【完結】ミックス・アップ(魔法先生ネギま✖グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第29話 勇気と書いて、ハートと読め!

「ふん・・・ニアよ! お前の選んだ男はこれまでだ! これがお前の居場所だと? それも今日で終わりだ!」

 

ロージェノムは観客席に居るニアに向かって叫ぶ。

だが、今のニアの瞳はついこの間まで父親の言葉に圧倒されて何も言い返せなかったときのニアとは違った。

 

「いいえ、終わりません!」

「・・・なに・・・」

 

ニアは力強く、ハッキリと答えた。

 

「このような状況でそんなことをまだ言うか? 見苦しいにもほどがある。このワシがどれだけのチャンスを与えたと思っている?」

「いいえ、私がまだ何も分からぬ子供だというのなら、お父様こそシモンのことを何も分かっていません! シモンの本気をお父様は知りません! ダイグレン学園の魂を知りません!」

 

会場中に響くその言葉に、誰もが無言になっていた。シモンは全身がビクンと跳ね上がった。

だが、ロージェノムだけはくだらないとため息ついた。

 

「ふん・・・本気・・・か・・・ふざけるな。クズどもの本気などどうでも良い!!」

 

笑わせるなと、ニアに叫ぶ。だが、ニアは引き下がらない。

そしてシモンを見る。

自分の愛する男に向かってニアは叫ぶ。

 

「シモン!」

 

なんと言う気だ?

諦めるな?

立ち上がれ?

戦え?

それとも助けてか?

こんな状況でニアは何をシモンに言う気だ?

すると、ニアが叫んだ言葉は、誰もが予想していなかった言葉だった。

彼女は両手を広げてシモンに向かって叫んだ。

 

 

「シモン! 私はここよ!」

 

「ッ!?」

 

「シモンは一人でも大丈夫! でも、シモンは一人じゃない! 世界があなたを疑おうと、私たちだけはあなたを信じています!!」

 

 

その言葉に何の意味がある? シモンには大有りだった。

 

(ニアが居る・・・ニアが・・・ニアが居る・・・・!)

 

その姿を認識した瞬間、力の抜けたはずの拳を自然と握り締めていた。

 

(手を伸ばせば届くところに・・・ニアが居る・・・)

 

目に見える距離に居る。叫べば届く距離に居る。手を伸ばせばそこに居る。

しかし、そんな二人の間に立つ壁がある。ニアが居るのは壁の向こうだ。

その壁は大きくて分厚く強大だ。だが、壁の向こうには確かにニアが居るのだ。

壁がデカ過ぎて認識できなかった。だが、これで分かった。壁の向こうには確実にニアが居る。

そしてここで逃せば向こう側まで二度とたどり着けない。ニアとはもう二度と会えない。

彼女を見た瞬間、そのことを改めて実感することが出来た。

だからこそ、湧き上がる。

 

(俺は・・・何のために戦っている?)

 

思い出せ、自分の戦う理由を。

フェイトに言われた言葉は何だ?

 

(ニアのために戦う・・・ニアのことを思って戦う・・・)

 

その想いに偽りなど無い。なぜなら・・・

 

(何で俺はニアのために戦うんだ? 決まってる・・・俺は・・・ニアのことが・・・!)

 

ニアのために戦うこと。そして何で戦うのか? 一番単純なことをようやく思い出した。

 

「俺は・・・俺は・・・・・!」

 

気が高ぶる。

静かに、静かに、心の中で波がうねりを上げて跳ね上がっていく。

 

「ふん・・・ニアよ・・・そこまで堕ちたか・・・ならば! 気が変わった! 今すぐお前の抱いた幻想をこの手で打ち砕いてやろう!!」

 

その瞬間、ロージェノムがこの試合初めて憤怒を纏った。

 

「小僧・・・一瞬だ!! 何ヶ月病院のベッドで過ごすかは分からんが、この一撃で全ての禍根を断ち切ってくれるわァ!!」

 

拳を握ったロージェノムから、目に見えない何かが噴出して、ロージェノムの立っている床が砕けた。

 

「い・・・いかん!? あれを喰らったら、死なないまでも、全身の骨が砕けてしまう! あれは危険だ!」

「おい・・・坊や・・・教え子を瀕死にさせたくなければ・・・」

 

