電(大破)「はわわっ!!」

 

魚雷管も凹み、連装砲もひしゃげた。

その時、私に駆逐艦イ級がとびかかってきた。

 

金剛「い、電ッ!!(ッ、間に合わない……!!)」

 

電「あっ……!!」

 

イ級の口から一門の砲筒が現れる。

 

雷「電ァッ!!」

 

逃げようとしても、恐怖で足がすくんでしまう。雷ちゃんの悲鳴に似たような声が聞こえてきた。

 

電「(……生まれ変わったら、平和な世界がいいな……)」

 

私は、沈むことを覚悟して目を瞑る。

 

電「…………」

 

しかし、砲撃音やぶつかる感覚がなかった……。

私は、恐る恐る目を開いた。そこには……

 

翔「おじょーちゃん、大丈夫かい?」

 

飛びかかってきたイ級を刀で串刺しにして、とても若そうなお兄さんが私に笑顔で呼び掛けた。

 

~~~~

 

翔「(ふう、間に合ったか……)」

 

愛刀『菊一文字』を変な魚にギリギリブッ刺しきれた。後ろには、咲姫とその後ろに三人がいる。

 

電「だ、大丈夫なのです……(えっ、このお兄さんどうやって海に浮いてるの……?)」

 

翔「なあに、俺らにとっちゃあ水に立つことなんか簡単さ。とにかく、下がってろ。俺らがどうにかする」

 

突き刺さった魚を振って抜き取り、あの黒い変な奴らに刃先を抜ける。

 

金剛「まっ、待つネ!貴方達、コイツらの強さをs」

 

咲姫「知らないわ、そんなもの。だけど、私達こう見えて戦闘のプロだからね。無双くらいはできる」

 

咲姫は銃口が桜型の火縄銃『桜一文字』を構える。成人も相手が未知であるが為に本気を出してるようだな。

 

翔「さてと……ブッた斬るかァッ!!!」

 

刀を構え、水上を駆ける。敵はやっぱり大砲を持っているな。なら……懐に潜り込めばいい問題だろ!!

 

翔「よっと!!」

 

砲撃の雨を切り抜け、不意のジャンプでリーダーらしき盾を2つ持った奴の後ろに回り込む。

そして、振り向く前に首をはねとばす。万が一、反射も防ぐために心臓部と四肢も斬っておく。

 

ロ級「ゴオォォォッ!!」

 

翔「ほっ」

 

とびかかってくる魚は勿論、そこらの奴も適当に斬り捨てておく。何か特徴もあるようだが、無意味に等しい。

 

咲姫「全く、邪魔ねぇっ!!」

 

発砲音と同時に敵は桜にくり貫かれて落ちている。咲姫の射撃のようだな。

 

翔「どんだけいんだよ、コイツら……」

 

赤城「敵は戦艦1、重巡5、軽巡10、駆逐無数です!」

 

翔「戦艦は落としたか……まあ、少ないっちゃあ少ないな。まあ、お前達じゃあ厳しい問題だったかな?」

 

確かに、あっちは6で敵は20~30くらい……数が圧倒的に多いな。

 

翔「兎に角、こいつら全滅させるか……!!」

 

まだいるようだな。だが、全滅させるのみ!!

 

咲姫「翔っ!!敵を縦に追い込んでっ!!」

 

翔「おうっ!!(縦か……ルミナスシューターを使うのか?)」

 

確かに、あれの貫通性と破壊力は異常だ。あらゆる物質を意味もなく貫通するあのライフルはある事変の指折りの武器だったからな。ただ、外せば30sかかるな……

 

翔「なら、グレネードだな!!」

 

腕から縦に拡散する拡散グレネードを出して、投げかかる。それより外には後ろからの砲撃で上手く削ってるようだな。

それに、まんまにかかるように縦一列に並んだ。

 

翔「咲姫っ!!」

 

咲姫「準備OK!食らえ!!」

 

ルミナスシューターを構えた咲姫が、鋭い銃口を向けて、超圧縮粒子ビームを放つ。

あまりの圧縮力に粒子が拡散しながらも空を切るビームは、敵の列を砕き貫きながら直進していく。

 

ドゴオオオオォォォォォンッ!!!!

 

成人「……敵、全滅しました。駆逐艦は逃げたようですね。物腰の悪い雑魚が……」

 

咲姫「よし、これで大丈夫ね」

 

五人共、それぞれ武器を収めた。

そして、ボロボロになっている六人に目を向けた。

 

翔「さてと……あのバケモノ達は追っ払ったぞ。安心しな」

 

全員が、目を丸くしていたが気にせずに笑顔を向けた。

 

