俺の青春ラブコメはこの世界で変わりはじめる。   作:clp

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概ね「ぼーなすとらっく!」ですが、一部「幕間」のようなお話です。



ぼーなすとらっく! 「やはり今この場の男女比率はまちがっている。」

 週末の土曜日のこと。この日は珍しく早起きをして、比企谷八幡は録り溜めていたアニメを消化していた。しかし残りが少なくなるにつれて、彼の顔色は次第に冴えないものへと変わって行く。

 

「このままずっとアニメを観て、飽きたら二度寝とかできたら最高なんだが。……せめて、この後の用事が無くなったらなー」

 

 どうやら彼は現実逃避の真っ最中らしい。そんな沈鬱な表情の八幡とは対照的に、元気な声を出しながら女の子がリビングに入ってきた。

 

「おっはよー!って、お兄ちゃんどしたの?何だか疲れてるみたいだけど、もしかして徹夜とか?」

 

「あー、いや。これ以上は溜めたくなかったから、ちょい早起きしてアニメを消化してたんだわ」

 

「消化って……。溜まったのを無理に見るより、ばっさり消しちゃえば?」

 

「安易に1話で切って、最終話の盛り上がりに参加できないフレンズになりたくねーからな」

 

「お兄ちゃんって変なところで真面目だよねー。今日の用事が楽しみで眠れなかったのなら、小町的にはポイント高かったんだけどなー」

 

「どっちかと言えば、中止にならねーかなって考えてたら眠れなくなった感じだな」

 

 口では「しょうがないなぁ」と言いながらも、兄を眺める比企谷小町の表情は明るい。八幡が面倒事を避けたいと思っているのは確かだが、この反応は心底から嫌だと思っているわけではなく、単に恥ずかしがっているだけだ。彼女の目にかかれば、そうした兄の心理はお見通しだった。

 

「じゃあ、ご飯を食べてから軽く片付けて、お兄ちゃんは時間までゆっくりしてたら良いよ」

 

「んじゃまあ2階にいるから、あいつらが来るまでに何かあったら呼んでくれ」

 

 2人で一緒に食事を済ませて簡単にリビングの掃除をして、兄妹は約束の時間を片やそわそわと、片やわくわくしながら待った。梅雨の合間に当たったのか、家の外では気持ちの良い日差しが照りつけていた。

 

 

***

 

 

 正午を遡ること半時間。予定の時刻に目的の家屋の前まで辿り着いた一行は呼び鈴を押した。

 

「はいはーい。ほら、お兄ちゃんも一緒に出て」

 

「え、門まで出るの?何それ面倒臭い」

 

 実のところ訪問者たちも、同じ高校の男子生徒の自宅を訪れることには少なからず緊張していた。だが玄関の扉を開けながら聞こえて来た兄妹の普段通りの会話を耳にして、苦笑とともに余計な力が抜けていくのを感じていた。

 

「小町さん、こんにちは。今日はお招きをありがとう。大勢で申し訳ないのだけれど、お邪魔しても大丈夫かしら?」

 

「雪乃さん、こんにちはですー。狭い家ですが、我が家と思って寛いで下さいねー。何ならそのまま……」

 

「おい、門の前で会話を始めるな。まあ、なんだ。その、ここで解散ってわけには……」

 

「いつものヒッキーだ……。ここまで来てそんなのあるわけないじゃん!」

 

「ですよねー。んじゃま、上がってくか?」

 

「え、あ、うん。えっと、おじゃま、します」

 

 先程の威勢の良さはどこへやら。再び緊張でカチコチになりながら、由比ヶ浜結衣が最初に門を抜ける。そのまま彼女が八幡に続いて家の中へ入っていくと、一行はぞろぞろと後ろに続いた。最後に雪ノ下雪乃が門の中に入って、施錠した小町と並んで家の中へと入っていった。

 

 

***

 

 

 比企谷家のリビングは男女比が大きく傾いた状況にあった。改めてそれを目の当たりにして、八幡は思わず独り言を呟く。

 

「どうしてこうなった?」

 

