廃と群像のグリムガル ~不惑の幻想~   作:西吉三

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「灰と幻想のグリムガル level.12 それはある島と竜を巡る伝説の始まり」は2018年3月21日に発売……してた(笑)

もちろん、発売日に買いましたよ。

そして、「灰と幻想のグリムガル level.13 ドラマCD付き特装版」が2018年6月25日に発売らしいけど、Kindleでしか買ってないから、ドラマCDってどうなるんだろ?

久々の更新、どうぞお楽しみください。


23.時よ止まれ、いま君は輝いている

 古い円形闘技場前で繰り広げられる戦い。

 ブリセイスを取り戻すためのための小さな戦いだ。

 多勢に無勢の戦いも、ヴェールの寝返り、タナカの参戦のお陰で、グンゾウ達は少しずつ優勢になりつつあった。

 その2人の戦い方は対照的だ。

 ヴェールは一撃離脱を中心とした攻撃を繰り返し、ひとりひとり賊を無力化している。彼女は重力が無いかのように、地面の上を()()()()()。彼女が踏む地面の上だけ、氷が張っているのではないかと錯覚させる動きだ。

 ヴェールは目の前にいる賊へコツンと当てるだけの浅い一撃を加えると、滑るような後退(バックステップ)で離れた。賊は反撃しようとしたが、空振りに終る。後退(バックステップ)に釣られて、前のめりになる賊。身体が開いてしまう。踏みとどまって体勢を立て直そうとしたが、すかさず反転前進したヴェールの正確な突きを喉元に喰らった。

 そして、ひとつの命が消える。

 流れるような足捌きと、正確な剣技の組み合わせ。それは美しい死神の剣舞。

 一方、タナカは相変わらずの豪剣を振るっていた。無駄な動きはしない。べた足で構え、賊2人を惹きつけている。

 上半身の動きだけで賊達の攻撃をぎりぎり躱す。わざと相手の武器の切っ先だけを装甲の上で滑らせる時もある。繊細な動作を繰り返しながら、太い眉毛の下にある目は猛禽類のそれのように獲物を襲う機会を探していた。

 タナカが突然(ひるがえ)ったかと思えば、賊は2人まとめて肉厚の両手剣(ツヴァイヘンダー)で横薙ぎにされた。鎖帷子(チェインメイル)に守られ、切断という悲劇は免れたが、凄まじい衝撃力に吹き飛ばされ、2人同時に地に伏した。ひとりは両腕が壊れた人形のようにあり得ない方向に曲がっている。

 周囲の賊達は怖じ気づいてタナカから遠退く。タナカの半径2メートルは死の空間(キルゾーン)だ。

 死への恐怖。誰だって死にたくはない。

「しかし……」

 ――そろそろ切り抜けないとまずいな……。

 優勢になりつつある現状を眺めながらも、それでもグンゾウは少し焦っていた。走り去った伝令が何人か逃げている。奴等がブリセイスの下へ辿り着けば、殺そうとするかもしれない。早く追いかけなければ、彼女の命が危ない。

「ほいちょいやーっ!!」

 緊張感の無い叫び声と共にヨシノが賊の武器を跳ねとばした。そのまま、狼狽(うろた)える賊の側頭部を石突きで強打し、鈍い音と共に昏倒させた。

「おっ? こら、やんのか? てめぇ? おらっ! おらっ!」

 リョータも目の前の賊の胸ぐらを掴み、何度も殴って気絶させた。正確には気絶した後もしつこく殴っている。オークも気絶する重たい拳だ。

 その奥ではアキが、斧持ちの賊に劣勢を強いられていた。ぼろ切れだか、鎧だか分からない服を身に着けた賊は、何度も斧を振り下ろす。斜めに構えた盾で斧の威力を受け流し、アキに損傷(ダメージ)はないが、防戦一方で反撃の隙が無い。グンゾウが助けに向かおうとした瞬間、ひらりと現れたカレンがアキを襲っていた賊の頭部を全力で叩いた。

