『これを読んでいるのが父なのか、あるいは夫なのか、それとも息子なのか、それとも知らない誰かなのか。それは分からない。
けど、これがヒーローとして私が見つけた答え。
人の命だけじゃない、時には命以上に重くなってしまう物を守る事こそ、私はヒーローとして大事なんだと思っている』
――不思議だった。
振武は母との繋がりが極めて薄い。記憶を取り戻して、1ヶ月ぐらいしか側に居なかった。
だからこの信念も自分の中で湧き上がったものだ。
誰も死なせない。
誰をも救う。
なのに母が自分の手で書いたこの本は読めば読むほど、振武の気持ちと似ている所が多い。勿論違う部分も多い。
でも、人の根幹を信じ、大事に思いたいという部分は同じだろう。
「……あぁ、やっぱ、母さんは凄かったんだなぁ」
ヒーローとしてのセンシティも、
母としての動島覚も、
今の自分では超えられないくらい凄い人だったのだ。
間違いはあっただろう。だがそれは、どんな人間にもある事だ。問題は、立ち上がる時、どれだけ力強くその後走っていけたのかという方が、ずっと大事だ。
母さんは死ぬ間際に言った。
『私は、守れないものが多すぎた。』と。
きっと、それはウィスパーや久虜川蒔良の事だったんだろう。
力不足、視野の狭さ、自分の器の小ささ。
自分の全ての負の要素の犠牲になってしまった人々を、母は死ぬまで忘れなかったんだろう。命は守れたが、それ以外と取り零してしまった彼女達を思っていたのだろう。
もう2度と、あんな風に居なくなってしまう人々を、救おうとしていた。
「……俺も、頑張らないとな」
拳を握り締める。
母を失った時に受けた傷を持つ、右手を拳に変える。
母が救いきれなかったものまで救いきれるのか。それは分からない。振武はそれが可能かどうかの計算をしながら、先に進むような男ではないのだ。
まず、前に進んでみよう。
視界に入る全部を救えるように。
「……で? そんな所でコッソリ隠れて俺が読んでいるのを観察して楽しいの?」
振武が声を少し張って言うと、暫く静まり返った後、部屋の障子が開く。
動島壊――過去、触合瀬壊と名乗っていた男が、どこか気恥ずかしそうに入ってきた。
「なんだ、気付いてたんだ。
これでも隠密術の達人なんだけどなぁ」
「いや、本気で隠れた父さんは見つけられないけど、本気じゃなかっただろう?」
足音だって気配だってまともだった。
それで良く隠れたなんて言えるな、と笑みを浮かべる。
「読み始めてから思ったけど、父さんこれ見せる為に俺に掃除頼んだの?」
「うん……まぁ、そうかな。
部屋の掃除自体は終わっているし、そろそろ振武にも読ませてあげないと悪いかなぁって」
「何その上から目線……でも、そうだね。
もし俺が自分の信念を見つける前に読んでたら、多分流されていただろうし」
センシティが抱いた理想、抱えた信念は大きく重く、まるで暗い闇に1つ浮かんだ輝く星のようなものだ。
何も持っていない人間が見てしまえば、それだけでその光に心奪われる。
母の信念を受け継ぐのが悪い事だとは思わないが……それを覚は良しとはしないだろう。どうせなら振武は振武なりの信念を持って前に進んで貰いたいと思うだろう。
だったら、これを読むのは今が良いタイミングだったのだ。
信念をを持った、今だからこそ。
「……ねぇ、蒔良さんは今も、その病院にいるの?」
一番気になった事を聞く。
壊は一瞬どう答えたものかと複雑な顔をするが、直ぐに観念して首を振った。
「今は自然豊かな療養所にいるよ。
彼女のダメージは、残念ながら治すことが出来ない事が判明したからね……兎に角、今は穏やかに暮らしているよ」
「そっか……いつか、会いに行っても良いかな?
