「う………ん……………んあ?知らない天井だ」
いや、実際は空が広がっているんだけどね。
えーと、確かトリプルブースト使って一気に接近して手榴弾ぶち込んで………そうだ!土竜はどうなった!
ガバッと起き上がり周りを見渡すと有りました。土竜の死体がありました。血がまだ垂れてるからそんなに長時間気絶した訳では無いみたいだ。
「やったんだ……俺。信じられねぇ。けど、やったんだな」
今はとても晴れやかな気分だ。復讐からは何も生まれないと言うが、自分にとっては前に進む為に必要な事だったのかな。
「さーて、土竜の牙でも持って帰るかな!早くしないと血の匂いで他の危険種が寄って来るだろうし」
手早く、スピーディーにそして無駄無く迅速に牙を取る為に土竜の死体に向かった。
………2時間後
「よし!土竜の牙取ったどー!」
え?時間が掛かりすぎ?仕方ないじゃ無いか!マチェット刃こぼれしてるし、何気に土竜の牙の根元とか硬いし。どないせっちゅーねん。ワイはまだ7歳や!いや、もう直ぐ8歳やけどな!せやけどなぁ………以下略
さて、気を取り直して帰りますか。と、言っても夜まで待った方が良い。星座で大体の場所は分かるはずだ。
それにしても、実戦で初めてトリプルブースト使ってみたが特に問題無いようだ。今は平気だけど、後から筋肉痛とかなるかな?頭痛も特にしなかったから多分トリプルブーストの短時間使用は大丈夫かな。後はこれを長時間使用出来る様にしないとなぁ。
俺は夜になるまでゆっくり休む事にした。
しかし、この復讐劇が自分の中の考えを大きく変える出来事の序章でしか無かった。
「さて、帰ろうか。武器よし!リュックよし!土竜の牙よし!」
帰ったら先ず土竜は倒したぞー!て皆んなに自慢してやろう。きっとスゲ〜て褒めてくれるだろうな!そしてお姉さん方々からモテモテになっちゃうだろうなぁ〜。いや〜参ったな〜照れちまうぜ〜///
あれか?俺もリア充の仲間入りかな?かな?悪いな読者諸君!私は勝ち組に入らせて頂きまーす!
この時俺は呑気に考えていた。父親の敵討ち。これしか目に入ってなかった。他の事に目が向いてなかった。もっと周りを見ていれば良かったと後悔する事しか出来なかった。
「そろそろ村に着くな。温かいご飯が待ち遠しいね。いやー、しかし、やっぱり母ちゃんには怒られるかな?怒られるよな〜。何だか家に帰りたく無いよ」
帰りたくても、もう帰れない。それが、現実だった。
村が焼け落ちていた。最初目に映った光景を上手く理解出来なかった。何があった?悪い冗談?こんな事ってあるの?見た現実を受け入れられなかった。
俺は走った。トリプルブースト使って家まで走った。信じられない。家路の周りは焼け落ちた後。タケシ君の家も、近所のお姉さんの家も、そして………俺の……家も。
「…………………………………………何だこれ?」
これが現実だ。冷静な自分が言う。信じられるか!家出た時は皆いたじゃ無いか!
だが、これが全てだ。冷静な自分が再度言う。そして、俺は………現実を………受け入れた。
何にやられたのか調べてみた。すると知らない死体が数体あった。格好からして盗賊と思われる。今度は村の敵討ちか?母親の敵討ちか?頭の中がグルグルして………そして。
「………アホくさ」
こんな言葉が出た。人も危険種も大した違いは無い。弱肉強食。森の中で学んだ事。そして、今のこの現状。結局辺境の村の出来事だ。誰も相手なんかしない。
「此処に居ても仕方ないか」
そう自分に言い聞かせて俺は歩き出した。取り敢えず近くの村に行く事にする。其処で休もう。
歩く、歩く、歩く。ただ、生き残る為に歩く。
村の門を出た時、ふと思った。そう言えばあのセリフ言ってなかったな。
「ここはコダ村です」
そう言って再度歩き出した。