 ――……あれは俺がやりたかったな……。

「カレンさん、ありがとうございます」

 アキの感謝に、カレンは不機嫌そうな視線だけ返す。別に怒っているわけではない。あれが通常、むしろご機嫌だ。

 カレンは倒れている賊の股間を蹴り上げ、アキを怯えさせた。

 ――こわっ……。

 気が付けば、立っている賊は残すところ6、7人。気のせいかグンゾウの耳には、優勢を告げる軽快な背景音楽すら聞こえそうだ。

「タナカっ! 残り任せられるか?!」

 グンゾウが叫ぶと、タナカは周囲をぱっと見渡した後、

「……っす」

 と言って、軽く手を振った。

「よしっ! みんな、ここはタナカに任せて伝令を追おうっ! 急がないとブリセイスが危ない」

「うおっし! ふんどし締めて行くぞ、てめぇらっ!」

 グンゾウに続いて、リョータの下品な声の掛け声で、全員が動き出す。伝令を追って、円形闘技場の入り口通路へ向かった。

「シシシシシ、MP温存、MP温存、キシシ……」

 ハイドが訳のわからないことを言いながらグンゾウの後に続いた。

 グンゾウの前にはシムラ。シムラは自分が矢で射貫いた賊の横を通る際、横たわる賊の顔を覗き込んだ。賊の生死はわからなかった。

 小隊の最後尾にタナカもついてくる。

「俺等を無視するのか? 舐めてんのか?! 逃がすなっ!」

 しつこく生き残っていた禿頭の男が、グンゾウ達を追おうとする。

 タナカは歩みを止めると、振り返って円形闘技場の入り口通路に仁王立ちした。日陰になり、ヒンヤリと黴臭い空気がタナカを包む。その空気が戦いで火照った身体を心地よく冷やした。

「ふぅー……」

 タナカは溜め息をひとつ。

「さて……、今日は失いたくない人が居るんで、後ろには通さないぜ」

 そう言うと、タナカは長い両手剣(ツヴァイヘンダー)を正眼に構えた。

 グンゾウは石畳の通路を走りながら振り返り、(たくま)しいタナカの後ろ姿を見る。

「タナカ、死ぬなよ……」

 そう呟くとグンゾウは前を向き、走る速度を上げた。

 目の前には通路の先に小さく光る出口と、青々と輝くシムラの頭が有った。

 

 

 通路を途中まで進むと先行していたヴェールとヨシノが立ち止まっていた。その脇には地下へ向かう階段の付室があった。地下は奈落(タルタロス)のように真っ暗だ。

 グンゾウは追いつくと足を止めて、乱れた呼吸を調える。アキやハイドも追いついてきた。

「はあはあ、どうした?」

 グンゾウが尋ねると、

「ブヒシシシシ、ブシシシシ、ゲボッ」

 グンゾウの斜め後ろで、ハイドが危険域の異音を立てている。いつまで経っても運動不足から抜け出せない。

 グンゾウの問いにヨシノが答える。

「グンちん、あのね、向こうの出口に向かった人影もあったんだけど……、聞いて」

 ヨシノが黙って階段の方を指差すと皆が黙る。

 石造りの通路の中に冷たい静寂が漂う。

「ブシシシシシ。ブヒシシシ」

 ハイドの呼吸を整える音が五月蠅(うるさ)くて何も聞こえない。

「うるせぇ、キモオタっ!」

 リョータに一喝され、ハイドは頑張って息を殺す。このままだとリョータはハイドの息の根を止める勢いだ。

 グンゾウは目を閉じて、意識を聴覚に集中した。すると、地下の方からカッカッと人の走る音が石壁に響いてきた。

 ――聞こえた!

 グンゾウは目を見開く。

 音が聞こえたのを確認してから、ヨシノはその大きな瞳をグンゾウへ向ける。

「聞こえた? グンちん どうするの?」

「え? どうするって……、俺?」

 リョータ小隊全員の視線がグンゾウに集まった。

 グンゾウはひどく困った。

 早く決断をしなければならない状況だが、どちらの道が正解なのか判断がつかなかった。時間は残酷にも刻々と流れていき、仲間の視線は痛く突き刺さる。

「う……えっと、……そだな……」

 判断が付かず、10秒ほど時間が経つ。グンゾウの額から汗が出てくる。

「悩んでいる時間は無い」

 カレンが静かにそう言うと、背嚢から行燈(ランタン)を取り出した。

「火を」

 カレンが小さく尖った顎をしゃくると、ハイドが精霊魔法の詠唱を始める。

「キシシシシシ、イグシシシシシ・アルヴ」

 ハイドが赤い宝石の付いた杖を振ると、小さな火の玉がカレンの持っている行燈(ランタン)(あか)りを(とも)した。行燈(ランタン)の炎がカレンの顔を紅く染める。

(マスター)……みんなで地下へ行くんですか?」

「違う。二手に別れるのだ」

「この寡兵(かへい)を分けるんですか?」

 グンゾウはカレンの顔を覗きこむように見る。

「それしかあるまい。ここまで来た目的を考えろ。……そもそもブリセイスを救えなければ、来た意味が無い」

 カレンはグンゾウの顔を手で押しのけると、ヨシノとハイドの方を向けて手を上に向けて呼び込んだ。

「ヨシノ、魔法使い……来い」

「シシシ、良くわかっている……」

「え? あたし? 地下かー、槍が使えるくらい広いといいなー」

 カレンに呼ばれて、ハイドとヨシノがカレンに付いていく。

 グンゾウの心に微妙な嫉妬心が湧き起こった。しかし、もっと嫉妬心を心に燃やした男がいた。

「おいっ! 駄目だ! 俺もヨシノと一緒に行く。絶対に離れないぞっ!」

 リョータが割り込んで行き、ヨシノの肩を抱く。抱きすくめられて、蹌踉(よろ)めくヨシノ。

「よよよ……リョータ、ちょっと強引にしないでよ……」

 その様子を見たカレンは少し考えたが、すぐに視線を背け、静かに「好きにしろ」と言い放った。カレンは背嚢から木炭を取り出し、通路の床に出口方向へ大きな矢印と「タナカへ」と書く。

