――様といっしょ   作:御供のキツネ

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オリ主の善意は人のためではなく自分のため。という考え。


ケンシンさまといっしょ そのに

 上杉様と共に越後、春日山城に到着するとそのまま城内へと案内された。城門を守る兵士には怪訝な顔をされたがそれに関しては上杉様が二三何かを言うとすんなりと通れたので、これからもある程度であれば正面から訪問しても問題はないだろう。

 それに城下を通り過ぎる際にざっと見ただけではあるがなかなかの賑わいで、町全体が活気に溢れているのを感じられた。話を終えて時間を見つけてから視察をするにしても、越後も問題なく見て回れそうな気がする。

 まぁ、流石に甲斐でのように室生様に遭遇するようなことはないだろうし、他の戦国乙女の方が居るということもきっとないだろう。

 

「さて、人払いも済ませたし此処でなら安心して話が出来るわね。でも少し待って頂戴。お茶を持ってくるように頼んであるから」

 

 案内されるがままに歩くと上杉様の執務室へと通された。周囲に気配はなく、人払いは終わっているようだった。そしてその中で此方に向かってくる気配があるのでこれが上杉様の言ったお茶を持って来てくれている侍女のものなのだろう。

 それを大人しく待ちながら視線だけで周囲を伺えば大量の巻物が積んであり、書類仕事が貯まっていることが分かる。

 

「あぁ、それは今回の模擬合戦で必要な書類になるわ。前から大変だったのは大変だったけど、今回は上様にも念のために知らせる必要があるからそれについても纏めないといけないのよ。

 当然、私だけじゃなくてシンゲンもだけど……まぁ、書状として上様に送るわ」

 

「そういうことでしたか。ではその報告用の書状については俺が一度内容を確認させてもらってもよろしいですか?

 あの雑な漫才を見せられた後ですので念のために」

 

「別に誤魔化したりはしないわよ。でも、まぁ……あんなの見た後だと仕方ないわよね。良いわ、出来たら確認して頂戴」

 

「理解が早くて助かります」

 

「あんなことした私たちのせいだもの、当然よ」

 

 実際にあんなことを目の前でされなければ俺が確認する。なんてことはしなかっただろう。とはいえ上杉様も武田様も誤魔化すようなことをする人ではないのはわかっているので、本当であれば必要ない。

 お互いにそれが分かっているので特に空気が悪くなることもなく、単純に軽口を叩いているような感覚で言葉を交わせている。

 酔っ払っているのを軽く世話をしたり、模擬合戦についてツッコミを入れたりしていたせいかこうして軽口を叩けるようにはなったが、個人的にはそれに少しだけ驚いている。以前よりも人との距離が近くなっているような、そんな気がするのだ。

 

 ただこれはこれで良いのかもしれない。カシン様が良い方向に変わってきているように、他の戦国乙女の方々や俺も変わってきている。それはきっと泰平の世であるからこそなのだと思うと、感慨深くもある。

 感慨深くもあるのだが、ポンコツになる方々もいるのでそれはあまり良いこととは思えなかったりする。まぁ、それでも緊張状態が解けたのであれば仕方ないのかもしれない。何故なら、元からポンコツであったのならばどうしようもないからである。

 

「それにしても、結城の話だけど……人に聞かれたくなくて、私にどうしても協力して欲しい。なんて言うんだからきっと封印の塔について聞きたいのかしらね」

 

「察しが良くて助かります。上杉様にとっては話したくない、協力したくない。と思うかもしれませんので、先に協力すると確約させてもらいました。本来であれば手順が逆ですし、少々卑怯なやり方ではありますが……そうまでして協力を願いたかった。ということです」

 

「そうね……封印の塔に関してはあまり話したくないわね……」

 

「申し訳ありませんが、上杉様の協力が必要ですので手段を選んではいられませんでした」

 

「はぁ……そういうところは前と変わりないのね」

 

 やれやれ、という風にため息をついた上杉様はそのまま何かを考えるように目を閉じて微動だにしなくなった。であれば俺も同じく黙るのが道理だろう。きっと本当に協力するべきか否かを考えてくれているのだろうから。

