…
……
………
side シュウ
「はっ!……じ、状況…は?」
気絶から目を覚ましたシュウは周りを見る。
「あ、シュウくん。今は無理…しない方が良いよ」
チェルシーさんが声を掛けてくる。
「いや…いや……この程度の痛みならもう大丈夫さ。しかし……身体が……痺れて力が出んのはいかんな」
そう言いながらククリナイフを取り出し躊躇なく左腕を刺した。
「ちょっと!シュウくん!な、何を!」
「…ッ!良しッ!目が覚めた!俺は……イケる!」
俺はそう言いながら巨大危険種に目を向ける。彼処で戦ってるなら行くしかないだろう。
「待ってシュウくん!ダメだよ!まだ……身体の痺れがあるし、何より私が刺した痛みもあるでしょう!」
チェルシーさんが俺を引き止める。だが止まる訳には行かないんだ。
「この程度の痛みなら何度も味わって来た。身体の痛みなら平気さ。心の痛みの方が…精神的にキツイのはチェルシーさんも知ってるでしょう?…その痛みを知ってるからナイトレイドにいるんでしょう?」
「…シュウくん」
平気さ。全然余裕さ……だから。
「Dr.スタイリッシュを止める。強化兵とは言え元は人間だ。人を物として扱うならそれ相応の扱いを受けても文句は言わせんさ」
これ以上知り合いを失ってたまるか。Dr.スタイリッシュ…アンタの性格は嫌いじゃなかったよ。
「じゃあ、行ってきます」ダッ!!!
俺はセブンブーストを発動して一気に巨大危険種に向かう。
…
……
………
「タツミ!アカメ!それと……イケメン!大丈夫か!」
俺は3人に声を掛ける。
「シュウ!平気なのか!」
「シュウ?無理はするな!下がれ!」
「まだ身体の痺れがあるだろう。下がれ」
3人は俺を下がらせ様とする。すると巨大危険種からDr.スタイリッシュの声が聞こえた。
「あら?シュウくんじゃ無い?あの毒を受けて動けるなんて大したものね!やっぱりアタシの目に狂いは無かったわ!シュウくん!貴方もアタシの糧にして上げるわ!!!!」
巨大危険種の頭にDr.スタイリッシュが居た。
「ッ!Dr.スタイリッシュ!お前……其処まで堕ちたか!」
「堕ちた?バカ言わ無いで頂戴!アタシは至高の帝具を超えるのよ!!!」
ドシイイィン!!!
Dr.スタイリッシュが腕を振り下ろす。
「成る程な!その姿は…アンタの欲望を体現したって訳か!よく似合ってるぜ!!!」
腕に飛び乗り一気にDr.スタイリッシュに近づく。しかし、
「そう簡単に近寄らせ無いわ!!!」
腕を上げつつ触手みたいな物を展開する。
「チッ!」
MP28をDr.スタイリッシュに向け発砲。しかし触手が全て防ぐ。
「ウフフフフフ!やっぱり身体の痺れが残ってる見たいね。あの大口径のリボルバーを撃たないのが一番の証拠よ!!!」
触手が俺を襲う。しかし避けれる速度だ!
「シュウ落ち着け!無闇に突っ込むな!」
「っ!……チッ…分かった」
アカメの言葉に従い一旦引く。
「さあ!纏めてアンタたちを糧にして上げ「ダアアァァン!!」ッ!」
光?俺は光の方へ目を向ける。其処にはエアマンタとマイン……知らない女性が居た。多分あの人がナイトレイドのボスだな。
そして、パンプキンの攻撃に体制を崩すDr.スタイリッシュ。
「これで詰みだ!Dr.スタイリッシュ!」
アカメとタツミが行く。その背後に着いて行く。
Dr.スタイリッシュも腕を振り上げ迎撃しようとする。
ボゴッ!!!
イケメンが腕を相殺する。
「〜〜〜〜〜!!まだまだよ!!!!」
更に触手を出す。
「その攻撃はさっき見たぞ!!!」
タツミとアカメの前に出てククリナイフで触手を切り刻み進路を作る。
「行け!!!タツミ!アカメーーーーー!!!」
「うおおおお!!!」「ッ!」
キン!!!
「葬る!」
ピッ!!!
ズ…ズズ…ズズズズズ
「…………ま……まだ色んな人体実験……したかったのに………な……何故アタシがこんなっ………不幸な目に」
ドクン!!!!
ズウウウウウン!!!!