もう限界だ。

止めた方がいい。今のロージェノムを見てそう思ったタカミチとエヴァだが、二人の前をクウネルが立ち塞ぐ。

 

「まあ・・・ちょっと様子を見ましょう」

「ちょっ、ちょっとアンタ!? ヤバイんなら早く止めないと!」

「そうです!」

「このままでは、取り返しのつかぬことになるでござる」

 

アスナたちも止めようとするが、今まで難しい顔をしていたクウネルが、何かを期待しているような目になった。

 

「本気とは言いませんが・・・ようやくロージェノム氏が打ち消す敵としてシモンさんを見なしました・・・後は・・・信じるだけです。シモンさんが信じるに値するほどの人物だったのか、そうでなかったのか、ようやく分かります」

 

クウネルは、見せてみろと言っているように聞こえた。

 

「逃げるなら、逃げろ、小僧! ニアを失いはするが、今後の人生は保障されるぞ!」

 

ロージェノムは下を向いてブツブツ言っているシモンに叫ぶが、まるで反応が無い。

 

「ふん・・・逃げぬのなら・・・・ワシの前から消え失せよォ!!」

 

その瞬間、全てを終わらせるためにロージェノムが駆け出した。

この試合初めてロージェノムの方から攻撃を仕掛けてきた。

 

「逃げるな、シモーーーーン!」

 

カミナが叫ぶ。

 

「逃げてちゃ何にも掴めねえぞーーーー!!」

 

ほとんどのものがこれで終わりだと思う中、カミナは叫んだ。

すると・・・

 

「・・・分かってる・・・!」

 

小さくシモンが呟いた。

 

(あの人が・・・言ってくれた・・・、自分が信じる自分を信じろって・・・今ならその言葉の意味が分かる)

 

シモンは逃げなかった。

 

(そして俺は一人じゃない・・・だから逃げない! ニアが、みんなが、ここに居る!!)

 

それどころか、待ち構えることもしなかった。

 

「むっ!?」

「これはッ!?」

「おっ!」

 

白けた会場もこの瞬間だけは身を乗り出した。

シモンは逃げることも、ただ突っ立ってることもしない。

シモンは向かってくるロージェノムに対して、自分も前へと駆け出した。

 

「自分から・・・」

「パンチに・・・」

「飛び込んだ!?」

 

そうだ、向かってくるロージェノムの拳に対してシモンは飛び込んだ。つまり正面衝突だ。

 

「むっ・・・」

 

拳を振り上げたロージェノムも予想外の行動に眉をしかめる。

 

(ま、まずい・・・もう拳は止まらぬ! ヤツが飛び込んできた所為で威力が増し、下手をすれば・・・)

 

このまま拳を振りぬけばシモンも死んでしまい、最悪な結果になるかもしれないと恐れたロージェノムだが、次の瞬間・・・

 

「ッ!?」

 

飛び込んできたシモンの眼光にゾクリとした。

 

「逃げてちゃ何も掴めない・・・なら・・・逃げずに飛び込んでやる!」

 

ロージェノムの拳がシモンの顔面の真横を通り過ぎた。

一瞬怯んだのか、ロージェノムの狙いが逸れた。

ロージェノムの拳がシモンの頬の皮を削り取るが、シモンは目を見開いたまま、自らも拳を伸ばす。

 

「!!?」

 

すれ違う拳が宙で交差し、シモンは渾身の一撃をロージェノムの顔面にめり込ませた。

 

「お・・・・おお!」

「あ・・・あれは!」

「ク・・・・ク・・・・ク・・・!」

 

それはまさしく・・・

 

 

「「「「「「「「「「クロスカウンターだァアァアァアァアァア!!!!」」」」」」」」」」

 

 

その瞬間、この空間に居た全ての者たちが、身を乗り出して叫んだ。

 

『こ、これは、シモン選手、逃げずにロージェノム氏のパンチに飛び込んで、クロスカウンターを叩き込みましたァアァアァァァ!!』

 

今までずっとコメントできなかった朝倉が、今までの台詞を全て取り戻すかのようにマイクを使って大声で叫んだ。

 

