逃げる?違います。明日への前進です。   作:吹雪型

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スッゲー迷った。この話は多分賛否が分かれると思います。
それでも、読んでくれると嬉しい!


自分の選択。

あの後直ぐにタツミが目を覚まし、俺とチェルシーさんが抱き合ってる現場をバッチリ見られてしまった。

 

「えっと………何か……ゴメン」

 

「「……ッ///」」

 

俺とチェルシーさんは何も言えなかったのだった。

 

「じゃあ、そろそろ俺は行くよ。タツミ、チェルシーさん……死ぬなよ」

 

「お、おい!シュウ!」

「シュウくん!」

 

俺はエイトブーストを使いクロメちゃんの所に向かった。

 

……

 

クロメはマイン、シェーレ、ナジェンダ、イケメンと対峙していた。しかし…

 

「ヌルヌル美少女キタコレ!」

 

「シュウ……後で隊長とセリューに報告するね」

 

すんません!でも、マインちゃんとシェーレさんのヌルヌルお宝シーンは滅多に見れないんだ!

 

「さて、取り敢えずグレネードを受け取りな!」

 

グレネードをナイトレイドに撃ち込む。代わりにマインからの射撃が来るが右に避ける。

しかし、イケメンとシェーレが一気に突っ込んでくる!

 

「シュウ…覚悟」「すみません」

 

しかし、アクセルブースト中だから黒刀を抜きながらイケメンの攻撃を避けながら背中を斬り、そのままシェーレと打ち合う。

 

ガキイィン!!!

 

「どうよ?この黒刀……エクスタスとも打ち合えるんだぜ?」

 

「ッ!強いですね!」

 

流石にエクスタスに挟まれたら黒刀も折れるだろう。しかし、打ち合うぐらいなら大丈夫だ!

更にシェーレと打ち合う。しかし、イケメンも直ぐに復活して攻撃を仕掛ける。更にマインからも射撃が来る!

 

(これはマズイかも!ピンチです!)

 

内心そう思ってると……影が見えた。

 

「私も居るんだよ?」

 

その瞬間……エクスタスを持つシェーレの右腕が斬られた。

 

「ッ!くあっ!」

 

「シェーレ!!この!!」

 

マインの狙いがクロメに移る。しかし…

 

「シュウ!一旦引くよ!」「分かった!」

 

俺はイケメンの攻撃を避けながら、マインにL85を撃ちまくる。

 

その時だった……ボルスさんのいた方向から大爆発が起こった。

 

カッッッッ!!!!!!

 

ゴオオオォオオオ!!!!!!

 

俺はその爆発の爆風に紛れながら撤退した。

 

 

……

 

「さっきの爆発は一体………まぁ良い。取り敢えず逃げるか……今は死ぬ訳には行かないからな」

 

俺は森の中に身を隠しながら合流地点に向かう。

 

……あれ?………あの人影は………

 

……

 

「ボルスさんじゃないですか。無事だったんですね」

 

「あっ……シュウくんも無事だったんだね」

 

ボルスさんと合流した。しかし、ボルスさんの帝具が無い。

 

「ボルスさん…ルビカンテは?」

 

「うん……使えなくなっちゃったから自爆させたよ」

 

そっか……ボルスさん………帝具無くなったんだ。

 

「じゃあ…ボルスさんはもう大量に敵を倒す事が出来なくなったんだね……つまり………もうお役目御免なんだね」

 

「シュウくん?」

 

俺はゆっくりとボルスさんに近づく。

 

「俺ね……この時代が嫌いなんだ。大っ嫌いなんだよ。だから……この時代に生きてる人達には血の代価を払って貰うつもりなんだ。だからルビカンテは丁度良かったんだよ」

 

「血の…代価?シュウくん…何を言って…」

 

「もっと早くに反乱をやってくれれば良かった……俺が生まれる前に帝国が滅んでくれれば良かった……でも、愚民共は立ち上がらなかった……弱肉強食を受け入れていたんだ」

 

俺の言葉を聞き続けるボルスさん。

 

「ねえ、ボルスさん……覚えてます?初めて会った時にこう言ったの」

 

 

 

