Fate/Last Master   作:三代目盲打ちテイク

78 / 180
天魔御伽草子 鬼ヶ島 5

「ところでな、マスター」

「なにノッブ」

「そこな牛若丸はきびだんごを与えたが、雉と猿はどうするつもりじゃ?」

「それ決めなきゃダメ?」

 

 無理して桃太郎一行にしなくても良いとは思うが、ノッブとしてはそこは気になるらしい。牛若丸は犬。そのことでフォウさんといろいろと話し合いがあったわけなのだが、ここでは割愛する。

 マシュとオレでいろいろと説得した結果どうにかなった。

 

「私が犬である以上やはり、雉と猿は必要です!」

 

 牛若丸もそういうが……その候補って……。

 

「……?」

「なんだ、大将?」

 

 小太郎と金時だよなぁ……。

 

 小太郎と金時。印象としたら、小太郎が雉だろうか。彼は忍者なので、飛べはしないものの跳べはする。金時は雉という感じではない。

 あのゴールデンは桃太郎とかの方があっている。それならダビデを猿にした方がいいかもしれない。なにせ、猪八戒になったときもブヒブヒ言って楽しそうだったし。

 

「主殿主殿! 私としては小太郎殿がキジ枠かと!」

「その心は?」

「よく見ると鳥っぽいですし、髪型と髪の色が、なんとなく」

「小太郎は、それでいいの?」

 

 牛若丸の意見もわからないでもないが、最終的には本人の意思を尊重する。なので、まずは確認をする、それによって、雉でいいというのならきびだんごをあげるとしよう。

 そういえば、金時は既にきびだんごを食べているので、桃太郎一行確定なのではないだろうか。

 

「鳥は……いいですね。僕でいいのなら構いません」

 

 小太郎は二つ返事で嫌がることなく了承してくれた。これに喜ぶのは牛若丸だ。これに気をよくして、次は猿枠として金時へと言葉を繋げようとして、彼の名前を呼んだ。

 呼ばれた金時はどこか不機嫌そうになっている。先ほどまで楽しそうであったので、やはり猿というのは気に入らないのだろうか。

 

 しかし、そうではないようだった。

 

「オレの名はゴールデンだ」

 

 ゴールデンと呼ばれたかったらしい。

 

「ここまで何度、手ぇ組んで戦ったと思ってやがる。もうツレだろ、ツレ。なら真名で呼んでもらわねえとな!」

 

 彼の真名は坂田金時でなかっただろうか。坂田金時(ゴールデン)なのだろうか。

 

「なあ、小太郎! そう思うだろう、アンタも!」

「……そ、そうですね。ゴールデン……いい響き、だと思います……。そして、牛若丸、金時殿にサル枠はどうかと。こんな強力な猿がいるはずがないでしょう」

 

 なんだろう、いる気がするのはなんでだろう。いたら日本は壊滅とかいうけれど、日本の神話とかそういう話を集めていると意外にヤバイのが多いんだよな日本。

 世界でも有数じゃないかと思えるくらい頭おかしいのがいる。我が国ながら調べてみて愕然としたほどだ。龍神を倒すほどの巨大な百足とか。

 

 小太郎はいたら未来の日光江戸村は世紀末とか言っているが、どうにもそんな猿がいるような気がする。というか、なぜ小太郎は未来の日光江戸村とか言ってるんだろう。聖杯が与えた知識かな。

 それよりもなぜか彼は金時の話題になると殺気立つ。金時に何かしら関係があるのだろうか。正直、日本のサーヴァントたちのことは実はあまり詳しくない。

 

 そこまで網羅するには時間も資料も足りないというわけだ。そもそもドクター曰く、模倣した冬木の聖杯っていうのが東洋のサーヴァントは召喚できないとかいうやつだったらしくカルデアの資料も実はそっち方面に偏っていたりするのだ。

 今必死に、かつてのネット情報を洗い出して集めている最中なので、ドクターが今後まとめてくれるというので、本当頭が上がらない。

 

「ふむ、しかし、小太郎殿の言には一理あります。ゴールデン殿は太郎枠が順当でしょう。ですが桃太郎はマスターの役割」

 

 いや、別にオレは太郎でなくとも良いのだが、と言おうとしても彼女は聞かない。

 

「こうなればダブル太郎制を採用して――」

 

 なにダブル太郎制って。良いのか桃太郎、そんなので。

 

「へっ? サル枠? いいじゃねぇか、いただきだぜ。こちとら山育ちなんだ、間違っちゃいねぇ」

「意外」

「嫌がらねえよ大将。おまえ、モンキーの強さしらねえのか?」

 

 モンキーの強さ? サルの強さって、そんなに強かっただろうか。

 

「うちの山にいた猿はマジ強いぜ? 熊公と同様、オレっちと互角の相撲バトルを繰り広げてた猿のヌシがいてよ」

 

 金時と互角の相撲バトル。金時の強さは生前から鬼と戦える程度ということを考えると、その猿本当に猿なのだろうか。

 龍神の子供である金時と互角で戦える時点でただの猿じゃない気がする。絶対キングコングとかそういった普通じゃない猿に違いない。

 

 金時がボディーランゲージでその猿のヌシとやらを描写する。

 曰く、ぶっと腕に黒々とした毛皮で、含蓄のある悲しい目をしていた山の賢者のようだという。ただ、ドラムのように自分の胸を叩きまくり、重機のように拳を地面について歩いていたりしていたという。

 

 ――それは、マウンテンゴリラなのでは?

