【完結】ミックス・アップ(魔法先生ネギま✖グレンラガン)   作:アニッキーブラッザー

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第14話 俺たちは出てこねえ

学園長室の会話を盗み聞きした鳴滝双子姉妹により、ネギが窮地に居ることが3―Aの中で瞬く間に広まった。

 

「えええええーーーーッ!? ダイグレン学園のネギのクラスの追試者が追試をクリアできなかったら、ネギはクビッ!?」

「そうだよ、高畑先生と学園長が話してたから間違いないよ!」

「ネネネネネ、ネギ先生がクビ!? そそ、そのようなことを認めてなるものですか!?」

「そんなの嫌だよーー」

「何で? 何でネギ君がそんなことになるのさ!?」

「う、うち、おじいちゃんに聞いてこよか?」

「いえ、お嬢様。恐らくこれは学園長でも覆せぬことなのではないでしょうか? 恐らく前々からネギ先生を良く思っていなかった教育委員会などが無理難題を押し付けたのでしょう」

 

ネギは僅かな期間だけの研修で、帰ってきたら以前と同じように皆と楽しい毎日を過ごせると誰もが確信していた。

だが、ここにきてネギの身に自分たちがまったく知らなかった大人の圧力がかかっていたことを、少女たちは初めて知ってしまった。

 

「本来エスカレーターで本校にいけるうちの学園で、エスカレーターでいけなかった連中が相手よ? そんなの無理に決まってんじゃない! つうか、あいつら試験すら受けてないわよ!」

「そそそ、そんなのあんまりですわ!? あんな掃きだめの連中のために、ネギ先生が・・・ネギ先生が・・・そんなの断じて許せませんわァァ!!」

「う~む、こうなったらダイグレン学園の不良に無理やり勉強させるのはどうアルか?」

「そうね、何としてもクリアさせるためには、まず授業を受けさせて・・・こうなったら私も協力・・・・」

「あ~、アスナ~それは無理だよ。どんなに馬鹿学校でも、高校生のテストなんだから、科目数とか私たちより全然多いでしょ?」

「う~む、不良たちを力ずくで何とかは拙者らにもできるやもしれぬが、勉強が関わってはお手上げでござるな」

 

どうすればいい?

どうすればネギのクビを回避できるのか?

ネギのクラスの追試者をクリアできればいいという条件だが、そう簡単なものではないことをダイグレン学園を知る彼女たちはよく理解している。

もし自分たちが同じ高校生なら、まだ協力のしようがあったかもしれないが、アスナたちなど今の中学生の勉強範囲で精一杯だ、とてもではないが協力することは出来ない。

ギャーギャーと文句を言うが、それでも打開案が思い浮かばない。

すると、少し大人しめの少女は、ここぞとばかり勇気を振り絞って叫んだ。

 

「わ、私は・・・ネギ先生を信じます!!」

 

彼女の名前は宮崎のどか。ネギに思いを寄せる少女だ。

 

「のどかの言うとおりです。馬鹿レンジャーが集い毎回学年最下位のクラスをトップまで引き上げたのは誰のお陰だったか・・・皆さん忘れたですか? それとも、ネギ先生を信じないですか?」

 

のどかの言葉で静かになったクラスに、彼女の友人である綾瀬夕映の言葉がアスナたちの心に染み渡る。

 

「何を仰るのです、この雪広あやか、世界が疑おうともネギ先生を信じますわ!」

「わ、私だってネギ君を信じてるもん!」

「そ、そうだよ・・・ネギ君は天才少年だもんね、私だって信じてるよ!」

 

あやかが叫ぶと、まき絵や裕奈も同意し、ネギを信じているという想いを皆が持つようになっていた。

アスナも刹那も木乃香も少し苦笑しながらも、確かにネギならこの状況をも何とかするかもしれないと思うようになった。

 

「ふん、まさかこんなピンチになるとはな。せっかく我が弟子になったというのに、坊やも苦労が耐えないな」

「ネギ先生も大変ですね」

「エヴァちゃん・・・茶々丸さん・・・」

 

クラスメートの大騒ぎとネギのピンチを聞いて、ネギの師でもあるエヴァンジェリンは、従者の茶々丸を連れて実に愉快そうに笑っていた。

 

「何よ、エヴァちゃんはネギが心配じゃないの?」

「はん、あの坊やはどれだけやっても出来るかどうかもわからぬ目標を達成しようと思っているのだぞ? やれば出来るようなこんな問題など目を瞑ってでもクリアできんようなら、私も興味が無いな」

「そう言いつつマスターは、ダイグレン学園に行ってしまったネギ先生との修行の時間が減って少しつまらなそうです・・・」

「余計なことは言うなよな~、茶々丸~」

 

多少は歪んでいるかもしれないが、何だかんだでネギが心配であったり信じていたりしているのだ。

これ程の人望や信頼を得ているあたり、やはりネギは何か特別なものがあるとアスナも感じていた。

 

(ネギ・・・みんなあんたのことちゃんと待ってるんだからね。不良なんかに負けんじゃないわよ!)