「あら。貴方の自業自得だという話に、納得したのではなかったかしら?」

 

 くすりと笑いながら、雪ノ下が八幡の呟きに応じる。既にこの話は部室で解決済みではないかと彼女は言った。

 

「俺が色々と変なことを考えて、お前らに迷惑をかけたのは確かだけどな。なんで俺の家で集まる話になったのか、なんでこの面々なのか、改めて考えるとやっぱ変だろ」

 

「まず今回の話は、私が()()()()()()()『猫と遊ぶ約束』をしたことが発端なのよ。由比ヶ浜さんのお誕生祝いが中途半端に終わってしまったことも、その由比ヶ浜さんが奉仕部が『元通り』になったお祝いをしようと言い出したことも加わって、では全てを一度に実行しようという結論に至ったのよ」

 

「いや、ちょっと待て。話の流れに不自然な点は無いが、どう考えてもお前、面白がってやってるだろ」

 

「ヒキオ、ここまで来て往生際が悪いし。あーしの分、飲物とお菓子を持ってきたから、お皿とコップを出すし」

 

 見るからに企み事が上手く行ったという表情の雪ノ下に八幡は噛み付くが、別のお客から待ったが入った。三浦優美子は手土産を自ら分配することもなく、鷹揚に「好きに食べろ」という姿勢を取っていた。

 

「あ、小町ちゃん、あたしも手伝うね。ヒッキーはそのまま、ゆきのんに怒られてたら良いよ」

 

「あたしも、言ってくれたら食器ぐらい運ぶよ。どれを出せば良い?」

 

 食器を出したり他の飲物も用意したりと小町は溌剌と動き回っている。由比ヶ浜が手伝う意思を表明して、それに川崎沙希も加わった。

 

「だから、なんで三浦や川崎まで来るんだ?それに……」

 

「三浦さんも川崎さんも、これで貴方のことを心配していたのよ。貴方がぼっちを気取ろうとも、過去に結んだ縁は無くならないのだから、これからは行動に気を付けてくれると嬉しいのだけれど」

 

「あれ。俺が疑問を訴えてたはずなのに、なんで俺が怒られる展開になってんの?」

 

「話の契機が貴方だからよ。今日は奉仕部が『元通り』になったお祝いを兼ねているのだから、事情を知って気に病んでいた全員を招待するのは当然ではなくて?」

 

「え、ちょっと待って。三浦や海老名さんはまあ、由比ヶ浜が相談してるだろうなと思ってたが、川崎も知ってたのか?」

 

「ああ。言っとくけど、あんたの様子があからさまに変だったからね」

 

 八幡と由比ヶ浜の様子が変だと思った川崎は、雪ノ下のことも心配になって部室を訪ね、そこで事情を知った。だがそうした詳しい話まで説明する必要はないだろう。特に「雪ノ下から情報を聞いた」と伝えることは無用な軋轢を生むことにしかならない。そう考えて川崎は端的な説明に止めた。

 

 彼女の返答を聞いて「マジかー」と落ち込んでいる八幡に向けて、川崎は話を続ける。

 

「でも、この話は他には誰にも言ってないよ。弟も知らないからね。あ、そう言えば大志からあんたに伝言があったんだった。今日の話をしたら『お兄さんパネェっす』と伝えてくれと言われたんだけど、どういうことだい?」

 

「川崎、それは男同士にしか解らんことだ。とりあえずお前の凄みを全開にして『お兄さんと呼ぶな』と脅しておいてくれ」

 

 力なく川崎に伝言を頼んだ八幡は、肩を落としながら目だけでその他のお客を眺める。

 

 海老名姫菜はニコニコしながら「落ち込んだヒキタニくんの後ろから……」などと口走っているが、八幡は聞かなかったことにした。血の噴出にはまだ余裕がありそうだし、どうせ彼女の世話は三浦に丸投げする予定なのだから、気に病むだけ無駄だろう。

 

 そのまま八幡は視線を横に向けて、他学年の2人の間を訝しげに往復させた。

 

