とある不動のGMC   作:はち   .

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宣戦布告と今後の方針
GMCは喧嘩を売る


 私立ユークレイン高等学校、工業系高校だ。勿論、工業高校=馬鹿と言うイメージが強いが、此処は違う。校訓は

 

『工業高校は伊達じゃない』

 

 意味が分からないわ。何、新しいガンダムでも作る気なのかしらね?どうでも良いけど。この学校は、技術力があって、尚且つ頭も良い生徒を欲している。入学するのは容易いが、『技術もなければ、学力もない』生徒は2年に進級できない。

 土木作業や鉄鋼業に必要な全ての知識は勿論、技術、技量の腕を進級テストで確かめられる。技量がない生徒は筆記テストで90点以上とれば技術点が無くても進級出来るが、そんな奴はこの工業高校には殆ど居ない。まぁ、私は資格取るためだけにこの学校に来てるので、テストは全て筆記を選んだけども。

 そして、工業高校なので、『戦車って、ロマンやん?』的な空気もあり、整備は完璧なのだ。ギアは勿論、砲身からエンジン、クーラーまで全て完璧に修理しちまっている。足回りが鬼畜の所業と言うドイツ軍の重戦車シリーズもびっくりするぐらいの稼働率だ。

 

「いやぁ~凄い凄い。流石、ウチの学校きっての秀才だね」

 

 T28と2両のヤークトティーガーを我々ユークレイン校に与えられた待機所まで運転して来ると、我が校の生徒会長イザールがパチパチと手を叩いてた。奴は男の為に戦車部には入れない。

 

「ほら、勝ったんだからこれで戦車部は存続よ」

「うん、そうなんだけどね」

 

 うわ、なんか嫌な予感。

 

「君達、あの聖グロリアーナに圧勝しちゃったじゃない?()()()()()()()

「そうね」

「ちょっと、名前売るために、もうひと働きしてよ?」

 

 イザールがニッコリと笑う。此奴は、何を考えているのかわからないから嫌な奴なんだよなぁ…

 

「嫌、と言ったら?」

「ふふん?

 賢い君なら、()()()だろう?」

「でも、私が「君、随分、部費を()()()に使ってるみたいだよねぇ~」

 

 糞、偽装は確りしたはずだが、やっぱり誤魔化せんかったか・・・

 

「まぁ、書類上では何等おかしな点は見付かってないから、君の行いを摘発するのは出来ないけど、ねぇ?」

 

 本当に、嫌な奴だ。戦車で踏み潰してやろうかしら?

 

「オーライ、糞ッタレ。ニコニコしやがって。良いわ、次は何処よ?何と戦うつもり?」

「話が早くて助かるよ。サンダースあたりを想定しているよ」

 

 サンダース・・・ああ、あのクソデッカイ金持ち校か。

 

「ロー!サンダースってどんな学校なの?」

「サンダースですか?サンダースは一言で言えば、アメリカンですね。

 物量でローラーを仕掛けてきますよ。まぁ、サンダースの隊長は正々堂々が好きみたいですから、こっちが()()()()行くなら、苦戦は必須ですよ」

 

 ローが観客席を指差す。観客席にはほかの高校の制服を着た生徒達が見えた。

 

「どこの学校?」

「右から、黒森峰、大洗、プラウダ、サンダースにアンツェオです」

 

 プラウダはなんか、スゲー校則キッチーらしいって話しか知らな。有名なのかしら?

 

「強いの?」

「当たり前です!!

