やはり俺が甲賀弦之介なのはまちがっている。   作:世間で言うジョージさん

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そうとう長いこと放置してた感があります。
けど、ようやく更新。
さくさく書くはずの作品だった筈なのに……何故?





第15話 弾正屋敷での出会い

 

 

 

新たな転生者も加わり、現在の総武高校には九人の忍者が在校する事となる。

前回の依頼解決から平和を取り戻した八幡達であった。今日も奉仕部は笛の音と舞が咲き乱れていた。

しかし、平和は長くは続かない。

 

 

 

「やっはろー!ゆきのん、ゆきのん~!皆で勉強会しようよ!」

 

 

「勉強会?あら、感心ね。由比ヶ浜さんも参加するのね。高校生のうちから始めるなんて驚きね。」

 

 

「へ?何のこと?」

 

 

「今夜ホテルニューオータニで開催される、若手経営者達の勉強会のことよ。違うのかしら?」

 

 

「違うし!あのね、勉強会っていうのは…………」

 

 

 

由比ヶ浜曰く、テスト前なので皆で勉強しようという提案であった。

しかし、勉強は孤独な闘いと考えている雪乃には話が通じなかったのだ。

そこで由比ヶ浜は搦め手を使う事にした。

 

 

「ねぇねぇ、ヒッキー!ヒッキーも勉強会来るよね?」

 

 

「残念ながら、俺も勉強は一人でするものだと思うぞ。塾や予備校ならともかく、多人数でやっても遊びにシフトする未来しか浮かばないからな。やったことないけど。」

 

 

「やったことないんだ!?ならさ、ここは一つ、経験だと思ってやろーよ。あたしも勉強教えてほしいし。お願い!ヒッキー!ゆきのん~!」

 

 

 

八幡が渋っていると、雪乃は情にほだされて由比ヶ浜を甘やかしてしまう。いつもこのパターンになるのが最近の奉仕部の通例だ。

 

 

 

「はぁ、仕方ないわね。いいわ。その勉強会とやらに行きましょう。部活が終わってからでいいのかしら?」

 

 

「うん!やったぁー!ありがとう、ゆっきのーん!!」

 

 

「あ、暑いわ、由比ヶ浜さん。離れてほしいのだけれど。」

 

 

 

最近は甘やかした由比ヶ浜が抱きつくのも恒例となってきていた。それを眺めながら八幡は幸せを噛み締めるのであった。

そして部活も終わり、下校時間となる。一向は途中で戸塚と合流する事となる。どうやら由比ヶ浜が呼んでいたようだ。転生してからというもの、転生者に対して面倒見がいいらしい。

四人はお馴染みサイゼリアに向かった。ちなみにこの時、八幡の発言により、サイゼリアは弾正屋敷と命名された。理由は、「屋敷にいるかのように落ち着く」からだそうな。

 

 

 

一向は大きめのテーブルを陣取ると、各々の勉強道具を出して準備を始める。すると、雪乃と八幡だけ既に耳にイヤホンをはめて、自分だけの世界に入ろうとしていた。

 

 

 

「ちょ、ちょっと待って~!なんでイヤホンするの!?」

 

 

「何でって…集中しやすいだろ?」

 

 

「そうね、曲が聴こえなくなる頃にはかなり意識が集中しているわね。」

 

 

「えぇ~!皆でワイワイしながらやろうよ~。解らないところ教えあったりするもんじゃん?」

 

 

 

お前の場合は教わるばかりで、教えるとこねーだろ。と、皆は思ったが口には出さなかった。理由は、由比ヶ浜からの報復(毒料理)を恐れてたのが半分、優しさが半分といったところだろう。

なんだかんだで由比ヶ浜に甘いので、質問される度に手を止めて教えてあげる雪乃であった。

 

 

「雪乃、喉が渇かないか?何か入れてくるぞ。」

 

 

「私も一緒に行くわ。何があるか選びたいもの。」

 

 

「あ、じゃあ八幡。僕らのもお願いしてもいいかな?」

 

 

「あぁ構わないぞ。雪乃、行こうか。」

 

 

 

八幡と雪乃がドリンクバーで、一連のやり取りを行った後にそれは起こった。ドリンクを手に取り、席に戻ろうと歩き出すと何者かによる追跡の気配。

追跡の仕方が素人丸出しなので、八幡はあえて振り返らない。そのまま席へと戻った。

 

