【完結】ミックス・アップ(魔法先生ネギま✖グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第67話 頑張れデュナミス

 

ちょっと待て・・・どうしてこうなった

 

「マスター・・・マスター! 私のマスターを傷つけるものは許さない・・・仮面の男・・・完全なる世界の幹部デュナミス・・・抹殺いたします!」

 

一同全てがデュナミスに心動かされている中でシモンを救うためにデュナミスに攻撃を仕掛けようとするセクストゥム。しかし、その行く手を彼女たちが塞いだ。

 

「させん! スピリット・オブ・ファイア!!」

「ッ!?」

 

猛る炎が、セクストゥムの道を妨げた。

全身に炎を纏い、そこから先は誰にも行かせぬと意思を示すのは、フェイトガールズの一人である焔。

さらに・・・

 

「私たちが付き従うのはフェイト様のみ」

「アーウェルンクス・シリーズとか関係ないもん。だから、私たちの仲間でもあるデュナミス様を攻撃するならあなたは敵と見なします!」

「行かせんです!」

 

5人のフェイトガールズが、仲間を守るためにセクストゥムの道を塞ぐ。

 

 

「・・・・・・ならば・・・消します」

 

「「「「「やってみなさい!!!!」」」」」

 

 

セクストゥムは、彼女たちの行動に、まるで虫が集った程度の反応で駆逐しようとする。

だが、彼女たちも虫ではない。そう簡単には負けはしない。

かくして、学園破壊軍団VS学園防衛軍の第二Rが開始したのだった。

その先陣を切るのは、なんとデュナミス。

 

「くっそー! 邪魔しやがって! こうなったら、俺の必殺技で終わらせてやる! くらえ、クロスカウンターだ!」

 

立ちふさがるデュナミスを蹴散らすべく、シモンは今では自分の得意技と化したクロスカウンターをデュナミスの召喚魔の顔面に叩き込もうとする。

召喚魔の右ストレートに被せるような左のカウンター。両者の腕が20年の時を超えて再びクロスする。

しかし・・・

 

「ふん、それを・・・・・・・待っていたァァァァ!!!!!」

「なっ・・・・にっ!?」

 

今シモンの目の前にいるのは20年前の魔法世界で凌ぎを削ったデュナミスではない。

シモンへの憎しみを20年以上も持ち続けたデュナミスだ。

 

(な、なんだ!? ノイズが・・・)

 

シモンの感覚に、ノイズが走った。

カウンターとはタイミングが命。

相手のリズムを読み取り、そこに自分の拳を合わせる。シモンはこれまで無意識のうちに相手のリズムを感じ取ってクロスカウンターを叩き込んできた。

しかしこの瞬間、その感覚にノイズが走った。

そのノイズの正体は・・・

 

「な、なんでデカ物のパンチがこんなに目の前に・・・はっ!?」

 

召喚魔はこれまでオーソドックスな右構えだった。しかしいつの間にかサウスポースタイルにチェンジしていた。

当然構えが違えばリズムは狂う。シモンの感じたノイズの正体はこれだ。

 

――グシャンッ!!!!!

 

シモンがそれに気づいたとき、既に時遅く、デュナミスの召喚魔の拳ががら空きになったグレンラガンの顔面に鈍い音を響かせて叩き込まれたのだった。

 

「ぐわああああああああああああああああああ!?」

 

機体の損傷と衝撃がコクピットにまで伝わる。デュナミスの予想外のカウンター返しにグレンラガンが殴り飛ばされ青天した。

 

 

「甘いぞ、シモン! 私は何度も味わった貴様のカウンターを破るため、スイッチヒッターになった!」

 

「ス、スイッチヒッターだとッ!?」

 

「紅き翼との戦いでは役に立たなかったが、全ては貴様を倒すためだ! これぞ私の貴様を倒すためだけに20年かけて身に付けた新闘法・阿修羅拳闘だ!!!!」

 

「「「「「「「「「「うおおおおおおおお、正にはじめの何歩めかのランディーさんだァ!!!!!」」」」」」」」」」

 

 

この巨大な質量でありながら、高等技術の応酬。思わず学園中から歓声が上がる。

 

「くそっ、だからどうしたってんだ! 俺の必殺技は一つじゃねエ! パンチがダメならドリルだ! んなデカ物に防げるわけがねエ!!」

 

