秋の東京武偵高校。
波乱に満ちた一学期を終え、
「・・・交流会、ですか?」
キンジが目の前にいる
先生は咥えていたタバコからプハッ、と煙を吐き出してから頷く。
「ああそうだ。今度うちとIS学園の間で親睦を深めるための交流会を開くことになってなぁ。そんで、その交流会であんたたちに出てもらいたい種目があんのさぁ」
「出てもらいたい種目ってなんですか?」
流無が手を上げて質問する。
「ソフトボールだ。あんたらを中心に適当にメンバー集めろよぉー」
「ソフトボールって。相手はIS学園選抜チームで、ISの部分展開ありって、いいのかそれで」
「ぼやくなよ、キンジ。俺たちのチームを見てみろ。バスカービルだけでSランク武偵が四人だぞ。それくらいのハンデはいるだろ?それにこっちは超能力ありなんだ。ちょうど五分五分だ」
「いや、俺みたいなただの一般人をそんな化け物たちの中に入れんじゃねえよ」
「・・・銃弾を気の強化もなしにそらすお前が一般人?」
キンジと俺がそんな言い合いをしている間に、他のメンバーは流無とアリアを筆頭にメンバーを集めにどこかに行ってしまった。
恐らく、武偵高のびっくり人間たちを集めに行っているんだろうな。
交流会の種目がソフトボールなのはあっちが女子校(例外が一人いるが)だからだろう。
だからそれに合わせて、こっちもなるべく女子をメンバーにするようにとのことと先生に言われた。
「IS学園の方はおそらく、専用機持ちの一夏、篠ノ之、オルコット、凰、デュノア、ボーデヴィッヒ、簪、フォルテ・サファイア、ダリル・ケイシーがレギュラーだろうな」
「専用機持ち全員かよ。ああ、マジで嫌になってきたぜ」
「安心しろ。うちのメンバーはIS何ざもろともしないやつばっかだぜ?」
「それを聞いて納得してしまう自分がいるぜ。誰をつれて来ると思う?」
キンジの問いに俺は見知った面々を思い出す。
「まず、ジャンヌは確実だろうな。それから、お前の
「他にも、お前の
「あ~、神楽か。まあ、あいつもその気になれば戦えるし呼んでいるかもな」
「他にもいろいろいるからな。・・・どんなチームになるんだろう」
「・・・かなり心配になってきたな」
「ああ」
一方、IS学園。
学園長室に呼び出された専用機持ちの面々は学園長から話を聞き終えていた。
「と、いうわけです。日時は一週間後です。場所はここのアリーナを使う予定です。全力を尽くしてくださいね」
生徒たちは学園長の言葉に返事をし、部屋を出て行った。
そして、その前に現れる一人の人物。
「よし、全員話は聞いたな。今から作戦をきめるための会議を行う。全員ついて来い」
有無を言わさず全員を連れて行ったのは織斑千冬。ここ、IS学園の教師にして、世界最強と名高い女傑だった。
「(ね、ねえ。一夏。千冬さん一体どうしたの?なんかすごく張り切っているんだけど)」
「(とてつもない威圧感ですわ)」
「(いや、知らねえよ。この間、武偵高の教師の人たちと飲みに行ってからこんな調子なんだ)」
中国の大批評候補生、凰鈴音、通称鈴とイギリスの代表候補生セシリア・オルコットが、世界で唯一の男性IS操縦者、織斑一夏に小声で問いかける。
「(むう、教官の気迫。今まで感じたことが無いくらいすさまじい)」
「(そ、そんなに?)」
「(ああ。今の教官に下手なことを言わない方がいい。地獄を見る)」
ドイツの代表候補生にして現役軍人のラウラ・ボーデヴィッヒが千冬の威圧感に戦々恐々とし、そんなラウラの様子を見たフランスの代表候補生、シャルロット・デュノアも震えはじめる。