 黒森峰は大会9連覇!ドイツ軍戦車を揃えてて、かなり手ごわいですし、プラウダもソ連が世界に誇るキング・オブ・中戦車T34やKV2、IS2といった重戦車で前年度大会優勝者の黒森峰を破り、サンダースは先ほど説明したとおりです。アンツェオもイタリア人魂爆発で非常に強い学校です」

「大洗は?」

「新参ですが、強豪校を全部撃破してますよ。

 多分、どこの学校よりも()()はずです」

 

 ウッヘ~しかも、全校こっちに向かって来てるしよぉ~

 

「オーキードーキー」

 

 面倒臭いったらありゃしない。ま、今回の作戦はかなり上手く行ったし、この作戦で行くか。

 

「やったろうじゃない。良いでしょう。

 イザール、アンタ、私のやり方には絶対に口出ししないって約束できる?」

「いいよ、諺でも『勝てば官軍』って言うし」

 

 OK、言質はとったぞ。あとは、こっちね。こっちが乗っても、あっちが乗らにゃ何の意味もねぇ。喧嘩ふっかけるのはあれだが、まぁ、良い。私は天才だ。喧嘩をふっかけるなんて、造作もない。

 

「貴女が、ウークレインの隊長さんですか?」

 

 そして、各校の面々が揃い、一人が私に話し掛けて来た。ショートカットで、少しおどおどして大洗制服を着ている。誰だ?

 

「Hey、人に名前聞く前に自分から名乗りなさいよ」

「あ、え、えっと、大洗高校の西住みほです。初めまして・・・」

 

 西住ってーと、なんかローが騒いでてた奴か。興味ないから半分以上聞き流してたけど。

 

「ふーん。私、よく知らないんだけどアンタの所強いんでしょ?

 そこの、黒森とか軍曹(サンダース)とか新聞(プラウダ)とかイタリー(アンツェオ)破ったって話だし」

 

 そうよね?と脇で感激しているローを小突きつつ確認する。ローは慌ててはいと頷く。

 

「あれは、皆のお陰です」

「あ、そう。それで、アンタ達は何の用?」

「お前の所の会長が態々見に来いって言ったから来てやったんでしょうが!!」

 

 そこに、ミニマムを肩車したboobsがやって来た。確か、プラウダだったか?

 

「誰?」

「ぷ、プラウダ校の地吹雪のカチューシャにブリザードのノンナですよ!!知らないんですか!!!」

 

 ローがウヒョーっと私の腕を引っ張る。ウザイのでゲンコツ一発。

 知るかよ、そんな中二病みてーな名前の奴等・・・

 

「まぁ、何でも良いけど、なんで肩車してるわけ?」

「何アレ、チョー可愛いんですけど!!」

「なんで肩車してんだ?」

 

 そこに、ミーナとカナリスがやって来る。

 

「ちょっと、アンタ等向こう行ってなさい。アンタ等が来ると話がややこしくなるんだから」

「なによ、失礼ね」

「そうだぞ、ケッシーだぞ」

「本当に黙ってなさい。特にカナリス」

 

 二人にT28に戻るよう部長命令を出し、カタグルマーに向き直る。

 

「取り敢えず、ブリヂストンのリボンと地響きのノンノンだか知らないけど。以後、お見知りおきを。ほいで、そっちのビック・モローは?」

 

 後ろにいるフライトジャケットを羽織っているサンダース校の生徒を見る。

 

「私はケイよ」

「ケイ、ね。よろしく。次は、アンタん所に勝つから」

 

 言うと、全員が驚いた顔をする。そして、ハッハッハとケイが笑い出した。私、何かおかしい事言ったかしら?

 ローがバカじゃねーの!!と言う顔で私を見ている。失敬な奴ね。アンタより100倍、いや1000倍頭がいいわよ。

 

「悪いけど、こんなデブチンな戦車用意しても、私達は負けないわよ?」

「サンダースの戦車って何?」

 

 ローを見ると、えっとですねぇと携帯をいじり、私に差し出した。

 

「M4シャーマンシリーズです。

 二階建てと言われる程に背が高いですが、整備性、生産性に特化し、文字が読めないバカでも操縦出来る程優しい、合理主義な戦車ですよ」

「強いの?」

「何を持って、強い、と言うかにも依りますが、取り敢えず、ティーガーには勝てませんね」

 