 

 誰もが同じことを思った。それは明らかに、ゴリラだと。猿ではない。ゴリラであると。しかし、誰もそれを指摘することは叶わなかった。

 むしろ、小太郎など

 

「……なんて事だ。御山にそんなヌシがいたとは……僕もまだまだ修行が……」

 

 などと言っているし、

 

「ゴリラだと? 山なのだからいるだろう。うちのイノシシよりマシだ」

 

 サンタさんはなんか対抗して遠回しにうち(ブリテン)にいた猪の方がすごいんだと言っている。また、ビーム放たないと撃退できなかった蛮族よりはマシだろうと言っている。なにそれ怖い。

 

「ゴリラ……ゴリラかぁ……うん、うん……」

 

 ブーディカさんは何やらなんて言っていいのか悩んでいるようだった。金時があまりにも普通に話すものだから指摘していいのか、それとも放っておくべきか悩んでいるようだった。

 別に悩む必要はないのではと思うのだが、そこは何か彼女の琴線に触れてしまったようだ。

 

「小娘が蛇になれるのですし、ゴリラがいてもおかしくありませんね、ますたぁ」

 

 それとこれとはいろいろと違うのではないかと思うのだが、言わないでおいた。そもそもただの娘さんが思い込みだけで龍になったほうがおかしいのだし。

 それだけのことをした安珍とはいったいどんなやつだったのやら。

 

「イケメン、イケボでした!」

 

 ――へー、そうなんだ。イケメン死ね。

 

「そうだよね、イケメンは死ぬべきだよね!!」

「珍しく意見があったね、タビデ」

「ああ、そうとも。でも、僕からしたら君も十分だと思うけどね、ね、みんな!」

「ますたぁも十分イケメンですよ」

「そうです先輩は、そのかっこいいと思います。ですよね、ブーディカさん」

「………………ごめん、ちょっと今、お姉さんには聞かないでほしい、かなぁ、なんて、あ、えっと、うん、かっこいいと、想う、よ」

 

 ――ちょっと待って、恥ずかしい!?

 

 ダビデが余計なことをしたおかげで、全員がオレの顔についていろいろと言う羽目になってしまった。

 

「まあ、それなりじゃね。あいつと同じで、普通っぽいところが」

 

 式は褒めているのか褒めていないのか、アイツとは誰のことなのだろうか気になるようなことを言って。

 

「アイドルほどじゃないけど、結構イケてると思うわよ、マスター!」

 

 アイドルほどじゃないって、いったいどれほどなんだろうねエリちゃん。

 

「うむ、マスターは良い顔をしているアメリカでもその顔があったからこそ、みなが付いてきたのだ」

 

 ジェロニモはその表情が良い風を呼んでいると言ってくれた。

 

「おう、大将はゴールデンだぜ!」

 

 まあ、いろいろとありながら、ついに最初の鬼の門へとたどり着いた。見るからにほかの鬼と違う鬼が門の前に立っている。

 緑の鬼。そして、それだけではなくサーヴァントもいるようだった。情報にあった用心棒なのだろう。

 

「………………」

「………………あー」

 

 そこにいたのは見知ったサーヴァントだった。

 

「佐々木小次郎?」

「……少しばかり話をしてもいいだろうか。ちと、尋ねたいことがある」

「なんなりと?」

「拙者、佐々木小次郎。我が秘剣の煌きを請われ、鬼どもの用心棒として――ツバメもキジも鳥だからだいたい一緒だろうという闇鍋的思考、否、大胆な考察により、キジ絶対殺すマンとして、くちばしから光線を吐く魔鳥(キジ)を討つために星一つでやとわれた身なのだが」

 

 キジは?

 

 という言葉が静かにこの場に響き渡った。全員の視線が小太郎に集まる。

 

「人ではないか!」

 

 だって、仕方ないじゃないか。

 

 そもそも雉なんてどこにもいなかったし、だいたい、なんだ光線を吐く雉って、あきらかにそれ雉じゃない。雉じゃないよ。

 そもそもツバメ返しが使えないと切れないツバメがいる時点でおかしいとは思ったけど、ビーム吐く雉なんているはずが――。

 

「なんで、そこで妙に懐かしそうにしてるんですかねゴールデン?」

「ん、ああ、すまねえ大将。ちと思い出しちまってな」

 

 それ以上は怖くて聞けなかった。ビームを吐く魔鳥がいるだなんて、聞かなかったことにしておくに限る。そうじゃないと昔の日本はどんな魔境だったのかという話になるじゃないか。

 

「まあ、茶器が爆発するんじゃし、ビーム吐くキジくらいいてもよいじゃろ。きっとセイバーじゃそいつ」

 

