問題児たちとメカクシ団が異世界から来るそうですよ?【凍結】   作:こじろー

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第6話

 

キド視点

 

『ギフトゲーム名 “鷲獅子の手網”

 

 

・プレイヤー名

逆廻十六夜

久遠飛鳥

春日部耀

木戸つぼみ

瀬戸幸助

鹿野修也

小桜茉莉

如月桃

榎本貴音

雨宮響也

九ノ瀬遥

朝比奈ひより

楯山文乃

 

・クリア条件 グリフォンの背に跨り、湖畔を舞う。

・クリア方法 “力”“知恵”“勇気”の何れかでグリフォンに認められる。

 

・敗北条件 降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

“サウザンドアイズ”印』

 

さて、一体誰が出るべきか・・・・・・・・

 

「私がやる。」

 

早っ!?どんだけやりたいんだよ。

 

「おいおい、大丈夫なのか?」

「大丈夫、問題ない。」

 

それは死亡フラグじゃ・・・

 

「ほう、お主か。まあ、頑張れ。」

「うん。」

「耀」

 

どうしたんだ、シンタロー?

 

「何?」

「これを羽織ってけ。」

 

何だ?あの半透明の布は?

 

「シ、シンタローさん。そ、それってもしかして“天の羽衣”ですか?」

「よくわかったな、黒ウサギ。正解だ。」

「そりゃあそんな有名なギフトぐらいは知ってますよ!風圧耐性のあるギフトの中では最高峰のギフトをどうやって手に入れたんですか!?」

「昔、ギフトゲームて勝利して手に入れたんだよ。まあ、今回はグリフォンに乗って湖畔の周りを一周するっていうゲームだからな。かなりの風圧はあるだろう。流石に温度の調節は出来ないが風圧はかなり軽減されるはずだからな。」

「分かった、ありがとう。」

「おう。その代わり絶対クリアしろよ?」

「うん、分かってる。」

「なら良し。頑張れ。」

「行ってきます。」

「ああ。・・・・・さて、耀は果たしてどこまでくらいつけるかな?」

「いや、あのギフトを渡した時点でほぼクリアは決定じゃないですか?」

「わかんないぞ?風圧は防げても振動とかは消せないからな。もしかしたら途中で振り落とされるかもしれない。まあ、そこら辺も大丈夫だろうけど。」

「そうですか。それじゃあ耀さんがクリア出来るように祈って待っていましょう。」

「祈るって誰にだ?」

「それはもちろん、帝釈天様ですよ!」

「そうか。まあ、おとなしく見てろよ。」

「はい!」

 

さっきから思うんだがやっぱりシンタローのキャラ違くね?

 

 

耀視点

 

シンタローが貸してくれたこの布、すっごく軽い。まるで重さを感じない。折角シンタローが貸してくれたんだから何がなんでもクリアしないと。

 

「こんにちは。私の名前は春日部耀です。」

『!? お主、私の言葉が分かるのか?』

「はい。それでゲームの事なんですが、単刀直入に言います。私と誇りをかけて勝負をしませんか?」

『何?』

「あなたが私を背中に乗せて湖畔を一周する間に私を落とせなかったら私の勝ち。落とせたらあなたの勝ち。」

『なるほど。確かに途中でお主を落とせなかったら私の誇りが傷付くだろう。ならばお主は何を対価にするんだ?生半可な物では受付ないぞ?』

 

そんなの決まってる。

 