「これで、タナカは闘技場の方へ行くだろう」

「しかし……(マスター)、これで本当に……」

 グンゾウは納得していない様子を見て、カレンは溜め息を吐く。

「いいか、敵の全てを倒しに行くつもりはない。伝令に追いついて、そいつだけを仕留めるのだ。伝令を仕留めたら、戻り、貴様達の後を追う。いいな……、では、全員急ぐぞっ!」

 カレンの一言で全員に緊張が走り、全員が動き始める。ヴェールは早くも通路を滑るように走り始めた。シムラがばたばたと後を追う。

「みんな、……無事でね」

 アキが不安そうに胸の前で右手を握っている。

「うん。アキちゃんも気を付けて」

「ヨシノは俺が守るから完璧だぜ」

「シシシシシ……」

 ヨシノ達もそれぞれに返事をして、地下の階段を降りていった。

 ――本当にこれでいいのだろうか……? 検討が足りないんじゃないか?

 グンゾウが結論の出ない不安の迷宮を彷徨(さまよ)っていると、カレンが声をかける。

「グンゾウ」

「はいっ!」

 凜としたカレンの声に、グンゾウは思わず背筋を伸ばして、直立する。

 カレンはいつものように眉間に皺の寄った表情をしていたが、機嫌が悪い時の顔ではないとグンゾウにはわかった。

「答えの出ぬ悩みに囚われるな。今は一秒でも早く前に進まねばならない時だ」

「は、はい……」

 それでも浮かない顔でいるグンゾウに、カレンは少しだけ優しい口調で話しかけた。

「この試練は超えられるはずだ。私の直感がそう判断した。……本当に困った時は、ルミアリスの声を()()

 そう言うと、カレンは白銀の外套(マント)(ひるがえ)し、地下の階段をふわりと降りていった。

 その背中を見送ったグンゾウは、

「はい……。わかりました、(マスター)

 と、届かない返事を呟く。そして、視線を出口の方へ向けると、気持ちを切り替えて走り始めた。

 

 

 光の中へ飛び出すと、そこは円形闘技場の中腹にある出入り口だった。

 グンゾウ達の目の前には、円形闘技場がすり鉢状に広がっている。相当な広さだ。中心は広場になっていて、元々は整備されていたかもしれないが、今は背の高い多年草が生えている。

 広場には岩が積み上げられた塔のような物体が何本も立っていた。高さは約3~4メートル。何のために立てられたものか、グンゾウにはわからなかった。岩肌は苔生(こけむ)し、蔦植物が這っている。(いにしえ)からあることは誰にも予想できた。

「みなはん、あそこっ!」

 周囲を見渡していたシムラが円形闘技場の反対側を指差す。

 その先には、同じく円形闘技場の外側に出られるであろう通路、そして、その入り口に向かって駆けている甲冑姿の太った男が見えた。伝令のひとりだ。重装備と蓄えた脂肪のせいで遅れたようだった。

「流石に射程外やで……」

 矢を(つが)え、狙いを定めていたシムラが射撃を諦めた。

「……仕留める」

 そう短く言うと、ヴェールが最初に動き始める。全員でそれを追う。

 階段状になった闘技場の観客席を円弧に沿って走って行く。観客席は長方形に切り出された石灰岩で造られていた。長年の風雨にさらされ表面は滑りやすくなっていて、所々、割れているところもあり走りにくかった。

 各人滑りやすい足場に苦戦していたが、ヴェールは甲冑を着ていないかのように軽やかに跳びはねて行く。ヴェールはここでも不思議な足捌(あしさば)きだ。神官の装備が軽いとは言え、グンゾウは悪い足場に苦戦をしていた。グンゾウの後ろにはアキ。アキは装備が重い。

 隊列が少し間延びしてしまう。先頭のヴェールと最後尾のアキでは200メートルくらい離れている。

 ――あれ? シムラは? 前の方に居たはずだけどな……。

 足を止めてシムラを探すグンゾウ。その後ろへ追いついたアキが息を弾ませながらグンゾウに話しかけてきた。

「はぁはぁ……グンゾウさん……んくっ、どうしたんで……はぁはぁ、すか?」

 ――ちょっと色っぽい。

「いや……、シムラがね……何処行っちゃったかなって」

 グンゾウの視線がシムラを捉える。シムラは真っ直ぐ出口へは向かっておらずに闘技場の階段を少し登り、高い位置にいた。何やら広場の方を見ている。

 ――何してるんだろう?

