やはり俺が甲賀弦之介なのはまちがっている。   作:世間で言うジョージさん

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今回は長くなってしまいました~。

なかなか上手く纏められないっすね。
次回からはサクサクいけるよーにします。

仕事あると上手くいかねーっすけど。




第9話 テニス勝負と転生者

 

 

 

「…儂の名は、弦之介。甲賀卍谷衆の一人、甲賀弦之介じゃ。」

 

 

 

戸塚は訝しげに弦之介を一瞥すると、甲賀の忍が使う暗号を送る。この暗号は手を使った簡単なブロックサインのようなもので、甲賀の忍なら誰しもが知る暗号である。無論、弦之介も熟知している。弦之介も暗号で返すが、戸塚は口頭で応えた。

 

 

 

「ほう…流石に知っておるか。だが伊賀者に知れ渡っているやも知れぬからのぅ。弦之介様と名乗るなら、その力を見せてみよ!」

 

 

 

弦之介に飛び掛かる戸塚に対して、己が忍術で以て、弦之介は応えた。

 

 

「致し方無し!見よ!」

 

 

「ぐぐぐぅぅ!こ、これは…確かに弦之介様の瞳術……!」

 

 

 

弦之介の瞳術により、自らの首を絞める戸塚。その時、朧が弦之介の前に躍り出た。

 

 

 

「弦之介様ッ!」

 

 

 

パリーンという音が響き、戸塚は身体の自由を取り戻したのであった。

 

 

 

「その眼は…破幻の瞳か?察するに、お主は伊賀の朧殿では?」

 

 

「はい。私は伊賀鍔隠れ衆の一人、朧と申します。」

 

 

「儂らの素性は最早、明白じゃ。お主の名は何と申すのじゃ?」

 

 

 

戸塚は佇まいを直すと、その場に方膝を着き頭を垂れた。そして震えるような声で涙ながらに語りかける。

 

 

 

「弦之介様…またもやお会いできるとは!此度の度重なる非礼、お許し下され。拙者は、甲賀卍谷衆の一人、如月左衛門で御座いまする。」

 

 

「そうか!左衛門、お主も転生しておったのか。積もる話もあるだろうが、まずは事情を説明したい。」

 

 

 

そうして奉仕部の面々はテニスコート脇にあるベンチに集まり、材木座も呼んでの状況説明が始まった。

これにて転生者は5人となる。

平塚先生に八幡が報告をメールで送り、陽炎や丈助、朧が口々に左衛門に状況説明をしていった。平塚先生が事情通である事も。その際、掟の説明もされた。

 

 

 

「つまり、日常生活をバレずに送れってことだよね?それなら僕の得意分野だね。」

 

 

「あ、それ分かるかも。そーゆうの彩ちゃん上手いもんね~。あの時はフォローありがとう!」

 

 

「由比ヶ浜さん、それって小四郎と朱絹の話かな?もう、ああいうのはやらないからね?…僕も本当は、比企谷くんみたいに穏やかに静かに暮らしたいんだ。」

 

 

 

 

「戸塚…お前…」

「戸塚くん……」

「彩ちゃん……」

 

 

 

 

戸塚が、如月左衛門であった頃、左衛門には最愛の妹がいた。左衛門は妹を愛し、また妹も左衛門の事を愛していた。二人は仲睦まじい兄妹であったが。だが不戦の約定が解かれた際に、伊賀の鍔隠れの里にて捕らえられ、その短い生涯を終える事となる。

かなりの手練れとして甲賀十人衆の一人として数えられていたが、左衛門は戦わせたく無かった。ただ平穏無事に日々を暮らせればそれで良かったのである。

 

 

最愛の妹を殺された左衛門は復讐を誓う。女子供を殺す事を嫌う左衛門であったが、復讐の鬼と化した左衛門は心を痛めながらも、伊賀者ならば女も殺していった。

だが、もう過去の話である。

現在の戸塚彩加には妹がいない。否、兄弟がいない。最愛の妹が居ないのは寂しいが、戸塚はもう平穏に暮らす事が出来る。そう、未来はこれからなのだ。

 