「命をかけます。」

『ほう?』

「途中で落ちたらまず間違いなく死にます。運良く生き残っても今日のあなたの晩御飯になります。」

「なっ!?春日部さん何を言っているの!?」

「そうだぞ!早くその言葉を撤回しろ!」

「静かにしろ、二人共。」

「シンタローの言う通りだぜ。お前らは春日部が見せた覚悟を踏みにじるつもりか?」

「そ、そういうわけじゃないのだけれど・・・」

「仲間の心配をして何が悪い!」

「いや、心配するのは悪くねえよ。ただし、今回は春日部自身が自分の命を賭けて挑むんだ。外野は黙っとけ。」

「くっ!」

「飛鳥もキドもそう言ってくれるのは嬉しいよ。でも、大丈夫。絶対負けないから。」

「・・・・・・そう、分かったわ。負けたら許さないからね。」

「うん。」

「気を付けろよ。何かあったらすぐに助けるからな。」

「分かった、ありがとう。」

「おーい、もうそろそろ始めるぞー。」

「今行く。それじゃあ行ってきます。ちゃんと見ててね?」

「「分かってる(わよ)。」」

 

私の事を心配してくれてる友達がいる。それだけで絶対に勝てる。

 

『それでは準備はいいか?』

「うん、大丈夫。」

 

あ、そうだ。

 

「先に一つだけ言っておくけど私、あなたの背中に乗る事が夢だったの。」

『・・・・・・・そうか。』

「うん、それだけ。」

『よし、ならば行くぞ!』バサッ!

 

「春日部さん大丈夫かしら?」

「信じてやれよ、お嬢様。友達なんだろ?」

「・・・・・・そうね。友達だもの。ちゃんと応援しなくちゃ。春日部さーん!頑張ってー!」

「ヤハハハハハハ!その調子だぜ、お嬢様。」

 

「すごい、あなた空を踏みしめて跳んでいるんだ!」

『まだいけるか?』

「大丈夫。」

『なら、速度を上げるぞ!』ゴウッ!

 

風圧はシンタローが貸してくれたこのギフトでなんとかなってるけど気温が下がってきたからちょっと寒いな。それに服もちょっと凍ってきたし。

 

『中々やるではないか。』

「あなたこそ。でも私はまだ余裕だよ?」

『ほう?ならば我が最速を耐えて見せよ!』

 

すごい!黒ウサギが言うには風圧耐性のギフトの中でも最高峰のギフトなのにその効果の限界を超えて風が来た!これがグリフォンの本気!でも、それでも耐えられる!

 

「おっ帰ってきたぜお嬢様。」

「え?あ!本当だわ!帰ってきたわ!」

「ほう。あやつ本気を出したか。」

「グリフォンが本気を出したんですか!?春日部さんは大丈夫でしょうか?」

「あの感じだと“天の羽衣”の効果の限界を超えられてるな。軽減はされているがそれでもかなりの風圧だろう。」

「さらに飛んでる場所が山頂とほぼ同じ高さだから気温も低いしの。体感的には-何数十度といった所じゃな。」

「それやばくないですか!?」

「まあ、あいつのギフトなら大丈夫だろ。」

「?シンタローさんは耀さんのギフトを知っているのですか?」

「正確には“識っている”だけどな。まあ、あまり詳しくは聞かないでくれ。」

「あ、はい。わかりました。」

 

「そうだ。ねえ」

『む?まだ喋れるか。なんだ?』

「このゲームで勝ったら私と友達になって。」

『フッ、いいだろう。なら最後だ。飛ばすぞ!』

 

また早くなった!でも私の勝ちだ!この力は・・・・・・そうだ!

 

『見事。お主の勝利、なっ!?』

「「「「「「「「「(春日部/耀)(さん/ちゃん)!」」」」」」」」」

 

シンタローとアザミさんと十六夜以外の皆がびっくりしてる。

 

「早く耀さんを助けないと!」

「待て黒ウサギ。」

「なんですか十六夜さん!」

「まだ終わってないからだよ。」

「え?」

 

十六夜やシンタローは気付いてるみたい。なんでだろ?まあいいや。それよりグリフォンさんみたいに飛ぶには大地を踏みしめるようにこうやって

 

「「「「「「「「「「え?!」」」」」」」」」」

「ヤハハハハハハハ!やっぱあいつ面白れえな!」

「まだ拙いけどうまくいったな。」

「兄さんの言った通りだな。」

 

ドッキリ成功だね。ってあ・・・やばい。

「やばい、十六夜!」

「了解だ!」ガシッ!

