IS インフィニット・ストラトス 〜太陽の翼〜   作:フゥ太

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新章ついに突入!





でも初っ端は説明回。



モッピー……(;ω;)



ではお楽しみください


三章・過去に思うこと
千冬からの贈り物


 

 

 

 

 6月も半ばを過ぎ、日本特有の長雨シーズンである、梅雨の中休みとも言える晴れ間が見える日。

 

 度々起こっていたオーガコアの被害によって破壊されたアリーナも校舎も完全に復旧し、IS学園の学生達は、近々開かれる学年別トーナメントに向けての訓練に余念がなかった。各国家や企業のVIPが多数来賓として来日し、日々の自分達の修練の成果を見せることで、その後の自分達の進路を決定する大事な催し物なだけに、このトーナメントで皆が優勝しようと、気合の入った訓練を誰もが行っているのだ。

 

 そんな中、トーナメントに関らないにも関らず、異常な気合が入った訓練を行う者がいた………。

 

「うおおおおおおおおおおっ!!!」

 

 鬼気迫る表情で、白式のスラスターの出力を上げ、空中に浮遊している訓練用の障害物を次々と避けながら前進し続ける。長さ10m、幅1mほどの鉄柱を地面に串刺し、木の枝のように鉄棒を網目に生やして一夏の前進を邪魔しにかかっているのだ。

 

「(チッ!)」

 

 心の中で舌打ちしながら一夏は自分の前方の空間を睨み付けように見る。そう、自分の『競争相手』を………。

 

 ―――自分とは違い、見惚れるほどに優雅なマニューバで鋼鉄の網目を掻い潜っていく―――

 

 ISと比べて驚くほどに小さいため、サイズ的には向こうが有利なのだが、最高速度、加速力は自分が遥かに凌駕している。だが、その事実が逆に一夏に悔しさを込み上げさせているのだ。

 

「(なんで、なんで………)」

 

 もうすぐゴールにたどり着いてしまう。だがいくら加速しようにも無数に生えた鉄の棒がそれを阻害し、逆に相手は旋回しながら悠々と加速して距離を開きにかかる。

 

ゴールまで100mを切った時点で、我慢ができなくなったのか一夏は更に加速する。

一瞬だけ距離が近づき、追い越せるか? と安堵する一夏………だが。

 

「くっ!?」

 

 右斜め下に落ち、再び急上昇しようとしたが、陰に隠れていた鉄棒の存在に気がつき、減速して回避しようとする。が間に合わず左肩が鉄棒に接触し、結果バランスを崩して錐揉み状に回転しながら地面に落下してしまう。

 

「うおおおおっ!!」

 

 地面スレスレまで差し掛かった時、一夏はスラスターを全開にしてなんとか持ち直し、再び進路に入ろうとした。

 

「あっ」

 

 しかし、競争相手のほうはそんな一夏を待ってはくれず、悠々とゴールする。

 

 一夏を負かした競争相手………『全身黒っぽくて、喉と背中と下尾筒が白く、尾羽は短めで体形もずんぐり』とした姿をしたその主は、まるで一夏を小馬鹿にするように悠々と上空を旋回し続け、一夏は歯軋りしながらその姿を眺め続ける。

 

「はぁ~~………これで32敗目か」

 

 アリーナの脇で計測していたシャルが、困った顔でそう言いながら近づいてくる。一夏はシャルの言葉にがっくりと項垂れ、そして空を仰ぎながら、思わず叫んでしまうのだった。

 

「な、何で俺は、ツバメにすら勝てねぇーんだよぉぉぉぉぉっっ!!!」

 

 正式名称『アマツバメ目アマツバメ科ハリオアマツバメ属』

 鳥類において、最速ともいえる飛行速度を持つといわれる『ハリオアマツバメ』はそんな一夏の叫びを余裕の表情で受け流すのだった。

 

 

 

 

「……………」

「そんなに不貞腐れないの?」

 

 ISを解除して地面に座る一夏にドリンクを渡すシャル。その表情と言葉は、姉と弟のようなものである。だがシャルの言葉にも、一夏は憮然とした表情を崩すことなく、受け取ったドリンクを一気に半分ほど飲み干すと、地面に置いて立ち上がり、右腕に触れISを展開しようとする。

 

「うし、休憩終わり!」

「終わりッ! じゃないよ!! また初日みたいに無理して落下して大怪我仕掛ける気なのかな?」

 

 ジト目で睨んでくるシャルに、一夏は冷や汗をかきながら曖昧そうな笑顔で頼み込んでみた。

 

「なあ、俺は一日も早く…」

「一日も早くIS操縦者として成長したいなら、今は織斑教官と火鳥隊長の言うことを聞いてください。以上」

 

 一刀両断で一夏の願いを切り落とし、シャルは一夏の肩を掴んで座らせるのだった。

 

「もう………そうやってすぐに無理しようとするから、私が監視役になってるんだよ?」

「………いや、それはわかってるけどさ……」

 

