緋弾のアリア×IS 緋と蒼の協奏曲   作:竜羽

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合宿

俺とキンジの部屋にアリアが泊ることになったので、急遽、俺は超能力捜査研究科(SSR)の合宿の用意を持って女子寮の流無の部屋に泊まることになった。

気配を消して、流無と一緒に女子寮に入り、流無の部屋に入ろうとすると、

 

「こんばんは。和麻さん、流無さん」

 

「こんばんは、レキちゃん」

 

「よっす」

 

レキがいた。

アリアより頭一つ分大きいくらいの身長に、細い体。澄んだ翡翠色のショートカットの髪は流無の水色のロングヘアーと対照的だ。

で、そんな華奢な体にアンバランスなでかいヘッドフォンを付けて、肩には愛銃のドラグノフをかけている。

ちなみにレキは狙撃科(スナイプ)のに所属していて、武偵ランクは昔のキンジと同じSランクだ。

狙撃科(スナイプ)の麒麟児と呼ばれている。

 

出会った当初からかなり物静かなキャラだが、なぜか流無と仲がいい。

 

「流無さんのお部屋にお泊りですか?和麻さん」

 

「まあ、そんなところだ。よくわかったな」

 

「その荷物を見ればわかります」

 

そりゃそうか。

 

「じゃあ、明日は合宿だからまたな」

 

「おやすみ、レキちゃん」

 

俺達はレキの横を通って部屋に向かう。

 

「和麻さん、流無さん」

 

「ん?」

 

「なに?」

 

俺達をレキは呼び止め、その琥珀色の瞳で見つめながら真剣に話し始める。

 

「風が、嫌な風が吹いています」

 

「「・・・」」

 

風、か。

 

「奇遇だな。俺もここんところの風は、正直悪いと思っている」

 

「はい。ですから気を付けてください」

 

「ああ。忠告、ありがとうよ。帰ったらまた三人で何か食いに行くか?」

 

「それ良いわね。どうせなら、他にもいろいろ呼びましょうか?キンジ君や白雪さん。新しく来たアリアちゃんとかも」

 

「はい。楽しみにしています。では」

 

そう言うとレキは自分の部屋に戻っていった。

 

「やっぱりレキちゃんは笑うとかわいいわね」

 

「お前、レキの表情が分かったのか?」

 

「ええ。ちょっとだけだけど、笑っていたわ」

 

「そうか」

 

ロボットレキと呼ばれるくらい無表情、無感情なレキのことをよくわかっている流無は、やっぱり優しいのだと、俺は再認識した。

 

 

 

 

 

流無の住んでいる寮室は四人部屋だが人数の関係で、俺とキンジの部屋と同じく二人で使っている。

 

流無のルームメイトのレイズ・フローレンはかなりの変わり者で、良質の自分の部屋、もしくは情報科(インフォルマ)の自分の専用室に引きこもっている。長い時で一か月はひきこもり、食事なんかは出前で済ませたりしている。

今は情報科(インフォルマ)の部屋に引きこもっているようで、ここは流無一人だけだ。

 

「和麻のパジャマはちゃんと洗濯してあるわ」

 

「サンキュ。シャワー先に浴びるぞ」

 

「どうぞ」

 

流無の寝室にある二つのタンスのうち一つから自分のパジャマを取出し、シャワー室に行く。

蛇口をひねり、シャワーを浴びる。

今日は結構いろいろあったな。

朝からセグウェイに機関銃を突きつけながら追い回されて、ルームメイトの驚くべき性癖を発見して、転校生を彼女がロックオンして、講義をさぼって帰ったらまさかの奴隷宣言を目撃した。

 

そんなことを考えているとシャワー室の扉が開いて、

 

「おじゃましま~す」

 

流無が入ってきた。何も着ていない、生まれたままの姿で。

 

「ちょ、おまえ、なにやってんだよ!?」

 

「別にいいじゃない~。これが初めてじゃないんだし」

 

そう言って後ろから抱きついてくる流無。

流無のメリハリのある体が密着して、ものすごく柔らかい感覚が背中に・・・。

前からこういうことをしてくるやつだけど、いまだに慣れない。もういくところまでいったというのに。

 

「ねえ、和麻。久しぶりに・・・しよ?」

 

「お、お前、明日の朝は早いんだぞ!?」

 

「だって、合宿に行ったらみんながいるから出来ないかもしれないじゃない」

 

流無は俺の左手を持って、自分の胸に当てる。

さっきまで背中で感じていた柔らかい感触が、直接手に!?