 ビーム撃てないセイバーとかセイバーじゃないよネ! つまりビーム出せるならたぶんセイバーじゃ。くちばしが剣なんじゃろ。ま、是非もないよネ。

 

 とかいうノッブの言葉になにやら遠くで血を吐く音が聞こえたが気のせいだろう。

 

「ええい、拙者これでも暇ではないのだぞ。あの日の燕に匹敵する相手というから来てみれば」

 

 だからあの日のツバメとやらはいったいどれほどの相手だったのかと問いただしたい。それきっとツバメじゃない。TUBAMEとかいう超生物だよそれ。

 ただそれだけ期待して待っていたら来たのが、こんな御一行では確かにいろいろといいたいこともあるだろう。そんなことに納得できてしまうのが悲しいところであるが。

 

「とりあえず通してくれたりとかは?」

「これでもやとわれの身よ。見てみれば、それなりに良い御仁もいるとあっては、命の削り合いをしないのは逆に失礼というもの。たおやかな華をめでてみるも、また一興よ。えらく季節感がないが、尋常な勝負と行きたいもの。ゆえに、ひとつ忠告だ。この大鬼の名は風越丸。鬼の王曰く、速さの化身という触れ込みだ」

 

 速さでは小次郎の刃とて敵わぬ相手。それを留意して挑めと彼は忠告した。

 そして、それに反応したのは金時。

 

「速さで勝てねえ? そりゃオレのベアー号に対する挑戦だな。良いぜ、ゼロヨン勝負でぶっこもうじゃねえか。テメェはその(マシン)に乗ってラインにつきな!」

 

 そして、ベアー号に乗った金時と鬼に乗った小次郎がラインにつく。

 

「ちょっと待って、小太郎。ちょっと一緒に乗って戦ってきて。小次郎の相手は君に任せるから」

「わかりました。しばしお待ちを」

「じゃあ、行くぜェ!」

 

 マシュが告げる合図とともに鬼とベアー号がスタートする。いつの間にか形作られていたコースを疾走していく。

 怖ろしいのはベアー号という文字通りのモンスターマシンについて行っている鬼の速度だ。確かにその速度、驚愕なほどだ。

 

 その上、互いの乗機上では、忍者と侍の一騎打ちが繰り広げられていた。

 

 二人とも不安定な足場などものともせずに互いの絶技を繰り出している。数十のクナイが一度に飛び、ただ繰り出される剣閃がクナイのことごとくを打ち落としていく。

 

「さすがは風魔といったところでござるな」

「さすがは音に聞いた佐々木小次郎か」

 

 忍者と侍の決戦がヒートアップしていくのに呼応して、

 

「行くぜ、オラァ!!」

 

 鬼と金時の戦いもゴールデンアップしていく。巻き起こる雷撃の閃光と鬼の一撃がぶつかり合う。凄まじいまでのパワーを感じる。離れていても衝撃が届くほどだった。

 

「さあさあ、賭けたかけた、どっちに賭けても儲けられるよー、ほんとうさ!」

 

 ダビデがいつの間にか集まってきた鬼たち相手に賭けをやっているようだった。とりあえず金時に賭けておいてと……。

 

「先輩、先輩! わたし賭け事って初めてです」

「とりあえずゴールデンに賭けておけばいいと思うよ」

「そうですね、ゴールデンさんなら絶対に勝ってくれますよね」

 

 それに、鬼たちは総じて風越丸の方に賭けている。必然として倍率が上がっていくわけで、勝った時、大金が手に入るのはこっち。

 それになにより、こちらには令呪というものがある。もし負けそうになったら迷いなく令呪を切ればいいわけだ。

 

「そんじゃあカッとばそうか! ベアハウリング! ゴールデンドライブ!」

 

 宝具を解放、カッ飛ぶ金時。

 その一撃を鬼が受けて吹き飛んで行った。

 

「すなわちここは阿鼻叫喚、大炎熱地獄。不滅の黄金混沌旅団《イモータル・ゴールデン・カオス・ブリゲイド》!」

 

 風魔軍団ここに在り。

 

「ちょ、お主、日本鯖ではないのか!」

 

 なんだ、その宝具名は。てか、ちゃっかりゴールデン入ってるし……。

 

 だが、鬼レースは見事こちらの勝利。がっぽりと儲かり、鬼どもは牛若丸がせっせと首だけにしてオレの周りに並べてくれていた――。

 




鬼退治鬼退治。というわけで、なぜかレースになった。
というわけで、今後は鬼と誰かが戦い、用心棒とだれかが戦うという感じになる予定です。

さて、明日はプリヤコラボですね。クロが配布か。ランサーでないのは残念ですが頑張ろう。しかし、最近アーチャーくるなぁ。アンメア宝具レベル4だから育てるの後になりそうなのがまた悲しいですが。
とりあえず、明日のメンテまでにサモさんを最終再臨させておきたい。最低、そこまで上げていれば使えるはずですしネ。
アーツ宝具のライダーなんて彼女だけだもの。持っててよかったサモさん。

そして、私は今回は孔明をお休みにしようかなと。女の子が大活躍するイベントですし、せっかくなら孔明先生を使わないでやってみたいかなと思います。

ではみなさま頑張りましょう。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。