問題児たちとメカクシ団が異世界から来るそうですよ?【凍結】 作:こじろー
第7話
キド視点
これがコミュニティの居住区画の門か、案外でかいな。
「この中が我々のコミュニティでございます。しかし本拠の館は入口から更に歩かねばならないのでご容赦ください。この近辺はまだ戦いの名残がありますので・・・・・」
「戦いの名残?噂の魔王って素敵ネーミングな奴との戦いか?」
「は、はい。」
「ちょうどいいわ。箱庭最悪の天災が残した傷跡、見せてもらおうかしら。」
「そうだな。東区画最強と言われていたコミュニティに勝ったような魔王だ、俺も気になるな。」
「とかいって本当は怖いんじゃないの?」ニヤニヤ
「なわけないだろ。黙れバカノ。」
「酷くない?」
「「「「「「酷くない(わ/よ/ッス/な/ですね)」」」」」」
「皆して言わなくてもよくない!?」
やっぱりバカノはうるさいな。
「皆さん?そろそろ入りますよ?」
「おう。行こうぜ。」
「それでは・・・・」
な、なんだこの風景は!?廃墟ばっかりじゃないか!?
「っ、これは・・・・・・・!?」
「おいおい、こんなのはアジ・ダ・カーハクラスの奴らじゃないと出来ねえぞ。」
「だが兄さん。アジ・ダ・カーハはすでに封印されている筈じゃ・・・」
「ああ、されている筈だ。だからアジ・ダ・カーハとは違う奴なんだろうけど、これほどとなると一体誰が・・・・・・・?」
しかし、これは一体どれだけの年月が経てばこんなになるのだろう?
「・・・・・・なあ、黒ウサギ。魔王とのギフトゲームがあったのは何百年前の話だ?」
「僅か三年前でございます。」
「・・・・・・・ハッ、そりゃ面白いな。いやマジで面白いぞ。この風化しきった街並みが三年前だと?」「別にありえない事ではないぞ。箱庭には時間を操るギフトなんかもあるからな。最高峰のギフトにいたっては数百年分どころか数万年も時を進めたりすることも出来るからな。まあそんだけ進めたらその分の反動はくるけどな。」
そ、そんなギフトまであるのか。
「へえ。やっぱ箱庭に来て良かったぜ。ところでシンタロー、一つ聞きたいんだがいいか?」
「別にいいぞ、なんだ?」
「お前はこの風景を見てもなんとも思わないのか?自分が所属していたコミュニティがここまでボロボロにされてるのにお前には驚きや怒りってのが全く感じられないんだよ。」
何を言っているんだ十六夜の奴は!?
「ちょっ、い、十六夜さん!?」
「黙れ黒ウサギ。俺は今真剣に聞いているんだ。」
「なるほどな。仲間の為に怒れない奴はいらないという訳か。」
「そういう事だ。それで、実際の所はどうなんだ?」
「そうだな、答え合わせといこうか。まず一つ目、俺がこの光景を見て驚いてないと言ったな。」
「ああ。言ったな。」
「それは正解だ。あいつらを倒せるような魔王ならこれくらいの事は出来るだろうと考えていたからな。流石に予想以上だったが。」
「なるほど、予想をしていたからあまり驚かなかったのか。」
「ああ。そして二つ目の怒っていないのか?という質問にたいしてだが・・・・・・。」
「俺ほあんたから怒りや憤りを感じなかったんだがな。」
「答えは不正解だ。」
「へえ?その割には落ち着いているように見えるが?」
「そりゃあそうだろ。最年長がそう簡単に感情を振りまいたら下の奴までパニックになっちまうからな。」
「なるほどな、そういやお前かなりの年寄りだったもんな。で?まだ他に理由があるんだろ?」
何?まだなんかあるのか?