 

この困難もネギなら必ず何とかするとアスナも信じることにした。

 

「ふん、ところで神楽坂アスナ。坊やのことだが、この間のヘルマンとやらとの戦いは中々だったが、坊やは修行もちゃんとしているんだろうな?」

 

皆に聞こえない程度の小声でエヴァがアスナに尋ねてきた。

 

「だ、大丈夫よ。ちゃんとアイツは色々なことを覚えてるって言ってたわ。この間は千鳥とか言う技を覚えて、今はツバメ返しって技を勉強中とか・・・」

「千鳥? ツバメ返し? ほう、中々凄そうな技だな。雷系の技と剣の技か? 今度会ったときに見せてもらおうか・・・」

 

ニヤニヤと楽しみにしているエヴァだが、その技が麻雀のイカサマの技と知るのは、もう少し後のことだった。

そんなクラスメートたちの光景を外から笑みを浮かべながら眺めている少女が居た。

 

「やれやれ・・・まあ、シモンさんに限って追試ということは無いと思うガ・・・同じ部員のよしみ、私が協力するカ」

 

彼女こそ、シモンとともにドリ研部を創設した超鈴音。

中学生でありながら、大学生まで全てを入れた麻帆良全学生、研究者、教授、博士を含めたこの学園に居る全てのものを差し置いてNO1の頭脳を持つ彼女が、義理あってシモンに協力するために動き出した。

 

「シモンさんのメールによれば部員も既に残る二人を集めたと、まあどうせ残る二人はダイグレン学園の不良たちの誰かだろうネ。しかしその不良たちがもし追試をクリアできなかったら部活動も禁止だし、ネギ坊主もピンチ。それだけは避けねばならないヨ」

 

部活動禁止とネギのクビ。それは人に言えない事情だが、超鈴音には避けねばならない展開だった。

 

(シモンさん・・・私の居た世界の歴史では、常に彼は関わっていた。開拓者・・・天元突破・・・穴掘りシモン・・・その功績は歴史の裏側に刻まれる。未開の地を掘り当てる・・・資源の発掘・・・建設建築の分野・・・それら全てに貢献したのは、彼の持っていたドリルと技術と発想力にある。ドリルと技術は後世にまで伝わっている。しかし肝心な彼の発想力は受け継がれていない。それを私が自分の世界に持って帰れたら・・・魔法と科学の融合に・・・彼のドリルを融合させられれば・・・私の計画・・・最低でもそれだけはこなさねばならないネ)

 

彼女には彼女の想いがある。

どうしてもネギのクビと部活禁止は避けてシモンと友好を深めるために、他のクラスメートのようにただ単にネギを信じるだけでなく自らも動こうとしていた。

 

「ちょ、超さん、どこに行くの?」

 

教室から出ようとする超にアスナが気づいた。

 

「部活の仲間が困るかもしれないので、この学園最強の頭脳を誇る私が協力に行くネ!」

 

部活の仲間、それはシモンのこと。それを知っているアスナたちは、慌てて超に問い詰めた。

 

「ちょっ、ダイグレン学園に行く気!?」

「大丈夫、心配要らないネ。あの人たち根はいい人たちヨ」

「そりゃ~、シモンさんみたいな人がちゃんとやっていけてるんだからそうなんだろうけど・・・でも・・・」

「ちょっ、超さん! まさか一人だけネギ先生に協力してポイントを稼ごうという魂胆ではありませんか!?」

「ハハハハ、委員長も困ったものネ」

 

ピラピラと手を振りながら教室を去ろうとする超。

だが、不思議なことにそんな彼女の後ろをピタリとくっついて一緒についてくる少女が一人居た。

 

「・・・で、何でザジさんも一緒について来ようとしているカ?」

「・・・仲間・・・」

「へっ?」

 

クラス中の目が点になった。

 

「同じ部活・・・仲間・・・協力・・・」

「・・・・・・・・・ザジさんがカ?・・・・・・・・」

「・・・・・コク・・・・ドリ研部・・・・」

 

てっきりダイグレン学園の不良の誰かだと思っていた残りの部員が、こんな近くに居た。

このことに超鈴音を含めてクラスメート全員が呆気に取られてしまったのだった。

 

 


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