東方日常記   作:ぬんちゃくティッシュ

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☆東方projectの二次、はたまた三次創作です


東方桃源郷

昔々、あるところに、山奥にポツンと建ってる家に紫お爺さんと幽々子お婆さんが住んでいました。

 

「ちょっと!お婆さんならまだ分かるけどお爺さんって何よ!普段BBAって言われてる事に便乗して良いことと悪いことが…!」

 

放っときましょう。とにかく、二人はとても幸せに暮らしていましたが、昔から子供ができず、何か味気ない暮らしが歯に引っ掛かっていました。

そんなある日、お爺さんは柴刈りばかりでは飽きたと言い出し、たまにはお婆さんと交代じゃ!とか言って、お婆さんから半ば強引に洗濯板と桶を奪い、鎌を渡して出ていきました。

 

「全く…お爺さんったら。まぁ行っちゃったものは仕方ないから、柴刈りに行こうかしらね」

 

お婆さんはお爺さんに渡された鎌を片手に山へ柴刈りに向かいました。

一方、川の方ではお爺さんがせっせと洗濯に励んでいました。

 

「………。何も来ないの?ここで大きな桃がどんぶらこ~どんぶらこ~って来るんじゃないの?」

 

メタいですよ、お爺さん。残念ながら川上から流れてくるのは水と落ち葉ぐらいで大きな桃が流れてくるなどあるわけがない。だってここは幻想郷だもの。常識に囚われてはいけないのですよ。

一方お婆さんは鎌を持った瞬間に人が変わるかのような豹変ぶりを見せて、あくまで柴刈りを目的に鎌を振り回していました。死神でもしないことを坦々とこなします。さすがお婆さんですね。死んでから長いので恐怖が衰えてますね。

 

「ふふふふ…。こうやって鎌を振るって楽しいわね。刃が過ぎるとそこには断面が残る…たまんないわぁ!」

 

どうやらお婆さんは新しい趣味が出来たようです、めでたしめでたし…。

 

「…ん?何あれ」

 

ちょっと遠くにうっすらと見える物を、お婆さんは鎌を振り回してる最中でも見逃しませんでした。それもそのはず、うっすらと見えたものとは淡いピンク色のやや三角でお尻みたいな感じ…それも結構大きな…。

 

「ももぉーーーーー!!!!!」

 

その桃に食らいつくお婆さんはまるで餓鬼のようでした。良い子は想像してしまわないように…。

桃にかぶりついたお婆さんは一心不乱に周りには目もくれず、まっすぐな目をしていました。現代の人にはこれが重要ですね!

そうこう食べ進めていくと、何か固いものに当たり、赤い汁が出てきました。なんと、桃の中には少女が一人入っていたのです!…けど出た瞬間お婆さんに頭を噛みつかれ命の危機に貧してしまい、お婆さんはあわてて家に帰り看病しました。半分命を取り留めましたが、半分死んでしまったので半人半霊として生きていくことになりました、めでたしめでたし…ではないですね。

このままでは可愛そうだとお爺さんが言うので、お婆さんの古くから伝わる霊媒力で半人半霊を全人へと覚醒させました。霊力ってすげぇ。

人間として生きていくとことを決めた少女は桃から生まれた…と言うことで魔理沙と名付けられました。桃と半人半霊は一切関係ございません。

名をもらって、子がいなかったお爺さんお婆さんには我が子のように育てられ、立派に育ったときには魔法使いになっていました。老人二人は剣士に育てようと思ったらしいのだが、どこで歯車が狂ったか分かりません。ですが、強ち応援してくださるそうです。

そんな平和に魔法の研究をしつつ老夫婦と暮らしていましたが、人里の方で鬼が暴れて金銀財宝を奪われたと言う話があり、それを耳にした魔理沙は七割がた欲で鬼ヶ島へ鬼退治に行くことを決意。老夫婦は快く引き受けてくれたそうです。

…そして出発の日。

 

「それでは、お爺さん、お婆さん、行ってくるZE!」

 

しっかりと準備をし、八卦炉も三つ常駐で箒も強化魔法がかけられて、文句なしの(?)鬼退治のスタイルですね。

 

「待ちなさい魔理沙。これを持っていきなさい」

 

お婆さんからある小袋巾着をもらった。

 

「これはなんだぜ?」

 

「これはきびだんごよ。もし途中でお腹がすいたら食べなさい。…でも」

 