「あ、私は生徒会の役員から情報を聞いたんだけどねー。職場見学に行ってから奉仕部の3人の様子が少し変だって報告があって、運営がまた何か厳しい事を言い出したんじゃないかって、みんなで心配してたんだ。でも何もなくて、比企谷くんもちゃんと回復できて良かったね」

 

「あー、心配かけてすんません」

 

 八幡の視線をものともせず、城廻めぐりはぽわぽわとした口調で事情を説明してくれた。生徒会が何を懸念していたのかを教えて貰ったこともあり、八幡は彼女に対してはスッキリした心境でお礼を述べた。まともな人が1人でも居てくれて良かったと、八幡は心から安堵しながら最後の1人に目を向けた。

 

「えとですね〜、わたしも『運営が何か企んでいるのかも』って話を小耳に挟んだので、色んな先輩に話を聞いてみたんですよ〜。そうしたら、えっと……せんぱいの様子が変で落ち込んでるって聞いたので」

 

「おい。色々と不自然なんだが、とりあえず俺の名前を覚えてないよね?」

 

「え〜。何を言ってるんですか、せ〜んぱい?」

 

「あーうん。もういいや」

 

「え〜、せんぱい何だか対応が適当すぎません?」

 

「い、いろはちゃん。そろそろお昼だし、ご飯のこと考えよ?」

 

 由比ヶ浜の仲裁を受けて一色いろはは不満げに頬を膨らませているが、彼女も今の時点では八幡にそれほど興味を抱いていない。名前を覚える価値があると思っていないし、八幡の邪険な扱いも照れているだけだろうとしか思っていない。

 

 八幡がこっそり呟いた「あざとい」という言葉は彼女の耳には届かず、一色は他学年の同性の生徒と仲良くなるという本日の目標を思い出しながら由比ヶ浜の後に従った。

 

 

***

 

 

「あたし、本当にクッキーだけで良いのかな。何か手伝うこととか……」

 

「ええ。今回は1人1品ずつ持ち寄るという話だったのだから、貴女はそれ以上は何もしなくて良いのよ」

 

「それにあれだ。あっちで女王様が退屈そうにしてるから、そっちの応接を頼むわ」

 

 由比ヶ浜が料理の手伝いをしたいという雰囲気を醸し出していたが、雪ノ下と八幡は温かい口調で、しかし内心では必死になって彼女の説得を試みていた。

 

 本日の来客のうち、三浦はお菓子と飲物を持参した。一色は小腹が空いた頃に振る舞うべくケーキを焼いてきた。その他の面々は、各自で下ごしらえを済ませた具材を今からこの場で調理する。つまり、今リビングでは三浦と一色の2人だけという、八幡でなくとも由比ヶ浜の派遣を願いたい状況だったのだ。

 

「では、順番に調理に入りましょう。城廻先輩は食事中も食後も食べられるフライドポテトを。川崎さんは里芋の煮っころがしを。海老名さんはキノコと野菜の卵とじを。小町さんは肉じゃがを。私は由比ヶ浜さんのリクエストでマカロニグラタンを作る予定です。統一感はないかもしれないけれど、たまにはこうした試みも面白そうね」

 

「あれ、比企谷くんは何か作らないの?」

 

「あ、はい。俺はデザートを用意してるので」

 

「へえ。あんた料理もできるんだね」

 

「沙希さん。お兄ちゃんはこう見えて、手抜き料理をさせればなかなかですよー」

 

「こう見えて専業主夫を目指してる身だからな」

 

「あんたまだそんな事を言ってるのかい?」

 

「じゃあ、比企谷くんはお婿さんになるんだねー」

 

「ヒ、ヒキタニくん。婿入りするならお勧めの家が……」

 

「えーと、葉山の家ならお断りで」

 

 

 雑談を交わしながらも、それぞれの得意料理だけに調理は順調に進んでいた。手持ちぶさたの八幡は残りの面々の様子が気になったので、キッチンを離脱してリビングへと移動した。

 

「え〜。名前で呼ぶのはダメですか〜?」

 