『シュウくんは、私が怖く無いのかい?』

 

『うーん、別に怖くは無いよ。ただ、俺が立ち寄って仲良くした村の人達も燃やされた事あるからさ』

 

 

 

 

「実はアレ続きがありましてね……ボルスさんが燃やした後の村に……俺……戻ったんですよ」

 

「ッ!!!」

 

流石に現場に居たのは想定外だったのだろう。

 

「あの村はね…俺が旅の途中で助けてくれた村だったんだ。その年は不作でね……それでも、薄いスープにカッチカチのパン、そして果物が少しだけ。これがどれ程彼らにとってご馳走か知ってましたか?知らないですよね?帝都育ちの貴方には分からないでしょうけどね」

 

俺の中のドロドロとした何かが段々と大きくなる。

 

「何で燃やされたか調べましたよ……知ってます?表向きは反乱軍に協力してたから。でも実際は帝国役人に賄賂を渡さなかったからですよ。不作だった……渡す物も…金も無い……それでも役人は賄賂を要求した。その結果……貴方達が派遣された。流石の役人も焦ったでしょうね……村人だけを排除しようとしたら村そのものを灰にされたんですから!はっ!滑稽だよ……実に……降らない」

 

駄目だ…止まらない……止められない……

 

「恩返しのつもりで大型危険種を狩ってたのが良かった……お陰で……生き残れた。ボルス……貴方よく言ってますよね……報いを受けるってさ」

 

「……ッ…シュウ……くん」

 

ゆっくり近づく……黒刀に手を乗せる。

 

「シュウくん……一つ良いかな?」

 

「遺言ですか?」

 

俺は思っていた。どうせ命乞いだろうと……しかし……違った。

 

「家族に……妻と娘に………すまないと……」

 

その瞬間……目の前が真っ赤になった。

 

「ッ!!!家族を思う気持ちが有るなら!!!最初から!!!考えて!!!行動しろや!!!!!」

 

ナインブースト!!!!!!

 

一瞬で距離を詰める。

 

 

本当に……良いのか?

 

 

黒刀を力強く握る。

 

 

殺せば……奥さんと娘さんはどうするの?女子供だけで生き残れると思ってるか?

 

 

黒刀を抜き上に振り上げる。

 

 

…………これじゃあ、下衆共と何も変わらないよ?

 

 

ッ!!!!!!!

 

 

「黙れええええええ!!!!!!」

 

 

俺は黒刀を振り下ろした。

 

 

舞う鮮血……ゆっくりと倒れる巨体。

 

 

 

 

 

「グッ……アレ?……シュウ…くん?」

 

「…………」

 

 

 

斬れ無かった………分かってた事だ。ボルスさんは……自分の信念を持ってるから……優しすぎるから……だから……こんな辛く、苦しい任務もやり遂げて来たんだ。

 

 

 

「ボルスさん……2つ選択肢を上げます。1つはこのまま俺に殺される。もう1つは帝都に戻って奥さんと娘を連れて逃げるか……選んで下さい。それと2つ目を選んだら……二度とその面見せるな。もし…俺の前に現れてみろ……家族もろとも皆殺しにしてやる」

 

「……良いのかい?」

 

「お前なんか……殺す価値すら無いんだよ……。分かったら失せろ」

 

黒刀を鞘に収めながら言う。

 

「シュウくん…ゴメンね。謝っても許してくれないのは分かってる。だけど……」

 

「精々…生き残れるよう頑張って下さいね。貴方は抹殺リストに入ってるみたいですしね。それに、帝国が滅んでも多分ボルスさんは命狙われますよ。まぁ……ど田舎ぐらいだったら平気じゃ無いかな?特に北の方とかさ。ほら、40万人生き埋めにされたからあんまり人は近付かないだろうしね」

 

何やってんだろう……俺。

 

「シュウくん……ありがとう。それじゃあ行くね……元気でね」

 

そのまま去って行くボルスさん。

 

「ボルスさん武器は?」

 

「え?……あ」

 

……あぁ、本当に……何やってんだろう。

 

「このロマン銃を上げるよ。これ持ってサッサと失せろ」

 