 まぁ、これでどうしても話せないと断られるようなことがあれば自力で探すだけなのだが。とりあえず動かせる部下を使って虱潰しに探させるのが良いだろう。封印の塔の守護者である上杉様が越後に居城を構えてることを考えれば、越後を中心に探せばそう厄介な探し物ではないはずだ。

 ただ心配なのは結界で近づけない、気づけないとなっている場合は部下の忍ではどうしようもないので俺が動くか、カシン様や徳川様に協力を求めなければならない。徳川様は二つ返事で協力してくれるかもしれないが、カシン様はどうだろう。協力してくれるにしてもあれこれと条件をつけられそうなのが難点だ。いや、単純に協力してくれない可能性の方が高いか。

 

 そうしてお互いに沈黙しているとお茶を持った侍女が部屋に入ってきた。その侍女は俺と上杉様の前にお茶を置くと一礼して退室し、そのまま遠ざかっていった。気配を知覚するまでもなく、この部屋の中には俺と上杉様、そして周囲には誰も居ない状況となった。

 そのまま暫く黙ってお茶にも手をつけない状態となっていたが、すっと上杉様が目を開き、俺を見た。

 

「さて、もう話しても大丈夫でしょう。

 まずは話を聞くわ。それから判断させて頂戴。本当に、封印の塔について話しても良いのかはそれから判断するわ」

 

「そうですね……まずは何から話しましょうか。

 榛名について知っている理由は上杉様ならもう既に察しが付いているとは思いますが」

 

「カシン居士に聞いた。というところでしょうね」

 

「はい、カシン様から話を聞いています。それ以外にも徳川様や斉藤様からも少し聞いていますが……」

 

「……待って、ムラサメから?」

 

「ええ。斉藤様も榛名を探しているらしく、俺がカシン様から話を聞いていることを前提に何か情報を引き出せれば、もしくはその話をして俺が集めた情報を奪い取れれば、と考えてのことだそうです。

 ただ、斉藤様というよりもその背後にいる毛利輝元様がそうさせた、という可能性もあります。毛利輝元様は非常に裏のある方ですので」

 

 裏があると言うか、腹の中が真っ黒と言うか。とにかく毛利様の話を聞いて、そして俺自身が以前から感じていることを加味すれば現在最も警戒しておかなければならない相手が毛利輝元様だ。

 

「そして毛利様とお会いした際に話をしたのですが、どうにも毛利輝元様は榛名を用いて良からぬことを企んでいるようです。ヨシテル様が築き上げたこの泰平の世を乱すような、個人的には看過できないようなことを」

 

「あ、あの、結城?その、目が怖いわよ?」

 

「失礼しました。ですがそうなるのも仕方ありませんよ。上杉様も、この泰平の世を乱すような輩を許してはおけないでしょう?」

 

「え、えぇ……確かにそうね……」

 

 許されないことだと、そう思ったので上杉様に同意を求めてみたのだが何故か表情が引き攣っている。何かあったのか、俺にはわからないがとりあえず同意してもらえたのだからきっと力を貸してくれるのではないか、と思ってしまう。

 

「……なんて言えば良いのか……とりあえず、力を貸すべきだということはわかったわ。

 とはいえ、私に出来ることなんて封印の塔についての情報を提供するくらいでしょうけど」

 

「そうですね……場合によっては斉藤様の足止めでもお願いしようかと思いましたが……」

 

「それは状況による、ってところでしょうね。その毛利輝元が何を考えているのかわからないけど、誰にも気づかれずに動けている状態ではないのよね?それなら事情を知っていそうな相手にはそれなりの妨害でもしてきそうだけど」

 

「毛利輝元様の戦力がどれほどのものかわかりませんが……もっとも警戒すべきは斉藤様でしょうね。

 もしくは……榛名を手にした場合の毛利輝元様本人」

 

 榛名がどういった代物なのか知っていれば、本来戦うだけの力がない毛利輝元様でさえどれほどの存在になるか想像するのも嫌になる。戦国乙女と同等の力を得るのか、それ以上の力を得るのか。きっと後者になるのだろう。

 ただ、そうだとしてもあの毛利輝元様であるのならば付け入る隙は充分にあると思う。戦場に出る武官ではなく執政などに関わる文官である以上、どれほどの力を得ようとも戦い方を知らないのだから。