~~~~

 

金剛「(す、スゴすぎるネ……ワタシ達ですら苦戦を強いられた深海棲艦を簡単に……!!)」

 

ワタシ達は、突然現れた深海棲艦に迎撃することになった。しかし、敵の数の多さに苦戦しかけたところ、突然現れた五人の人が戦況をいっきに覆した。

特に深海棲艦に恐怖も見せるどころか、寧ろ好戦的な表情を見せて刀を振るうあの青年には驚きを隠せない。

 

翔「……聞こえてるか??」

 

金剛「……ハッ!さ、サンキューネ……」

 

その反応に察したのか、リーダーらしきあの青年とあの強力なライフルを持っていた女性が苦笑いした。

 

翔「ああ、やっぱりおかしいか?そこら辺にうろつく人間がこのように水の上で立てて、あのバケモン殺せれて」

 

赤城「いや、その、ええと……」

 

赤城が考えてたことだろうネ。流石に不意を突かれて言葉が現れないのだろう……

 

翔「まあ、いいさ。

それよりも聞きたいことがある。どうしてお前達は海に立ち、そしてあの化け物と戦っているのか……?」

 

金剛「……それは、話すと長くなりマス。

ワタシ達の鎮守府に、来てくれまセンカ?」

 

翔「ああ、いいぞ。というより、ただそこらてきとーにふらついているバカ共だから、面白いことに首を突っ込んだだけさ。

話ようでは、手伝うぞ」

 

この人達、気前が良すぎるネ。でも、テートクが許してくれるのか……

 

加賀「……金剛さん、一応鎮守府に打電を送りました。

……ん、『ソノ人タチヲ連レテ帰投セヨ』。帰投命令です。それに、貴方達の入所許可もです」

 

金剛「分かったネ、加賀。You達も、鎮守府まで来てくれまセンカ?」

 

それに、青年は答えた。

 

翔「Of course.それに、そんなボロボロで帰れるか?傷次第じゃ手伝うよ」

 

金剛「Thank you,man.

あっ、ワタシは金剛型戦艦一番艦『金剛』デス!」

 

比叡「私は金剛型戦艦の二番艦『比叡』です」

 

赤城「私は赤城型航空母艦『赤城』です。助けてくれて、ありがとうございます」

 

加賀「加賀型航空母艦『加賀』よ。貴方達にはそれなりに感謝してるわ」

 

電「特III型駆逐艦の『電』です」

 

雷「特III型駆逐艦『雷』よ。私の妹の電を助けてくれて、ありがとね」

 

そう自己紹介すると、あの青年の後ろにいた人達も整列していた。

 

翔「ん、宜しくな。俺は雄崎翔だ。まあ、翔でもあだ名でも呼んでくれると嬉しい」

 

咲姫「私は雌崎咲姫。宜しくね。それに、困った人を見たら助けるのは当たり前でしょ?気にしなくていいよ」

 

成人「僕は成學成人と言います。今後とも、宜しくお願い致します」

 

希「あたしは、雌雄希だよ!」

 

望「……僕は望。希ことみーちゃんとは双子ですっ……」

 

金剛「それじゃあ、大破している電と雷を頼むネ。ワタシ達はどうにか航行できるネ」

 

翔「無茶言うな、金剛。恐らく水上を浮くのに必需ともいえる足のパーツがやられているぞ。赤城と加賀はその板?がやられてるだけだし、妹さんの比叡も大丈夫だ。あまり無理をするな」

 

赤城「飛行甲板です、翔さん。私達は航空母艦なので艦載機を飛ばしたりするのですよ」

 

おお、そうかという顔をする翔。すると、私に近づいて肩を組んだ。

 

金剛「Oh!?な、何をs」

 

翔「だから、手助けするんだよ。

いいか、金剛。無茶をしたら、お前は妹さんやお前の仲間に迷惑かけちまうぞ?戦艦だからって、無茶ぶるな」

 

金剛「……ありがとネ、翔」

 

ワタシは自然に笑顔を向けると、翔も笑顔を向けた。

 

翔「いい笑顔をしてるな。皆から愛されている証拠だ」

 

金剛「なら、翔もネ?」

 

翔「ああ、勿論さ……」

 

すると、僅かにだが顔を歪めていた。もしかして、そのスマイルの裏には……

 

翔「兎に角、敵に見つけられてしまう前に戻ろう。すまない、誰かナビゲートを頼む」

 

比叡「なら、私がやります。中破ですが機関はやられてないので、十分速力を出すことができます」

 

頼む、という言葉と共に比叡が先頭に立つ。そして、比叡のナビゲートで鎮守府に着いた……


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