「そこまで分かってたのか。そうだな、さっきの理由は普段使う言い訳用だ。本当の理由は俺が怒って怒気や殺気を出すと気絶したりショック死する奴が出てくるからだ。多分耐えれる奴は女王や白夜叉ぐらいの実力がないと無理だな。」
「へえ!だから隠すのか!でも完全に隠すのは流石に無理だと思うぜ?」
「そこは俺の能力で隠しているから大丈夫だ
。」
「また今度お前の能力についてもおしえろよ?」
「分かったよ。そんじゃあ本拠に歩くか。」
「そうだな。おい、そこで突っ立ってねえで行くぞ!」
え?ってあ!?本当に行きやがった。
「お二人共お待ちくださーい!」
「俺らも行くぞ!」
「「「「「おお!」」」」」
シンタロー視点
この建物懐かしいな。だが何故本拠と別館だけが綺麗に残っているんだ?他の建物はほぼ壊滅状態だったのに。わざと?子供達の住むところとして残した?なら何故大人は連れていかれた?ダメだ、情報が足りなさすぎる。また黒ウサギから話を聞かないとな。でも今は・・・・・
「おかえり黒ウサギ!」
「新しい人達ってどんな人?」
「カッコイイの?カワイイの?」
「YES!とても強くてカッコイイ人やカワイイ人ばっかりでございますよ!それでは皆さん自己紹介をしますので一列にお並び下さい。」
こっちが優先だな。しかし本当に子供が多いな。これでまだ六分の一ぐらいしかいないんだろ?マリーとかは大丈夫か? チラッ
「うわー。子供が沢山だ、カワイイ!」キラキラ
・・・・・・大丈夫そうだな。しかしあいつらは俺がいなくなってからどんだけ子供増やしてんだよ。俺がいた時はここまで多くなかったぞ。
「それではこちら側から逆廻十六夜さん、久遠飛鳥さん、春日部耀さん、木戸つぼみさん、瀬戸幸助さん、鹿野修也さん、小桜茉莉さん、如月桃さん、榎本貴音さん、如月伸太郎さん、雨宮響也さん、九ノ瀬遙さん、朝比奈日和さん、館山文乃さん、小桜薊さんです。皆も知っている通り、コミュニティを支えるのは力のあるギフトプレイヤー達です。ギフトゲームに参加出来ない者達はギフトプレイヤーの私生活を支え、励まし、時に彼らの為に身を粉にして尽くさねばなりません。」
「あら、別にそんなの必要ないわよ?もっとフランクにしてくれても」
「駄目です。それでは組織が成り立ちません。」
この話になると黒ウサギは真剣な顔になるんだな。まあ、確かに大切だもんな。
「コミュニティはプレイヤー達がギフトゲームに参加し、彼らのもたらす恩恵で初めて生活が成り立つのでございます。これは箱庭の世界で生きていく以上、避ける事が出来ない掟。子供のうちから甘やかせばこの子達の将来の為になりません。」
黒ウサギの言う通りだな。
「・・・・・・・そう。」
「ここにいるのは子供達の年長組です。ゲームには出られないものの、見ての通り獣のギフトを持っている子もおりますから、何か用事を言い付ける時はこの子達を使ってくださいな。みんなも、それでいいですね?」
「「「「「「よろしくお願いします!!」」」」」」
うおう!?さ、流石は子供だな、声がでかい。耳がキーンとなったな。マリーがビビって俺の後ろに隠れたし。あ、セトが落ち込んでる、なんでだ?ヒヨリとアヤノは何でそんな悔しそうな顔をしてるんだ?