「最低限の礼儀は弁えたほうが良いし」

 

「い、いろはちゃん。あたしは別に名前でも良いけど、優美子はその……」

 

「あ、ありがとうございます〜。じゃあ結衣先輩って呼ばせて貰いますね〜」

 

 会話は弾んでいるようだし、この流れで俺が加わっても何もできないと自分に言い聞かせながら、八幡はキッチンに向けて回れ右をした。

 

「ヒキオ、逃げんなし」

 

「え。ヒッキー、いつから居たの?あっちは大丈夫そうだった?」

 

「あ、まあ、みんな手慣れてる感じだったし大丈夫だろ」

 

「せっかくケーキを焼いてきたのに、お腹いっぱいで食べられないとかだと困りますね〜」

 

「その辺も大丈夫じゃね?何だかんだ喋ってたら腹も減るし、いざとなったらお土産で持って帰ったら良いしな」

 

「え〜。でも、食べた時の反応とか見たいじゃないですか〜」

 

「一口ぐらいは食べるだろうし、心配すんなし」

 

 

 そうこうするうちに料理が完成して、八幡と8人の女子生徒は立食パーティーのような形で食事を始めた。食前に雪ノ下から「食べ物を床に落としたり食べながら喋るなどの行為は厳禁」と釘を刺されたので、みんな行儀良く食事を摂っている。

 

 食卓に料理を並べた時にはたくさんあるように思えたのに、食べ始めるとあっという間に無くなってしまった。小町は「料理対決」と言いだして場を盛り上げようとしたのだが、あっさりと「どれも美味しい」という結論に落ち着いて、彼女が密かに企んでいた嫁度対決は不発に終わった。

 

 八幡は料理がきれいに無くなったのを見て、冷蔵庫に用意してあったデザートを各自の前に並べた。

 

「ぷるぷるしてるねー」

 

「あ、はい。牛乳プリンですけど、かたさの好みが判らなかったので……」

 

「大丈夫、美味しそうにできてるよー」

 

「コーヒーはあれですけど、兄のデザートの味付けは甘さ控え目なので、良かったらジャムとか使って下さいねー」

 

「いえ、このままでも美味しくできていると思うのだけれど」

 

「うん、ヒッキー凄いかも」

 

「あっという間に無くなったし」

 

「ゼラチンと牛乳とお砂糖ですか?簡単に作れるのに美味しいですよね〜」

 

「簡単で美味しいって、あんたらしいデザートだね。うちでも作ってみようかな」

 

「ヒキタニくんが白いモノを食べさせてあげようというのに、何故この場には男子が居ないのか!」

 

「あー、えーと。そういや、戸塚とかは呼ばなかったのか?」

 

「さいちゃん、駅前のテニススクールに通うことにしたみたいで」

 

「凄く残念がっていたのだけれど、『じゃあ今度は男子生徒だけで集まろうか』と伝えて欲しいと言っていたわ」

 

 昼間からエスカレートする海老名の発言すら瞬時に忘れて、どうやって戸塚をもてなそうかと八幡は考えに没頭し始める。なお、今日は材木座も誘われたのだが、戸塚の不在と男女比の偏りを知って怖じ気づいたのか「八幡め、リア充のような振る舞いをしおって」などと苦言を呈していたとのこと。ぶれない御仁である。

 

 

***

 

 

 各自が好きな飲物を手に、三浦のお菓子と城廻のフライドポテトに手を伸ばしながら雑談の輪ができていた。雪ノ下は城廻と由比ヶ浜と、小町は川崎と、そして三浦と海老名はなぜか先程に続いて一色と話をしている。

 

 使い終えた食器を片付けながら、八幡は何となく気になって三浦たちの会話に耳を傾けた。

 

「じゃあ、インターハイの決勝は8月に入ってすぐなんだね」

 

「ですです。7月終わりから1週間ぐらいの日程ですね〜」

 

「隼人たちが出られたかは判んないし。でも、その時期に気持ちが落ち込みそうなのは確かだし」

 