 

「確かに榛名の力を使えばそうかもしれないわね……何にしろ、此方から動けるとしたら封印の塔の守りを固めるくらいじゃないかしら」

 

「守りを固める、ですか……封印の塔の周囲に結界を張っていたりはしないんですか?」

 

「結界は張ってあるわ。見つかり難く、近寄れないようにね。

 でも……その結界を突破できそうな人間は何人かいるわ。力技で壊せそうなのが二人。術で突破できそうなのが二人。むしろ突破出来ない方がおかしく思えるのが二人」

 

「あぁ、力技で結界を壊しそうなのは織田様に室生様、呪術や魔法を用いて突破しそうなのがカシン様に徳川様ですね」

 

 名前を出してみれば納得である。織田様も室生様も結界があったとして壊れるまで斬れば良いとか普通にやりそうで困る。非情ノ大剣も極王斬も単純な威力を考えれば生半可な結界ではまず防げない。それに室生様の場合はそれ以外にも何か手と言うか必殺技くらい隠し持っているかもしれない。

 そして、カシン様と徳川様であれば力技など必要なくすんなりと結界を解除してしまいそうだ。特にカシン様の場合は徳川様以上にそういった事柄に秀でており、更に慣れている。

 

「その通りよ。後は上様と結城ね」

 

「ヨシテル様はわかりますが……俺ですか?」

 

「ええ、上様の鬼丸国綱とあの剣術の腕前があれば結界を斬り裂くなんてのは容易いことじゃないかしらね。

 それに結城の場合は色々と規格外の忍術が使えるんだもの。なんだかんだで、結界くらい解除出来そうだわ」

 

「それは買い被りすぎだと思いますけどね……何でも出来るわけではありませんし」

 

「何でも出来そうだから言ってるのよ。貴方が上様の忍でなければすぐにでもスカウトしたいくらいには優秀で、頼りになるんだもの」

 

 最近思うのだが、どうにも周りからの評価が不相応に高い気がする。ただ義昭様に言わせると俺は自己評価が低いとのことだったが……俺はそんな大層な人間ではないと思うのだが、どうしてこうなった。

 

「まぁ、良いわ。一応後で地図を使って場所は教えてあげる。頭に叩き込んでおいて」

 

「わかりました。後ほど確認させていただきます」

 

「後は……結界についてはそっちでどうにかしてもらうとして、場所も教える。そうなるとこれ以上私が教えられることはないわね。

 言えることがあるとすれば……榛名を納めている封印の間、その扉にも封印が施されているから、それをどうにかしなければならない。ってくらいかしら」

 

「そちらは上杉様の私見では解くのは難しそうですか?」

 

「塔に近寄られたとしてもその封印を解けなければ意味がない。ってこともあって相当に厳重な封印が施されてるわ。周囲の結界を解除するよりも大変だと思うけど……まぁ、今回はその毛利輝元が榛名を手にすることを阻止するのが目的なんだから、問題はないわね」

 

「そうですね……現状、毛利輝元様と斉藤様をどうにか出来れば良いのでその扉の封印に関しては触れないようにしておきましょう。うっかりで封印を解いてそれを横から掻っ攫われても困りますから」

 

「賢明な判断。って言いたいけど、うっかりでそんなことになるものかしら?」

 

「……どうしてでしょうか、上杉様のその声でうっかりなんてことがあるのか、と聞かれると酷く違和感がありますね……」

 

 具体的に言うならば、うっかりで失敗などをする家系の人間にうっかりなんてない。と断言されたような、そんな気分だ。それにしても上杉様の声で言われたというだけでそんな感覚に陥るというのはどうしてだろうか。

 いや、今はそんなことはどうでも良い。ちゃんと話をしておかなければならない。

 

「まぁ、それは置いておくとして。封印の塔に関してですが、他に何か頭に入れておく必要がある。というようなことはありますか?」

 

「んー……特にはないわね……大掛かりな仕掛けがあるわけじゃなくて、塔の周囲に結界が張ってあることと榛名を納めている封印の間の扉に厳重な封印が施されている。ってこと以外だと私から言えることは特にないのよね。