「ハハ、元気がいいじゃねえか。」
「そ、そうね。」
ていうか笑ってるのは十六夜と俺とアザミ、後はセトと遙先輩ぐらいで後は皆まともに笑えてないな。マリーにいたっては隠れたし。まあ、人それぞれか。
「さて、自己紹介も終わりましたし!それでは水樹を植えましょう!黒ウサギが台座に根を張らせるので、十六夜さんのギフトカードから出してくれますか?」
「あいよ。」
やっぱ長い間使ってないと悪くなってるな。所々がひび割れしてるし砂も要所に溜まってるし。まあしょうがないっちゃしょうがないんだけどな。
「大きい貯水池だね。ちょっとした湖ぐらいあるよ。」
『そやな。門を通ってからあっちこっちに水路があったけど、もしあれに全部水が通っていたら壮観やろなあ。けど使ってたのは随分前の事なんちゃうか?どうなんやうさ耳の姉ちゃん。』
「はいな、最後に使ったのは三年前ですよ三毛猫さん。元々は龍の瞳を水珠に加工したギフトが貯水池の台座に設置してあったのですが、それも魔王に取り上げられてしまいました。」
龍の瞳は確かあいつに貰ったんだけっな。懐かしいな、元気にしてるかなあいつ。
「龍の瞳?何それカッコいい超欲しい。どこに行けば手に入る?」
「さて何処でしょう。知っていても十六夜さんには教えません。」
「ちぇっ、つれねーな。ならシンタローは知ってるか?」
「知ってるが今のお前じゃまだ勝てないからやめとけ。相手は箱庭最強種の一つの“龍種”だ。」
「そんな事聞いて俺が我慢するとでも?」
「最低でも白夜叉と互角に戦えるようにならないと無理だな。だからそれぐらいになったら龍種がいる所に連れて行ってやるからそれまで待て。」
「白夜叉と互角にまでならないと一人で龍種と戦って勝つのは無理ってことか。面白れえ!いいぜ、やってやろうじゃあねえか!」
十六夜のテンションがやばいな。あっちはジンたと水を運ぶ方法とか聞いてるし、それを聞いて飛鳥がちょっとガッカリしてるし。皆楽しそうだな。コミュニティがこんな惨状なのに皆生き生きとしてる。それはギフトプレイヤーが来たからなのか、子供だからなのかは知らないがそれでも暗いよりはマシだな。
「それでは苗の紐を解いて根を張ります!十六夜さんは屋敷への水門を開けてください!」
「あいよ。」
「十六夜、濡れるかもしれないから気をつけろよ。」
「マジかよ。今日はもう濡れたくねえよ。」
「だから気をつけろと言ったんだ。」
「そうだな。分かった、気を付けるぜ。」
おお!あの水樹、予想以上に水を出すな。どんだけ元気な水樹なんだよ。
「うわお!この子は想像以上に元気です♪」
「凄い!これなら生活以外にも水を使えるかも・・・・・・・!」
「なんだ、農作業でもするのか?」
「近いです。例えば水仙卵華などの水面に自生する花のギフトを繁殖させればギフトゲームに参加せずともコミュニティの収入になります。これならみんなにも出来るし・・・・・・」
「ふぅん?で水仙卵華ってなんだ御チビ。」
十六夜の奴、御チビってなんだよ。ジンだってビックリしてんじゃねえか。
「す、水仙卵華は別名・アクアフランと呼ばれ、浄水効能のある亜麻色の花の事です。薬湯に使われる事もあり、鑑賞用にも取引されています。確か噴水広場にもあったはずです。」
「ああ、あの卵っぽい蕾の事か?そんな高級品なら一個ぐらいとっとけばよかったな。」
「な、何を言い出すのですか!水仙卵華は南区画や北区画でもギフトゲームのチップとして使われるものですから、採ってしまえば犯罪です!」
「おいおい、ガキのくせに細かい事を気にするなよ御チビ。おっと、悪いが俺は俺が認めない限りは“リーダー”なんて呼ばねえぜ?この水樹だって気がむいたから貰ってきただけだ。コミュニティの為、なんてつもりはさらさらない。」
本当か?こいつ、何気に面倒見が良さそうだが・・・・・・・・
「黒ウサギにも言ったが、召喚された分の義理は返してやる。箱庭の世界は退屈せずに済みそうだからな。だがもし、義理を果たした時にこのコミュニティがつまらねえ事になっていたら・・・・・・・・・・俺は躊躇いなくコミュニティを抜ける。いいな?」
こいつ、本気だな。ジンを試してるだけじゃなく本気で言ってるな。まあこいつの性格から云うとそうなんだろうけどな。さて、ジンは何て言うんだろうな。
「僕らは“打倒魔王”を掲げたコミュニティです。何時までも黒ウサギに頼るつもりはありません。次のギフトゲームで・・・・・・・それを証明します。」
「そうかい。期待してるぜ御チビ様。」
特に険悪な雰囲気でもないしまあ大丈夫だろ。