俺がちゃんとヒーローになったら、さ」
久虜川蒔良は覚の親友だ。
いつか会いに行きたい。
「それは、……正直、お勧めしない。
彼女は、覚ちゃんの背負うべき過去だ。振武が会えば、背負ってしまう。君が背負うべきではないはずなんだ」
彼に余計な荷物を背負わせたくない。
そう思って言った壊の言葉に、振武はゆっくりと首を振る。
「大丈夫だよ、父さん。
母さんの分まで背負ってやろうなんて言うつもりはない。俺にだって積載量ってのがあるんだ。
でも、会いたいんだ。知ってしまったなら、無視なんか出来ないよ」
母が大事にして、救おうと思って、でも救えなかった人。
そんな人を無視して母を超える事なんて出来ない。久虜川蒔良が夢見たヒーローは、動島覚が目指し続けたヒーローとしての心はちゃんとここで生きていると証明したい。
少しずつ、信念の形が違ったとしても。
それもヒーローだから。
「本当に……振武は覚ちゃんに似ちゃったなぁ」
嬉しいような、心配なような、複雑な顔で微笑む。
自分の愛した女性の血を引く彼は、どんなに一緒に過ごした時間が短くても、やはり彼女の息子らしい。
「うん……ところで、
これ、本当に自叙伝になってんの? 残り全然ないよ?」
本をパラパラと捲りながら苦笑する。
本の残りページはそうない。どうやら母はペース配分を間違えたようで、ここまで本の大部分を使っている。これじゃあ残りの人生分書けるとはとても思えない。
ここから更に色々あって父と母は結婚して自分が生まれる訳だが……そこまで持つのか? この本一冊で。
「あ、そこは大丈夫だよ!
一番最後のページ開いてみなよ!」
「最後のページ?」
父の何故かハイテンションな返事に首を傾げながらパラパラと最後のページを開いてみる。
まだもう少しページがあるが、そこにはこう書かれていた
『下巻に続く』と。
「――いや、続くじゃねぇよ!!」
母さん、ページ数無理があるから次の本に飛ばした!!
分量計算出来ない作家かよ!?
「ちょっ、つまり全部読む為には次の巻があるって事で――父さん、次の巻は!?」
思わずにじり寄る振武に、壊は涼しい顔で言った。
「それがねぇ、振武、
お父さんも知らないんだ!!」
「なん、だと……!?」
ここまで来て続きは分かりませんってアリかよ!?
「いやぁ、お父さんも探したんだけど中々見つからなくてねぇ。
ほら、覚ちゃんああ見えてお茶目な性格だったから、きっと宝探しの要領でどこかに隠しているんじゃないかな?」
「父さんでも見つけられないもんを俺が探せってか!?
あぁ〜、何でそこで悪戯心発揮しちゃうかな!!」
信じらんねぇ!! と叫びながら立ち上がる。
この部屋のこの本があったと言うことは、次の本だって必ず(処分していない限り)あるはずだ。そして、この家はそれなりに広い。
自分達が住んでいる部分だけでもそれなりに広いのに、道場などの門下生にも開いている共用部分や、土蔵まで含めると今日一日で探しきれるかどうか……。
いや、どちらにしても見つけたい。
中途半端は嫌いなのだ。
「父さん、ちょっと探しに行ってくる!!