 そう。本来ならシャルも別のメニューをこなす予定だったのだが、訓練メニューを言い渡された一夏が、初日にしてオーバーワークをした上に、空中でシールドエネルギーをゼロにして生身で地面に放り出されかけるという大事故寸前の重大な行為を仕掛けたため、千冬と陽太の厳命によって『誰かをパートナーにして付き添ってもらう』ことを条件にされているのだ。

 おかげで一夏も3時間以上説教をされたが、それでも一夏の様子を見る限り、心底反省した様子はない。

 

 というか、現状、オーバーワーク気味な訓練を行っていない対オーガコア部隊の隊員達は一夏の監視役をしているために、練習量が限られているシャルぐらいである。

 

「はあああああああっ!!」

 

 空中から次々と襲い来る

 一夏達の隣のアリーナで練習する、セシリアの激しさは一夏を超えるものがあった。

 

 アリーナ内部で、空中から大きさ50cmばかりの訓練用のデコイが次々と攻撃を仕掛けてくるのを、セシリアはISを展開させ、地面スレスレを疾走しながら回避する。訓練用デコイの攻撃は通常、ISの訓練用プログラムで擬似的に再現された攻撃であり、ハイパーセンサーを系由して操縦者に軽いダメージを与える程度なのだが、セシリアはこともあろうにそのダメージレベルを実戦と同じレベルにまで引き上げていた。つまり攻撃を受ければ、ISの損傷も外傷もつかいなが、彼女の神経は実戦で攻撃を受けたのと同じ痛みを彼女に与えるのだ。

 

「くっ!」

 

 三連バルカンモードのスターライト・アルテミスで次々とデコイを落としていくが、数の違いと相手の弾幕によって、思うように反撃ができない。

 そこで彼女は、ブルーティアーズ・トリスタンの切り札を使用し、デコイの攻撃を遮断しにかかった。

 

「SBビット、パージッ!」

 

 背部の機動用ウィングからパージされた八つのライフルのような形状をした浮遊ユニットが、それぞれ独立した動きでセシリアの周囲を飛び交うと、彼女の号令によって戦闘形態を変化させる。

 

「モード『ディフェンス』!!」

 

 彼女の号令を受けたビット達は、即座に自身の装甲を展開し、それぞれが小型の盾に変形し、セシリアの周囲を浮遊しながら360度どの角度からの攻撃にも即座に対応する。

 蒼の姫騎士を狙う音速の矢を、絶え間ない動きで防ぎきる重装兵のごときSBビット達に守れたセシリアは、三連バルカンモードのアルテミスで次々とデコイを撃ち落していくが、その10秒後、突如として激しい頭痛に襲われると、射撃の精度が荒くなり、ビットの動きも繊細さを無くし始める。

 

「こ、この程度でッ!?」

 

 頭痛に襲われながらも必死にデコイを狙い撃ち続けるセシリアであったが、時間が経過すればするほど自身の状況が悪くなるのを感じ、それをどうにか挽回しようと躍起となり、ついにはSBビットのコントロールを誤り、防壁に致命的な穴を開けてしまう。

 

「!?」

 

 デコイの射撃が複数自身に襲い掛かり、その場を飛びのこうとした時、またしても激しい頭痛に襲われ

、初動が遅れてしまう。迫る攻撃に身動きがとれず、棒立ちの状態となるセシリア………。

 

「ボヤッとしないッ!」

 

 そんなセシリアを救ったのは、連結させた双天牙月をプロペラのように振り回し、即席の盾とした甲龍・風神を纏った鈴だった。

 

「世話が焼ける!」

 

 更に鈴に続くようにアリーナに現れた、『シュヴァルツェ・ソルダート』を纏ったラウラが、自身のISの武装を展開し、砲口をデコイ群へと向け、狙いを定める。

 背部のビームと実弾の連装となっている『ハイブリッドバスターキャノン』が迫上り、ラウラは対人戦ではオーバーキルになりかねない砲撃を放った。

 

「Fire(発射)」

 

 ボソリとつぶやく様に引き金を引いたラウラを、放たれた砲の衝撃が襲う。足元の衝撃緩衝機(ショック・アブソーバー)が、地面を砕くほどの衝撃を受け止めるが、それを差し引いても今までにはない威力にラウラが若干ながら唇をかみ締めた。

 

 デコイ群に向かって放たれた四条の閃光………高密度荷電粒子ビームと95口径レールカノンの大口径の圧倒的な破壊力の前に、竜巻を前にしたダンボールハウスのごとく、飲み込まれ、一瞬で蒸発してしまうデコイ達は、ほんのわずかな燃えカスのような残骸だけを残してアリーナの空から消え去ってしまう。

 

「………試射の時、一度見せてもらったけどさ………それ、訓練の時に使わないでよ?」

「当たり前だ。対人戦での心得ぐらいわきまえている………鈴、お前は私がなんでもぶっ放せば気が済むトリガーハッピーだとでも思っていたのか?」

 