「おーい、シム……」

 グンゾウの呼びかけを(さえぎ)り、大声でシムラが叫んだ。

「みんな、伏せろっ! 狙われてんでっ!!」

「え?」

 全員の動きは止まり、視線がシムラに集まる。

「岩陰に誰かおるっ!」

 大きく腕を振り、再度シムラが叫ぶ。その指先が闘技場の広場を指差すと、全員回れ右して、そちらを見る。次の瞬間、グンゾウは岩陰に鋭い光を感じた。

「危ないっ!」

 突然、隣に居たアキがグンゾウの前に立って、盾を掲げた。

 

 

 雷鳴のような金属音。グンゾウは重たい鈍器が盾に当たったと錯覚した。

「キャッ!」

 小さな叫び声を上げたアキがグンゾウの胸元に飛び込んでくる。二人して岩の上へ倒れ込んだ。尻餅をつくグンゾウ。響くような痛みが脳天まで届く。

「おわっ! っててててて……」

 甲冑の上からとは言え、グンゾウがアキを抱きかかえる形になる。

 アキのうなじから漂う柔らかな甘い香りが、尾骶骨(びていつ)の痛みに耐えるグンゾウの鼻孔をふわっと包んだ。

 ――痛いけど……いい香り……。

「ごめんなさいっ! でも、なんて重たい矢なの?! 盾がへこんでる! グンゾウさんは私の後ろにいてください」

 アキが慌てて立ち上がり、面防(バイザー)を下げ、広場の方へ盾を構える。

 何が起きたか分からないグンゾウは、キョロキョロと周囲を確認する。すると、近くの観客席に太くて長い矢が落ちていた。

 ――太くて……、長い……、そして固い。……それは分からないか。

「ああ、アキ。ありがとう、助かったよ。アキが守ってくれなきゃ、即死だったよ……」

「気にしないでください。神官を守るのは聖騎士の務めですから」

 アキは真剣な顔で円形闘技場の中心をじっと見詰めていた。グンゾウはアキの勇ましい姿を頼もしく感じた。聖騎士として成長したアキ。

「ふたりとも足を止めたらあかんっ! 援護するから動いてやーっ!」

 シムラが再び大声で叫ぶと、同時に円形闘技場の中心目掛けて矢を放つ。狙いは緩く、数を多く放った。

 ヒュウッヒュウッという風切り音がして、上下に矢が飛び交う。

 一本の矢がアキの護衛の隙を縫って、グンゾウの鼻先を掠めた。

 ――俺、狙われてる?! 何で?

「う、動きましょう! 矢の狙いが正確性を増してきました。グンゾウさんは私の陰へ」

「そ、そうだね」

 グンゾウとアキは広場から離れるように、()鉢状(ばちじょう)の円形闘技場を登り始めた。

 アキは常にグンゾウを庇うように位置取る。アキの盾に矢が当たる度に、大太鼓のような低い音が鳴った。矢の勢いがとても強い。

 矢はグンゾウの動きに合わせて、飛んできている。広場から少し離れても、その勢いはあまり変わらない。

「完全に俺が狙われてる……何でだろう?」

「……もしかして、その士官服じゃないですか?」

 冷静に分析していたアキ。グンゾウは思わず自分の服を見詰める。

「うっ! ……そうっぽいね」

 グンゾウ達がシムラの傍まで辿り着く。

 アキはグンゾウとシムラの2人を守るため、自らが的になるように身体を開いた。飛来する矢に意識を集中するアキ。矢の勢いは、甲冑の隙間に当たれば鎖帷子(チェインメイル)を貫通するくらい強い。

「アキ、すまないっ! シムラっ! 敵は見えてる?」

「あー……、なんや、灰色い耳っぽいのがちらっとしか見えてまへん。あの岩の塔を使って、上手く隠れ取るんですわ。位置は下にいるから不利なんやけど……えらい強弓や」

「灰色? エルフなのか?」

 グンゾウの脳裏に、谷間の砦で見かけたミーリアの姿が浮かんだ。

「そうやと思います。知らんけど……」

「知らんのかーい」

 シムラの適当な返事に呆れるグンゾウ。そんな短いやり取りの間も、矢は一定間隔でグンゾウ達に飛来する。

「とりあえず早くこの矢の雨を抜けたい。段を上がりつつ、ヴェールと合流しよう」

「はいっ!」

 アキの素直な返事。

 そのアキの背後に隠れながら、グンゾウ達はヴェールの方へ向かおうと視線を向ける。

 すると、ヴェールは複数の何者かと戦闘をしていた。

「あれは……?」

 グンゾウの目には懐かしい生き物の姿が飛び込んできた。緑色系の肌と尖った耳、小さな身体にぽっこりと出たお腹。そして、とても醜悪な姿だ。

「懐かしい……そして、多いな」

 久々に対面する裸ゴブリン。

 ヴェールが簡単に負けるとは思えなかったが、数が多い。ぱっと見で10匹近くいる。

 隠れていたのか、広場に生えた草むらから、つぎつぎとゴブリン達が湧き出て、ヴェールを襲っている。中には小さな弓を持っている個体もいて、事故が怖い。ヴェールも手一杯らしく、グンゾウ達には気が回せないようだ。