「わたしもそう思うんですよ〜。だから、夏休みに出かけるならこの時期が良いかな〜って」

 

「私は聞いてないんだけど、遊びに行くなら一緒にって話になったんだってね」

 

「あーしも気持ちは解るから、今回は我慢して欲しいし」

 

「あ、別に我慢とかしないし大丈夫だよ。一色さんとも仲良くなりたいし」

 

「こちらこそ、よろしくお願いします〜」

 

「じゃあお近づきの印に、つい先日に描いたこのイラストを……」

 

「……布教は止めておくし」

 

 どうやら不穏なことにはならなさそうで、「家の中で喧嘩とかされたら嫌だしなー」などと、とっさの建前を呟きながら八幡は胸をなで下ろした。

 

 

 その後は小町に捕まったので適当に相鎚を打ちながら周囲を観察していると、由比ヶ浜が各グループを適度に渡り歩くことによって、それぞれの構成メンバーが微妙に変化していくことに八幡は気付いた。

 

 由比ヶ浜が三浦の近くに行くことで、話が続いていたとはいえ決して居心地は良くなかっただろう一色を城廻たちのグループに解放する。次いで川崎を手招きして、前々から川崎と手芸の話をしたがっていた海老名に引き合わせ、入れ替わりで八幡と小町と一緒に話を始める。由比ヶ浜のコミュニケーション能力の高さに八幡は舌を巻いていた。

 

「あ、そういえば。ゆきのーん」

 

「お、奉仕部の3人が集まるようなら、小町はあっちで話してきますねー。一色さんからケーキの作り方を教えて貰ってこようかなー」

 

 同様に小町も場の空気を読んで行動することには長けているだけに、あっさりとグループの変更が済んでしまった。

 

「何だか、部室以外の場所でこうして集まるのは、不思議な気がするのだけれど」

 

「学校の外で会うのって、あんまりないもんね。でも、またカラオケとか、こないだ言ってた映画とか、一緒に行きたいな。ヒッキーも、来てくれるよね?」

 

「あー、まあ、そのうちな」

 

「駄目よ、由比ヶ浜さん。比企谷くんを連れ出すなら、周到に計画をして出掛けるしかない状況に追い込む必要があるわ」

 

「おい、お前って俺のことを何だと思ってんのよ。別に出掛けるのが嫌って意味じゃなくて、その、お前らと趣味の合う映画があるのか、ちょっと不安というかあれでな」

 

 八幡は何やらごにょごにょと言い訳を続けているが、以前と比べて彼が歩み寄ってくれていることを感じ取った2人は柔らかい表情を浮かべていた。顔つきはそのままに、雪ノ下が口を開く。

 

「そういえば、2人にまだ言っていなかったことがあるのだけれど」

 

「ん?ゆきのん、どうしたの?」

 

「何の話かは分からんけど、ここで言える事なら言ってみれば良いんじゃね?」

 

「ええ。職場見学の時に、自分だけ先に帰ってしまってごめんなさい。こうして奉仕部が『元通り』になったから良かったものの、2人には迷惑をかけてしまったわ」

 

「あー、そりゃもう時効みたいなもんだろ」

 

「うん。良い結果になったんだから、もうゆきのんも気にしないでね」

 

「ありがとう。それでも、2人に向かって一度は言っておかないと、と思ったのよ」

 

 引き続き温かな表情を浮かべる雪ノ下と由比ヶ浜に加えて、八幡の目にも優しい光が灯っていた。

 

「じゃあそろそろ、いろはちゃんのケーキの試食をしてみよっか!」

 

 大きな声で全員に向けて由比ヶ浜が話しかけると、全員から即座に賛成の声が返って来た。

 

 

 こうしてこの日の夕刻まで、9人の学生たちは楽しい時間を過ごしたのだった。

 




次回は原作との相違点や時系列をまとめた回になります。
可能ならば明日の金曜日に、それが無理なら月曜日に更新する予定です。

ご意見、ご感想、ご指摘などをお待ちしています。

追記。
細かな表現を修正しました。大筋に変更はありません。(4/6)

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