 圧倒的な破壊力に内心肝を冷やしたのか、ジト目で注意する鈴と、『それは心外だ』と、両腕を組んでムッとするラウラであったが、地面に手をつきながら、激しく息を切らすセシリアに気がついた鈴は、そんな彼女を労わりながら注意する。

 

「ようやく私のISの修理終わったから、ラウラと格闘戦の訓練しようと思ったら………アンタッ! どんな無茶しているのよっ!?」

「も、申し訳ありませんわね鈴さん………」

「痛覚の設定を実戦レベルまで上げていたそうだな。下手をすると大事故に繋がっていたぞ?」

 

 ラウラもセシリアの無茶に呆れながらも怒りを見せるが、セシリアは汗を拭うと、二人にはっきりとした表情で反論をする。

 

「今まで通りの訓練では、到底実戦では皆さんのお役に立てませんから」

「それで無茶をしてどうなる? それに、セシリア………新型BTのサポートOSをOFFにして、すべてマニュアルで操作していたな?」

 

 ラウラの発言に鈴も表情を変えてセシリアを見た。

 対オーガコア用にチェーンされた新型ISは火力の増強にとどまらず、複雑なシステムを組み込まれており、従来のマニュアルではあまりにも操縦者の負担が大きく、それを軽減するためのOSが組み込まれているのだ。ましてやセシリアのISは、BTを稼動させるISなだけに、数も性能も増したビットを操作するには負担が大きすぎて、オートでのシステム使用が大前提なのだ。

 

 だが、セシリアはラウラの冷静な意見に対しても、ガンと自分の意見を曲げようとはしなかった。

 

「SBビットの同時操作と高速機動、そして銃撃………これらをマニュアルでこなせるようにならなければ、亡国機業(ファントム・タスク)には抗することはできません」

「だけど、それで無茶しちゃ・」

「敵は私達の状況を待ってはくれません!! マリア・フジオカの発言をお忘れですか!?」

 

 ―――亡国幹部は次元が違う―――

 

 先日のマリアとの戦闘において、まったく相手にならなかったことが、いたくセシリアのプライドに傷がついたのだった。ましてや、マリアの発言どおりならば、彼女などよりも遥かに強い者達が亡国には控えている。もし、そんな者達が一挙に攻めてくれば、たとえ陽太がいても、対抗しきれるわけがない。

 

 セシリアは、強くなれない苛立ちと、まだ見えぬ強大な敵への恐怖、それらを拭い去ろうと躍起になっていたのだ。

 

「ましてや、織斑先生は・」

「セシリアッ!」

 

 鈴の大声がセシリアの言葉を遮る。セシリアは自分が言いかけた言葉を理解した瞬間、己の失態に気がつき、ラウラの方を見た。

 

「…………解っている」

 

 音がなるほど拳を握り締め、うつむきながらも、何とか理性を働かせようとするラウラのそんな姿に、セシリアは激しい後悔と罪悪感に襲われ、慌てて頭を下げる。

 

「申し訳ありませんラウラさん!! 私…」

「いい、頭を上げてくれ」

「しかしっ!?」

「大丈夫だ………私は、成長しなければならないからな」

 

 無理やり作ったぎこちない笑みで、セシリアの肩を軽く叩くラウラの痛々しい姿に、セシリアは自分の愚かさを内心で嘆いた。

 

 そう、話は一週間前、マリアが学園を去ってあくる日まで遡る。

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

「よし、全員揃ったな」

 

 未だにベッドで寝ていないといけない重病人の陽太を気遣って、対オーガコア部隊のメンバー全員が保健室に集められていた。

 ベッドで寝転がりながら、シャルが剥いたリンゴ(ウサギさんカット)をほお張りながら、陽太はなんとも言えなさそうな表情で千冬を見て、意思確認を取る。

 

「なんでまた急に話す気になったんだ?」

「今のお前達なら、信じて託せる………いや、初めからそうしなければならなかったところを、私の我侭が、話をややこしくしていたのだな」

 

 千冬の穏やか表情が、今一つ納得できない陽太は、憮然とした様子でリンゴを食し続ける。隣で座っているシャルが『一人で食べ過ぎだよ』と注意するが、一向に聞く気配もないが………。

 そしてこれから何を話されるか、カールを除けば唯一知っている陽太と千冬の間で交わされている内容が理解できないメンバーたちはそれぞれ目を合わせて、首を傾げていた。

 

「それで? 千冬ね………じゃなくて、織斑先生は、俺達に何話すんだよ?」

 

 一夏がもっともな質問を千冬にした時、彼女は一夏を真っ直ぐに見つめて言った。

 

「覚えているか? 一昨日、お前に話したいことがある、と言ったな」

「あ、それか………って、俺だけじゃないのかよ?」

「ああ、これは皆に知っていてほしいことだからな」

 