「やったぜ!お婆さんのきびだんごだぁ!」

 

お婆さんの声を遮って小袋を開けてみると…何も入ってませんでした。

 

「でも、あまりにもお腹が空いたものだから食べちゃった!てへ♪」

 

…………。

お婆さんは頭に70個ほどのたんこぶを作り倒れてる中、きびだんごはなくなったけど、魔理沙が採ってきていたキノコを持っていけとお爺さんが言うので、仕方なくキノコを持って歩き始めました。

 

「はぁ~、キノコは魔法の研究に使おうと思ってたのにな」

 

魔理沙は結構渋々と言いながら鬼ヶ島へ出る船がある船着き場に向かっていました。その道中の事です。道を塞ぐかのように居座っている霊夢キジと咲夜サルと妖夢犬とアリスカラスが居るではありませんか。そこで魔理沙は本当は嫌なのだが、一人では心細すぎるので、渋々とキノコを差し出し…。

 

「このキノコをあげるから仲間になってくれだぜ!」

 

と言い、返事を求めました。まずキジは…。

 

「むしゃむしゃ…。人に物を頼むときには出さないとならん物があるよな?」

 

…と言い、あげたキノコを完食した上で賽銭を求めてきました。サルは…。

 

「やっぱり…生じゃなくてむしゃむしゃ、七輪とかで焼いたりむしゃむしゃ、和風の出汁を染み込ませて…」

 

生でキノコを渡してきたことが気に入らなかったのかケチをつけながら調理法を考えていました。犬は…。

 

「これは忝ない!いただきます、はむ……!!」

 

『バタン…』

 

何一つ文句を言わず食べてくれた犬は倒れてしまいました。

 

「あ…このキノコは毒キノコだ…。渡すの間違えたぜ…」

 

泡を吹いて倒れている犬はまぁ置いておいて、カラスは…。

 

「魔理沙っと一緒ならどこまでも付いていくわ!!」

 

…こいつは置いていこうかな?とにかくこれで、一応全員揃い、鬼ヶ島へ!!

船着き場に着いたまでは良かったけど、港から出る船は1便しかなく、しかもその船頭さんはサボり癖が激しい物で、なかなか船がでないと言う状況に陥ってしまいました。

 

「んー?船ぇ?ちょお待っときて。昼寝が終わったら出してやるさ」

 

朱髪を両上に結んでいる巨乳の船頭さんはそう言い残し寝てしまいました。

 

「困ったぜ。これじゃ鬼を退治してお宝をがっぽ…じゃなくて!人里の平和は脅かされる一方だぜ」

 

完全に足が止まってしまい、悩んでいた魔理沙一行の横をスッと杓みたいなのを持った緑髪の小さな子が通っていき、寝ている船頭さんの近くまでやって来ました。

 

「なんだあの子は?」

 

「全く…目を離すとすぐ寝るんですから…起きなさい!小町!」

 

小さな子が突如大きな声を出し、寝ていた船頭さんを起こしました。なんとありがたい。

 

「ひぃや!!あ、映姫さん…やだな…寝てなんか…」

 

「お黙りなさい。あなたはそうやって仕事もせず寝てばっかりでバレたら無理な隠蔽で隠そうとし、お客様がいらっしゃると言うのに分かっておきながら寝てスルーしようとするなど言語道断です!大体あなたの船便が少ないのはあなたが寝ているからなのですよ?一日一本の船をサボるから通らなくって足止め食らっている方も居られるのにあなたと言う人は…」

 

あれ…この説教は長々と続くのかな?この小さい子…可愛らしい見た目をしてすごく恐ろしく説教マニア…。

結局、その日の船便は欠便し、船頭さんが寝てても起きても変わらない結果となってしまいました。どうやら説教は日が再び昇る頃まで続いたらしく、旅館で一泊し魔理沙が船に乗った時には船頭さんはやつれていました。

 

 

「ついに来たぜ、鬼ヶ島!」

 

長い長い道のりを経て、遂に辿り着いた鬼ヶ島。長い長い道のりになってしまったのは船頭さんと映姫さん(船着き場のトップの管理人らしい)のせいである事は無い胸にしまって起きましょう。

 

「うp主終わったら覚えてなさいよ?」

 

空耳です。とにかく、到着した御一行は先に進むことにしました。すると…。

 

「ようようよう!ここは鬼ヶ島、鬼が住むところだ!あんたらのような人間…と動物複数で来る所じゃない、とっとと帰んな!」

 

現れたのは勇儀赤鬼でした。その研ぎ澄まされたボンキュッボン!となる身体が眩し…。

 

「「うおおおぉぉぉぉ!!」」

 

魔理沙たちは本気を出した!!