 ローが黒森峰の方を見る。

 

「ウチの戦車は?」

「正面からガチンコでぶつかれば、逆立ちしたって負けませんよ」

 

 ローがサンダースの方を見ながら答える。ケイは苦笑して告げる。

 

「確かに、シャーマンじゃ、このオデブチンと正面から殴り合っても勝てないわ。

 でも、そこは戦術と経験でカバーするから、安心して」

 

 ケイが言うと、後ろに控えていた2人がフンと私を見る。

 

「ハッ!言ってろヤンキーが。

 取り敢えず、此処にいる全員に言っておくぞ。スポーツは汗と努力と友情ってジャンプみてーなモンじゃ勝てない。特に、この戦車道はそうだ。どんなに整備性が高かろうが、生産性が高かろうが、そんなこたァ、どうでも良い。はっきり言って、そんな物は、必要ない。

 戦車道に必要なのは、どんなに撃たれても穴が空かない厚い装甲とどんなに分厚い装甲でも穴を開ける火砲さえあれば、弾が尽きるまで、シャーマンだろうが、タイガーだろうがンなもん関係ない。黒森峰?プラウダ?サンダース?それがどうした?お前等が私と()()戦車部に勝つには、私と同じ戦車を用意しなくちゃ勝てやしねぇんだよ」

 

 ローが何か言いたそうな顔で私を見ているが、デコを指で弾いて私の後ろに。

 

「イィですかぁ?

 戦車道は、どれだけ重装甲、高火力の戦車を集めれるかで勝敗が決まるんですよ。とりわけ、ウチの学校は重戦車“しか”ない学校で。シャーマンがどう逆立ちしようと、正面装甲300mm、側面100mmの戦車には勝てないんですよ。

 イーですかぁ?

 ()()T28だけ、なら貴女達クソみてーに雑魚い()()()()でも、頑張れば、勝てるわけでよ。でも、残念ながら、私のT28には劣るけれども、貴女達のブリキ缶では撃ち抜けない重装甲な戦車がある。今回はたった2両しか持ってきてないけれども、あのヤークトティーガーなら10両以上あるし、あと、なんて言ったっけ?あの、のっぺりしててキモイの」

 

 脇で私を親の仇の様に睨み付けているローを見る。ローは知るか馬鹿という顔でそっぽ向いたので、仕方なく、黒森峰を見る。同じのを持って居た。

 

「ほら、黒森峰が市街地で使ったクソみてーにデッカイ奴よ、クソ見てーに遅いけど、バカみてーに強い、のっぺりしててキモイの」

「マウスの事を言ってるのか?」

 

 黒森峰の西住に似た奴がいう。

 

「そうそう、それ。つーか、アンタ、西住に似てるわね」

「みほは私の妹だ」

「マジで!?なんで姉妹揃ってそんなに性格違うのよ?まぁ、良いけど。

 取り敢えず、そのマウスだって、数えただけで10両近くあったし」

「正確に言えばすぐに動けるマウスが3両、要修理が4両、バラバラなのが2両の計9両です」

 

 ブスッとした顔のローが答えると、その場にいた全員が固まった。まぁ、そうでしょうね。私だって、見たときはビビったわよ。船の倉庫に入らないからって、陸地の学校所有地にバカのようにズラリと並んだ戦車を見た時は。しかも、地元じゃ結構有名な戦車博物館だったし。

 ちなみに、全部、卒業生達の卒業制作で作られた戦車だとか。他にもかなり色々な種類の『重戦車』が揃っていたわ。

 

「ま、マウスはそんだけしかないけど、黒森峰の重装甲部隊ならわんさかあるから。正直、えっと、何つったっけなぁ?ケーニヒスティーガー?キングタイガー?ロイヤルタイガー?取り敢えず、あれでサッカーのチームを4つ作れるって知った時は流石に頭が可笑しいと思ったわ。ブラフじゃないわよ?