 千冬は、首を傾げる一夏を、足を伸ばして椅子に座る鈴を、一人マイカップに紅茶を入れて飲むセシリアを、鼻息を荒くして『何でも言ってください』という心の声が丸聞こえのラウラを、カールからコーヒーを受け取る真耶を、もう一個リンゴを剥いてとお願いする陽太の手を無言で叩きながらこちらを真剣な表情で見るシャルを、それぞれ見回して、そして語った。

 

「私の身体のことだ………どうやら私は、このままだと来年まで生きてはいられないそうだ」

「「「「!!?」」」」

「ふざけんなっ!!?」

「何の冗談ですか、それはっ!!!?」

「もちつけ一夏、ラウラ」

 

 シャルが、セシリアが、鈴が、真耶が、息を呑み、一瞬で理性が蒸発した二人が千冬に詰め寄ろうとするが、そんな二人の後頭部に枕が見事に命中する。

 

 コーヒーを飲みながら世間話をするように自分の寿命が間近だと語った千冬に、間髪いれずにブチキレた一夏とラウラだったが、そんな二人の後頭部目掛け、保健室のベッドに備え付けられている枕をブン投げ、見事に命中させた陽太は、いたって平然とした表情で二人を諭そうとした。

 

「お前達がキレても、事実は変わらん」

「ふざけんなっ!! お前まで、何の冗談だよ!?」

「嘘にしては悪質だぞ、陽太ッ!?」

 

 あくまでも『嘘』と、『冗談』と、単なるホラだと信じたい一夏とラウラだったが、カールは自分の眼鏡をかけ直す様な動作をしながら、ダメ押しのように言い放った。

 

「嘘じゃない。本来なら即ICUに入院していて貰わないといけないぐらいの、重症だ」

「「!?」」

 

 カールのその言葉に、力を失った一夏とラウラはするすると床に座り込むと、頭をかきむしりながらうつむいて千冬に問うた。

 

「い、いつからなんだよ………千冬姉?」

「………10年前から………私の過ちが残した当然の報いだ」

「!? そんな………前から?」

 

 そして言われてみて、初めて彼女がしていた行動の不審さが脳裏によぎり、合点が言った。

 学園に着てからの妙な体調不良、そしてここ数年間、時々電話一本だけして外出しては、数週間姿を見せなかったりしていたことがった。深く追求してもはぐらかされたり、物理的に黙らされてたりしたときもあったが、まさかそんな事情が裏にあったとは知らなかった一夏は、崩れ落ちながら………。

 

「(………俺の小学校の授業参観のときも、弁当必要だって言ったら朝の四時から作ってくれた時も、夏休みの宿題見てくれた時も、麻疹にかかって看病してくれたときも………)」

 

 ―――一夏、無事かっ!?―――

 

「(第二回モンド・グロッソの時に、誘拐された俺を助けてくれた時も………)」

「………一夏」

 

 第二回モンド・グロッソ決勝の日、観戦に来ていた一夏が謎の集団に拉致された事件があった。その時、千冬は決勝をボイコットし、ISを展開したまま、一夏が監禁されていた場所に急行して見事に救出してくれたのだ。もっとも、それによって決勝は不戦敗となり、国家代表の座は見事に没収となってしまったが………。

 

「………あの時も…」

 

 ―――千冬は戦っていたのだ。自分の死と向き合いながら………それでも……それでも、何よりも自分の命を削りながら、一夏(自分)を育て、守ってくれていたのだ―――

 

「……千冬……姉…」

 

 床を見つめる自分の瞳からいくつも涙が零れ落ちる。視界が滲み、嗚咽が漏れてしまう。

 

「グッ………クッソッ!」

 

 暢気に構えていた自分に激しい怒りを感じ、それをつい、理不尽に千冬に向けかけてしまった。

 

「どうしてッ!! 何も言ってく・『アチョーッ!!』」

 

 ………シリアスな一夏の叫び声が、背後から高速で降ってきた怪鳥音と踵落しによって遮られてしまう………無論、そんな空気が読めないことをしたのは言うまでもない。

 

「だから、すぐにキレるなと言っとるだろうが?」

 

 ベッドから飛び起き、一夏まで一足飛びで近寄って踵落しで一夏にツッコミををいれた陽太は、近くの椅子に適当に座ると、素足をボリボリと掻きながら、涙を流しながら頭を抱える一夏と、びっくりした表情になっているラウラに言い聞かせる。

 

「俺達が騒いだところで、もうやっちまったもんはどうにもできんのだ」

「ふ………ざけんなっ!!」

 

 だが、頭に血が上っている一夏には、この行為は逆効果だったのか、起き上がると陽太に猛然と掴み掛かりながら食いつく。

 

「関係ないお前は引っ込んでろよ!! 今はお前のふざけに付き合ってる場合じゃないんだッ!」

「関係なくもないし、ふざけてるわけでもない」

「千冬姉が、もうすぐ死んじまうかもしれないんだぞ!? それもずっと黙ってて!! お前に………お前に、俺の・」

「話の根本が間違ってる」

 