俺がなにも言えずにどぎまぎしていると、

 

「ねえ、わたしはそんなに魅力がない?」

 

「え?」

 

いつもの元気な声じゃなく、弱々しい流無の声に戸惑う。

 

「私はね、和麻のことが好き。何にもなかった私を心配してくれた、助けてくれた、守ってくれた。そんな和麻のことが私は大好き。だから、私はずっと和麻といたい。あなたに見ていてほしいの」

 

「・・・」

 

「そのために私はあなたを追いかけてここまで来た。あなたと同じSランクになるためにおじさまの修業にも耐えた。自分の異能(ちから)を磨いた」

 

そう、俺と流無も去年のキンジやレキと同じSランクの武偵だ。

それだけじゃない。

俺達は超能力捜査研究科(SSR)を自由履修とはいえ、受けていることからも分かるが、超能力をもつ武偵、『超偵』だ。

超能力捜査研究科(SSR)は俺や流無みたいな超能力を持っている生徒が所属していて、武偵校でも特に秘密主義が徹底されている専門科で、関係者以外は詳細を知ることができないほどだ。

 

「私にはあなただけなのよ。もし、あなたが離れて行ったら私は――」

 

「安心しろ。俺はお前から離れねえよ」

 

俺は流無に向き合う。

 

「お前に魅力がない?そんなことあるかよ。お前は俺にとってすっげえ魅力的な女だ。そんなお前を俺が離すかよ」

 

気がつけば、俺は流無を抱きしめていた。

 

「ありがとう。和麻」

 

「どういたしまして」

 

シャワーでぬれた流無の髪をなでる。ぬれていても全然指に引っかからない、柔らかな感触の流無の髪は本当に気持ちいい。

 

「じゃあ、やろっか!」

 

「は?」

 

「そんなに私のことを思ってくれているんだから、いいよね?」

 

「ちょ、ちょっと待て!流無!」

 

しまった。こいつの蜂蜜色の罠(ハニートラップ)にかかってしまった!?・・・いや、少し違うか?

 

「うふふ。だいじょ~ぶ。今日は安全日だから♪」

 

そこから先はもう言えない。ただいえるのは流無の誘惑に理性が崩れてしまい、明日が合宿だということを忘れてシャワー室でだけじゃなくて、そのまま寝室に体も拭かないで直行してしまい、やりまくってしまったとだけ言っておこう。

 

 

 

 

 

翌日、俺と流無は、

 

「・・・着いたな」

 

「着いたわね」

 

青森県の恐山にある武偵校の宿泊研修センターに、超能力捜査研究科(SSR)の生徒たちと一緒にやってきていた。

朝早くに遅刻ギリギリで、ふらふらになりながらも武偵校のバスに乗り込み、空港まで爆睡しようとしたが、念話を使える生徒がふざけて音楽を大量に頭の中に流し込んできたので締め上げていたらいつの間にか空港についていて、飛行機内で眠ったが数時間程度。着いたらそこからまたバスで何時間も揺られて、もう一度寝ようとしたが、いきなりカラオケ大会が始まって全然眠れなかった。

ちなみに、今はもう夕方だ。

 

「ねえ、流無。和麻君どうしたの?」

 

「なんでもないわよ、白雪ちゃん。和麻はちょっと寝不足なだけ」

 

昨日あんなにやったのに、なんでお前は平気なんだ?

 

「そう。今日はこの後、部屋に荷物を置いたら自由時間だからゆっくり休んでね」

 

「ああ、ありがとうな。白雪」

 

「ううん。和麻君にはキンちゃんのことでアドバイスもらってるから。それじゃあ、お先にね」

 

「ああ・・・」

 

俺は研修センターに入っていく白雪に手を振る。ホント、いい子だよ。

 

「じゃあ、私たちも行きましょ」

 

そう言って俺の右腕を引っ張る流無。

 

「おい。いい加減離せ。流石に歩きにくい」

 

実はバスを降りた瞬間からずっと腕を掴んでいる。左肩にはショルダーバックをかけているから、両腕がふさがっていてかなりバランスがとりづらい。

 

「い、いや~、あの、じつは、ね」

 

「うん」

 

流無はいきなり顔を赤く染めて、もじもじしながら小声で俺に話しかける。

 

「・・・ちょっと、昨日のせいで、まだ、腰が、ね」

 

「・・・そうか」

 

まあ、あれだけやって何ともないわけないか。ならしょうがない。

このままこいつの部屋までエスコートするか。

 

無言で流無を支えながら引っ張ると、顔を赤くしたままついて来てくれた。

 

 

 

 

 

研修センターは旅館を改築した感じで売店もあった。なぜか二十四時間営業の。

流無を部屋まで連れて行った俺は自分の部屋に入る。

そこは個室で俺一人だけの部屋だった。

この合宿では一人部屋を希望した。Sランク武偵っていうのはこういう融通がけっこう利く。

俺は超能力捜査研究科(SSR)を強襲科(アサルト)のついでで、自由履修として受けているから、超能力捜査研究科(SSR)内での交友関係はそんなに広くない。精々、流無と白雪位だな。話すのは。