「「「「「「「「「「ウオオオオオオオオオオオオオ!!!!」」」」」」」」」」

 

自然と観客が拳を握って熱く叫んだ。

 

『これは、見事な反撃ではないでしょうか?』

『はい、ボクシングの東洋チャンプも言っていました! カウンターにおいて重要なのは、タイミングと勇気(ハート)です! シモン選手は恐らく狙ってやったわけではないでしょう! しかし、逃げずに立ち向かった結果、そしてロージェノム氏が初めて力を込めた攻撃だけに、見事なカウンターが成立しました!』

 

先ほどまで呆れたように解説していた豪徳寺も、マイクを持って少し興奮気味だ。

 

「ぬ・・・・ぐぬ・・・小僧が・・・・マグレで・・・図に・・・」

 

ロージェノムの鼻から血が出た。

確かにシモンに攻撃力は無いが、ロージェノム自身の力を利用したカウンターなら別。

本気ではないとはいえ、それなりに力を込めた拳がカウンターによって倍になって顔面に返ってきたのだ。

ダメージは確かにあった。

 

(くっ・・・今ので・・・指の骨が何本か折れた・・・でも・・・でも・・・)

 

もっとも、裸拳でしかもカウンターで顔面に叩き込んだのだ。シモンの拳は今のでイカれたが・・・

 

「俺の心は! 何も折れちゃいない!」

 

シモンは構わずに、未だ膝を着いたままのロージェノムに殴りかかる。

だが、ロージェノムとてただ黙って殴られる的ではない。

 

「図に乗るな、小僧!」

 

威圧感をむき出しに視界を覆うその姿は、まさに壁。反撃に出たシモンをまるで津波で飲み込むかのようにロージェノムは押し寄せた。

だが・・・

 

(・・・壁?)

 

ロージェノムが強大な壁。

そう認識した瞬間、シモンはあることを思い出した。

それは試合前にクウネルに、自分自身がドリルだと思えと言われたことだ。

 

(聞こえる・・・)

 

自分がドリル。ロージェノムが壁。そう思った瞬間、シモンの頭の中で何かが聞こえた。

 

(ここを掘ってごらん・・・ここが柔らかいよって・・・)

 

まるで穴を掘っているときと同じ感覚だ。ロージェノムの体の何個所かが、掘るべきポイントのようにシモンには光って見えた。

 

「吹き飛べ!!」

 

ロージェノムが体重と体の捻りを入れたアッパーを低空から繰り出してくる。

するとシモンはその瞬間、ロージェノムの拳を大岩に、自分自身をドリルと見立てて両足でジャンプし、自分の全体重を乗せた両足でロージェノムの拳に向かって思いっきり足を伸ばした。

 

 

「ッ!?」

 

『おおおーーーッと! シモン選手、ロージェノム選手の低空アッパーに対して両足でジャンプして勢いよく踏みつけたァ!!』

 

 

本来のロージェノムの力と一般人の力差を考えれば、両足で踏みつけようと、足ごと吹き飛ばしていただろう。

しかし・・・

 

「ぐぬうッ!?」

 

ロージェノムは表情を歪めた。

 

「バ、バカな・・・どういうことだ!? あんな攻撃、二人の力差を考えればどうでもないはずだ」

「ふっ、冷静に見ればなんてことありませんよ。角度、タイミング、全てを最高の力を込めてロージェノム氏の拳ではなく握った拳の一点に集中してカウンターすればいい話。ジャンプして勢いをつけた人間の全体重を指一本にならば悪くないですよ?」

「なっ、指一本だと!?」

 

状況に納得できないエヴァたちだが、クウネルの説明を聞いて目を見開いた。

 

「そう、今の彼はドリルそのもの! その全身の力を一点に集中して相手の一点に叩き込む。それが強大な壁に風穴を空けるために人類が開発したドリルです」

 

ようやくこの瞬間が見れたとクウネルは笑った。

 

(ぐぬっ・・・中指が砕けおったか・・・・だが・・・・まぐれだァ!!)