 陽太は目の前で掴み掛かってくる一夏から目を離すと、千冬に向かって公然と言い放った。

 

「手術受けろ。引退するのが嫌だ、とかはもうこの際は諦めろ。アンタの分まで俺が戦ってやる」

「えっ?」

 

 今にも千冬が死ぬかもしれないといって取り乱していた一夏は、最初は何のことかわからず、頭が真っ白になってしまう。

 そんな一夏に代わって、話を一緒に聞いていたシャルが陽太に問いかける。

 

「先生………治るの?」

「ホラ、アンタらの言い方が悪いから、おもっクソ勘違いしてるだろうが!」

 

 やっぱり勘違いしていたと呆れながら、陽太は意地の悪い大人二人に抗議する。

 

「あんたら、ワザと不安煽って楽しんでるだろう?」

「いや、そういうわけではなかったんだが」

 

 千冬が苦笑しながらそう言うが、一気に緊張感が抜けた一夏とラウラは思わず千冬に詰め掛け、改めて問いかけなおした。

 

「ほ、本当なのかよ、千冬姉?」

「本当なのですか、教官!?」

「落ち着け二人とも………本当のことだ。手術を受ければ完治はする。だが………」

「本当なのかよ………良かったぁ~」

「教官………グスッ……良かった…本当に良かった」

 

 ベソをかき始める二人を見ながら、千冬は両手で抱きしめて、静かに謝罪した。

 

「一夏、ラウラ………すまない。やはり私はいつも肝心なことで間違えてしまうな」

「千冬姉………」

「教官………」

 

 実の弟と、自分にとっては妹同然の少女を抱きしめながら、こうなることがわかっていたという後悔と、黙っていたことえの後ろめたさ、そしてこんな自分にもこうやって心から泣いてくれる者がいる喜びをかみ締め、彼女は、教え子達の方を向く。

 

「手術を受ければ、私は操縦者として二度と戦えなくなる………そんな小さな意地を重ねたおかげで、状況を悪化させてしまう時もあった。だが、お前達の戦いを見て、私は確信した」

 

 一番弟子の陽太、腕の中にいる弟の一夏だけではない。

 ラウラの、鈴の、セシリアの、そしてシャルの、今までの戦いと成長を見て彼女は、確信したのだ。

 

「私が前線にたとえ出られなくても、お前達ならばきっと戦い抜き、最後には勝つことができる、とな」

 

 そんな恩師の珍しい心からの褒め言葉に、一同は妙に照れたような表情になった。

 

「ま、まあ。俺の活躍を見ていれば、すでに生きた伝説と化しているのは明白だよな?」

「またすぐにそうやって調子に乗るんだから~?」

「そうですわよ! それに活躍といえば、私の活躍を忘れてもらっては…」

「アンタって何か活躍してたっけ~?」

「鈴さん!?」

「陽太も鈴も、調子に乗るな! お前達はただでさえ、ハメを外して規律を乱しやすいのだからな!!」

「………泣き顔は可愛いのにな、ラウラちゃん?」

「なっ!?」

「そうそう、一夏とかも素直に泣いてる時は可愛いのにね~」

「なっ! 馬鹿にすんなよ鈴!! それにな、俺だって」

「初っ端出落ち専門の一夏は黙ってろよ」

「そうですわね、一夏さんは、もうちょっと突撃癖を自重した方が…」

「あんた、ホント、考えなく前に出るから危なっかしいのよ?」

「一夏ッ! お前に特別訓練メニューを追加する!!」

「み、みんな………いくらなんでも言いすぎだよ…」

 

 シャルのみが一夏のフォローをするが時は遅し。半泣きで逆ギレした一夏が逆上するが、即座に陽太によって地面に転がされ、『お前ごときが俺に勝とうなど二兆年早い』と言いながら簡単に腕ひしぎ十字固めを決められてしまう。手の甲を抓るという地味な追加技を決めながら………。

 

 ちょっと褒めてみたら、すぐこれだ。とため息をつきながら、千冬は同僚の真耶の肩を叩き、未だに動揺している彼女に頼み込む。

 

「織斑先生、今の話は………」

「私が手術を受ければ、すぐには学園には戻って来れない。それまでの間、地味な裏方になると思うが、コイツらのこと、支えてやってほしい」

「ですがっ!?」

 

 そんな大役を自分が勤められるはずはない。と言いそうになった真耶だったが、千冬のまっすぐな笑顔がそれを遮る。

 

「山田先生がいてくれるから、私は、安心して手術を受けられる。これは本当のことだ」

「………織斑先生」

 

 そこには先輩後輩という間にはない、同僚としての信頼からくる想いがあった。

 真耶は即座に背を伸ばすと、まっすぐ千冬を見ながら敬礼をして返答する。

 

「山田真耶、確かに織斑先生からその言葉を受け取りました。ですから安心して手術を受けてください」

「………済まない。恩にきる」

 