俺の場合、ここなら能力を練習して高めることが出来るから合宿にも来たわけだし、それは流無も同じだ。

こういう合宿なら全力で異能(ちから)が振るえる。

そうでなければ、普通に強襲科(アサルト)に行っている。

 

そんなことを考えながらも、俺は備え付けてあったベッドにダイブする。

昨日の疲れがまだ残っていたのか、目を閉じればすぐに意識が落ちて行った。

 

 

 

 

 

何時間経っただろうか。

俺は目をさまし、携帯を見る。

携帯の時計は21時を指していた。

ここに来たのが夕方だったから、かなり寝ちまったな。

食堂も空いていないだろうなと思っていると、キンジからメールが来ていた。

 

読んでみると、理子の調査が出たという内容で、アリアがイギリスの貴族のH家の出で、Sランク武偵とのことだった。ちなみに父親がイギリス人とのハーフで、祖母は英国王室から「デイム」の称号を授与されているらしい。まさにリアル貴族。

 

さらに、アリアは二つ名を持っているらしく、二丁の大型自動拳銃、コルト・ガバメントと二本の小太刀を扱うことから『双剣双銃(カドラ)のアリア』と呼ばれていて、ロンドン武偵局の武偵として、十四歳のころから働いており、99回連続で犯罪者を一発検挙していたらしい。

 

で、さっきキンジはあまりにもアリアがしつこいので、事件を一件だけ解決するまで一時的にパートナーを組むことになり、アリアもその事件でキンジの実力を見るということに落ち着いた。

 

そのためにキンジは一度、自由履修として強襲科(アサルト)に戻るのだろうな、とぼんやり思う。

強襲科(アサルト)は通称『明日無き学科』。

この学科の卒業時生存率は97.1%。

つまり100人に三人弱は、任務の遂行中、もしくは訓練中に死亡しているという、ある意味武偵という仕事の暗部ともいえるし、武偵という仕事の本質でもある。

だが、いつもパーティを組んで行動するから、強襲科(アサルト)の生徒の仲はかなり良く、死ね死ね言って笑いあうというのが挨拶みたいなものになっている。キンジは『死ね死ね団』といっているが。

ちなみにキンジはそこでかなりの人気者だった。陰で『王様(キング)』とか『親分(ボス)』と呼ばれていたのを本人は知らない。

 

ちなみに俺は『騎士(ナイト)』、流無は『女王(クイーン)』だ。同じ強襲科(アサルト)のAランクで二年の不知火亮に教えてもらった。

何だよ、『騎士(ナイト)』って、俺が二刀流だからか?と、かなり恥ずかしかったのを覚えている。ちなみに流無に関してはまさしく『女王(クイーン)』だと、納得した。

 

それはともかく、そこまで一通り読んだ俺は、

 

『頑張れよ。ただし、幼女趣味(ロリコン)の罵りだけは覚悟しておけ』

 

と、返信しておいた。

とりあえず、腹も減ったことだし、売店なら空いているかなと部屋を出た。

部屋に来るときに通った通路にあった売店に行き、そこで惣菜パンと牛乳というおよそ、夕食らしくないものを買っていると、

 

「あら、和麻も夕食買いに来たの?」

 

浴衣姿の流無がいた。俺と同じく食堂に行き損ねたのか、俺と同じパンと牛乳を手に持っていた。

 

「ああ。流無は風呂上りか?」

 

「ええ。部屋で一眠りして、お風呂に入ってきたの」

 

「そうか。ここの風呂って温泉?」

 

「ええ。ただ、もうしまっちゃっているわよ」

 

「それは残念だ。シャワーで我慢するか」

 

話しながら会計をお互いに済ませて、俺達はそこら辺にあった休憩スペースでパンを食べる。

話題ついでに、さっきキンジから送られてきたメールの内容を話す。

 

「へ~、貴族の家か~。大変そうね」

 

「そうだな。まあ、キンジも大変そうだけどな」

 

「あはは。それもそうね。それにキンジ君って厄介事に巻き込まれる体質だから、その最初の事件がバスジャックとかだったりして」

 

「あり得そうだな」

 

そんなことを話しているうちに食べ終えた俺達は、明日も早いので別れて部屋に戻った。

 

まさかこの時の流無の言葉が当たるなんて、この時の俺は思いもしなかった。

 

 

 

 




和麻と流無の絡み、大丈夫かな。これ18禁にならないですよね?
次回は和麻と流無の超能力を書こうと思います。まあ、どんな能力かは想像しやすいですよね。

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