……………。

 

「うぅ…酷いよ。あたしが何したってんだい?」

 

一行は赤鬼を倒し、更に奥に進みました。

 

「待て待て待てぇーい!」

 

また一人、鬼が現れました。

 

「ここあら先にすうみたえればぁ…あだじをだおじていぐんだなぁ!」

 

ずいぶんベロンベロンに酔っ払った小さな萃香青鬼でした。その研ぎ澄まされたポン…キュ…ポンとなる身体が眩し…。

 

「…」

 

一行はとても優しい笑顔で見守りました。

 

「うおおおぉぉぉぉおおおお!!!!(怒)」

 

青鬼は本気を出した!

……………………。

 

「うぅ……酷いよ。わたぢ一体何をじたっで言うんだ…」

 

更に奥へ進むと、大きくてとても頑丈そうな鉄の扉がありました。取っ手がないため声で反応するものだと魔理沙は考えました。

 

「開けーゴマ…」

 

『ゴゴゴ…』

 

鉄の扉はゆっくり音をたてて開きました。

 

「…和えは美味しいな」

 

扉がピタッと止まってしまいました。

 

「あはははは、引っ掛かったぜ!」

 

とりあえず途中まで開いたので動物たちはササっと中に入り、魔理沙が最後に…。

 

「そんな急がな…いだだだだだだだだ!!!!」

 

魔理沙が入るときだけ扉が閉まってきました。どうやらからかっていたことを怒っているようです。さて気を取り直して先へ進むと…。

 

「おぉぉぉぉぉぉ!」

 

そこには見る目を疑う、超大量の金銀財宝が置かれていました。

 

「うおおおおおお!この財宝は私の物よ!!」

 

魔理沙より早くキジが反応し、お宝の独占権を主張してきました。

 

「待て!その金銀財宝は私の…じゃなくて!人里のみんなに返すんだ!」

 

本心に思っていないことを魔理沙は必死に並べ、キジを止めようとするが…。

 

『ドゴーン!』

 

本気を出したキジに一蹴されました。

 

「おぉ良いぞー!もっとやれー!」

 

「もっと迫力を出せー!」

 

さっきの赤鬼と青鬼が酒を飲みながら野次っていました。

 

「あんたらも手伝えよ!キジをこのままにすると鬼ヶ島は壊滅するぞ!」

 

魔理沙が財宝欲しさに必死に鬼へ救援をうまく要請しました。その結果…。

 

「それはマズイ!行くぞ青鬼!」

 

「おう赤鬼!」

 

壊滅するぞという言葉に慌てた鬼二人は、魔理沙たちと共にキジに突っ込みました!

 

『ドゴーン!』

 

やはり本気を出したキジに一蹴されました。もうもはや金欲の化身と化したキジは誰にも止められません!もう誰もが諦めかけたそのとき…天から一点の光がキジを照らし出しました。

 

「う…ウワアアアア!」

 

その光をたどって出てきたのは、髪が緑色の長髪で上に白、下に青を穿いた女性を中心に帽子を被った女の子と、全身赤い服に背中に大きな縄を背負った女性が降臨してきて、謎めいた、かつ神々しい舞い、その名も『守矢ステップ』が披露されました!これは…奇跡!?キジの悪が浄化されていき、鬼ヶ島に平和が戻ったとさ。めでたしめでたし。

 

絶望にうちひしがれて、友にも頼れない、もうだめだ…諦めよう…そんなとき、一番あなたを後押ししてくれるのは…

 

         『奇跡』

 

 

皆さんも、ぜひ守矢神社にご入信下さい!

 

 

 

「…はい、皆さん分かりましたか?どんなに絶望的でも皆さんを裏切らないのが奇跡です!さぁ皆さんも奇跡を目の当たりにしませんか!?」

 

「はい、以上で本日の寺子屋の特別講師の東風谷早苗でしたーありがとうございました」

 

「ちょ…慧音さん!まだ話は終わってな…」

 

「ありがとうございまし…た!!」

 

「あ…はい…ありがとうございました~失礼しまーす」

 

こうしてまた今日も守矢の布教は行われている。

 

                終わり

 


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