 短なやり取りの中にある気持ちの受け渡しを感じた千冬は、操縦者としては現状、最後と言える仕事に取り掛かる。

 

「………陽太」

「ん?」

 

 鈴が『ロープブレイク!』というと、舌打ちしながら一夏から放れた陽太は、起き上がりながら彼女の方を振り返った。

 

「そこまで動けるのなら、申し分ない。少し付き合え」

「?」

 

 何のことだ? と首をかしげる陽太だったが、次のセリフにすぐさま表情を一変させたのだった。

 

「お前に教える、最後のこと………総てのIS操縦者が辿り着く『究極の領域』だ」

「!?」

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 人気がまるでないアリーナに、陽太を連れて訪れた千冬は、ちょうど真ん中あたりまで歩くと、徐に振り返り、制服を着た陽太に問いかけた。

 

「このあたりでいいか」

「………オイ」

 

 二人っきりになった途端、敬語も使わなくなる弟子に、厳しい視線のみを送って警告する千冬だったが、俄然、気になるワードを聞かされ、逸る気持ちが抑えられない陽太は千冬に問いかける。

 

「さっき、千冬さんが言ってた、その『究極の領域』とやら何だが……」

「そうだ。そのためにも先にひとつ聞いておきたい……IS適正……お前は、今どのくらいだ?」

 

 IS適正………それは操縦者がISを操縦するために必要な素養であり、または『ISランク』などという呼ばれ方もあるものだが、一般的に数値が高ければ高いほどISの性能を引き出せると言われ、現状最高値と言われている『S』などという値に関しては、ブリュンヒルデの呼び名を持つ千冬を初めとした、世界で数人しかいない最高クラスの操縦者のみと言われている。だが、この数値、訓練や機体の愛称によって変動する上に、たとえ値が高くても、ISの操縦技術と必ずイコールとなるとはならない場合もあるのだ。

 

 そんな数値ではあるが、陽太は腕組みをしながら、自慢げに言い放つ。

 

「フッフッフッ………聞いて驚くな。なんと俺はアンタと同じ『S』だっ!!」

「そうか」

「つまりはすでにシンクロ率でも俺とアンタには差はない! つまりはアンタはもう、弟子に追い越されること確定のさびしい師匠………って、なんかリアクション薄くないか!?」

 

 普段なら即座にツッコミが来る場面なのだが、そんな陽太に対して、千冬は不敵な笑みを浮かべて、本題を述べ始める。

 

「お前ならば自力で『S』までは辿り着くということは容易に想像できていたからな………だからこそ、はっきりとした」

「???………何が?」

 

 千冬は、瞳を鋭くして言い放つ。

 

「お前は、『あの女』には絶対に勝てない。そして、このままだと生涯追いつくこともない」

「!?」

 

 あの女………その単語を聞いた瞬間、即座に陽太の脳裏に二ヶ月前に出会った、あの自分を見下した女傑の存在を思い出し、途端に千冬に向かって敵意に似た怒りのオーラをぶつけ始める。

 

「お、俺が勝てない………だと?」

「ああ。100%、お前は勝てない」

「!?」

 

 言い切る千冬に威嚇するように、陽太はアリーナの地面が陥没するほどに足を踏み込むと、額に青筋が浮かぶほどに千冬を睨みながら言い放つ。

 

「あんな爆乳テロ女如き、五秒で泣かせたるよ………わかったなら、つまらんことを・」

「何度でも言ってやろう。どれほど強がったところで、お前に勝ち目など存在せん………己を『究極まで高めること』ができていない、お前にはな」

「だからっ!!」

 

 怒りのあまり、千冬の襟首を掴む陽太だったが、その手にゆっくりと自分の手を置きながら、千冬は静かに語り始める。

 

「人間には通常、視覚、味覚、聴覚、嗅覚、触覚の五感が備わっている」

「ん?」

「そして更に、意識と呼ばれる第六感があり、この第六感が発達している者ほど、勘が冴えていたり、時には超能力のような予知すらも可能にする者もいる」

 

 突然始まった千冬の話に、元来、それほど座学に熱心ではない………いや、進んで避けるように生きてきた陽太の脳みそが早速混乱し始める。

 

「え、えっと………つまり、その………何のお話で?」

「黙って聞け。分かり易くまとめれば、人間には生まれ持って、見る、味わう、聞く、嗅ぐ、触る、そして考える、という能力が備わっている………基本的にはな」

 

 千冬がまとめてくれたことを何とか理解できた陽太は、目が点になりながらも首を激しく上下に動かして、なんとか理解できてるよと必死にアピールしてみた。

 

「では聞こう………ISにおいての、コアとのシンクロとは、いったいどこで行っている?」

「うえっ?」

「しっかり答えろ。お前も昨日今日にISに携わったわけではないだろう?」

 

 陽太が何とかついていけていると半ば信じながら、話を続けた千冬だったが、この質問を前に、ついに陽太の耳から白い煙が昇り、千冬は静かにため息を漏らすのだった。

 

