「さて、事態は大洗連合に不利な状況となっています。天候は、相変わらず、雨。現在、降雨量は毎時1mm程度の小雨です。実況は私、ヨナ・カミラです。解説は前回に引き続き、西住しほさんと特別ゲストの陸上自衛隊富士学校富士教導団戦車教導隊所属、蝶野亜美一等陸尉です」
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
3人が乗るV-22オスプレイは現在、主戦場となっている陸上自衛隊の富士演習場市街地戦訓練場の上空を飛んでいる。機内は市内各所に設けられたカメラや周囲を飛ぶ報道ヘリからの映像がリンクされ、どこの映像もリアルタイムで流れている。
もちろん、ヘリの位置などから何処に潜んでいるのかバレないように非常に多くのヘリが飛び、また、自衛隊機も混じっている。
「現在、撃破された車両は、大洗連合が7両、ユークレイン校がなしという事ですが、どう思われますか?蝶野さん」
「そうですね。戦略的に見れば、現在ユークレインが撃破したのは、偵察用のL3軽戦車や、重装甲高火力のKV-2、また、プラウダ校のリーダーであるカチューシャとその周囲を護衛していたT-34、市街地に突入していった3両を追跡していたヘッツァーでしたからね。ユークレインは大洗連合の目と攻撃手段を潰しに掛かっていると考えて良いでしょうね」
蝶野が撃破された車両の報告やこれまでの両軍の動きから推察し、告げた。現在、画面には猛進する1両の駆逐戦車と2両の重戦車が映っている。
「おぉっと、ここで動きがありました。
聖グロリアーナ女学院の部隊が、ユークレイン本隊を完全に取り囲み、ゆっくりと前進してきているぞ!これはどういう事でしょうか、西住さん」
「本隊による、砲撃を阻止する為に攻撃を仕掛けたと見た方が良いでしょう。幾ら、装甲が貫通されないと言えども、チャレンジャー巡航戦車の17ポンドは脅威になり得ます。また、足の速いクロムウェルも周囲をウロウロされ、履帯や砲身、砲塔のと接続部を狙えば、撃破できなくとも、何らかの損害を与える事が出来るかもしれませんからね。
必然的に、彼女達は聖グロリアーナを無視する事は出来ないでしょう」
「成る程。さて、聖グロリアーナ女学院。前回、ユークレインとの対戦した時は1両も、1発も撃たずに敗北という屈辱的結果に終わりましたが、今回は、見せ場を作る事は出来るんでしょうかぁ!?」
カミラが告げると同時に、グロリアーナの車両が一斉に砲撃をする。距離は2kmと全く持って貫通どころから当たるのかもわからない距離、更に躍進射の為に当たったら奇跡としか言い様がないだろう。
ユークレイン側も事前に見えていたので、焦る事も動揺することもなかった。逆に、これはチャンスと言わんばかりに、左右に展開したT26E4が砲塔を動かし、砲身を小刻みに揺らしていた。
「ユークレイン側はE-100やシュトゥルムティーガー、マウスと言った重戦車は使わないようですね」
「スーパーパーシングだけで対処出来ると踏んだのでしょう」
亜美としほが意見を交わし、カミラが成る程と視聴者の心中を代弁する。画面では一定速度で包囲陣を徐々に狭めていくグロリアーナの姿が映る。
「しかし、何時見ても、グロリアーナの陣形は美しいですね。見事な円形!黒森峰のパンツァーカイルもそうですが、強豪校は陣形を組ませても立派です」
カミラが告げる。対角線上に2両のチャレンジャーが居り、それを囲むように18両のクロムウェルが円を組んでいた。対するユークレインはT28を中心として、菱形陣形でマウスやE-100を配置し、両側にシュトゥルムティーガーやヤークトパンタートヤークトティーガーを配置している。そして、さらにその周囲にT26E4を置くと言う陣形だった。
「おっと、ここでユークレインが発砲、チャレンジャー2両は撃破されてしまいましたぁ!!これは痛い!聖グロリアーナ女学院、これで、ユークレイン校の猛獣達を仕留める手立てを失ってしまいました!!聖グロリアーナ、行進が止まってしまいました」
カミラがあぁ!と叫び、的確な例えを用いで場の雰囲気を伝えていく。グロリアーナの包囲網が止まると、T26E4はそれぞれが好きな目標に狙いを定める。しかし、発砲数気配がないのだ。
「おやぁ?ユークレイン、なぜ砲撃を止めたのでしょうか?