 

右アッパーを防がれたロージェノムは、続けざまに今度は左のフックでシモンの顔面を襲う。

だが、シモンは反応した。

自分の左手首を右手で掴んでしっかりと固定する。

 

(ロージェノムのパンチ・・・俺も拳を振りかぶったら間に合わない・・・なら・・・)

 

シモンは左手首を固定したまま、今自分が立った位置から動かずに僅かに体を捻らせ、背負い投げの要領でロージェノムのフックに向かって回転して自分の体重を投げ出し、ロージェノムのある一点を狙う。

 

「なんだとっ!?」

 

それは、ロージェノムの手首だ。

殴ろうとして繰り出した腕の手首に衝撃を受け、ロージェノムの拳は軌道がずれてシモンを外した。

これまでの動きは全て一連の動作。シモンは考えたわけではない。本能で動いた。

そしてシモンはがら空きになったロージェノムの顔面目掛けて飛んだ。

 

(早く・・・速く! 正確に!)

 

巨大な壁に見つけたドリルを突き刺すべきポイント目掛けて、シモンは飛ぶ。

相手は動く、だから素早く正確にと心がけたシモンの拳は自然と試合開始直後のようなテレフォパンチではなく、振りが小さいがキレのある拳となった。

 

「・・・・!」

 

だが、いかにキレがあっても一般人程度の力で超人の顔面を何度殴ってもダメージは無いだろう。

しかしそれも殴るポイントを工夫すれば話は別。

シモンの攻撃はロージェノムの顎の細かい一点を目掛けて振りぬいた。

その瞬間、ロージェノムの視界が歪んだ。

 

『うおおおっと、シモン選手、素早い動きでアッパーとフックを防いだと思ったら、ロージェノム氏の顎を打ち抜いたァ! しかもこれは効いているのか? ロージェノム氏の膝が揺れている!?』

 

試合開始直後はシモンの攻撃をまったく防御せずに顔面で受けていたロージェノムがダメージを受けた。

 

『どういうことでしょう、豪徳寺さん?』

『簡単です! 顎を打ち抜いて脳を揺らしたんです! いかに超人や化物的な強さを誇ろうと、ロージェノム氏も人間です! 脳を揺さぶられれば中枢神経に障害を起こし、どんな人間でもすぐには回復できません!!』

 

豪徳寺の解説にロボットの茶々丸はなるほどと呟く。そしてその解説に付け足すようにクウネルが呟く。

 

「勿論ただ顎を殴ればいいというわけではありません。顎の中でも本当に細かい一点。ここしかないという一点をシモン君は狙いました」

「顎の中の細かい・・・一点?・・・アル・・・そんなこと戦いの最中に素人の彼が出来るのかい?」

「たしかに戦闘中の相手には難しいかもしれませんが。それがただ動くだけの壁だと認識すれば、穴掘りシモンのドリルはその一点を見極めて決して逃しません。そしてその小さな穴を徐々に大きな穴へと変えます」

 

タカミチたちは、そんなバカなと言いたい表情だが、現にロージェノムの両膝はカクカク笑い、目の焦点が定まっていない。

 

(何だ? 何が・・・何が起こったのだ? 何故ワシは・・・)

 

分からない。ただ分かっているのは、歪んで見えるが、間違いなくシモンは追撃するために飛び掛ってきているということだ。

どれだけ攻撃を受けてもノーダメージだった。

これまではそうだった。

しかし、この一瞬でシモンの反撃により右手の中指、左手首、下顎に痛みを受けた。

 

「何をしたアアアアアアアアアアア!!」

「ッ!?」

 

今度は近づけることすらさせない。

ロージェノムの気迫が空気を揺らし、その衝撃だけでシモンは弾き返され、リングの上を転がった。

気迫だけで敵を吹き飛ばしたロージェノム。

だが、その行動は敵を近づけたくないという気持ちから、即ち僅かにシモンに対して恐れたということだ。

 

「はあ・・・はあ・・・まだまだ」

「ぬっ!?」

 

その証拠にむくりと立ち上がったシモンに対して、ロージェノムは明らかに表情を歪めた。

その時になり、ようやく白けきっていたはずの観客が一体となり、今日一番の大歓声を上げた。

 

 

「「「「「「「「「「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」」」」」」」」」」

 

 

会場が揺れて、下から地面そのものを揺らすかのような地響きにシモンは若干驚いた。

 