グレンラガンが立ち上がり、片腕を丸々ドリルに変形させ、自身の機体ごと回転させながら飛び込む。

 

「ギガドリルブレイクだ!!!!」

 

それは正に巨大な弾丸がスパイラル回転して発射されているようにも見える。

だが・・・

 

「その手もくわぬ!!」

「!?」

 

ギガドリルブレイクは、紛れも無くグレンラガンという巨大ロボットのメインとも言える技の一つだ。

 

「シ、シモンさんが・・・」

「回転しながら破壊力をプラスして突撃したシモンさんが・・・」

「軽く、はたかれただけでふっとばされた!?」

 

しかしそれがどういうことだ?

デュナミスの召喚魔が軽く払っただけで、グレンラガンの機体は軽々と軌道を逸らして天高らかに打ち上げられ、そのまま受身も取れずに地面に叩きつけられたのであった。

 

「なっ!? シモン・・・ばかな・・・いくらデュナミスが最強クラスとはいえ、これはどういうことだ!?」

「シモンのギガドリルブレイクが通用しないというのですか!?」

「マスター・・・・マスターッ!!」

 

シモンは洗脳されているために本調子ではない。それは分かっている。

だが、それでもこれはどういうことだ? フェイトと黒ニアですら驚きを隠せなかった。

するとその問いにデュナミスは仮面の下でクスクスと笑いながら、倒れるグレンラガンを見下ろして言う。

 

 

「シモンよ。進む力が強いほど、横からの力に弱いということは分かるか? 弾丸は葉をかすめただけで軌道が逸れる。それの応用だ。私は貴様の突進力を過小評価しない。この結果は、私が貴様の力を理解していたからこその結果だ」

 

「「「「「「「「「なっ・・・某ピクルと戦ったグラップラーッ!?」」」」」」」」」

 

 

シモンの技が何一つ通じない? 戸惑うシモンやフェイトたちに向かい、デュナミスはむしろ当たり前のように叫ぶ。

 

「とにかくだ、この20年! 対シモンの攻略法を徹底的に考え、更に貴様が戦いの最中にするであろう予想外の事態も徹底的に想定した! 私ほど貴様の対策をした者もいまい! おかげで他が疎かになり、日常生活でタカミチとかゲーテルに逮捕されそうになったが、貴様をここで仕留められれば本望だ!」

 

「ぼ、僕とクルトが彼をよく追いつめることが出来た裏にはそんな事情が!?」

 

「「「「「「「「「「って、何十年もって言うわりにはネタは漫画ッ!?」」」」」」」」」」

 

 

正にこの20年間は今日この日のために生きてきたと言っても過言ではない。

 

「さあ、機は熟した!! 今こそ決着をつけてやろうではないか、シモンよ!!!! ぐははははははは、死ね死ね死ね死ね! 私の幸せも夢も希望も萌も全てを奪った貴様を許しはしない!!」

 

それほどデュナミスはこの瞬間に懸けてきたのだろう。なんという輝きか。

今こそ正に、生涯に何度あるか分からない、デュナミスタイムだったのだ。

 

「ね、ねえ・・・あの仮面の人・・・夢も希望もシモンさんに奪われたって・・・」

「どういうことでしょう。一体あの人とシモンさんの間に何が・・・」

「完全なる世界のデュナミスと・・・」

 

誰もがその答えを求める中、デュナミスがその旨のうちを拳と共にぶちまけていく。

 

 

「どストライクだった! 綾波フェイは・・・私の全身に稲妻を与えるかのごとき、どストライクだった!」

 

――ん?

 

「あの強力な魔力にクールな表情・・・しかし照れた時の反応もまた良し! だが、奴の隣には既に貴様が居た! 才もなく、知もなく、勇もなきお前に綾波フェイはメロメロだった! 大事なことなので二度言う! メロメロだった!」

 

・・・・

 

フェイト、余計に顔を背ける。

一方で、『綾波フェイ』が誰なのかを知るネギ、刹那、楓、タカミチ、ニアは「おろ?」と目を丸くしてフェイトに視線を送る。

 