 

「ヒッキー!遅かったし!て、あれ?後ろの二人は誰なの?」

 

 

八幡が振り返ると、そこには妹の小町と見慣れない男の子が立っていた。小町の中学の学生服であることから、小町の知り合いではないかと八幡は推測した。

 

 

 

「おぉ、小町。お前も来ていたのか。横にいる子はお友達か?」

 

 

「そーだよ、おにーちゃん。それより、そこにいるお義姉さん方は?もちろん紹介してくれるんだよね!」

 

 

 

小町には思うところがあった。

弦之介として覚醒した八幡は、雪乃(朧)と付き合う(結婚を前提)ようになった。転生者であることを小町は知らないので不審に思うところはあった。だが、ここまでは許容できる範囲であり問題は別にあるのだ。

小町は考えていた。

常から兄が執心している彼女がこの中にいるかもしれないと。

あの兄が毎日のように長電話をし、家の電話料金が三倍に膨らんだ元凶に会えるかもしれないと。小町は小さな胸を高鳴らせていた。

 

もし、兄を駄目にするような女であるならば…排除してしまおうと。

 

 

 

 

小町は少々ブラコンの気がある。

 

 

いつからかは定かではないが、昔から兄を想う気持ちは強く、並の兄妹愛では無かった。過去の八幡の行動次第では千葉の兄妹エンドもあったかもしれない。

必然、小町の関心は目の前の3人の女子に注がれる。

 

 

 

「黒髪ロングの子が雪ノ下雪乃、お団子がついてる子が由比ヶ浜結衣、んでショートヘアのが戸塚彩加だ。みんなお兄ちゃんの同級生だ。」

 

 

「皆さんはじめまして!比企谷小町です。おにーちゃんの妹をやってます。どうぞヨロシクお願いします。」

 

 

「雪ノ下雪乃です。よろしくね、小町さん。」

 

 

「あたしは由比ヶ浜結衣だよ。小町ちゃんヨロシクね!」

 

 

「戸塚彩加です。僕のこともヨロシクね、小町ちゃん?」

 

 

 

三者三様の挨拶も終わり、小町はこの3人の中に兄の彼女がいると確信する。兄の人生に於いて、こんなに高ランクの美少女が周りにいる状況は無く、しかも美少女達が兄を意識している。乙女の勘がビビっときたのだ。

 

 

 

「こんなに可愛くて綺麗な人がたくさんいるなんて、おにーちゃんモテ期到来なの?」

 

 

「お兄ちゃんがモテたいのは一人だけだ。それより小町は何しに来たんだ?そいつは友達なんだろ?」

 

 

「友達の悩み相談受けてたの。けど、今はおにーちゃんが何をしてたのか聞きたいなぁ~。あとこの中に彼女さんはいるのかな~って。」

 

 

 

八幡と雪乃は隠すつもりは全く無い。むしろ世界中に知らしめたいぐらいに思っているだろう。所謂、バカップルである。妹の思惑など気付く筈も無く、彼女を紹介する事になる。

 

 

 

「今は皆で勉強会とやらをやっているぞ。それとこちらが俺の彼女、雪乃だ。」

 

 

「八幡とお付き合いしてます。雪ノ下雪乃です。改めてよろしくね。」

 

 

「こちらこそ、ヨロシクです!こんな美人さんなんて小町的にポイント高いよ、おにーちゃん!雪乃さん、今度一緒にお茶でもしましょう!」

 

 

 

小町は言及すべきは今ではないと考え、見に徹する。

その時、小町の後ろで一連のやり取りを黙って見ていた者が口を開いた。

 

 

 

「比企谷さん…そろそろ話を聞いてほしいッス。」

 

 

「あ、ごめんね大志くん。小町はそろそろ行くのであります!じゃあね、おにーちゃん。皆さんもどうぞごゆっくり♪」

 

 

 

 

小町と大志は別の席へと去って行った。

この時はまだ誰も気付かなかったが、小町と大志という二人との出会いが、新たな依頼の幕開けとなるのであった。

 

 

 




ある程度の面子と、小町&大志の出会いです。
そしてこの後どーなるのか?
多分、予想通りです!


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