 

 

「戸塚…今の俺には妹がいる。だからその、なんだ?お前の気持ちはわからんでもないぞ?」

 

 

「フフ、比企谷くんありがとう。僕も八幡って呼んでいいかな?」

 

 

「あぁ、構わんぞ。俺達は同級生だし、身分の上下とか関係ないだろ?」

 

 

「そうだよね。これからもよろしくね、八幡!それと、特訓途中だったんだけど続き…お願い出来るかな?」

 

 

 

確かに特訓途中だった事を思い出した奉仕部の面々であった。そして特訓を再開しようとしたところで、戸塚から短い呻き声が聞こえる。どうやら先程の一悶着の際に、足を挫いたらしい。

今日は走り込みは無理だと判断し、応急処置をとる為に雪乃は保健室へと向かう。

 

 

雪乃が居なくなり少し経った頃に、奴等が現れた。総武校のリア充グループの筆頭にして、トップカースト達を纏める葉山一味だ。奴等は何をしに来たのだろうか?八幡達に緊張が走る。

その時、葉山一味の一人が口を開いた。

 

 

「あーしらもテニスやりたいんだけどー?ここ使ってもいいよねー?つーか、使うしぃー。」

 

 

いきなりのテニスコート使用宣言に、理不尽さと横暴さを感じずにはいられない奉仕部サイド。一応の対話を試みる八幡であった。

 

 

「悪いな。今は先生に許可を取ってテニス部の特訓をやっているんだ。またの機会にしてくれないか?」

 

 

「はぁ?笛吹き男!アンタには聞いてないし!戸塚ァ、どーなん?あーしら混じってもいいよねぇ?」

 

 

「活きの良いオナゴじゃ!」

「ちょ、優美子!」

「貴様…死ぬか?」

「誰の事かしら?笛吹き男って。」

 

 

八幡を笛吹き男扱いした瞬間に、葉山グループを囲む甲賀組と、何時の間にか帰ってきていた雪乃。あまりの殺気に怯え出す戸部。怯む三浦に、仲裁しようする葉山。

弦之介を虚仮にされて黙っていられる筈も無し。緊張がピークに達する前に八幡が口を開いた。

 

 

「皆の者、静まれ!此度の件は只の戯れ言じゃ。大事にする事では無い。三浦よ、其の方らの提案通り、テニスで決着をつけてはどうじゃ?」

 

 

「そ、そうだな。比企谷の言う通りだ。男女混合のテニスで試合をしないか?勝った方が戸塚にテニスを教えるって事でどうかな?」

 

 

「別に構わんが、儂らは強いぞ?お主らの誰一人として敵わぬと知れ。」

 

 

 

 

 

常人ならばテニス経験者や、身体能力の高い者が有利となるだろう。だが、彼らは甲賀卍谷衆の忍である。身体を鍛えてなくても、忍の独自の技術等は幾らでもある。転生後、日の浅い者はまだまだだが、八幡に至ってはかなりの手練れである。

 

 

 

 

「はぁ?あーしこう見えても、県選抜のメンバーなんだけど。あとさぁー、結衣!アンタはコッチでしょ?」

 

 

「ほぅ?先程から何をキーキー喚いておるかと思えば…この虫けらが!弦之介様を愚弄した罪…お前の血で地獄の露払いをしやれ!」

 

 

「っべーわ!結衣までおかしくなったん?コイツら何か変じゃねー?隼人くぅーん?」

 

 

 

甲賀組と朧だけ殺気立ったまま、死合いは開始された。八幡チームは弦之介と陽炎。葉山チームは葉山と三浦である。

死合いは一方的に進む。忍チームの打つボールはボディにメリ込み、ラケットはボディにメリ込んだ。三浦は既に泣いていた。それを宥める葉山も戦々恐々としていた。

 