「お前にはどうやら考えるという能力が抜けていたようだな」

「そ、そんなことないやい!!」

 

 千冬の失礼な物言いに、陽太は我を取り戻して反論し、必死に考え込む。

 

「(えっと………ISとのシンクロ? そいうや、考えたことないな………いままで無意識にやってたし)」

「無意識にやっていた………どうせ、お前の単純な思考はそんなもんだろう」

「!?」

 

 正解なだけに否定できない陽太だが、どうしてこの師匠は自分の脳内を勝手に読めるのか? とジト目で問いかけたくなるのを必死に押さえ、話を再び聞く陽太。

 

「だがな、正解だ」

「はっ?」

 

 だが、返ってきた予想外の答に、陽太は再び目が点となる。

 

「無意識にコアとシンクロする………言葉で表すと若干疑わしく思えるかもしれないが、それが正解なのだ」

「せ、正解って………アンタ、さっきから突拍子もないことばっかりで!」

「さっき、私は人間には第六感、『意識』があるといったな」

「ああ、言ったけどさ!!」

「では、無意識とは、第何感なのだ?」

 

 千冬のその問いかけに、今度こそ陽太は回答ができずに固まってしまう。

 だが、千冬はそんな陽太に背を向けると、自分が伝えたい話のもっとも大切な部分に触れ始めるのだった。

 

「通常、人間には『意識』と呼ばれる第六感がある………そして、陽太………よく聞け」

「!?」

 

 千冬の言葉に鋭さが増し、嫌が応にも陽太の緊張感が高まった。

 

「無意識とは、意識の無い状態………それを指すのではない。意識の外側……つまり、意識の上位の感覚の事を指す言葉だ」

「!? 意識の……上位?」

「意識の上位………無意識の感覚とはつまり、『第七感』………我々はそれを『空の玉座(スカイ・クラウン)』と呼んでいる」

 

 『空の玉座(スカイ・クラウン)』………初めて聞くその言葉に、陽太の意識に激しい電流が走った。

 

 ―――適正『S』……それは、意識的に行えるシンクロの限界値の値であり、通常、そこが限界だと一般的には思われているが、実はそうではない―――

 

 ―――『空の玉座(スカイ・クラウン)』………無意識における潜在的なシンクロを明確な感覚として捉えることができた操縦者とISは、そのシンクロを究極の領域にまで高めることで、限界を超えた、無限の能力を発揮する―――

 

「無限の………能力を発揮する?」

「インフィニット・ストラトス(無限の成層圏)………束がこの名前をつけた当時、まだ『空の玉座(スカイ・クラウン)』の存在など知ってはいなかったが、今思えば、この名前を持つにふさわしいものだったのだろうな、ISは」

 

 千冬が懐かしむように一瞬だけ目を細め、そして即座に鋭い目付きとなると、彼女はポケットから、待機状態の打鉄を取り出し、ISを展開させる。

 

「お、オイ!!」

 

 体が思うように動かないくせに、何をしようとしている? 

 そう言い掛けた陽太の言葉を、千冬の発言がかき消した。

 

「見せてやれるのは一瞬だけだ………そして、その目に刻め」

 

 ―――打鉄を纏った千冬の身体から、黄金の輝きが放たれ始める―――

 

「これは!?」

「『空の玉座(スカイ・クラウン)』に到達している者の確認が取れているのは、現状、私と『あの女』だけだ………お前がアイツに勝とうというのならば、『空の玉座(スカイ・クラウン)』への到達は必須………だが」

「?」

「あくまでもお前自身の感覚であるがゆえに、私が外部から目覚めさせることができない………おまえ自身で突き止めるしかないのだ。これだけは……」

「!?」

「その目に焼き付け………そして、お前の第七感で感じ取れ……私の…」

 

 ―――金色の光を纏った打鉄の刃を振り上げる千冬―――

 

「最後の輝きだぁっ!!!」

「ッ!!?」

 

 突如、その振動と強い爆発音が学園全域を襲い、教室にいる生徒や教職員はおろか、学園にいる全員が震源地となるアリーナに目が向けられる。

 そしてアリーナの内部において、呆然とその場に立ち尽くしていた陽太が、恐る恐る振り返ると、そこには………巨大な刃によって行われたかのように、隔壁ごと観覧席まで切り裂かれたアリーナの姿があった。

 

「なっ!」

 

 自分が同じことをしろ、と言われても、不可能だと言いそうになる光景だ………いくらブレイズブレードが攻撃力に優れたISでも、ここまでの一撃を繰り出すことは不可能であり、それをただの量産型ISで行える千冬に、陽太は半信半疑だった先ほどの話の真実を見出す。

 

「(おいおい……コイツが…!?)」

 

 だが、目の前で苦しそうに胸元を抑えながら千冬がISを解除して地面に蹲っているのを見た陽太は、思考を一旦中断して、急いで千冬の元に駆け寄る。

 

