語りの文はかなり少ないので、動作はイメージしてください。ほぼセリフと言う構成となっちゃってます。
───守矢神社───
─side 八坂 神奈子─
「うーーーん…」
早苗はとーーーっても難しい顔をしている。
「どうしたの早苗」
「あ、諏訪子さまに神奈子さま。実は…大きな悩みごとを抱えておりまして…」
諏訪子が話しかけてもいかにも、しゅん…って感じになっているため、どうやらかなりの悩みがあるんだろう。私たちは早苗の親みたいな物だし、相談に乗ってやらねばな。
「悩み?」
「よければ私たちが悩みを聞いてやるぞ?」
「ありがとうございます、神奈子さま、諏訪子さま。実はですね…」
───命蓮寺───
「いらっしゃい。よく御越しくださいました」
「こんにちは白蓮さん、今日はお話があって…」
何故こうなったんだ…?結局、相談に乗ると言って勢いのまま連れてこられちまった…。諏訪子も良い表情をしていない、考えてることは同じだろう…。
「「(相談に乗ったことがそもそもの間違いだった…)」」
─数十分前、守矢神社─
「実はですね…信仰をさらに増やすために、他の宗教と提携しちゃっても良いんじゃないか?って思いまして」
─再び命蓮寺に戻ります─
…なんて言われてそのまま言う言葉も流されてしまった。
「まぁ立ち話もなんですから、あがってくださいな。今お茶をご用意致しますね」
「お構い無く~」
まぁ…命蓮寺の人や妖怪は悪い奴ではないし、提携はともかく協力関係に入れるなら心強いかもしれんな。
───命蓮寺、客間───
「粗茶ですが…」
「いえいえ、ありがとうございます。ではいただきます」
静かな和風な部屋に茶を啜る音が時間を滑らかにしてくれる。
永く神様を勤めてると気が休まらないこともあるからな。…とくに早苗の保護者をしている以上はな。
「ところで、お話しがあってお越しになったと。そのお話とは…?」
「ふぅ…美味しい♪ 単刀直入に言います。お話とは、私たち守矢と提携を組んではいただけませんか?」
「…提携、ですか」
正直おかしな話だ。違う宗教同士が友好関係になるってことだろう?外の世界のキリスト教とイスラム教が友好になるのと同じだぞ。まぁ仏教と道教は犬猿の仲だが…。
「はい。お互いに足りないところは補い、いざとなれば共に滅ぶまで戦う。そういうのって憧れませんか!?」
憧れで此処まで来たってのか?なんか相手も輝いた様な表情しているし…。
「なるほど、どちらにもメリットはありますね。…ですが、私どもは納得しかねますね。話が美味しすぎます」
「当然、タダで…とは言いませんよ?協定同盟…ではなく、提携…ですから」
「ねぇ神奈子…」
諏訪子が私にだけ聞こえるような小声で話しかけてくる。
「ん…どうかしたか?」
「なんか話が黒い方向に運ばれて行ってない?」
「やはり思ったか。単に宗教の協力ではなく、欲の取引になってしまったな」
「止めるべきかな?」
「今の早苗を見ると無駄だ…」
「見守るしかないんだね…」
不安を隠せない神様を背に、早苗は話を続ける。
「…タダではない。その話、詳しく聞きましょう」
「おい…そんな僧侶が欲を垂らして大丈夫か?」
「大小問わずに欲があったって良いじゃないか。人間だもの(笑)」
認めた上で要求してやがる…。
「見返りとしては、私の奇跡で欲しいものが何なりと…」
「提携結びましょう!ぜひともよろしくお願いいたします!」
───守矢神社───
意外とあっさり提携結んじゃったけど、何たって早苗はまた提携しようなんて考えたのだろうか?
「早苗」
「はい。何でしょう、神奈子さま」
「何で提携なんて?」
「…それはですね。私の夢を実現させるためです」
「早苗の夢?それって、どんな夢なの?」
「幻想郷に来てからの夢ですが、この守矢を幻想郷全域に広めることなんです」
デカすぎるだろう!確かに新たな信仰を求めて此処に来たがそこまで望んではいないぞ!
「そこで、周りの宗教を敵に回すより懐に入ってしまった方が良いと思いまして。内側から貪れば勝機はありますよ!」
「早苗って、本当に時折…」
「性格が博麗の巫女より悪くなるな」
「まぁ、主な目的は白蓮さんと仲良しになりたかったんですよ」
「あの僧侶とか?別にそれは良いが何故…?」
「それはですね…あの方は私と少し似ている気がして…。趣味が合いそうなので仲良しになりたい…なんて」
「「あー…確かに趣味が合いそうだわ…」」
───命蓮寺───
「聖さま、それは…?」
「早苗さんからいただきました♪欲しかったんですよハーレー」
「また始まっちゃったよ…聖のお茶目な暴走が…」
───再び守矢神社───
「相手は喜んで、こちらは信仰も厚くなり、白蓮さんと仲良しになれる。素晴らしいではございませんか!」
「諏訪子…」
「神奈子…」
「「頑張ろう…」」
終り