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キド視点
やっと屋敷に着いたな。しかし、遠くから見ても大きいと分かっていたが近くで見るとやっぱり迫力あるな。
「ああ、懐かしいなこの建物も。なあ、黒ウサギ。俺の部屋は残っているのか?」
「あ、はい。ちゃんと残っていますよ。流石に連れて行かれてしまった方の部屋は重要なものは宝物庫に入れて後は売ったりしてしまいましたけど。」
「まあ、そこら辺はしょうがないな。俺の部屋が残っているって事はあいつの物も残っているのか?」
「はい。というかシンタローさんの部屋にある者は一切触れてませんよ。勝手に触っていい思い出がないので。」
「ああ、お前はよく弄られてたからな。俺が作った薬を飲まされたりしてたもんな。」
「はい。ああ、あの時の光景は今でも目に浮かびますー。」
「ヤハハハハ。何があったんだ、シンタロー?」
「それは」
「言っちゃダメですよシンタローさん!」
「だってよ。」
「ちぇっ、後でこっそり教えてくれよ?」
「だから駄目ですって!」
「分かった。」
「シンタローさんも了解しないでください!」
「それで黒ウサギ、私達は何処に泊まればいいのかしら?」
「ああ、すいません。コミュニティの伝統では、ギフトゲームに参加出来る者には序列を与え、上位から最上階に住む事になっております・・・・・けど今は好きな所を使っていただいて結構ですよ。移動も不便でしょうし。」
へえ、シンタローは何階に住んでいたんだろうな。かなり強いらしいから上のほうだとは思うんだが。
「シンタローは何階に住んでいるんだ?」
やっぱり十六夜も気になったか。
「シンタローさんは最上階でございます。」
!?マジか!という事はシンタローは東区画最強のコミュニティの中でもトップクラスっていうことか!す、すごいな。
「へえ!やっぱりお前とは1回戦ってみたいな。」
「コミュニティの事が一段落ついてからなら別にいいぞ。」
「ヤハハハハハハ!楽しみだ!」
「黒ウサギ、そこにある別館は使ってもいいの?」
「ああ、あれは子供達の館ですよ。本来は別の用途があるのですが、警備の問題で皆此処に住んでます。飛鳥さんが百二十人の子供と一緒の館でよければ」
「遠慮するわ。」
百二十人の子供と住むのはよほどの子供好きじゃないとキツイな。けど今はなにより風呂に入りたいな。
「なあ、黒ウサギ。俺達風呂に入りたいんだが・・・・・」
「はい。湯殿を見てきますね。」
そういや風呂って使われてたのか?あ、真っ青な黒ウサギが帰ってきた。
「一刻ほどお待ちください!すぐに綺麗にいたしますから!」
やっぱり使われてなかったから凄い事になってたんだろうな。
『お嬢・・・・・・・・ワシも風呂に入らなアカンか?』
「駄目だよ。ちゃんと三毛猫もお風呂に入らないと。」
「そっすよ、三毛猫さん。じゃないと汚くなっちゃうッスよ。」
「ふうん?オマエらは本当に猫の言葉が分かるんだな。」
「うん。」
「俺の場合は言葉というより思考ですけどね。」
「オイワレ、緑のあんちゃんはともかくお嬢をオマエ呼ばわりとはどういうことや!調子乗るとオマエの寝床を毛玉だらけにするぞコラ!」
「駄目だよ、そんな事いうの。」
「てか俺をオマエって呼ぶのはいいんスね。」
「出すぎた事を聞くけど・・・・・・・春日部さんに友達ができなかったのはもしかして」
「友達は沢山いたよ。ただ人間じゃなかっただけ。」
耀の奴、ちょっと不機嫌になったな。
「ゆ、湯殿の用意ができました!女性様方からどうぞ!」
「ありがと。それじゃあ先に入らせてもらうわ。」
「マリー達も行くぞ。」
「ねえ、シンタローさん。一緒に入らない?」
「な!?何を言っているんだヒヨリ!」
「断る。お前が良くても他が駄目だろ。」
「それじゃあ二人きりならいいの?」
「それも駄目だ。お前も女の子なんだからそういう事言わないの。」
「ちぇっ、つれないわね。」
「はあ、いいから行くぞヒヨリ。」
「わかりました。それじゃあ失礼します。」
一体何を言い出すんだヒヨリは。シンタローの事が好きなのは知ってるがまさかこんな事をいうなんて。仕方ない、風呂に入ってさっぱりするか。
ここで一旦区切ります。じゃないと文字数が凄い事になってしまうので。最近、オリジナルギフトやギフトネームを作る為に親に神についての本を買ってもらったのでそれを呼んで上手い具合にギフトなどを作って行こうと思っているのでこれからもぜひ読んで下さい!