 うちの学校、戦車作ってそれを売ってるの。戦車道をする学校に。所謂、供給校って奴ね。だから、戦車の整備も完璧に出来るわ。黒森峰にも何両か卸しているみたいだし」

 

 全員の顔が驚愕の顔から動いていない。どうやら、ショックが強すぎたようだ。もう一息ね。

 

「ま、別に今なら勝負を取り下げてあげるわよ?だって、貴女達の学校の持ってる戦車じゃ、どう頑張っても私達には勝てないものねぇ!!

 恥じる事はないわよ?幾ら強豪校とは言え、そもそも土台無理な話なのだから!歩兵が戦車に勝てないように、貴女達の戦車じゃ、私のT28やマウス、いえ、ティーガーにすら勝てないわよ。えっと、シャーマンだっけ?整備性と生産性が高くて、バカでも操縦出来る戦車。それが何十あろうと、私達には勝てないし。貴女達も、幾ら戦車道やってて強豪校だからって、負け戦に望むほど、大馬鹿じゃあるまいし、私も理解してるから、なあぁぁぁんにも心配しないで良いわ」

 

 そこまで言って、ケイの部下2人に黒森峰の副隊長みたいな奴、プラウダのカチューシャ、大洗の片眼鏡が前に出ようとして、それぞれの隊長に止められた。

 

「確かに、私達のシャーマンじゃ、貴女のT28でやりあっても勝てなさそうね」

 

 ケイが言うと二人が驚いた顔でケイを見る。ケイは不敵に笑って、私に人差し指を突き付けた。

 

「でもね!私達には経験とチームワークがあるわ!!

 どんなに厚い装甲と高火力を持っても弱点はあるの!!その顔、吠え面に変えてあげるわ!!!」

 

 よし!乗ったぞ!!!

 

「ックッハッハッハ!!!!

 やってみろ、ヤンキー共。予告するぞ。ヤンキーを倒したら、次はプラウダだ。そして、黒森峰に行く。大洗とアンツェオは()()()勝てないだろうから、戦わん。雑魚を釣ったところで、所詮雑魚だ、餌の無駄」

 

 言うとアンツェオの隊長と大洗の片眼鏡がまたモガーと騒ぎ出す。脇に居たおっとり巨乳と乗馬ズボンが二人を慌てて止めていた。此奴等はからかうと面白いな。乗せ易いか?

 

「まぁ、どうしてもって言うなら、大洗を指揮に黒森峰、プラウダ、サンダース、聖グロリアーナ、アンツェオが指揮下に入ればいいさ。

 西住みほ。君の指揮能力の高さはローから聞いている。強豪5校をあのボロい戦車で叩きのめしたのだ。我々に立ち向かう『蛮勇』があるのなら、掛かって来なさい。話は以上よ。私は先に戻ってるから、もし、やる気ならイザールに言って頂戴」

 

 T28に乗ると、車長席に居たミーナがカナリスに戦車を進めるよう告げる。そして、T28はドロドロとゆっくり進んでいった。その際、ちゃんと、強豪校達を見下す事も忘れない。ローは多分、平謝りの上にサインを強請るだろうから、置いておく。

 やれやれ。こんだけ喧嘩を売って買わないような奴は居ないはず。もし、買わなければ、本当に腰抜け、私みたいに、戦車道なんぞどうでも良いって奴よ。




超重量からの変更点は学園祭の内容をこっちに持って来た事と、学校の紹介に原作設定の捏造です

ユークレインの親はOO重工的な会社で、戦車道への戦車を作っている会社だと思ってくれて構いません
んで、トヨタとかが自分ち学校作ったような感じで、自分の会社に使える技術者を育成するために作った学校で、授業の一環で戦車も製造する感じです

戦車を売り買いするシステムが構築されているなら、製造するところもあり、企業もあるだろうという感じで
ユークレインとちょっと掛けました

当たり前ですが、そんな学校も企業も実在しませんよ

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