「五体満足で楽に死ねた分…お前はまだ幸せだろう」
アカメは言う。
「己の欲望を正に体現したまま死んだんだ…これ以上の死に方が何処にある」
シュウは皮肉を混ぜながら言った。
イェーガーズ残り「6」人
ナイトレイド残り「9」人
…
……
………
Dr.スタイリッシュとの戦闘の後。俺はナイトレイドと別れて帝都に向かう事を告げた。
「な、何で!シュウくんも一緒に行こうよ!」
「そうだぜシュウ。このまま1人で帝都に行くのは危険が高すぎる」
「そうよ。アンタも大人しく来なさい!まっ!下っ端としてこき使ってやるわよ!」
チェルシー、ラバック、マインが引き止める。他の連中も心配そうに此方に視線を向ける。
「確かにな……。だが、まだ離れる訳には行かない。それにイェーガーズには戻らないよ。戻ったら殺されるだろうしね」
今回はDr.スタイリッシュのみだった。だが、連絡用の強化兵を用意してる筈だ。だから俺がナイトレイドと一緒に居たのはバレてるだろう。
シュウは確信した表情で内心思っていた。←まぁ……Dr.スタイリッシュの性格を考えたらそんな事し無いけどね!
「それにバレない様に軽く変装するさ。だから心配すんなよ」
「で、でも!」
尚も食い下がるナイトレイド達。いやはや本当に気持ちのいい連中だな。
「シュウ…と言ったな。私はナジェンダだ宜しく。ナイトレイドのボスをやっている」
銀髪で眼帯と義腕を告げたクールビューティな女性が握手を求めながら言う。
「初めまして、シュウと言います。ただ、皆の気持ちは嬉しいけど一緒に行くのは断らせて頂きます」
握手しながら言う。多分この人を説得出来れば大丈夫だろう。
「そうか…。だが、何故だ?我々は一時的とは言え共闘した仲だ。いや、寧ろ共に戦ってくれる仲間と言ってもいい。なのに何故此方に来無い?それに皆の言う様に今君が帝都に戻るのは危険だ」
ナジェンダさんは心配そうに言う。
「……ナジェンダさん……無理なんですよ。ナイトレイドの信念と俺の信念……いや、執念か……噛み合わ無いんです。目標は一緒でも、その過程が駄目なんです」
此奴ら優しい。今の時代には勿体無い位だ。……だからこそ駄目なんだ。
「執念か……。良ければ聞かせて貰えないか?……君の執念を」
ナジェンダさんは少し緊張しながら聞いてくる。
「………良いですよ。それは………
風が吹く。強い一陣の風が吹く
シュウの口元が動く
ザアアアアアアァァァ
風が森を揺らし雑音を出す
………ですね」
ナジェンダは………目を見開き……固まった
「……そうか。だが、死んだ者達は「判って無いな」ッ!」
「コレは……俺の……オレ達の……戦争なんだ!……だから一緒には行けない」
1人じゃ無い。ちゃんと居る……目を閉じれば……皆が見える。忘れた事なんて……
「無いんだよ」
胸に手を当て呟く。
side out
…
……
………
side チェルシー
私達は今エアマンタに乗っている。ただシュウくんは乗ってい無い。
「ボス……1つ聞いても良いですか?」
「……シュウの執念に付いてなら言わんぞ」
「!な、何でですか!」
「そうだぜボス。何でシュウを連れて来なかったんですか?」
「まぁ、野郎がこれ以上増えるのは嫌だが……流石に無理にでも連れて来た方が良かったのでは?」
私に続いてタツミとラバックも聞いてくる。ラバックはこの高さににビビってるけどね。
キン ジュボ フゥー
「駄目だ。無理に連れて来ても途中で裏切る可能性がある。アレだけの力が有りながら行成背中からバッサリ殺られるのは嫌だろう?」
ボスはとんでも無いこと言う。
「ボス!幾らボスでも言って良い事があるよ!」
流石に今の台詞に皆の視線を受けるボス。
「……フゥ。お前達……あいつはな………帝国の犠牲者でもあり………反乱軍の……犠牲者でも有るんだ」
その台詞に皆が目を見開く。
「ボス…それってどう言う事?だってシュウくんは……ずっと旅をして来たんですよ?だから帝国の悪事をずっと見続けて……あ」
私は……嫌な事を考えてしまった。でも……そんな事
「チェルシー……お前が今思ってる事だ。そして…彼奴はそんな不甲斐ない私達を恨んでいる」
私は嘘だと思いたい。だってそうでしょう?……帝国の悪事を止めれ無い反乱軍。一枚岩では無い帝国と反乱軍。それを見続けて来たシュウくんは………。
「だから諦めろ。あいつは……諸刃の剣だ。然もかなり凶悪な……いいな?この話は終わりだ」
他のメンバーはまだ判って無いからだろう。私やボスに聞いてくる。でも……言える訳無い。
シュウくんが敵になる可能性は高いという事が…………
side out
はい、此処から少しオリジナル展開となります。原作から少し離れますね。ただ、ナイトレイドが強化中主人公も強化し無いといけ無いから(汗)