「あ、ありがとう。」

「ヤハハハハ。どういたしましてだぜ。」

「春日部さん大丈夫だった!?」

「大丈夫だよ。服がパキパキになったのと手の先がじんじんする程度だから。」

「全く最後はびっくりしたぞ。」

「ごめんなさい。」

「よろしい。これからはあまり無茶をしないようにな。」

「はーい。」

「キド、お母さんみたいだね。」ニヤニヤ

「なっ!?う、うるさいぞカノ!」

「キドお母さんごめんなさーい。」

「よ、耀まで!?」

「おーいお前らそんぐらいにしとけよー。」

「あ、シンタローこれありがとう。おかげで助かった。」

「いや、無事なら何よりだ。お疲れさん。」

「ありがとう。」

「見事なゲームだったの。お主達の勝ちじゃ。」

『見事だ。そのギフトは勝利の証として存分に使ってくれ。』

「うん。ありがとう。友情の証として使わせてもらうよ。」

『フッ。面白い娘だ。』

「所でお主のそのギフトは生まれた時から持ってたのか?」

「ううん。お父さんが作ってくれた木彫りのペンダントのおかげ。」

「ほう?スマンがちょっと見せて貰っても良いかの?」

「いいよ。はい。」

「ほほう。これはこれは・・・材質は楠の神木・・・・・・・?神格は残ってないようだがの。・・・・・・・・この中心を目指す幾何学線・・・・・そして中心に円状の空白・・・・・・・お主の父親の知り合いに生物学者はおるかの?」

「うん。私のお母さんがそうだった。

「生物学者ってことはやっぱりこの図形は系統樹を表してるのか白夜叉?」

「おそらくの・・・・・・ならこの図形はこうで・・・・・・この円形が収束するのは・・・・・いや、これは・・・・・これは、凄い!!本当に凄いぞ娘!!本当に人造ならおんしの父は神代の大天才だ!まさか人の手で独自の系統樹を完成させ、しかもギフトとして確立させてしまうとは!これは正真正銘“生命の目録”と称して過言ない名品だ!」

「白夜叉、語るのもいいけど後にしてくれないか?いい加減ホームに帰りたいんだが。」

「む、それはすまなんだ。よかろう、ところで何しに来たんだっけの?」

「言いませんでしたっけ?ギフトの鑑定をお願いしようと思ってきたのですが。」

「おお、そうじゃった。だが私には専門外どころか無関係もいいとこだからのー。・・・・・・そうじゃ!ちょいと贅沢な代物だがコミュニティ復興の前祝いとしてあれをやろう。」パンパン

 

え?なにこれ?カード?なになに?えーと私の名前とギフトネームで“生命の目録”と“ノーフォーマー”?なんだろうそれ?皆のやつは十六夜が“正体不明”で飛鳥が“威光”、キドが“隠す蛇”でカノが“欺く蛇”、セトが“盗む蛇”でマリーちゃんが“合わせる蛇”と“合体させる蛇”、モモちゃんが“奪う蛇”でヒビヤ君が“凝らす蛇”、コノハさんが“醒める蛇”と“人造人間”!?そ、それでタカネさんが“覚ます蛇”と“電子生命体”?ヒヨリちゃんが“冴える蛇”でアヤノさんが“かける蛇”、シンタローは・・・・・ってあれ?

 

「ねえ、シンタローとアザミさんの分はないの?」

「あやつらの分は既にあるからの。今持ってこさせておる。」

「なるほど。」

「ちょっ、ちょっと待って下さい白夜叉様。こ、これってもしかして“ギフトカード”ですか!?」

 

??

