東方日常記   作:ぬんちゃくティッシュ

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☆東方project二次創作です


東方紫魔物─壱─

───幻想郷、紅魔館の門前───

 

王様ゲームの命令執行も最後となり、命令を受けた従者(ひがいしゃ)も残り3人となった。

最後の命令はアリスによる命令、パッチェさんと1日デートで締め括られ、早苗とうどんげとお空の3人がそのパッチェさんの元へと重たい足を前へ前へと運ぶ。結局とんでもない命令をした二人と無意識に百合を展開させようとした強姦魔が、こうやって受けた恩を返されるときが来たと言うことだ。

 

「はぁ…もう行きたくないですぅ」

 

「早苗さん、それ何回目ですか?気持ちは分かりますけど…聴くと聴くほど足が重くなるんですよ…」

 

「うにゅ?うどん足に重り付けてるの?」

 

「違いますよ!行きたくなくなると言うことです!」

 

バカって…なんか可愛らしいですね(笑)

嫌な面持ちで目的地に向かう時間ほど短く感じるものはないだろう。もう目の前に紅魔館の門が姿を現した。いつもながら門番はZを3つほど浮かべながら幸せそうに…。

 

「咲夜さーん…今日お昼大盛天津飯で…むにゃむにゃ」

 

お空を除く二人は思った。私らに比べればこの人はよほど幸せだろう…と。今から死ぬのが分かっている戦場に向かっている私らとは違って、バレたらナイフのガトリングが飛んでくるだろうに寝息たてて寝れるほどこいつは平和で幸せなんだろう…と。

 

「もうここまで来て、いつまでも美鈴さんを眺めるわけにもいきませんね…」

 

「先に進みましょうか…はぁ」

 

幸せそうに大盛天津飯をガッつける夢を見てる美鈴を後にし、3人は紅魔館の地下図書館を目指す。たったひとつの目標を達成するために…。

 

「………」

 

「ぅん…むにゃむにゃ…」

 

「美鈴。いつも歩いて門を見に来るけれど、時を止めて行くと、気付かないのね…残念でした。ナイフのガトリングで素晴らしい目覚めを提供いたしましょう」

 

「ぅにゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

───紅魔館、ヴワル地下魔法図書館─

 

─side 東風谷早苗─

 

「…でも結局、パッチェさんは噂に過ぎないと思うんですね?やっぱり普通の声で普通の喋り方だと思うんですよ」

 

「そうだと良いですけどね。噂は噂ですけど、結構濃いんですよね…真実味帯びすぎて…」

 

「今から会いに行く人ってどんな人なの?」

 

「「知らない方が良い事実だってたくさんあるのよ(んですよ)」」

 

お空はやっぱり知らぬが仏です。真意は気付くまで教えないで置くのが吉でしょう。お、そろそろ図書館の奥ですね。大きい机に一人の魔女、あれこそ紅魔館の動かない大図書館、パッチェさんこと、パチュリー・ノーレッジさんですね。

…え?なんで案内役の人がいないのか…ですって?そりゃ、来るときは案内をお願いしましたよ。そしたら、レミリアさんは…。

 

数分前…。

 

「つまりは私にパチェと会えと言うの?」

 

「ぇ?…いや、その…」

 

「あんな喋っただけでも笑点やよしもと見に来た人を一発で笑わせられるほどの低っくいガラガラ声とコッテコテの関西弁があって尚且つ笑ってしまったら冗談抜きで身体強化魔法したうえであの超鉄拳が飛んでくると言う最悪の事態があるにも係わらずして留まらずにこの攻撃を一日中気が済むまで殴られ続けて終わると言うバッドエンドを迎えるのを避けるためにわざわざ死ぬかもしれないと言うところに自分から行って気を使いながら言葉を選びつつ笑いをこらえて親友と話すと言う大変シュールな…」

 

「分かりました分かりました!もう良いですから!」

 

「分かれば良いのよ」

 

……。

 

なんてことがありまして、レミリアさんはパス。一応フランさんにも頼んだんですけど…。

 

…数分前。

 

「…その愚かな頼みを却下しないと貴方の大切な血液を全身に送ってる心臓を握りつぶして…」

 