「だが、それでも良かった! 100万歩譲ってもそれはまだ許せた! 本当は許せんが、それは置いておこう! だがとにかくだ、綾波フェイが手に入らなくなった私は、マスターに造物主に懇願した! お嫁さんが・・・ではなく、新たな同志が欲しいと! しかし・・・しかしだ・・・あそこに居るセクストゥム! 貴様は綾波フェイという恋人が居ながら、セクストゥムを寝取った!!!! そう、貴様は私から全てを奪った男だ!!!!」

 

・・・・・・・・(涙)

その男の叫びを聞いた瞬間、湖に集った生徒や教師陣たちからは様々な涙が流れた。

 

「なんて不憫な兄さんなんだ・・・」

「か、かわいそう・・・」

「シモン・・・あの野郎・・・本当は最低な野郎だったんだ・・・」

「ぼ、僕や師匠やナギたちは・・・あんな男が幹部の組織を倒すために命を・・・・」

 

するとどうだろう。

決して正義の味方とは言えないはずのデュナミスに学園中の者たちが寄り始めた。

人は、生きている。

それだけで希望があるはずだ。

がんばれ・・・

がんばれ・・・

皆がデュナミスに心からエールを送った。

 

「くそ・・・わけのわからないことを・・・」

 

一方でシモンは八つ当たりだと言わんばかりに舌打ちする。

 

「綾波フェイに関してはお前に言われる筋合いなんかないじゃないか! それに、セクストゥムに関してだってあんなもん事故みたいなもんじゃないか! 俺はセクストゥムを意識して連れてきたわけじゃないぞ!」

 

するとシモンの文句に、デュナミスの召喚魔が走り出し、強烈な跳び蹴りをグレンラガンに食らわせる。

 

 

「しかし取ったではないかアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 

「「「「「「もっともだアアアアアア!!!!」」」」」」

 

 

うん、シモンの言い訳が通用しないことに学園中が頷いた。

 

「とにかくだ、私はセクストゥムの創造をマスターに頼み込み、そして目覚めた暁には彼女に私のことをマスターと呼ばせ・・・いや、この世を救うために、そう例えば・・・裸エプロンとか猫耳にニーソックス、・・・いや、弱き人たちの役立たせるために、そう、たとえば、ご飯にします、お風呂にします、それともマスターは・・・とか、とにかく世界を救うために!!!!」

 

憤怒と憎しみを渦巻き、ついには嫉妬の炎が燃え上がる。

こんなデュナミスは長い付き合いのあるフェイトやフェイトガールズも知らない。

 

「すごい、デュナミス様・・・変身してしまいそうなほどにすごい魔力!」

「こ、これがデュナミスの本当の力か・・・どうやら僕たちは彼の本性をずっと見抜けなかったようだな・・・でも・・・いくらなんでもこれはないだろう」

 

少々情けないがバカに出来ないすさまじい気迫だ。

その気迫の突風で風が巻き上がり、一般生徒は油断すると吹き飛ばされてしまうほどの威力であった。

 

 

「俺は・・・そんなつもりでセクストゥムと一緒にいるわけじゃない! お前と一緒にするな、変態野郎!」

 

「でも、お前さっきコクピットの中でイチャついてナニかしだろうが!!!!」

 

「「「「「確かにそうだあああああああああ!!!!」」」」」

 

 

再びデュナミスの召喚魔に殴り飛ばされて湖を二転三転して転がるグレンラガン。

その瞬間、再び大歓声が巻き起こった。

 

「ま、負けるな! 仮面の兄さん! きっといいことあるさ!!」

「あなたは十分素敵よーーッ!!」

「俺たちはあんたの味方だ!!」

「小難しい理由で戦うより、ストレートな思いで俺たちは好きさー!」

 

デュナミスの叫びは煩悩だらけ。

そこに壮大な因縁を想像していたネギたちはひっくり返ってしまうようなアホな理由だ。

しかしだ、学園の生徒たちには違う。

アホな理由? そんなバカな。とても深刻な理由ではないか。

思春期まっただ中の学生たちが、男女の痴情のもつれにより不幸となったデュナミスに感情移入できないはずがない。

そうだ、がんばれ・・・

負けるな!

 

 

「「「「「「「デューナミス! デューナーミス! デューナーミス! デューナーミス!!」」」」」」」」

 

「「「「「「「「「「いけええええ、俺(私)たちのデュナさーーーーーん!!!!」」」」」」」」」」

 

 

悪の組織の大幹部が、なぜか英雄のごとき声援を若き少年少女たちから送られたのだった。

 


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