 

「お中元?」

「お歳暮?」

「お年玉?」

「違います!なんでそんなに息ぴったりなんですか!?」

「これはギフトカードと言ってな。顕現しているギフトを収納出来る高価なカードなんだ。例を言えば耀の“生命の目録”や十六夜が手に入れてきた水樹とかをしまえるな。簡単に言えば素敵アイテムってことだ。」

「「「「「「「「「なるほど。」」」」」」」」」

「本来ならコミュニティの名と旗印も記されるのだが、おんしらは“ノーネーム”だからの。少々味気ない絵になっておるが、そこら辺の文句は黒ウサギに言ってくれ。」

「へえ?随分と気前がいいんだな。」

「言ったじゃろう?コミュニティ復興の前祝いだと。」

「因みにギフトカードの正式名称は“ラプラスの紙片”。即ち全知の一端だ。そこに刻まれるギフトネームはお前らの魂と繋がった、“恩恵”の名称だ。鑑定は出来ずともそれを見れば大体のギフトの正体が分かるぞ。欠点はギフトの効果を無効化させるギフトとかは正式名称が出ずに違う名前で出ることがある事だな。」

 

へー。やっぱり長生きしてるだけはあるね。

 

「なるほど。てことは俺のは無効化する効果があるって事だな。」

「なに?小僧ちょっと見せてみろ。」

 

あれ?でも十六夜は最初凄い勢いで走ってったけどあれはギフトの効果じゃなかったのかな?

 

「“正体不明”だと・・・・・?確かにシンタローが言った通り鑑定出来ないこともあるがそれはレアケースだ。普通なら無効化するとしてもちゃんとした名前で表示されるはずだ。」

「何にせよ、鑑定できなかったって事だろ。俺的にはこの方がありがたいさ。」

「面白いから?」

「よくわかってるじゃねえか。」

 

やっぱり。この一日で何となく十六夜や他の皆の事が分かった気がする。でもやっぱりシンタローだけは分からないな。これから知っていけばいいか。あ、世界が元に戻った。

 

「失礼します。シンタロー様とアザミ様のギフトカードをお持ちしました。」

「おお、すまんの。それじゃああやつらに渡してやっておくれ。」

「わかりました。どうぞ。」

「ありがとな。」

「すまないの。ありがとう。」

「いえ、では失礼します。」

「うむ。助かった。それでお主たちはこれから自分のコミュニティに戻るのか?」

「はい。コミュニティの子供達に皆さんを紹介したいですし、今日は皆さんお疲れでしょうから早く休ませて明日のガルド戦に備えないといけませんから。」

「なるほど。ガルドか。あやつの行いは最近目に余るものがあるでのう。ぜひとも潰して欲しいものじゃ。頑張れよ。」

「分かってるわよ。あんな外道許しておけないわ。」

「うん。」

「ああ。」

「そうか。それなら大丈夫だの。」

「それでは白夜叉様、今日はありがとうございました。」

「うむ。またいつでも来い。」

「次は黒ウサギをチップにしてゲームを挑む。」

「やめてください!!」

「本当か!やろう!ぜひやろう!絶対勝って見せるとも!」

「なら俺が本気で相手をしてやろうか?」

「げっ!シ、シンタロー相手だと元の姿に戻っても勝てるかどうか分からないんだがの。」

「へえ?やっぱりシンタローは強いのか?」

「それはもう、神話の主神が束になって挑まないと勝負にならないくらいの。」

 

え?シンタローってそんなに強いの?

 

「え!?シンタロー君そんなに強いの!?元の世界だとジェットコースターに乗って酔って吐いたりしてたのに!」

「あれはただの演技だぞ。普段からジェットコースター以上の速度で動いてるのにそんなのに酔う分けないだろ?」

「「「「「「「「た、確かに。」」」」」」」」

「ヤハハハハハハ!なあ、シンタロー。今度どっかで戦おうぜ!」

「別にいいが負けても恨むなよ?」

「ヤハハ!そんな事しねえよ!」

「そうか。なら別にいいや。」

「皆さんお話は終わりましたでしょうか。それでは行きましょう!我らがコミュニティ“ノーネーム”のホームへ!」


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