「わーわーわー!!私が悪かったですから許してください!」

 

「分かれば良いよ~♪」

 

…。

 

フランさん普段あんなに可愛いのに怒らしたら…死ぬかと思った…。

咲夜さんにも頼みました。あの人が一番まともな相談が出来そうなので期待してたんですけどね…。

 

…数分前。

 

「…消えろ。その依頼と共に消え失せろ…私のナイフがお前の血は何色なのか知りたがっているらしい…さぁ」

 

「申し訳ございません許してください命だけはーー!!」

 

……。

 

紅魔館まともなヤツいねぇ…。特に咲夜さんとフランさんが怖かったですね…。そうとうパッチェさんに会いに行くのが嫌なんですね…。美鈴さんのところにも行ったんですけど、ナイフが数千本刺さった遺体(半永眠状態)しかありませんでしたね。

 

「仕方がありませんね。覚悟を決めて、行きましょう!」

 

うどんげさんの声かけで士気が上がりました!行きますよ!!

 

「パッチェさん!お待たせいたし…」

 

「おうお前らか。首長ぅぅぅしてま待っとったで?おぅ?」

 

「「……」」

 

ヤバイ…マジだ…これマジじゃん…。噂は本当でした…。と言うか、口調めっちゃ悪くないですか?表情がえらく怖いんですけど?聞いてた話と違う!関西弁の女マフィアだなんて聞いてないですよ!!

…と言うか、少しパッチェさん怒ってらっしゃる?最早笑いそうと言う感情を通り越して恐怖しか湧いてこない…。こんなに何かが湧いてくるなんて過去に水と年の痛みとゴキブリぐらいですよ…。

 

「(う…うどんげさん…これは…ちょっと不味いヤツでは…)」

 

「(…早苗さんも思いますか?恐ろしくて目も合わせられません…)」

 

「あははははは!パッチェさん声低くておもしろい!あははははは!!」

 

「「(うわああああああぁぁぁぁぁぁ!!!)」」

 

何ですか!?何ですか一体!?何なんですかこいつ!!恐怖で一杯って時に爆弾発言するなんて!!…バカって怖い。

 

「………」

 

ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!パッチェさんの顔つきがヤバイ…ものすっごく眉間にシワが寄ってる…。

 

「おいそこのうさ耳!!」

 

「ひ…ひゃい!!!?」

 

うわ…うどんげさんのあんな声初めて聞いた…。そうとう裏返ってましたね…。

 

「こいつワレのツレやろうが?せやったらきちんと躾たらんかい!!」

 

「ひひひひゃい!!しゅしゅしゅびばじぇんでじだああああ!!」

 

…数分後。

 

一応何とか落ち着いて、話し合ってみることにした。そこでお空さんなんですけど、レミリアさんがお空さんの力が強すぎて気持ち悪くなった…と言って帰って頂きました。つまり…私らは二人だけです…ヤバイ…目線だけで殺されそう…。

 

「おいトンチンカン!」

 

「東風谷(こちや)です」

 

「てめぇら私と仲良くしてぇって話やったのぉ」

 

「…は…はい、その通りのハズです!」

 

厳密に言うとアリスさんの命令で仲良くするだけなんですけどね。

 

「ほぅ…?ワレが言うことがホンマの事やったら、この私とおどれらの物理的距離はどないな説明してくれんねん?」

 

仕方がないじゃないですか!近づいたら殺されそうなんですもん!!確かに物理的には八メートルくらい離れていますけど…五メートル内に入ると不味いって私の勘が言ってるんですよ!

 

「…と…ところで」

 

「何やうどん」

 

「…ひっ!いや…あの…ちょっとご機嫌が少々傾いていらっしゃる(ご機嫌がナナメ…と言うことをパニクっていうとこうなります)様ですので…何でかな…と」

 

「おどれらがえらくとろいもんやからっちゅうのを気付けへんのか?おぅ?」

 

「すすすすすみませんでしたー!!」

 

「「……」」

 

…地味に静かになって、この沈黙がまた怖い…。耐えろ早苗!耐えろ私!出来る限りバッドエンドまっしぐらを避けて生きて帰るんだ!!

               続く


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