「あんなに数が……、ヴェールを助けに行かないと……」

 アキが油断無く盾を構えながら、ちらっとヴェールの状況を確認した。

「行こう! ゴブリン達の近くに行けば、矢は飛んでこないはずだ」

「はいっ!」

 飛来する矢を避けつつ、グンゾウ達はゴブリンの群れにぶつかっていった。

 

 

「ヴェール、大丈夫か?!」

 咎光(ブレイム)からの強打(スマッシュ)。グンゾウの戦槌(メイス)が手近のゴブリンに振り下ろされ、頭部がトマトのように潰れた。

「問題ない。……しかし、急がねば伝令を見失う!」

 ゴブリンから振り下ろされた手斧を回避しながら、ヴェールは斬り上げでそのゴブリンの右腕を飛ばした。右腕の動脈から血飛沫が吹き出す前に、後ろから素早く首を斬り落とす。崩れるゴブリン。その生死を確認する(いとま)もなく、次の相手へ向かっていった。様相は氷の上で舞う殺人競技。

 ――確かにこんな雑魚に構っている暇は無いが……、弓使いの灰色エルフをそのままにしておくのも怖い。後顧の憂いは()っておきたいな。

 周囲にいるゴブリン達は所謂泥ゴブリンと呼ばれる類いの種類で、ダムロー旧市街でも見かけない位、雑魚中の雑魚だ。定住地を持たず、主に山中を彷徨(うろつ)いてる。

「ちっちきちーやでっ! ちっちきちー!」

 シムラが刈り払いからの斜め十字で1匹のゴブリンを圧倒している。体格的に勝っている敵は久しぶりなのか、活き活きと戦っている。

 アキは円形闘技場からグンゾウやシムラを守る位置取りをしながらも、得意なゴブリンを3匹程相手にしていた。

「グンゾウさん、ヴェールと先に進んでください。ここはシムラ君と私で片付けてから後を追います」

「そんな……アキを置いてなんて……」

「でも、あの灰色エルフを惹きつけておかないと、カレンさん達が戻ってきた時、危ないわ……来るっ! きゃっ!!」

 アキの盾が鈍い音を立てる。そして、盾に弾かれた矢が近くのゴブリンの頭部に刺さった。倒れる不幸なゴブリン。ゴブリン達と混戦になってから、矢の数は減っていたが、その分、狙いを澄ました一撃が飛んできた。

「ギギギギ……」

 周囲のゴブリン達にも緊張が走る。的が外れでもすれば、装備の薄いゴブリンは流れ矢で間違いなく死亡だ。

「……この弓使いの相手は、装備的に私しか無理だと思います」

 戦闘中にもかかわらず、アキがグンゾウを見詰めてくる。強い意志を感じる視線だ。

「グンゾウ、決めろ。急がねば何もかも無駄になるぞ」

 ヴェールが珍しく饒舌だ。それだけ時間が無い。話しながらも目の前のゴブリンの喉笛を掻き斬った。

「あいーん、だ。こんにゃろ、あいーん、だってんだ、だっふんだー!」

 シムラはいつの間にか弓矢に持ち替え、周囲のゴブリン達に乱れ撃っていた。次々矢に貫かれて倒れるゴブリン達。接射(つぎあて)という接近した状態から弓で矢を発射して攻撃をおこなう(スキル)だ。

 ヴェールとシムラがゴブリン達をだいぶ倒したため、伝令が駆け込んだ出口までの行き道が見えてくる。

 ――くそっ! なんで今日はこんなに悩まされる日なんだ。アキを置いていく……そんなことできるのか? 確かに後を追ってきたカレン達が狙われたら、被害が出る。盾が無く装備の薄いカレンは特に厳しい。ゴブリン達も少なくなったし、弓矢で狙われているのは俺だ。くそっ!