掃除の手伝いはまた今度するから!!」
じゃあ! と言って足早に去っていく息子の背中を見て、壊は微笑ましそうに笑う。
昔から妙に大人っぽい息子が時々見せる子供っぽさは、幾つになっても可愛らしいなぁと思いながら。
……壊は嘘を吐いた。
あの覚大好きな壊が、覚直筆の自叙伝を確保しておかないわけがない。下巻は今でも、壊の部屋に見つからないように隠してある。
あれは、壊と覚が結婚するまでの物語、そして振武が生まれるまでの物語を綴ったものだ。今は見せる時ではない……と言うより、恥ずかしくて、今は見せたいとは思えないのだ。
自分の醜態が晒されていると言うのもそうだが、自分と覚が本当の意味で気持ちを自覚できた瞬間だ。
今は、今だけは――最愛の人と2人で分かち合った想い出として独占しておきたい。
それくらいの独占欲くらいは、許されても良いはずだ。
「……覚ちゃん、振武はこの本を読んでも流される事なく、自分の道を歩んでいける、強い男の子になりました」
息子が置いていった本を手にとって、目を瞑って亡き妻に言う。
今頃、天国で自分達を見守ってくれているのだろうか。
……いや、あの子の事だ。きっと天国は退屈で、煉獄や地獄に人を救けに行ったりしているかもしれない。地獄の鬼とかボコボコにしているかもしれない。
あり得ない話ではないな、と思いながら、壊は本棚にその自叙伝を優しく仕舞う。
正直、この後の人生はこの本を読んだまま過ごしたい。最愛の人を感じながら過ごしたいと思うが……本はあくまで本だ。
彼女のその時の気持ちを表しているものだが、大事ではあっても1番ではない。
今大事なのは、大切な家族をどう守るか。最愛の人の子であり、自分の子でもある動島振武をどう守るかが、1番大事だ。
「先生……オール・フォー・ワン」
人を駒のように使い捨てる悪人中の悪人。
自分と覚が必死で追い、最終的には宿敵であるオールマイトが屠った――と
彼が再び表舞台に干渉し始めている今となっては、放置出来るはずもない。
何せ今代の動島当主からの因縁が繋がっている。闇に葬られた動島の一端がその下にいる。彼らと関わってしまった以上、動島振武の人生もこれからは彼らとの戦いに主眼を置くようになって来るだろう。
ならば自分が、覚の分も含めて振武を支えなければいけない。
「……だから、もう少し待っててね、覚ちゃん」
楽隠居も、あの世で会うのもまだまだ先だ。
自分は最後の最後……それこそ、息子の子供、孫達にまで会って、あった事を覚に話したいのだ。
◇
「――と言うわけで、エヴォリミットで君の個性を強化するのはやめておきなさい。たった一個の事しか考えられない化け物になるのは、君にとって良い事ではないだろう?」
薄暗い研究室の中で、動島知念はどこか芝居掛かった言葉でその思い出話を締めくくった。
聞いた鉄雄は、なるほどと心の中で小さい納得を浮かべていた。
個性を異常なほど強化する代わりに狂人になる薬。それを制作中止にした先生の考えに間違いはないのだろう。制御出来ない強力な力を持った個人を組織として内包するよりも、強い力を持った人形の方が御し易い。
「それで成功例は1人――アンタだけになったわけだな」
「ああ、そういう事だ 私の個性は少々弱くてね。武術だけを鍛えるだけでも私個人としては良かったんだが、あの人の方針ではそれでは足りなかったらしい」
個性を必要としない武術、動島流。
だがそれでも、個性の力を上乗せ出来るならばした方が良いのは確かだ。どんな手段を持ってしても武の極致、最終的な強さを得る為にはやらざるを得ない。
何せ、動島知念が目指している所は普通の事をしても辿り着けない場所なのだから。
「なるほど……まぁ、悔しいが納得だ。
力強くしてオツム弱くしちゃ、意味がねぇ」
相手は戦いにおいては力量も頭脳もある相手だ。
そんな相手に力押しだけで対抗しようとすれば、幾らあっても足りなくなる。
鉄雄の言葉に、知念は安堵するように何度か頷いた。
「分かってくれればそれで良い……さて、時間がかかってしまったな。
そろそろ鍛錬に戻る。良い加減君も来なさい」
その言葉に一瞬嫌な顔をしながらも、へいへいと素直に鉄雄はファイルを戸棚にしまった。
どちらにしろ動島流を倒せるコツをつかんでおかないと話にならないのは確かだったから。仕舞って既に歩き始めている知念の背中を見て、鉄雄は深く考えず口を開く。
「……でも、アンタは平気なのか?