「ありがとう……シュウくん。元気でね」

 

そう言ってボルスさんは去って行った。

 

「………これで良かったんだろうか」ポン パク

 

ミント味の飴を口に含み思う。ボルスさんが最低のクズ野郎だったら躊躇はしなかったし、普通に斬ってた。でも……イェーガーズとして接して悪い人では無く、優しく、信念を持つ強い人だと分かった。

 

「…………?そこに居るのは誰だ?出て来い」

 

俺は気配を感じ黒刀を再度握る。しかし直ぐに止めた。

 

「えっと……やっほ。さっきぶりだね」

 

「なんだ……チェルシーさんか」

 

警戒を解く。少し間が空いた。

 

「シュウくん。ボルスを見逃したの?」

 

「そうです。この選択が合ってるかなんて解らない。でも……後悔はして無い」

 

「………そっか。でもシュウくん。もしかしたらボルスの奴、そのまま帝都に戻って大臣とかに密告したりして〜」

 

「うげっ!其処までは考えて無かった!」

 

チェルシーさんのもう1つの選択にビビる俺。

 

「まあまあ、もしイェーガーズに残れなくなったらウチに来なさい!何時でも待ってるからね……何なら……私と一緒に行く?」

 

「チェルシーさん……」

 

これ……落としてから持ち上げるパターンじゃね?でも、惚れてまうわ〜。

 

「それで、シュウくんは如何するの?」

 

チェルシーさんは真面目に聞いてくる。

 

「まだイェーガーズに残るよ。それでさ……ナイトレイドは安寧道の人を暗殺するでしょう?」

 

俺はカマをかけてみる。

 

「うん。そうだよ。安寧道の教主の補佐……ボリック。此奴は大臣が送り込んだスパイだからね。だからボリックを暗殺すれば安寧道も動き出す」

 

ビンゴ………ボリックか。

 

「分かった。なら、協力しよう。出来るだけイェーガーズの目を…特にエスデス将軍の目を惹きつけて欲しい。その隙に……俺が殺ろう。まあ、後は現地で連絡するよ」

 

「え!でも、危ないよ!」

 

「俺が1番ボリックに近付けれる。ならば、俺が適任だ。その事をナイトレイドに伝えて欲しい。それじゃあ、俺は行くよ」

 

エイトブースト

 

「あっ!待って………消えた」

 

後に残されたチェルシーはナイトレイドの合流地点に移動するのだった。

 

 

……

 

「あ、クロメちゃん」

 

「シュウ、無事で良かった。ボルスさんは?」

 

「ボルスさんは……死んだよ。流石にあの爆発じゃあね」

 

「そっか……仕方ないね。街に向かおっか」

 

俺は咄嗟に嘘をつく。取り敢えず信じてくれたみたいだが。

俺とクロメちゃんは集合地点のロマリーの街に向かう。しかし、クロメちゃんの様子がおかしい。

 

「クロメちゃん大丈夫?何か……調子悪そうだけど?」

 

「う、うん…平気。おそらく隊長は戻ってくる。それまで…慎重にいこ……」

 

その時クロメちゃんが倒れそうになったから支えた。

 

「おいおい、調子悪いなら無理すんなって」

 

「へ、へーき。お菓子を食べれば…大丈夫」

 

そう言ってクロメちゃんはお菓子を食べる。

 

「そのお菓子……大丈夫なの?」

 

「うん……あげないよ?」

 

食い意地なのか、それとも……仕方ない。

 

「ほら、乗りなよ」

 

「え、別に良いよ」

 

「良いから……俺は早く街に戻って休みたいからさ」

 

「…………うん、分かった」

 

クロメちゃんを背負い走る。……軽いな。

 

「シュウ………ありがと」

 

「気にすんな」

 

俺達はロマリーの街に戻りエスデスさん達と合流するのだった。

 




ボルスの生存。正直凄く迷いました。
原作通りチェルシーに殺されるパターンと今回の様に生かすパターンと主人公が殺すパターン……。
最後まで迷いましたが生かしました。


あと1つ……MG42はボリック暗殺編で使う予定だったのにー!ストック作らないからこうなるんだー!←

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