「シムラっ! 弓であいつに勝てるかっ?!」

 グンゾウがシムラに目線をやると、そこには太陽に照らされ、汗でキラキラと輝く青みがかった後頭部があった。

 シムラは言う。

「グンゾウさん……」

 シムラはスローモーションで振り返ると右手の親指を上げる。今まで見たことも無いような目一杯の笑顔。そんなに大きくない目が真ん丸に見開き、剥き出しになった白い歯がきらりと光る。

「……だーいじょーぶだーっ!」

 形容しがたい感情がグンゾウの中で高まり、何故だか涙が溢れそうになった。しかし、シムラの一言がグンゾウの意思を決定した。

「アキっ! シムラっ! 弓使いは任せた。絶対に死ぬなよっ! 行くぞ、ヴェールっ! 俺等は前進だっ! 全員全力で走るぞっ!」

 

 4人が全速力で出口に向けて走り始める。後を追ってくる2、3匹の残党ゴブリン達。

 疾走に呼応して灰色エルフの射的が、グンゾウ達へ目掛けて飛んできた。大量の矢。連射(つらなれ)だ。

 ヴェールを狙った矢は、その残像しか捉えることができず後ろの岩へ刺さる。

 シムラは穴鼠(あなねずみ)で矢を(かわ)した。

 グンゾウも精一杯体勢を低くして矢を(かわ)したが、(かわ)しきれないものはアキが盾打(バッシュ)で弾く。全力疾走しながら回転して矢を弾くアキの姿は、神話に登場する戦乙女(ヴァルキューレ)を思わせた。

「はぁはぁ、あぶねー、あぶねーって!」

 飛んでくる矢の多さに(つまず)きながら出口の通路に転がり込むグンゾウ。太股もふくらはぎも筋肉が痙攣している。背嚢に何本か矢が刺さっていた。

 ――うおお、筋肉が熱い……。

 既にヴェールとシムラは通路の中にいる。ヴェールは呆れた様子で、体力不足のグンゾウを見下ろしていた。最後にアキが通路に飛び込み出口で盾を構える。

「はぁはぁ、苦しい……。じゃあ、私は……、ここでシムラ君と敵を防ぎますので、……はぁはぁ、ヴェールとグンゾウさんは急いでください」

 アキは残党のゴブリンを防いでいる。アキが盾打(バッシュ)で2匹同時に吹き飛ばすと、ヴェールが後ろから飛び込み、余った1匹のゴブリンの眼窩(がんか)をひと突きにした。倒れたゴブリンへシムラが矢を撃ちこむ。

「アキ……、本当に大丈夫? はぁはぁ、君が心配だ」

「大丈夫です、グンゾウさん。はぁはぁ、惹き付けておくだけなので、危なくはありません」

 アキは闘技場を注視し、グンゾウを振り返りもせず答えた。小隊を守る頼もしい姿に、少し寂しさを感じるグンゾウだった。

「グンゾウはん……、アキばっかりで、俺の心配は……?」

 グンゾウの心拍数が上がる。シムラが若干拗ねたような声と、恨めしい目でグンゾウを見詰めてきた。疑念と微妙な嫉妬が混ざる微妙な雰囲気。

「お、おおう、おう、シムラもな……そうな……まあ、男の子だから大丈夫かなって」

 その微妙な雰囲気を暗黒騎士(ドレッドナイト)が一刀両断する。

「行くぞ、グンゾウ。既に伝令の姿が見えない」

 救いの悪魔を得て、助かるグンゾウ。

「よし、光の護法(プロテクション)だけかけ直す。光よ、ルミアリスの加護のもとに……」

 グンゾウの唱えた光の護法(プロテクション)が4人の手首に青白い六芒の光をもたらす。

「じゃあ、アキ、シムラ、無理はするなよ。タナカやカレン達の戻りを待つんだ」

 2人共にグンゾウの方を向いて、笑顔で返事をする。

「はいっ!」

「はいなっ!!」

 その笑顔を確認するや否や、ヴェールとグンゾウは奥へと走り始めた。

 ――待ってろ、ブリセイスっ!

 

 

「きゃっ! もうっ、ちょっと何なの」

 円形闘技場に残ったアキとシムラ。

 姿を見せていると灰色エルフから狙い澄ました狙撃をされ、姿を隠すとどこからかゴブリンの小集団が現れ、索敵攻撃を受けた。その度に、アキとシムラは消耗していく。

 アキは少し腹立たしくなっていた。

「さっきから、隠れるとちょこちょこゴブリンは湧いてくるし、姿を見せるとすごい速い矢は飛んでくるし。何なのかしら、あの灰色エルフ」

「確かに、腹立つわ。何や自分は全面に出ず、こそこそと……ハイドみたいな奴やな」

 シムラはケラケラと笑う。

 2人とも今は闘技場出口の中で盾だけ外に出しつつ、しゃがんで姿は隠していた。

 お気楽なシムラに比べ、アキは面防(バイザー)の奥で、苦々しい顔をしていた。

 相手の姿はよく見えない。持久戦に持ち込まれている。集中力が切れるのが一番辛い。アキは、いつか自分の気力と体力が尽きるのでは無いかと心配していた。

「シムラ君。あの灰色エルフを弓で狙えないの?」

 アキは少し苛立った声で訊いた。シムラはアキの語勢に少し驚く。汗ですべすべの頭を撫でながら答えた。

「正味な、弓同士の戦いは上からの方が圧倒的に有利やんか。もうちょっと高い所に登ったら、あの岩の柱があっても絶対狙えると思うわ」

「そっか……」

 アキの中で色々な思いが複雑に渦巻く。シムラと自分の体力の限界。カレン達が狙撃される危険性。グンゾウとヴェールを援護したい気持ち。それら全てを評価して、結論を導き出す。