「オイッ! だから、なんでそうやって、平気で死に掛ける!?」

「フッ………これを……最後の無茶にしておきたいところなのだが……」

 

 血の気がなくなりすっかり青褪めながらも、千冬は陽太の肩を叩きながら、笑ってこう言った。

 

「これでIS操縦者としてのお前に教えることは、本当の意味でなくなった……あとはお前自身で突き詰めていくしかない」

「………千冬さん」

「頼んだぞ………皆を!」

 

 自分の命を削って伝えられた、師の教えに、陽太は静かに頷く。

 

「ああっ! わかった!!」

「肩の荷が少しだけ降りたな………」

 

 陽太に肩を借りながら立ち上がった千冬は、自分の中にあった責任の一つが降り、感慨深いため息をついた。

 

「………ハァー…」

 

 だがまだだ。まだ自分には成すべき事が残っている。

 予感はある………きっと自分は、手術を受けることなく、あの女と戦うことになるだろう。なぜならば、それは10年前からの宿命であり、誰に譲ることはできない、自分だけの役目なのだから。

 

「(そうだ………本来は、私とお前達で決着をつけるべきなのだ……束…アリア……)」

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 

 

 そして時間は今に戻る。

 伝えられた事実の重さを各自がそれぞれ認識し、また、先のマリア・フジオカとの戦いにおいて『個々の技量の無さ』を体感した隊員達は、現状、連携(フォーメーション)の訓練と平行して、各自のスキルを磨く訓練に勤しんでいるのだった。

 しかし、その中において、訓練が一向に進まない者もいた。

 

「……………」

 

 アリーナの屋上で、インナー姿の陽太は、片手で真っ直ぐに倒立しながら、一人思考の海に沈んでいたのだ。

 

 千冬からもたらされた『空の王座(スカイ・クラウン)』なるものの存在。

 第六感を越えた第七感の世界。

 

 正直、雲を掴むかのような話なだけに、何をどう修行すればいいのか、取っ掛かりすら掴めていないのだ。

 

「(今ある感覚を越える?………感覚を…)」

 

 とりあえず瞳を閉じて、視覚を遮断する陽太は、ほかの感覚で世界を見ることをしてみた。

 

「(………肌に当たる風、匂い、音………それなりに世界は見えるけど、千冬さんはこれ以上の何かで世界を見れるのか…)」

 

 最近情けないとか言ってしまっていたが、改めて師の偉大さに少しだけ尊敬する気持ちが芽生える………良いように人をコキ使うのはいただけないが。

 

「ヨウ………タッ?」

 

 そんな陽太に、ISを展開したシャルが近寄ってくる。どうやら階段ではなく、直接飛んでここまできたようだ。

 

「また一人で、そんな格好でぼーっとして………危ないよ?」

「しゃーねーだろうが………やること多い上に、修行が進まんのだから」

 

 ひょいっと軽々と片手で飛ぶと、アリーナの縁に立ち、下のほうでツバメとの追いかけっこを繰り広げる一夏を見ながら、陽太は深々と溜息をついた。

 

「あの分だと、ツバメ先生に追いつくにはまだまだかかりそうだな」

「せ、先生ってッ!?」

 

 ISを解除して隣に座るシャルを見て、陽太も静かに腰を下ろし、話を続ける。

 

「空を飛ぶことに長けた者を先生と呼ぶのは何か可笑しいのかな、シャルロット君?」

「だらといって、織斑先生を先生と呼ばずにツバメを先生と呼ぶのはどうかと思います、ヨウタ君?」

「むっ」

 

 シャルにやり込められて、面白くない陽太は、ブスッとした表情で、そっぽを向いてしまう。そんな陽太が面白いのか、クスクスと笑いながら、シャルはとあることを思い出した。

 

「そういえばさ、ヨウタ?」

「んだ?」

「箒は、どうして専用機持ってるの? 聞いたら、代表候補生でもないし、企業と契約結んでるわけでもないし…」

「束がやったんだろ? アイツの訳判らんは今に始まったことじゃねぇーよ」

 

 手をプランプランとしながら、興味ないという態度をとる陽太と、そんな陽太にほっぺたを膨らませながら『もっと真剣に考えてヨ』と怒るシャルロット………

 

 だがこの時二人は、よもや話の議題に上がっている箒が、命懸けの死闘を繰り広げているなど、想像していなかったのだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 




というわけで、ついに千冬さんは一夏達に体のことを明かしました………もうちょっと一波乱しろよというかもしれませんが、一夏もこう見えて成長してます。まあキレたけど(笑)


そしてついに、陽太に千冬さんが語った、空の王座(スカイ・クラウン)

元ネタは、某有名な漫画なので、わかる人は多いかもしれません………言っとくけど、目覚めたからって銀河が砕けちゃうわけじゃないからねw

さて、次回はついに皆が待ち望んだ、モッピー活躍回!

もう、モッピーはボッチだなんて………


ぼっちだよね、モッピー

(・ω・;)

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