遊戯王~伝説を受け継いだ兄妹~   作:龍南

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留姫「お待たせしました。第33話です。」

今回は作者と留姫で前書きと後書きをお送りします。

留姫「今回は私にとっては重要な話よ。」

ぶっちゃけ前半のいらない・・・中盤の留姫視点だけで十分だったんじゃって思ってる

留姫「・・・さて私の設定が変わったわけ、それを今回お話しするわ。」

それでは第33話、スタートです。


第33話 忘れられない恋

駆side

 

「・・・狭霧さん。」

 

「どうしたの駆君?」

 

「・・・なんですかこのセキュリティの体たらくは・・・」

 

「・・・それは私も頭を抱えてるわ。」

 

現在セキュリティの本部にいる俺。セキュリティのあまりの体たらくぶりに俺は唖然としている。

 

「すまん駆。俺も何とかしようとは思ってるんだが・・・」

 

狭霧さんや牛尾さんでもなんとかできないものらしく、2人とも頭を抱えている。

 

ライディングデュエルで負けて犯人は取り逃がす。そもそも武術でも負けて取り逃がす。挙句の果てには情報能力もなく知能もないからまず犯人の居場所さえわからない・・・なんだこれ・・・

 

「お2人とも・・・セキュリティ全員しごいていいですか?」

 

「・・・いいわよ。むしろそのためにあなたを雇ったのだから。」

 

「この状況を変えたいからな・・・頼む。」

 

「・・・分かりました・・・今日から徹底的にしごきます。」

 

許可貰ったし・・・さぁ、セキュリティを徹底的にしごくか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遥side

 

「わぁすごーい!」

 

「これはトビーの家・・・」

 

私は今トビー君の家の前にいる。

 

今日は龍可と龍亞君、それに龍亞君の友達の天兵君やパティと一緒にトビー君の家に遊びにきたんだ!

 

しかし凄い・・・トップモデルのミスティお姉さんの弟だもんね。

 

中に入るとこれがまたすごかった。

 

「ひろーい!」

 

「すっげぇ!」

 

広すぎる・・・

 

「姉さんは今日1日中仕事だから今日は僕だけなんだ。」

 

「じゃあいっぱい遊べるー!」

 

「よーし、デュエルだ!」

 

「何でここまで来てデュエルなのよ・・・たまには違うことを・・・」

 

「そうだよね。ここでしかできないことを・・・」

 

龍亞君は相変わらずだよね。どこでもデュエルしたがる。

 

でも平和だねほんとに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

留姫side

 

「お待たせ。」

 

「おっ、ようやく来たか駆。」

 

「ごめんね。仕事が長引いちゃって。」

 

ここは私の母さんが経営する喫茶店。同時に私の家でもあるんだけど・・・

 

今は夕方。今日は涼太や美菜、隆が店を手伝ってくれてて、駆もセキュリティの仕事が終わったら合流する予定だったんだけど・・・駆の仕事は長引き、こっちはこっちで現在客がいないという状況よ。

 

「凄い汗かいてますよ。大丈夫ですか?」

 

「大丈夫大丈夫。ちょっとセキュリティの連中をしごいただけだから。」

 

「しごいたって・・・」

 

「だって無能すぎるんだもん・・・狭霧さんと牛尾さんも悩んでて、2人から許可貰ったから今日からみっちりしごいてる。」

 

「・・・中学生にしごかれるセキュリティぇ・・・」

 

まったく・・・

 

「駆、飲み物何がいい?」

 

「じゃあココアで。」

 

「OK。母さん、ココアお願い。」

 

「分かったわ。」

 

母さんは手早くココアを作り、駆の前に持ってくる。

 

「はい、どうぞ。」

 

「ありがとうございます。しかしみんなで何を話してたの?」

 

「ちょっとした世間話ですよ。」

 

「恋バナしても皆誰にも恋してないから面白くないのよ。」

 

・・・私は恋してるんだけどね・・・

 

「ねぇねぇ、駆は恋バナ何かある?」

 

「・・・恋・・・ううん、俺恋とか興味ないんだよね。」

 

・・・ちょっと戸惑った・・・嘘ね。

 

「ダウト。少し戸惑った。何かあるんでしょ?」

 

「相変わらず留姫は鋭いね。」

 

「さぁ、駆、白状しなさい!」

 

「・・・あんまり話したくはないんだけどね・・・これを話すとこのわいわいした雰囲気が壊れると思うけどそれでもいい?」

 