今なら、射的の的を撃ち抜くよりも簡単に、グロリアーナの戦車達を排除できるはずですが・・・」
「彼女達は、警告をしたんですね」
「そうですね」
亜美としほが意見を言うと、カミラがふたりの方を向く。
「成る程、もう少し、詳しい解説をお願いできますか?」
「ええ。私が良いですか?」
カミラの質問に答えるように亜美が頷き、隣に座るしほを見る。しほは構いませんと頷く。
「現在、グロリアーナとユークレインの間が大体1.5kmあります」
「はい」
「そこで撃破したという事は、彼女達は『1.5km圏内に入ってくれば撃つ』と告げた訳です。しかし、逆を言い換えれば、1.5kmから入って来なければ攻撃しないという事です。
つまり、彼女達は聖グロリアーナは眼中に無いという訳です」
「成る程。しかし、そうなると聖グロリアーナにとっては大変な屈辱ですよね?」
カミラがしほを見る。
「ええ、彼女達も強豪校の一角。戦車道界では無名校だったユークレンのこの行為には黙っておけないはずしょう」
「おぉっと、ここでグロリアーナの方に動きがありました!!なんと、1両のクロムウェルが前進し残りは円を離脱して街に向かって行きましたぁ!!
これは、グロリアーナの意地の現れでしょうか?西住さん」
「そうですね。彼女達の意地とも言えますね。今は退却するが、我々は膝を屈した訳ではない。そう言えるでしょう」
「さすが、聖グロリアーナ!戦力を温存しつつも、その意地を見せ付ける為に1両のクロムウェルを突き出しました」
モニターにはミラコが乗っていたE-100が1両、陣を離れてクロムウェルと対峙する。クロムウェルの搭乗員はそれを見て、戦車から下りる。現在、ミラコに代わって本隊の指揮代行をしている剣道部副部長もそれをジッと眺め、搭乗員が退去するのを待ち、E-100の150mmでクロムウェルを砲撃し、撃破した。
「ユークレインの彼女は、戦車道を心得ているようですね」
亜美が感心したように頷いた。
「え~情報では、彼女は元々ユークレインの女子剣道部副部長だったようですが、臨時戦車部員として一連の戦いに参加したようです」
「成る程、元々武道の心得があったんですか。しかし、ユークレインを悪く言うつもりは無いんですが、やはり、ユークレインの戦車道は何処か、機械的と言うか、“勝ったモン勝ち”という印象を受けていたので、新鮮な気分ですね」
亜美の意見にしほも頷いた。
「戦車道は確かに、成り立ちから考えても犠牲と勝率に回ってしまいます。私が教える西住流もその気が強く、味方が落伍しても陣形を崩す事無くその穴を埋める様に指導しています。
しかし、家の次女、西住みほが、元来の西住流とは別の新しい道を開拓し、それを実戦で実施しています。身内贔屓に成るかもしれませんが、元西住流として、また新しい西住流として勝って欲しいものです」
「成る程。ありがとうございます。それでは一旦、CMを挟みます」
多分、みほは西住流から破門されたと思います
一応の区別と言うか決着みたいなのは付けておかねば成りませんからね
ですが、西住流から派生した別の西住流と言うか、新しい流派としてなら、母ちゃんも認めてくれると思います
と、言うか、それを願ってます
どうでもいいですが、WoTを始めました
チハたんが中国軍所属なのに納得がいかない、今日この頃 愛車はT57ですが、ヘッツァー出す為に、パンツァーイェーガーⅠをシコシコと操縦してます