 本来なら封印の塔の守人としては誰も近寄らせたくはないし、近寄るなんてことはありえない話なのよ。だからそれ以外に私の一族が何か仕掛けていたり、万が一の為の仕掛けなんてものはないわ」

 

「わかりました。ではそれ以外には注意すべきことはないということですね」

 

「……いえ、違うわね。まだ少しだけあるわ」

 

「と、言いますと?」

 

「封印の塔には榛名の他にも卑弥呼の使っていた鏡の一枚が封印されているわ」

 

 卑弥呼の使っていた鏡と言うと、八咫鏡のことだろうか。それなら確か、一枚は二条御所の地下で鬼神と負の気を封印するために用いられている。まぁ、松永様の反乱だったり、どこぞのカシン様のせいで鏡を守る結界が劣化するわ、突破されそうになるわで大変だったのを覚えている。

 その企みに気づけたので最悪の事態に陥る前に結界を守ることが出来て、更には新たに結界を張ることで事なきを得た。それにしても何かを守るための結界を更に守るために動くというのは、聊か可笑しな話だと思う。

 

「二条御所の地下にもありますね。確か全部で三枚あると聞いたことがありますが……」

 

「ええ、それで間違いないわ。最後の一枚に関しては私は何も知らないわね。上様……は知らないかもしれないけど、カシンなら何か知っているんじゃないかしら?」

 

「……知っていれば前の時に利用していそうな気はしますが……何にせよ、知っていても教えてはくれないでしょうね。あの方は重要なことほど隠しますし、聞いたところで惚けますから。

 それでも、それがカシン様らしいので無理には聞きません。ただ……他の方と話をするにしてもそうした態度ですので、どうにも険悪な雰囲気になってしまうのが難点ですね……」

 

「はぁ……困った相手ね……」

 

「ええ、良いように振り回されることばかりですよ」

 

 本当にあの方には困ったものだ。とはいえ、あれでもだいぶマシになっているし、もう暫くすればもっと落ち着いてくれると信じている。まぁ、今よりもマシになって落ち着いたとしても皮肉家なところや人を煽る癖はきっと抜け切らないのだろうけれども。

 

「貴方も大変ね……ところで、何で結城はカシンのことを其処まで気にかけているのか聞いても良いのかしら」

 

「別に構いませんよ。気にかけているのは、まぁ……俺がカシン様を生かす選択を押し通したので気にかけているのは当然のこと、という程度ですから。

 あれですよ、これでも報われず救われない人ほど幸せになった姿が見たかったりしますので。それに善意なんてものは相手のことを思って、というよりも自分がそうしたいと押し付けるものなので」

 

「確かにそうかもしれないけど……臆面もなくそういうことを口にするのはどうかと思うわよ。

 それにしても……思ったよりも冷たい回答ね。もっと情が湧いていたりするのかと思ったんだけど」

 

「情は湧いてますよ。遠慮なく好き勝手言える相手ですし、どちらかと言えば好きですし。でも、まぁ……カシン様のことを思って、とか言うと絶対に機嫌が悪くなりますのでこれで良いんですよ」

 

「……そうした言葉を聞くと、もしかすると貴方が一番カシンのことを理解しているのかもしれない。なんて思えるわね。いえ、事実としてそうなんでしょうけど」

 

 まるで仕方ないとでも言うような、それでいて何処か微笑ましいものを見るような。何とも言えない笑みを微かに浮かべてそう言った上杉様。その様子を見る限りでは、カシン様へ向ける感情は他の方よりは幾分か悪くないものなのかもしれない。と思ってしまった。

 まぁ、実際はどうなのかわからないし、俺の返答を聞いて少しだけマシになった。という程度のものかもしれないのだが。

 

「それと、カシン様の為を思ってそうしています。なんて恩着せがましいことはしたくありませんからね。俺が勝手に行動して、勝手に善意を押し付けて、カシン様が忌々しそうにしながら変わっていけばそれで良いんです」

 

「基本貴方って上様の為に動いてるけど、時々そうして別の人の為に動くのね。貴方の言い方をそのまま使うなら、善意を押し付けているだけなのかもしれないけど」

 

「ヨシテル様の忍びですので。他の方に対しては気分ですよ、気分」

 