「・・・え?」

 

「そこまでの・・・話・・・ですか?」

 

「そうだよ。」

 

・・・駆・・・まさか・・・

 

「あぁ、あんまりいい話じゃないんだ・・・ごめん。でも今ならお客さんいないし、今のうちだよ。」

 

「お前聞きたいだけだろ。少しは空気読め。」

 

「・・・私も聞きたい。」

 

「え?」

 

「留姫まで・・・」

 

ここは美菜に助け船を出させてもらうわよ

 

「そう・・・だったら話すね。話は前世の時の中学1年の冬までさかのぼるよ。」

 

中学1年の時の冬・・・やっぱり・・・

 

「2学期から図書委員をやってた俺は当番の日、必ずある1コ上の先輩と一緒だった。その先輩は可愛くて・・・俺は一目惚れしたんだ。」

 

「駆が一目惚れ・・・」

 

「よほどの美人なんだなその人。」

 

「うん・・・めっちゃ可愛かったし。それでいて丁寧に図書委員の仕事内容も教えてくれたし、優しかった・・・まさに俺の理想の人だった。」

 

「そこまで・・・」

 

「それで、3学期も図書委員になって、その先輩とまた一緒になったんだ。そしたらバレンタインの日に・・・一緒に帰ろうって言われて、一緒に帰ったら・・・チョコ渡されて・・・そこで告白された。」

 

「駆からじゃなくその先輩からだったのね。」

 

「うん。もちろん俺は二つ返事でOKして付き合うことになった。そして順調に付き合って、2年後の1月だった・・・」

 

その瞬間、駆は悲しい顔をした。それは他の皆も気づいて・・・

 

「・・・まさか・・・」

 

「・・・その彼女が・・・事故で亡くなった。」

 

「嘘・・・」

 

「事故で・・・」

 

「しばらく俺は茫然としてた。家で随分と泣いたりもした。ショックだったし。」

 

「そりゃ泣くわよ・・・」

 

「それ以来、俺は恋愛をしないことにしてるし、誰とも付き合うつもりはないの。その彼女のことは今でも忘れることはできない・・・ずっと・・・俺の心の中にいるから・・・」

 

「・・・なんかごめん。とんでもないこと聞いちゃったね。」

 

「いいよ。まさかこんな話が出てくるとは思ってもなかっただろうし。」

 

「それはつらい・・・」

 

「・・・・・駆・・・」

 

カラン

 

「あら、いらっしゃいませ!」

 

「あ、お客さんが来た。さぁ皆!仕事やるよ!」

 

「お、おう。」

 

駆・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「留姫、ちょっといい?」

 

「どうしたの母さん?」

 

あの後も皆手伝ってくれて、仕事はスムーズに終わった。そしてみんな帰った夜、お母さんに呼び止められた。

 

「駆君が今日話した話だけど・・・」

 

「・・・母さんは気づいたのね。」

 

「当り前よ。留姫から聞いたこととあまりにも一致しすぎてる。その駆君の彼女って・・・留姫なんでしょ?」

 

「・・・えぇ。」

 

そう・・・その駆の彼女は私のこと。

 

「・・・言わなくていいの?あの子は・・・待ってるわよ。」

 

「・・・・・えぇ。」

 

「忘れてないって言ってたし、心の中にいるとまで言ってた。つまり、それほどあなたのことが好きだったってことよ。」

 

「・・・えぇ。」

 

「・・・言ったら。あなたの正体。」

 

「・・・そうね・・・」

 

そう言って私は自分の部屋に入った。

 

思い出すわ・・・駆との恋・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

~留姫の回想~

 

「きゃあ!」

 

「大丈夫ですか?」

 

「あ、ありがとう。ちょっとバランス崩しただけよ。」

 

「そ、そうですか///」

 

「あなた、私と一緒で図書委員でしょ?」

 

「はい、山岸駆とお申します。よろしくお願いします。」

 

「私は清永智子よ。わからないことがあったら何でも私に聞いてちょうだい。」

 

「ありがとうございます。」

 

~回想中断~

 

 

 

 

 

最初の出会いは図書室・・・同じ当番の日に私が上の方に本を片付けようとしてた時にちょっとバランスを崩したとき、偶然近くにいた駆が心配して声をかけてくれたのが始まり。思えばその時にすでに私に惚れてたのね駆は。

 