自分の欲望、自分の1番強い感情が強化されちまうんだろう? なら、アンタはなんで平気そうに喋ってんだよ」
エヴォリミットの副作用。
唯一の弱点とも言えるそれを、動島知念からは感じない。常に冷静に、一種冷淡に話をしているように思えるのだ。
その言葉に、知念はこちらを振り向かず返す。
「あぁ、そんな事は決まっているだろう。
私は……いや、真の動島は最初からそういうものだからさ」
強さという事柄に置いての執念妄念という点に置いて、動島流の、動島家は最初から狂気の域にまで達している。
血反吐を吐こうとも鍛錬を止めず、力を付けても尚も力を欲するその姿はまさしく修羅の類だろう。
それが基準。それがデフォルトなのだ。
そこから多少その闘争心や向上心が強化されようが大きな違いはない。
何せ、最初からそういう生き物なのだから。
「君が対峙しているのはそういう化け物だ。
多少腑抜けているとは言え、今の動島家も同じだからね」
動島振一郎はまごう事無き動島だ。
武の事以外に目を向ける余裕はなく、1番重要視している。
動島振武ですらその傾向がある。彼には目的があるからそうは見えないが、あの強さへの探究心は普通の人間のそれを超えている。
これからも、彼はどんどん強くなっていくだろう。
「そんな者と、君は戦えるのかい?
今の君の成長スピードでは、勝てるか分からないよ?」
「――知るか、そんな事」
鉄雄がそう言った瞬間、砂が擦り合わせられるような嫌な音が通路に響く。
チラリと壁を見れば、鉄で作られたそれがさらさらと砂状になっていくのが分かる。それが、触手の様に蠢く。
彼の中での怒りを再現している。
「勝つ負けるの話はしてねぇんだよこっちは。
俺はあいつを殺す。それだけの為に強くなるんだからな」
殺すという事だけが至上命題。
それ以外の事は考えていないのだ。相手を負かすなどという生温い考えでここまで来ていないのだ。
そしてその考えこそ――動島知念が彼に興味を持つ一点だ。
「素晴らしい――それでこそ、私の弟子だ」
暗い通路の中で、動島知念の笑みが怪しく浮かんだ。
◇
雄英の職員室。
その1つの席に座って、相澤は何やら資料を見て止まっている。
平時ではあまり表情の変わりにくい彼だから分かりにくいが、相当悩んでいるのだ。
「相澤くん? まだ仕事をしていたのかい?」
そこにやって来たのは、ガリガリに痩せている姿――トゥルーフォームと本人は言っている――をしたオールマイトだった。
生徒にとっては休日でも、教師にはそうはいかない。だからこうして学校が休みでも仕事をしている人間はいるのだが、それにしても既に時間は遅い。
そんなオールマイトに、相澤は視線を向けずに答える。
「期末試験をどうしようかと思いましてね……組み合わせが難しい」
期末試験。
筆記と実技が存在するヒーロー科の試験は、例年実技試験はロボットを相手にする事が決まっていた。
しかし、USJ襲撃事件やステインの事件などを経て、もっと実戦形式の訓練を行うべきだという校長の方針のもと、今回は生徒2名対教師1名で行う形式になった。
どのような組み合わせにするかは最終的には会議で決定されるが、一応最初の案を担任である相澤が製作しないと話にならない。
「でも、もう殆ど決まっているって言ってなかったっけ?」
「はい、大部分は決定しました」
生徒それぞれが苦手としている分野、または弱点としている部分を改善に導くような戦い方が出来る教師をあてがって行く。
そういう意味では、分かりやすく方向性が出ているA組生徒達の組み合わせは非常に楽だと思って良いだろう。
問題は、
「動島をどうするか、なんですよ……」
「あぁ〜」
相澤の疲れた声に、オールマイトも苦笑を浮かべる。
動島振武は、戦闘面において比類なき力を発揮している。お世辞でもなんでもなく、実力はクラス内トップと言っても良いし、そのままプロとして送り出しても問題がないだろう。
だが如何せん感情的で猪突猛進な部分は否定出来ない。
頭脳プレーは、正直上鳴や芦戸よりは出来ているがまだまだ甘い面があり、そこは成長がさせずらい。
何せ、普通に戦ったら大概の敵は倒せるのだ。
