前回同様、感想欄の解答とほぼ同じ内容ですので、すでに分かっているという方はスルーされてもいいかもしれません。ただ、今回は私自身の物語作りの甘さもあり、内容が少し複雑になっています。申し訳ないです。
「『こいしちゃん』って、知ってる?」を読んでいただき、ありがとうございました。
今回は都市伝説ということで、ホラーな雰囲気を意識して書かせていただいたつもりです。どんでん返し……とまではいかないものの、読者様に少しでも「あっ!」と驚いてもらえたのなら、それ以上に嬉しいことはないです。
【解説】
簡単に言いますと、ゆりの勘違いです。実際は、茜はこいしに憑依などされていなく、誕生日プレゼントを渡したいだけでした。
まず初めに、『こいしちゃん』の噂について。察しの通り、『こいしちゃん』の噂の後半二つは嘘です。
◇◇ 『こいしちゃん』の噂 ◇◇
・『こいしちゃん』は幼い少女の声をしている。
・『こいしちゃん』は同じ人物に二度電話をかける。一度目は「近くにいる」と言い、二度目は「後ろにいる」と言う。
・『こいしちゃん』に電話をかけられた人物は、二度目の電話の後に殺される。『こいしちゃん』はその人物に親しい友達に憑依(?)して、殺す。
・一度目と二度目の電話には一日の間隔があり、電話をかけられた人物はその間に、『こいしちゃん』が憑依した友達を殺さなければならない。
まずこいしは、深秘録のエンディングにあった通り、適当な電話番号に電話をかけて「今、貴方の後ろにいるの」と言っていました。しかし、それだけではみんなあまり怖がってくれません。
そこで、こいしは実際に『メリーさん』をネットで調べてみて、『メリーさん』が遠くから徐々に近づいてくることを知りました。
そして、こいしは、一度目の電話で「近くにいる」と言い、二度目の電話で「後ろにいる」と言うことを思い付きます。更にネットに、自身の手で二度目の電話の後に、電話をかけられた人間が殺されるという噂を流します(こいしの「面白いこと思い付いた」とは、このことです)。
これによって『こいしちゃん』の噂は瞬く間に広がり、更に『こいしちゃん』が親友に憑依するという嘘の情報まで流行しました。噂の後半二つは人間の手によって勝手に付け加えられたもの、だったというわけです。
次に事件の真相について。茜の隠していたものは、凶器ではなくゆりへの誕生日プレゼントでした。
カレンダーに描いてあった【イチゴの乗っかったショートケーキ】とは、5月15日がゆりの誕生日であることを意味しています。学校にて茜がゆりを避けていたのは、単純に茜が、ゆりにプレゼントを渡すことに対して照れていたからです。意を決して放課後にゆりを教室に呼んだのですが、そこで勘違いされて殺されてしまったのです。
因みに誕生日プレゼントは手作りカップケーキでした(流石にイチゴのショートケーキを学校に持っていくのはちょっと変ですので……)。親友の誕生日に手作りケーキを作る茜ちゃんかわいいです。
ゆりが教室にて茜と会った時、茜が変に動揺したり、不気味な笑みを見せたりしていましたが、あれらはゆりによる主観的な描写です(文章的な意味としては、こいしが茜に憑依していると読者様に思わせようとしました)。ゆり自身も動揺していましたので、かなりの脳内補正がかかっていた、ということです。
最後に、「茜のところにも電話がかかっていた」という解答について。
私自身もこの解答には驚かされました。矛盾した点がなく、答えとしてはこちらの方がスッキリしている、とさえ思えます。ですが、一応不正解ではあるので、私なりの反論を書かせてもらいます。
まず、もし茜のところにも電話がかかっていて、更に茜がゆりを殺そうとしていたなら、教室にて茜が背中に隠していたものは、ゆりの推測通り凶器であったと判断できます。更に茜は誰もいなくなった教室にゆりを呼び出し、待ち伏せしていた。
そう考えると、いくら茜の身体が華奢だとは言え、いとも容易くゆりに殺されてしまうのは少し不自然だと思います。
次に、動機について。ゆりが茜を疑っていたのは、茜が不審な態度を取っていたからです。逆に、茜からすれば、ゆりの態度に不自然な点はなかったと思います。いくら電話があったとは言え、悪戯かもしれない電話と、信用できるか定かでないネットの噂だけで、親友を殺してしまうのは些か不自然な気がします(まあ、ゆりも似たような状況で茜を殺しているのですが……)。
……解説はこんな感じです。今回は私のプロット作りの甘さ、文章力の未熟さが露呈した回になってしまいました。申し訳ありません。
今後はこのような曖昧な解釈がないように、しっかりと塾考を重ねていきたいと思います。
それでは、ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございました。
次回はメディスンの話にする予定。殺伐とした話が続いたので、次回はハートフルな感じになると思います。…………多分、です。
楽しみに待っていてくださると幸いです。