ちなみに清永智子って言うのが私の前世での名前。駆の言う通り、私のほうが学年は1つ上よ。

 

そして私が告白したのは駆の言う通りバレンタインの日。その時には私たちは『ぎー君』、『智子さん』という風に呼び合うまでの仲となってた。

 

 

 

 

 

~回想再開~

 

「ねぇぎー君。」

 

「どうしました?」

 

「あの・・・これ///」

 

「え、これって・・・まさか///」

 

「///私・・・ぎー君のことが好きなの。」

 

「///え?」

 

「///ずっとずっと・・・ぎー君のことが好きなの・・・だから・・・私と、付き合って下さい!」

 

「///・・・いいんですか?僕なんかで。」

 

「///えぇ。むしろ、ぎー君以外私には考えられない。」

 

「///・・・嬉しい。」

 

「///え?」

 

「///僕も最初に会ったときから、智子さんのことが好きでした。だから、僕で良ければ喜んで。」

 

「///ぎー君!」

 

「///智子さん。」

 

「///だーいすきぎー君!」

 

「///僕も大好きです智子さん!」

 

~回想終了~

 

 

 

 

 

それから付き合ってもうすぐ2年になろうとしていた1月初め。私は事故で死んだ。そして気づけば私はこの世界にいた。

 

最初は記憶喪失で前世の記憶はなかったけど徐々に思い出した。母さんにはすべて話したわ。というより、母さんは道端で倒れてた私を家まで運び、そのまま私の母親としてこれまで育ててくれた。

 

体が最初は小4の体になってた時はほんとに驚いたわ。この世界に転生しただけでも驚きだったのに・・・

 

小学4年生として私がアカデミアに編入した時、真っ先に仲良くしてくれたのが隆、美菜、涼太の3人だった。

 

いじめられた時も、3人だけは私の味方だった。でも、私は魔女状態になってしまった。そんなときに、駆・・・いや、ぎー君と再会した。

 

そしてぎー君の妹の遥ちゃんのおかげで私は本来の自分を取り戻すことができた。そしてぎー君は・・・何も変わってなかった。あの頃と何も変わらない優しさで私と接してくれた。

 

ぎー君がまだ私の正体を気づいてないのは私の名前が変わってるのと、あの頃に比べて私の髪が茶髪になってることかしら。前世では黒髪だったけど、この世界に来てから気分を変えるために染めたの・・・でもちょっとは勘付いてる。ぎー君が私との恋の話をしたとき、よく私の方を見て話してた。あれは何か勘付いてる。多分雰囲気が似てるとかそういう感じなんでしょうね。

 

まさかこの世界で同じ学年として一緒になるとは思わなかった・・・そして・・・ぎー君はあの頃の恋をまだ忘れてなかった・・・むしろ私のせいでもう恋はしないとまで言ってた。

 

嬉しかった・・・でも・・・ぎー君には幸せになってほしい・・・私にとらわれず、幸せをつかみ取ってほしい。

 

でも・・・それが私にしかできないとしたら・・・

 

ぎー君、私だって・・・まだぎー君のことが好きだよ。記憶喪失で以外、ぎー君のことを忘れたことなんて私もない。ぎー君にとって私が理想の恋人であるように、私にとってもぎー君は理想の恋人。ぎー君以外との結婚なんて考えられない。

 

でもぎー君にとって今はやっとつかみ取った平和な1日。私と死別した後、ぎー君はつらい戦いをしてきて平和な1日なんてなかった。

 

だからぎー君にはその平和を楽しんでもらいたい。ここで私が正体を言ったらまたぎー君の頭がパニックになっちゃいそうだから・・・

 

でも・・・もう耐えられないかも・・・何度正体を言おうかと思ったか・・・でもそのたんびに今じゃないと思っていうのをやめてる・・・でもそろそろ限界かも・・・

 

「はぁ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぎー君、大好きだよ。」




留姫「以上、第33話でした。」

ということで留姫の正体は、勘付いてた方がいらっしゃるかもしれませんが、留姫は前世での駆の恋人でした。

留姫「忘れもしないあの恋・・・ぎー君も忘れてなかった・・・」

この恋、今後どうなるのか。

留姫「続きをお楽しみにね。」

さて、次話は中間試験です。

留姫「小等部の新キャラが登場よ。」

そしてみんなは中間試験を無事に終えることができるのか。

留姫「次話のタイトルは『中間試験 学年1位の宝玉使い』よ。次話もお楽しみに。」

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