考える必要性がない状況が多い。
「組ませる相手は決まりましたが、問題はぶつける教師です……残念ながら、今の段階で動島と直接戦わせられる人間はウチじゃ少ない」
動島振武と一対一で戦うことが出来る人間は当然いるが、今回は生徒側はチーム戦なのだ。
1人を本気で相手にしている間に、もう1人にゴールされてしまいましたでは笑い話にもならない。かと言って動島振武の実力は高く、直接戦闘になってしまうと捕まる可能性だって否定出来ない。
プロだって油断出来ない相手であるのは確かだ。
「オールマイトさんなら出来なくはないでしょうけど、貴方には緑谷爆豪ペアを任せていますからね」
「そうだねぇ……かと言って時間をずらして二連戦という訳にもいかないし……」
オールマイトには一応力の時間制限がある。二連続で戦えるほどの余力が残るような戦い方をすれば、仲が悪いとは言えクレバーな二人組だ、そこを突いてくるかもしれない。
直接戦闘せず、頭脳プレーで動島振武を翻弄してくれる相手。肉体的ではなく、頭脳と精神で相手を踊らせてくれる、言ってしまえばちょっと意地が悪い戦い方を得意とする人間が欲しいところだ。
そんな都合のいい人材は、生憎今の雄英にはいない……とは断言できないが、少なくとも他の生徒の試験を行なわなければいけない仕様上、パッと名前が上がる面子では難しいだろう。
「外部協力を取り付けるにしても、1番に上がるのが……あの人なんですよねぇ」
ブレイカー。
人を精神的に追い詰め視野を狭め、上手い事罠に嵌める戦い方をさせれば彼の右に出る人間は少ない。
だが、生徒の期末試験に親を引っ張り出すのはいただけない。
しかもあの親バカだ、下手をすれば「大事な振武くんを傷つけるなんて出来ない!!」なんて言い出して無抵抗で合格にしかねない。
試験官としてはアウトだろう。
「壊くんはダメだろうねぇ……でもだとすると、私の中でもパッと名前を挙げられる人間がいないなぁ。
特に、ヒーローの中じゃ難しい部類だからねぇ、それ」
ヒーローとはほぼ全てが「正義」を自称する人間達だ。
当然その戦い方も、人気を取るというのも兼ねて派手で堂々としたモノになりがちで、振武に相手させるのに必要な「意地の悪さ」というのを持っているヒーローは案外少ない。
「直接戦闘しない、頭脳と道具で戦い、相手を精神的に余裕を無くさせる……」
「ハハハ、そう言われるとヒーローって言うより敵だよねぇ」
ブレイカーくんも良くやったよね、そういう事と笑っているオールマイトに、相澤は笑みの1つも浮かべずに動島振武の書類を睨みつける。
ブレイカーのような戦い方が出来るヒーロー。
「……あぁ、そう言えば1人いたな」
ブレイカーのような戦い方が出来る……というより、ブレイカーのスタイルを継承した男が。
だが、ありなのか?
面識も何もない男だったが、確かエクトプラズムとは同期だったと記憶している。しかし繋がりが作れたとしても、果たしてあのタイプのヒーローが今回のような依頼に乗ってくれるかは難しいところだ。
何より、あれはセンシティを嫌っている部分がある。
そういう部分を試験中に出さないかという心配もあるが、
「……選択肢がないからな」
そもそも選んでいる程の余裕はこちらにはないのだ。
「誰か思いついたのかい?」
「えぇ、一応……まぁ、正直本確定ではありませんけどね」
オールマイトの言葉に答えながら、相澤はパソコンを操作して件のヒーローの情報を引っ張り出す。
現在ではフリーの彼だから、事務所を通さなくて良いという点でもピッタリだろう。
「動島にとっては、やり難い相手だとは思いますよ」
パソコンの画面を、オールマイトにも見えるように向ける。
そこには、
《リビングライフ》の文字があった。
過去編終了しました!!
50万UA記念と言いながら、ここまで長々とお付き合いかんしゃいたします。久しぶりに振武くんを書いた気がします。
さて、次回から新たな章、期末試験編を始めたいと思います。
どうかこれからも変わらぬご愛顧を!!
次回! 物間くんが嗤う!! 拳を構えて待て!!
感想・評価心よりお待ちしております。