「……シムラ君。打って出ましょう」

 アキの発言に、きょとんとしてしまうシムラ。しかし、アキの口から出た意外な言葉に逆らう気は起きなかった。

「合点承知の助」

「私が先に出るから、私を盾にして階段を上って。狙える場所まで行ったら、弓使いを狙って。シムラ君は私が守るわ。だから……絶対仕留めて。行くわよ」

「狩人のプライドにかけて絶対当てるでっ! 知らんけど」

 シムラの言葉にアキは突っ込むこともなく、出口から飛び出した。後ろにシムラが続く。

 飛び出した瞬間、風斬り音が唸り、一射飛んでくる。予想していたアキは盾を繰り出し、矢を弾く。

「いでぇーっ!」

「え?」

 アキは驚いて後ろのシムラを振り返る。弾いた矢が勢いを保ったまま、シムラのふくらはぎに刺さったようだった。アキの背後でうずくまるシムラ。

「シムラ君っ!」

 アキが後悔する暇も無く、次々と矢が飛来する。防御に専念しなければならず、シムラの治療に集中力が割けない。

「いぢぢぢぢぢぢぢぢぢ。アキ……大丈夫や……。痛いけど、苦しくはない。毒は無いらしい」

「シムラ君。ごめん……私が……」

 後悔と焦燥がアキを襲う。アキの視界が涙が滲む。

「ちゃうねんて、2人で決めたことやんか。……でも動けへんからここから狙う」

 シムラは闘技場出口の壁に寄りかかりながら立ち上がると、弓に矢を(つが)えた。

「うん……。絶対、守るから」 

 アキは頭を振って湧き起こる後悔と不安を振り払った。「今は敵の攻撃に集中しないと」と心の中で呟き、アキは目の前の景色に意識を集中させた。

 闘技場中央から少し右にずれた岩陰に金属の光が見える。

「シムラ君っ! 中央右、4段の岩陰」

「だーいじょうぶだーっ! 速目(はやめ)っ!」

 シムラも勢い良く矢を放つ。

 シムラの放った矢は狙い通りに放物線を描き、岩陰に吸い込まれる。

「当たった?」

「駄目やっ!」

 シムラの言葉通り、お返しとばかりに凄まじい一射が飛んでくる。盾受(ブロック)したアキの盾を高らかに鳴らした。アキの手が痺れる。

「手が痺れる……。盾を落としそう……。シムラ君どうする? 一旦、出口の中に隠れて治療した方が……」

 アキの提案にシムラは首を横に振った。

「駄目やねん。次の一射に全てをかける」

「どうし……」

 アキの言葉が切れるのを待たず、シムラが話し続ける。

「弓って脈拍で狙いがずれんねん。それくらい繊細で、心身に影響されるん。それを抑えるために速目(はやめ)止目(とめりめ)っていう(スキル)があんねんけど、さっき速目(はやめ)は使ってまったもんで、しばらく使えんねん。それに……」

 そこでシムラは一息吐く。しばしの沈黙。そして思い立ったように言葉を続ける。

「……こんなん言うんもアレやけどな、俺、怖いねん。だから指も震える。さっきの射撃もやけど、本当は嫌やねん。怪物(モンスター)ならいざ知らず、人を狙うのも、人から狙われるのも。たぶん今度隠れたら、二度と出られへんし、当てられへんと思うわ……」

「シムラ君……」

 シムラの独白を背中に受け、アキは何を言って良いか分からなかった。普段、それほど話した事がないシムラの深い感情を知って、戸惑った。

「気持ち切り替える! さっきは少し早すぎた。あいつも弓を放つ瞬間は、顔を出さなあかん。その一瞬を狙うっ! ぎりやから、しっかり守ってやっ!!」

「……うん。任せて」

 シムラの気持ちに返事はできなかったが、アキは自分の役目をしっかりと果たそうと思った。自分は聖騎士で、人を守るのが使命。シムラの気迫に勇気づけられたアキは、無言で何度も頷いた。

 

 

