それでも嬉しいものは嬉しいんですがね
ことの発端はこうだ
回想
俺は、シュークリームを買うために店に入った。ここまでは良い、良かった筈なんだけどなぁ………
急に、いや、この店に入ってから超直感が嫌に反応していたんだ。それも面倒事に巻き込まれる系の……
さっさと帰ろうと思い、シュークリームを受け取り、代金を払って、踵を返した途端に、来てしまったんだ。あの美少女3人の一人、高町なのはさんが……
その時点で超直感は反応を止めた。まるで俺に諦めろと言わんがごとく
「あ!君はかの有名な沢田綱吉君だね⁉私、高町なのは、よろしくね、綱吉くん‼」
「え、あ、うん……よろしく……あと、ツナで良いよ」
「うん❗あ、それは……美味しいからね❗ここのシュークリームは❗」
「あはは、ところでここはなのはちゃんの知り合いのお店?やけに通いなれてるけど……」
なのはちゃんはこのお店に入ってくるとき、まるで家に帰ってきたような、そんな顔をしていた。
「知り合いっていうか、私の家族のお店なの❗」
そうか、だから…
と、いつまでもこうしている訳にも行かない。何より、早く帰るべきだろう
「それじゃあ、俺はこれで……」
そう言い、俺はなのはちゃんの横を足早に通り、店の外に出ようとした。
「よう、俺の嫁、来てやったぜ」
学校で、いつも美少女3人に絡んでる………確か名前は……………………御劔 織朱だったかな?まだ小学生なのに、妙に顔が整っていて、殆どの女生徒から嫌われている子、だと記憶している。
正直俺はあまりこの人が好きではない。周りの人をまるでそこら辺に転がっている石ころのように見ていると感じたから……
「あ、御劔君………何しに、来たの……⁉」
なのはちゃんはどこか拒絶するような態度をとっていた。だがしかし、俺は全ての女から好意を寄せられてるんだぜ、を地でいく御劔はそんなことには気付かず、なのはちゃんへ近づいていった。
御劔は一歩歩み寄る‼なのはは一歩後ずさる‼
御劔は近づく❗なのはは後ろへ下がり御劔を拒絶する‼
これの繰り返しであった。
因みに今のなのはと御劔の心境
なのは
折角ツナくんと楽しくおしゃべりしてたのに、最悪なの。何でいつもついてくるの?何でいつも拒絶してるのに笑うの?
その笑顔は……何?
変な目で見ないで❗
もう、うんざりだよ…
御劔
ぐふふ、照れてる照れてる❗全く、なのははツンデレだなぁ。だけどな、俺はお前一人を愛せない。だってこの世には、過去、未來、現在問わず俺を愛する人が沢山いるのだから…
ふ、転生して良いこと尽くしじゃねえか‼ま、死んだって神ん野郎に聞かされた時は怒り狂っちまったが、転生すると言ったから渋々許してやったぜ!チートも込みでな‼
ぐふふ、感謝してるぜぇ神様よぉ、これで俺だけのハーレムが作れる…!
神様
ムキ~!コイツムカツク❗
よし、ツナくんを強化しよう‼
ブルッ
な、何か寒気が…?気のせいだよな‼
それよりどうしよう?
明らかに嫌がってるよね、なのはちゃん
ふぅ、よし❗
「ねぇ君?なのはちゃん嫌がってるみたいだしさ、止めたら?それに、ここは店のなかだよ?他の人の迷惑にもなるしさ、ね?」
すると、御劔は苛立ちを隠しもせずに怒鳴った。
「……あぁ?んだよこのモブが!モブごときが俺に喋りかけんな‼」
「……ああ、ほら皆の注目になっちゃってるから❗もう帰ったら?時間も時間だし…」
さりげなくこの場からの退散を要求しても、ぎゃあぎゃあ言うだけで全く帰る様子がない。
とそのとき、凄まじい殺気がこちらに向けられた。その出所を見たら一人の青年がいた。その青年はこちらへゆっくりと、しかし力強く歩いてきた。
「おい、君、他のお客様に迷惑だ。即刻立ち去れ。さもなくば、強制的に出ていってもらうぞ」
「ああ⁉うるせぇなぁ!引っ込んでろよ‼で、クラスでダメダメの奴がこの俺様に指図するつもりか?格が違うってことがわかんねえのかよ!モブにも劣る奴g………」
この凄まじい殺気に気づくことがなく、なおもまだ俺に暴言を吐いている。殺気を出した張本人はもう、取り返しのないところまで来ていた。
ドガッ!
「このkグエッ⁉」
あ、気絶した。てか今の音は……人が受けても良い音だろうか?
あと、その木刀、いつ出しました?さっきまでお盆とか持っていて両手塞がってましたよね⁉
そのあとは、皆何事も無かったかの様に食事などに戻っていった。
え、皆不思議に思わないの?今、結構ヤバめなこと起きたよ⁉
もういいや
「ふぅ~…そういえば、君は…?」
「あ、沢田綱吉です。ツナって呼んでください」
「そうか、ツナ、俺は高町恭也ありがとう。なのはのこと」
「いえ、大丈夫ですよ……いつもなんですか?あれ」
「ああ、ほぼ毎日だ。それも数年前から………ハァ……」
数年前って……まだ小二だよね?なんでそんな煩悩にまみれた高校生みたいな思考してんの?いやまあ高校生になってないから知らんけど……
「そういえば、ツナ、お前さっきあいつに『クラスでダメダメな奴』って…」
「ああ、勉強も運動も全然できない。ダメダメななんですよ。それでみんなに『ダメツナ』って呼ばれることになっちゃって…あはは」
ツナは苦笑い気味に話した。しかし次の瞬間には、何かを懐かしむような、悲しむような、嬉しいような、そんな色んな感情が入り混じったような顔をした。
「でも、もう気にしてません。それに、ダメダメだけどいいことだってあるしね」
その顔を見て恭也は悟ったのだろう、特に踏み込みはせずにもう一度だけ礼を言って立ち去った。
「………ツナ君!」
なのはが急に声を上げた。その顔はどこか覚悟を決めたような顔だった。同時に超直感は悪い意味で警鐘を鳴らした。
「ツナ君って確かいつも一人でお弁当食べてたよね!?だったら今度から一緒に食べよう!?」
……一応疑問形ではあるが、その言葉には有無を言わせぬ、『おい、はいとしか言わせねぇぞ?』というような意味が込められた言葉だった。
ツナはなのはのそのあまりの剣幕に若干気圧され、たじたじになった。
結局、流れに流されたツナはなのはと一緒に弁当を食べることになってしまった。
「なんでだよ………」
その理不尽さに戦慄しながら、半ば諦め、うなだれながら帰ることとなった。
その背中は遠目から見ても分かるほど、哀愁を漂わせていた。
今回はこの辺で‼
ではまた❗