 

「これ、陽炎。ラケットは投げる物ではない。」

 

 

「弦之介様。陽炎は手が滑ってしまったので御座います。決して、あの売女を狙ったのではありませぬ。」

 

 

「はぁ……選手交代じゃ。」

 

 

 

1セット目が終わり、忍チームは男女ミックスを止めて(葉山からの強い要望もあり)、丈助と左衛門が入る事となる。だが、それはそれで死合いにはならなかったのであった。

 

 

 

「左衛門よ、やはり女子は細腰の女子じゃのぅ。あのチラチラ見えそうなのが堪らんのう!」

 

 

「丈助!少しは真面目に、っ!ぐぅ!」

 

 

 

 

「…………選手交代じゃ。」

 

 

三浦を視姦していた丈助は役に立たず、左衛門は足を挫いていたので話にならなかったのである。これにてドローとなる。そしてラストゲームを迎えた忍チームは、八幡と雪乃である。

この頃には三浦も精神的に復活しており、葉山の心配も杞憂となっていた。但し、コート外では少しの異変が起きようとしていたが、この時はまだ誰も知る由は無かった。

 

 

 

「最後は弦之介様が決めてくれるわ。私、暴言も呪詛も吐くけれど虚言だけは吐かないの。」

 

 

「雪乃ちゃん…呪詛は吐くんだ……。」

 

 

 

葉山がボソッと返した言葉に、三浦が過敏に反応する。心の内を黒い何かがジワジワと埋め尽くしていくのを感じた三浦は、そのドス黒い感情を雪乃に向けて叩き付けるのであった。雪乃が返したボールは絶妙であり、狙い撃つならばこれ以上の好機は無かった。

 

 

「許さない、許さない、許さないぃぃぃ!!」

 

 

「っ!見よ、三浦!」

 

 

 

三浦の放とうとした顔面狙いのジャンピングスマッシュを、弦之介の瞳術が阻止する。どういう原理かは謎だが、三浦の放ったスマッシュは外野の戸部にクリーンヒットし、その振ったラケットは自らのボディにメリ込んでいた。そして吹き飛ぶ三浦。

イメージとしては、ゲームのキャプテン翼で強力な必殺シュートを放つとしよう。それを止めようとDFが前に出て、吹き飛ばされるイメージだ。これは、くにおくんのサッカーでも可である。

 

 

 

吹き飛ぶ三浦がフェンスに直撃する刹那、葉山が間に割って入り衝撃を緩和させる。三浦は顔を朱に染めていたが、戸部も顔を朱に染めていた。自身の血で染まっていたのである。

 

 

 

「完全勝利ね。あの、弦之介様。助けてくれて、ありがとうございます…。」

 

 

「儂が守るのは当然じゃ。それより、戸部といったか?流れ弾が当たったようだが、大丈夫か?」

 

 

 

戸部は外野である。葉山サイドのトップカーストの一員ではあるが、今回の弦之介の瞳術の被害者の一人でもある。弦之介は戸部に近寄ろうと声を掛けたが、様子がおかしい事に気付く。何やら呟くように呻き声が聴こえるのだ。戸部は俯いている為、様子を窺う事は出来ない。

 

 

 

「げ…げ……げ…」

 

 

「げげげ?鬼太郎のことか?戸部とやら、大丈夫か?」

 

 

「げ、弦之介ぇぇぇぇ!!」

 

 

 

 

戸部は急に叫びだしたかと思うと、その顔には傷ひとつ無かった。まさか戸部も転生者なのだろうか?その正体とは如何に?

 

 

 

 




転生者の強さはチートです。
忍法もありますし、身体能力も独自の鍛練法で
高い設定です。何より、経験が違います。

とゆーわけで、新しい転生者が続々出て来ましたね。
いったい誰なんでしょう?
え?わかります?うん。僕も簡単かなーと
思ってました。

それでは次回に!



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