「いいぞォ! 見直したぞ、ダイグレン学園!」

「おっさんに負けんじゃねえぞ!」

「がんばってえ!」

 

声援が飛び交った。

いつの間にか大観衆の関心を一身に受けたシモンの心臓は、気づいた瞬間更に高揚した。

 

「小僧・・・何をした?」

「・・・えっ?」

「お前は一体何をした!」

 

その瞳は、その質問は、目の前の男が分からなくなったからこそのもの。

つまりロージェノムは、今日初めてシモンに興味を示したのだ。その問いかけに対してシモンは・・・

 

「分からないよ・・・ただ・・・」

「・・・ただ?」

「ただ・・・俺はドリルだ! ドリルは穴を掘る道具だ! ならばやることは一つ! 壁に風穴開けて、見つけたものを掘り出す! それが・・・」

 

シモンは観客席に居るニアを見る。

手を伸ばしてグッと拳を握る。

 

「それが・・・宝物ならなおさらだ!!」

 

その言葉に一瞬面食らって呆然としてしまったロージェノム。だが、直ぐに笑った。

 

「ふん・・・宝物か・・・・だが・・・・・あれは、ワシの宝だ!! 貴様には絶対にやらーーーーん!!」

 

右手の指が折れていることなど構わずにロージェノムは笑いながらシモンに右ストレートを繰り出した。

だが、シモンは逃げない。

逆に飛び込んで、額を前へと突き出し、頭突きでロージェノムの拳を受け止めた。

 

「ッ!?」

 

この瞬間、折れたロージェノムの中指の骨が、完全に砕けた。

 

『ななななな、シモン選手、頭突きでロージェノム氏の爆裂パンチを受け止め・・・おいおい、そんなこと現実にありえるんでしょうかァ!?』

『解説の豪徳寺さん?』

『ありえます! 額は人体で一番硬い部分です! むしろ相手の打撃を額で受け止めるのは基本! 先ほどの攻防でシモン選手は体重を乗せた攻撃を身に着けました! 全体重を乗せた頭突きで、見事にロージェノム氏のパンチをカウンターで受けきったのです!!』

 

勿論シモンとてノーダメージではない。首は大きく跳ね上がり、額から鮮血が飛び散る。

しかしシモンは耐え切った。

来ると分かっている攻撃なら、歯を食いしばって耐え切ってみせる。

 

「それでも俺はお前を超えていく! お前が俺の前に立ちはだかるのなら、いつだって風穴開けて突き破る! それが・・・ドリルなんだよ!!」

「き、貴様・・・」

「皆と繋いだ絆が教えてくれる! ダイグレン学園の皆が俺を信じてるんだ! ニアが俺を信じてるんだ! 皆が信じる俺は・・・俺が信じる俺は・・・お前なんかには!!」

 

もうただの強がりにも大口にも見えない。

 

「絶対に負けねえんだよォッ!!」

 

確かなる意思を誰もが感じ取った。

 

 

「ふん・・・最初はニアも何という男に惚れたのだと思ったが・・・・確かに・・・ニアはとんでもない男に惚れたようだ・・・・別の意味でもなァ!!」

 

するとシモンの気迫を正面から受けたロージェノムは逆に笑った。興奮しているかのように熱く滾る。

 

「上等だ! ならばワシも・・・貴様を全力で叩き潰してやろう!!」

 

見えない何かが、目に見えるほど大きくなった。ロージェノムの全身から赤い炎のような光が燃え上がった。

 

「ぐわはははははははははは、絆だと? 信じる気持ちだと? 笑わせるなァ! そんな半端で曖昧なものはひとかけらも残さず断ち切ってくれるわァ!!」

「切れねえんだよ! 俺たちの絆と想いはハンパない!」

 

 

対してシモンも瞳と魂を燃やして口上する。

 

 

「燃える絆はハンパなく! 太くデッカく果てしない! 絆と想いで明日を掴み、進んでやるのが男道! それがダイグレン学園だ! 俺たちを誰だと思っていやがるッ!!」

 

 

燃える魂が天へと上り、想いと絆をシモンは叫ぶ。

 

 

「ふッ、ハンパない? 所詮は半端だということを力で証明してくれるわァ!!」

 


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