今回のヤマを終えたルパンと次元。
向かう先は…。

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ルパン×次元+銭形のほんわかストーリー。

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相棒

「ヌフフ…じげ~ん、うまくいったなぁ!」

 

夜の一本道をベンツで走りながら、ルパンは隣に座る男"次元大介"に声をかけた。

 

「へへっ、間違いねぇ。」

 

煙草をくわえながら嬉しそうに笑う次元。

今回ルパン達は見事にお宝の山を盗みだしたのだった。

二人とも笑いが止まらない。

 

「とっつぁん悔しそうな顔してたぜ。」

 

「あぁ、いつものことだが今回もしぶとかったな。」

 

「あ!そうだ次元、ちょーっと寄りたいとこあんだけっどもいいかな?」

 

「ん?構わねぇけどどこに寄るんだ?ルパン」

 

「ヌフフ…な~いしょ!」

 

「………危ないところじゃないだろうな?」

 

次元は疑いの眼差しを向けながらもどこか楽しそうだった。

 

 

そんな会話をしながら車を走らせること数分。

 

「ここだ、ここ!まだやってんのかなー?」

 

小さなバーらしきところに着くとルパンは車を停めた。

バーの入り口には"OPEN"の文字を型どった電飾がチカチカと力なく光っていた。

 

「お前さんの寄りたかった場所はここか?」

 

次元はゆっくりと車から降りる。

続いてルパンも車から降りた。

 

「そ。覚えてるだろ~?マスター元気かな~。」

 

思い出の場所、と言えるような思い出ではないけど、以前も二人でこのバーに来たことがある。

まだその時は二人とも若くて未熟だった。

仕事を片付けたあと、上手くいったお祝いにとこのバーで飲み明かしたのだ。

 

 

入り口のドアを開ける。

 

「よぉ、マスター。ひっさしぶりだな~。」

 

ルパンが愛想よく店内への入った。

 

「おお…、ルパンか。元気にやってるかね?」

 

マスターはガタイの良い白髪のおじいさんで、優しそうな笑みを浮かべていた。

 

「よぉ、マスター。」

 

続いて次元が店内に入るとマスターは更に嬉しそうに微笑んだ。

 

「やっぱりお前たちはいつも二人一緒なんだな。久しぶりに顔を見せてくれて嬉しいよ。」

 

二人はカウンターに腰掛けた。

ルパンは「ワイン。」、次元は「バーボン、ロックで。」と注文すると、二人同時に煙草に火をつける。

辺りが煙草の煙で白く霞む。

 

「マスター、今日も仕事が上手くいってさ。」

 

ルパンが嬉しそうに話し出した。

マスターもまた嬉しそうに話を聞いている。

まるで息子の成長を喜んでいるかのようだった。

 

ルパン達は目の前にワインとバーボンを出されると、「「乾杯!!」」と豪快にグラスを鳴らして酒を呑んだ。

今夜はやたらと酒が美味いせいか二人とも呑むペースが早い。

アルコールはお酒の種類とか、安い高いとかよりも、一緒に呑む人によって美味い不味いが決まる。

 

懐かしい場所とか、懐かしい人とか、お宝の山とか、美味しいお酒とか、大事な相棒とか、全てが今この瞬間を満たしてくれていた。

新しいものやスリルは好きだけど、ふと立ち止まりたい時もある。

振り返りたい時もある。

"今"に疲れたわけじゃないけど、全て繋がってる気がするから。

 

そしてたまに大切な人に感謝を伝えなきゃいけないと思う。

 

「今俺がここにいられるのはお前さんのおかげさ、次元。」

 

次元は驚いて口をポカンとあける。

その開いた口からポロリと煙草が落ちた。

 

「あちっ…!あちち!!」

 

落ちた煙草は次元の手の上に落ちて危うく火傷をするところだった。

 

「だ、大丈夫か?次元。」

 

「な、なんだよルパン、もう酔っぱらってるのか?」

 

バーボンのせいか照れたのか、次元はほのかに頬を赤くしている。

 

「ヌフフ…ちょっとだけ酔ってるかもなあ~♪」

 

「………。…俺の相棒はお前さんだけさ。」

 

次元は頬を赤らめたまま小さな声でぼそりと呟いたが、しっかりとルパンには届いていたようで。

 

「あったりめぇよ~!次元ちゃん愛してる~。」

 

ルパンは勢いよく次元に抱きついた。

いつもなら振り払う次元も今夜は抱きつかれたままバーボンを味わっていた。

 

本当は言葉に出さなくてもわかってる。

ありがとう、という言葉じゃなくても、感謝の気持ちは伝わってる。

 

打ったら響いた――――――

 

最高の相棒だ。

 

 

 

 

 

「ルパーーーン!!!!!逮捕だー!!!!!!」

 

その時、勢いよく入り口の扉が開き、同時に叫び声がした。

 

「「と、とっつぁん!!!???」」

 

二人とも驚いて入り口に目をやる。

 

「今度こそ逃がさんぞ!!!!」

 

そこには鼻息を荒くした銭形の姿。

 

「ありゃりゃ、マスター悪い!また来るぜ!」

 

札束をテーブルに置くと、ルパンと次元は窓から飛び出した。

 

「あぁっ!!!!待て!!!!」

 

ルパンと次元はベンツに乗り込み、凄い勢いで走っていった。

それを追いかけるように銭形の乗るパトカーが走っていく。

 

バーの中を静けさが包んだ。

 

 

 

 

「やれやれ、とっつぁんもこんな夜中までごくろーなこった。」

 

次元はため息をつく。

 

「とっつぁんらしいな。」

 

追われながらもルパンは少し楽しそうだった。

銭形との付き合いも長い。

きっとこれからも離れられない運命なのだろうと思う。

 

 

「待てーー!!!!!ルパーーーーン!!!!!!」

夜の静寂を銭形の声が切り裂いた。

 

 

 

 

 

Fin.

 

 




ルパンと次元が仲良しだとほっこりしますねぇ。
銭形さんもルパン大好きでほっこりします。
これからもル次作品書きたいです。


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