「その気分でしてる善意の押し付けに、助けられた人も結構いそうね」

 

 どうしてか、上杉様はとても優しいような生暖かいような、そんな目で俺を見てくる。目は口ほどに物を言うなんて言葉があるのだが、この目は「なんだかんだで良い人よね、貴方は」とでも言いたげな目だ。

 多分これは正解だと思う。話の流れとか、上杉様の俺に対する印象だったり、とにかくそういったものから考えるとこれくらいしか出て来ない。

 

「上杉様、その生暖かい目を止めていただけますか」

 

「あら、ごめんなさいね。貴方の言葉を聞いて、少し気分が良くなったせいね、きっと」

 

「気分が良くなった、ですか?」

 

「ええ。少し捻くれているようで、遠慮とかしないで好き勝手言ってるのにそんな相手のことを思って何か出来る。そういう人ってどれくらい居るのかしらね。それも損得勘定を抜きにして。

 貴方の場合はこういうことに関して損得で動いていないでしょうし、そういうところを見れてなんだか嬉しいような、温かい気持ちになれたような、とにかく良い気分だわ」

 

「別に俺は少し捻くれている、なんてことはありませんが……」

 

「こういうのを何て言うんだったかしら……」

 

「いや、聞いてくださいよ」

 

 完全に俺の言葉が聞こえていないようで何かを思い出そうとして何かをぶつぶつと呟きながら考え込んでしまった。多分特定の言葉を何とか記憶の中から呼び覚まそうとしているのだろうが、人が目の前に居る場合はそういうのは控えて欲しい。

 上杉様から話を聞くために此処に居るのにその話はほとんど終わっているし、何か他の話をしようにもその相手がこれでは、完全に手持ち無沙汰になってしまった。

 だからどうか早く思考の海から上がってきてください上杉様。

 

「…………思い出したわ!」

 

「やっと戻ってきましたか。それで、何を思い出したんですか?」

 

「貴方みたいに少し捻くれてて素直じゃないちょっとツンとしてる人が善意の押し付けなんて言いながら誰かの為に何かするとか、優しくするのをデレるって言うらしいわよ?」

 

「何変なこと言ってるんですか上杉様」

 

「そして、そういう人のことをツンデレって言うのよ。シンゲンから聞いたわ!」

 

「何変なこと吹き込んでるんですかあの方は」

 

 というかツンデレは俺じゃなくて上杉様だと思う。ツンとするのもデレるのも武田様だが。

 

「つまり結城はツンデレってやつなのよ。ちょっと引っかかる物があってすっきりしなかったけど、これですっきり出来たわ」

 

「意味のわからないことを言わないでください。それにツンデレと言うのなら……いえ、なんでもありません。これは言わぬが華ですね」

 

 ツンデレは上杉様ですよ。とか言ったとしても絶対に否定されるし、変に機嫌を損ねるようなことはしたくない。

 

「あら、何か言いたいことでもあるのかしら?」

 

「いえ、お気になさらずに。気のせいでしたので」

 

「気のせいって……まぁ、良いわ。胸のつっかえが取れてすっきりした気分で、今日はとても上機嫌ってところだもの」

 

「そうですか……それは何よりです」

 

 微妙に、そう。微妙にだがポンコツ化の症状が出てきている。

 数日前まではそんなことはなかったというのに……これは徐々にポンコツ化が進んでいて、目に見える形で症状が出てきた。ということで良いのだろうか。もしそうならまだ大丈夫な方も同じようにポンコツになるということになってしまう。

 なんだろう、それは平和だからこそと思えばまだマシかもしれないが厄介と言うか、面倒と言うか。個人的には遠慮願いたい状態になってしまいそうだ。

 そんなくだらない考えを頭の中で無為に組み立てながら、目の前でとても機嫌が良さそうにしている上杉様に勘付かれないようにため息を一つ漏らすのであった。




初代のケンシン様の滝行後の萌えカットインがヤバイ。
最近は可愛い系が多いけど、初期は本当にエロめなのが多かった気がする。

花が導入されるよ!萌えカットインがいつものと違って色んなイラストレーターさんが手がけてるよ!違和感しかないなおい。
打ってる間に慣れる、かな?

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