 精神力を削る最高の集中力を持って、アキもシムラも闘技場の中央に灰色エルフの気配を探る。

 高度な集中に入り込んだ時のアキは、白昼夢のように景色がぼやけ、何も聞こえなくなる。逆にシムラは少しの(くつろ)ぎがないと集中できない。

「あいつは多分右利きや。せやから、必ず岩の向かって左側に顔を出す」

「うん、わかった」

「少し見えたくらいでは、矢は放たん。あいつが(つる)をリリースする直前、完全に頭が岩陰から出た瞬間を狙う」

「うん、わかった」

「……来週の食事当番変わってくれへんか?」

「うん、わかった」

「なんでやねんっ!」

「うん、わかった」

「……。アキ姉さん……、おっぱ……」

 シムラが冗談を言いかけた時、闘技場の草むらに動きがある。先程、灰色エルフが居たと思われる場所から若干手前の岩陰の傍に草の動きがあった。

「いたわ……っ! 手前の3段の塔」

 アキの言葉にシムラも闘技場へ集中する。シムラは弓に矢を(つが)え、完全に引き絞る。

 シムラは狩人になった時から集中する儀式がある。その儀式が上手くいくと、不思議とどんなに狭い的でも当てることができた。

 深く息を吸い、それから極限まで吐く。そのまま息を止めた。

 軽い窒息感。1分間に100回、心臓の鼓動が耳に聞こえる。

 自分の精神を矢と一体化させる。まるで矢の先に自分の目があるように錯覚するまで精神を統一させた。その矢の先の目から的を見る。視界は狭まり、心臓の鼓動だけが自分を感じさせる。まだ視界の先はゆらゆらとして、陽炎の向こうにあるようだった。

 そのまま心臓の鼓動を減らしていく。死へ向かう集中。

 手や足等、末端の感覚が失われていく。もう自分という存在はなく、一本の矢があるだけだ。後は放たれるだけ。

 心音が遠のき、同時に視界はさらに狭まる、その代わりに景色は鮮明さを増していく。まるで、望遠鏡の焦点が合っていくかのよう。

 その焦点の先に灰色エルフが居た。

 シムラのそれよりも1.5倍はあろうかという大弓を構え、こちらを見据えていた。

 一瞬目が合う。

 お互い認識できる距離ではなかったが、シムラはそう感じた。

 灰色エルフの弓使いは練達で、その冷淡な眼光には次の一射でシムラを仕留める気迫が宿っていた。シムラの未来予測に灰色エルフの狙いが見える。シムラの眉間を貫く見事な射線。

 シムラは心の中で「これはあかんかもしれんなー。俺に時間を止める力でもあればなー」っとぼんやり思った。

 次の瞬間、中天を過ぎた太陽が傾き、少し角度を持った秋の日差しがシムラの頭部に当たる。その剃りたての頭皮に輝く青春の汗が、太陽光を眩しく反射した。

 その輝きが、シムラの額へ意識を集中させていた灰色エルフの目を(くら)ます。

 生死を分ける一瞬の揺らぎ。

 (まばた)き程度の刹那。

「喰らえっ! 学研都市線名物、放出(はなてん)っ!」

 灰色エルフの一瞬の揺らぎを感じ、シムラは無意識で渾身の矢を放つ。

 矢は真っ直ぐに灰色エルフ目掛け飛翔し、認識できない時間の中で残像だけの軌跡を描いた。そのまま静かに、そして吸い込まれるように灰色エルフの眉間を貫いた。

 

 

「うぃいやっほおおおおおぉぉいっ! やってやったでっ!」

 シムラは両腕を天高く突き上げて歓喜の雄叫びを上げた。そのまま尻餅をついてしゃがみ込む。

「え? ほんと? やったー! シムラ君。やったねーっ!!」

 少し遅れて、灰色エルフが倒れる様子を目撃したアキも喜んだ。

「俺はやったで、やったんや。勝ったんやー」

 シムラは感激で涙を流していた。その姿をみて、アキも嬉し涙が溢れてきた。

「本当によくやったよー。シムラ君、おめでとう……あ、足、治療しないと」

「え? あ? ほんまそれ。いでででで、あかん、これめっちゃ痛いで、ありえへん。これ抜かんと駄目?」

「んー、駄目だね。とりあえず、刺さった矢を斬ろうか? 自分でやる?」

「そないな……っ! 鬼やでアキ姉さん」

 アキとシムラは笑顔で足の治療方法について相談を始めた。

「矢が抜けた瞬間に癒し手(キュア)をするから、自分で抜いて」

「そないな怖いことある? ……そんなんあかんで」

「でも、早くしないといつまでも痛いでしょ?」

 今回の兵団指令で最大の敵を敵を倒した安堵感から、痛い治療も楽しくて仕方が無い。

 普段あまり組むことのないアキとシムラであったが、今回の戦闘を通じて仲間としての信頼の高まりを感じていた。

 

 

 そんな戦闘後の穏やかな治療時間。

 怪我の治療に夢中になっている2人は気付かなかった。

 背後に異形の者が迫っていることを……。

 




二手に分かれたリョータ小隊。
カレンと共に地下を探索するリョータ、ヨシノ、ハイド。
その道はブリセイスへ続く希望の道なのか、それとも……?
「シシシシシ……遂に、遂に僕が本気を出す場面が来た……っ!」
次回「24.あなたが食べられる全て」
お楽しみに!


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