やはり一色いろはは先輩と同じ大学に通いたい。   作:さくたろう

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「着いたぞ、ここだ」

「へぇー、結構並んでるんですね」

 

 先輩お勧めのラーメン屋さんの前に着くと、お昼時ということもあってお客さんが列を作っていた。

 

「ここは何が美味しいんですか?」

「そうだな、ここはラーメンも美味いんだが、お勧めはつけ麺だ」

「つけ、麺……?」

 

 つけ麺とは……? あ、あの狩野○光さんがネタでやる? 

 えっと、どんなのなんだろう?

 

「お前……まさか、つけ麺知らないのか?」

「えっと……はい」

「お前は間違いなく人生の半分損してるぞ。つけ麺食べたことないとかありえないだろ」

「いや、さすがにそれは言い過ぎじゃないですかね?」

 

 そもそもラーメンだって滅多に食べないし……。

 というか、先輩の目が若干マジで怖い。

 あと顔近いです。嬉しいですけどちょっと今は無理ですごめんなさい。

 

「言い過ぎなもんか。まぁでもつけ麺初体験がこの店ならお前は幸せ者かもな」

「はぁ。そんなですか」

「まぁ食べてみればわかる」

 

 そこまで言われると、楽しみになってくるわけで。

 実際前に先輩と食べたラーメンも美味しかったですし。

 先輩がここまでいうってことは本当に美味しいんだろうなぁ。

 

「お、そろそろ俺たちの番だ。食券買うぞ」

「あ、はーい」

 

 まるで子供のように目を輝かせる先輩。

 いつもはどよーんと濁ってる目も、今はキラキラと……あ、やっぱり普通に濁ってる。わたしの勘違いだったね。

 販売機の前に一緒に並んで先輩と同じつけ麺を購入して店員さんにあらかじめ渡しておく。

 食券を買ってから少し待つと、カウンター席が空いたので二人で並んで座る。

 すると、ほとんど待たずに頼んでおいたつけ麺が二人の前に置かれた。

 

「へー、随分早いんですね?」

「つけ麺は元々時間がかかるからな。その対策として、待ってるあいだに食券を渡し、ある程度作っておくことで効率をよくしてるんだ」

「お店側もいろいろと工夫してるんですねー」

「このクラスの人気店にもなると、そうしないと上手くさばけないんだろっと、とりあえず食べようぜ」

「では、いただきます」

「の前に」

「はい? なんですか?」

 

 つけ麺を食べようとすると、先輩が急に割って入ってくる。

 なにか食べる前にすることとかあるのかな?

 

「お前、それつけたまま食べるのか?」

「え?」

「マスクとサングラス」

「あ……は、外します」

 

 さすがにマスクしたままはね? と、マスクを外して再びいただきますをする。

 

「サングラスはとらないのな……」

「細かいことはいいじゃないですかー」

「なんか気になるんだよ……」

「ハッ!? もしかしてそれはあれですか? 遠まわしにわたしの素顔を見たいってアプローチですかすみません今はどうしても先輩に素顔を見られたくないのでまた後日ということでお願いしますごめんなさい」

「だからなんで俺が振られたみたいな感じになっちゃってるわけ……」

「まあまあ、さー食べましょう! 冷めちゃいますよ!」

「お、おう……」

 

 と言っても、つけ麺の食べ方がいまいちよくわからないので、横目で先輩の食べる姿を見つめる。

 あ、普通に麺をこのスープにつければいいんですね。

 先輩を真似して麺をとろとろのスープにつけて一口。

 ……美味しい。え、なにこれ? 

 つるつる、そしてもちっとした麺がとろとろのスープにしっかりと絡まって、絶妙。

 鳥のチャーシューはしっとりとした食感で、これもまた美味しい。

 予想以上の美味しさにわたしは、初めてのつけ麺をあっという間に食べ終えた。

 

 

 

「どうだ、一色」

 

 お店を出ると、先輩が感想を求めてくる。

 

「あ、はい。……なんというか、凄い美味しいです」

「だろ? 他のも美味いんだぞここは。週一である味噌ラーメンとか月一の限定メニュー、あとは塩ラーメンだな」

「へー、食べてみたいですねそれは」

「絶対食ったほうがいいぞ」

「じゃあ、先輩、また連れてきてくださいね?」

「や、そこは別に一人で来ればいいだろ。もう店わかるんだし」

「えー、だって一人でこういうお店とか入りづらいじゃないですか」

「友達誘えばいいだろ」

 

 ぐぬぬ……あーいえばこういうとはまさにこのことですね……。

 遠まわしに先輩と行きたいって言ってるんですよ! 少しくらい察してください!

 

「とにかく、先輩はわたしにこのお店を紹介したんですから、一緒に付き合ってくださいよー」

「えー……じゃああれだ。模試で三崎に勝ったらな」

「ホントですか!?」

「おう……勝ったらだからな?」

「聞こえてますよ! その条件なら先輩の奢りでもいいですよねー?」

「まぁその時はな」

「そうと決まればのんびりはしてられませんね! すぐに戻って勉強会の続きしましょう」

 

 先輩の言葉に俄然やる気が上がるわたし。

 元々頑張ってたわけだけど、それプラス、先輩と一緒にご飯を食べるご褒美までついてくるならもう、ね?

 

「ほら、早く戻りますよ、先輩」

「わかった、わかったから袖引っ張らないで?」

 

 早く勉強しなくちゃと、わたしは先輩の袖を引っ張りながら足早に図書館を目指す。

 

 

   *   *   *

 

 

「お疲れ様でした、先輩」

「おう、お疲れ。随分頑張ったな。そんなにあそこのつけ麺気に入ったのか」

「まぁそういうことにしておいてください」

 

 つけ麺も美味しかったけど、わたしが本当に頑張ってる理由は先輩なんですよ? 本人にはまだ言えないけど。

 あれからみっちり勉強したわたしたち。

 まったりと会話をしながら片付けを始める。

 今日は先輩に教わったおかげもあっていつもより捗ったなぁ。ありがとうございますね、先輩。

 と、心の中で感謝をしつつ図書館をあとにする。

 それから先輩が駅までは送ってくれるというので、お言葉に甘えて駅まで一緒に帰ることになって。

 

「じゃあ、また塾でな」

「はい、今日はありがとうございました」

 

 駅まで送ってもらい、今日のお礼を告げて先輩とはお別れ。

 今日は本当に充実した一日だったなぁと今日の出来事を思い返しながらわたしは帰路についた。

 

 




なんかつけ麺SSになってたきがする。
すみませんすみません。
つけ麺ssですみません!
某つけ麺屋さんが好きすぎてすみません!
ということで明日、明後日はハメはお休みしてピクシブに短編あげます(`・ω・´)

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