実は、このソフトボール大会、居酒屋で飲みに行っていた千冬と綴の「どっちの学校の生徒が優秀か?」という口論が元になり、紆余曲折、壮大な行き違いの末に企画された物だったことを互いの学校の生徒たちは知らない。
「(簪、流無さんと連絡はしたのか?)」
「(うん。あっちもさっき知らされて、今メンバーを集めているって)」
一夏は、日本の代表候補生にして、一年生最強の実力を誇る更識簪に武偵高にいる、和麻たちの様子を尋ねる。
「(あと、一夏に覚悟しなさいって)」
「(・・・俺、生き残れるかな)」
一夏は前に流無に会ったとき、彼女の怒りを買ってしまいD・E片手に追い回されたことがあるのだ。
「(・・・一夏、骨は拾ってやるぞ)」
自身に迫る危険に振るえる一夏に幼馴染の篠ノ之箒の気休めにもならない言葉が届いた。
そして、一週間後、IS学園のアリーナ。
そこには、今回のために特別に用意されたソフトボール場が用意され、客席の半分にはIS学園の生徒が、もう半分には武偵高の生徒がひしめいていた。
とくに武偵高の気合の入り方はものすごく、アドシアード、武偵高の国際競技大会でチアをやった女子たちが拳銃片手に踊っていたりする。
『え~、それでは只今よりIS学園と東京武偵高校の親睦を深めるために、両校から選抜されたメンバーによるソフトボールの試合を始めたいと思います。実況はわたくし、IS学園新聞部の副部長、黛薫子と』
『東京武偵高校、
『東京武偵高校、
ちなみにレイズは今日も引きこもっており、武偵高の自室から中継で実況している。
『さあ、まずはIS学園チームが入ってきました』
IS学園の生徒たちの歓声と共に、生徒会長であるダリルを先頭に入場するIS学園チーム。ちなみに打順はこうだ。
一番、織斑一夏(ファースト)
二番、更識簪(キャッチャー)
三番、ラウラ・ボーデヴィッヒ(レフト)
四番、凰鈴音(ショート)
五番、ダリル・ケイシー(ピッチャー)
六番、シャルロット・デュノア(サード)
七番、フォルテ・サファイア(センター)
八番、篠ノ之箒(セカンド)
九番、セシリア・オルコット(ライト)
控え、布仏虚、サラ・ウェルキン。
『そして、武偵高チームの入場です!』
その瞬間、武偵高の生徒たちがIS学園の生徒を遥かに超える声援を送り始める。
中には発砲する生徒も出始め、チアのほうも気合が入りまくる。
そんな中、姿を現す武偵高チーム。
先頭を堂々と歩くキンジ(実は理子によってヒステリアモードになっている)に続き、入場する。
一番、蒼神流無(ピッチャー)
二番、神埼・H・アリア(ショート)
三番、レキ(センター)
四番、八神和麻(セカンド)
五番、峰理子(ファースト)
六番、星伽白雪(ライト)
七番、遠山キンジ(キャッチャー)
八番、ジャンヌ・ダルク(サード)
九番、風魔陽菜(レフト)
『さあ、このソフトボールただのソフトボールとはわけが違います!』
『試合をするのはどっちも普通の高校ではない。故に特別ルール付きだ』
『IS学園チームにはISの部分展開が認められており、武偵高チームには銃と武器、サラには超能力の使用が認められています。それに伴い、ユニフォームも特注の防弾防刃仕様です』
薫子、レイズ、中空知の順に説明がされ観客はより盛り上がる。
ISを見る機会のあまりない武偵高の生徒と、超能力を見ることの無いIS学園の生徒の熱気のこもった歓声の中、両チームは互いに向かいあう。
『それでは、スポーツマンシップと武偵憲章、アラスカ条約にのっとり正々堂々、試合開始です!』
『『お願いします!』』
なんとなく書いてみました。
時系列はIS学園は学園祭後、武偵高は修学諸侯の後といった感じです。
好評なら、二章が終わったあたりにまた書くかもしれません。