逃げる?違います。明日への前進です。   作:吹雪型

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山賊とロマン

皆で昼食を食べた後、俺はクロメに声を掛けた。

 

「クロメちゃん、この後手空いてたらさ手合わせお願いしたいんだけど良いかな?」

 

帝国暗殺部隊に所属していたクロメの実力はトップクラス。そこに何処まで付いていけるか試したいと考えるシュウ。

 

「えー、面倒くさいから嫌」

 

しかし、そう上手くはいかない。

 

「うーん………じゃあ珍しい味の飴を上げるからさ。ほらこれ」ポン

 

カルピス味(棒付き)の飴を出すシュウ。それを咥えるクロメ。

 

「パク……………うん、良いよ」

 

あっさり落ちたクロメ。現代の味半端ねぇと内心思うシュウであった。

 

 

 

 

闘技場の使用申請はあっさり通った。恐らくエスデス将軍が設立したイェーガーズの名前が大きいと思われる。

そして、今はシュウとクロメのみ。互いの武器はククリナイフ、刀のみ。

クロメの刀は帝具八房。しかし、今回は帝具の能力は使わない。代わりにシュウも銃の使用をやめる。

 

互いの技術のみが試される状況となる。

 

 

 

 

sideシュウ

「さて、準備は良いか?」

 

「何時でも構わない」

 

そう言ってクロメは八房を構える。

 

(やっぱり隙は無いな。まあ、やるしか無いけどね)

 

この時までシュウは6割勝てると踏んでいた。理由はクロメは帝具能力の使用無し、又ファイブブースト、シックスブーストを使える様になっていた為だ。しかし、

 

(対峙してるから分かるけど………クロメの奴全然油断して無い)

 

開始早々両者睨み合う。そして………

 

 

 

ファイブブースト!

 

 

俺は一気に駆け出した。そのままの勢いで右手に持ってるククリナイフで斬り裂こうとする。

 

「……………!」

 

キン!

 

軽い音がする。クロメは俺の攻撃を受け流す。そしてそのまま此方に斬りかかる。

 

「くっ!」「……………」

 

左のククリナイフで防ぐも、直ぐに重みが無くなる。そしてそのまま俺の右に移動しながら八房を振り上げる。

その斬撃を回避して回し蹴りをしながら一旦距離を取る。

 

「……………………」

「………………強い」

 

勝てるなんて甘かった。防戦だけで精一杯だ。だけど………攻めるしか無い!

出し惜しみはしていられない!

 

シックスブースト!

 

更に世界が遅くなる。その世界を通常速度で駆ける。しかし、

 

ヒュン!キン!ガン!キン!ギャキン!

 

シュウの一瞬の擦れ違いによる斬撃は全て防がれる。それどころか……

 

ピッ! ツツー

 

「ハア……ハア……マジかよ」

 

頬を斬られるシュウ。

 

「………シュウ、貴方は速い」

 

唐突にクロメは話し掛ける。

 

「多分私が出会った中で1番速いかもしれない。でも…………お姉ちゃんの方がキレがあるよ!」

 

クロメが動き出す。

 

(キレ?つまり……技術不足なのか?くっ!こんな処に来て改めて力不足を実感するとはな!)

 

シュウも構えを取りながら攻め込む。

 

クロメが八房を振り上げる。それを防ごうとするシュウ。しかし、直ぐに切り返され逆手に取られ肩を斬られる。それでも蹴りを入れようとするシュウ。だが、アッサリ回避される。

 

「つ、強いな。だが、俺だって伊達に色んな所に旅してたわけじゃ無い!」

 

自身を加速させ斬りかかるシュウ。

 

(スピードは此方にある。しかし、それ以外が劣ってる!特に剣術とか!)

 

自身の弱点を再認識しながら攻撃を再開する。

 

シュウはクロメの間合いに入る。クロメは冷静に八房を横薙ぎに

 

バッ!

 

シュウは地面を蹴り上げ砂でクロメの目を潰す。

 

「ッ!」

 

クロメも一瞬動きを止める。その隙をシュウは逃さない。

 

(先ずは得物を蹴り飛ばす!)

 

シュウの回し蹴りが八房を遠くに飛ばす。

 

(獲った!)

 

俺は一気にククリナイフを薙ぎ払う。しかし、そのタイミングを予め分かっていたのかクロメは腕を掴み、そのままの勢いで背負い投げをする。

 

ドシィン!

 

「ガハッ!」

 

そして地面に叩きつかれたシュウの首に、クロメはシュウのククリナイフを突き付けた。

 

勝敗は決したのであった。

 

 

side out

 

「負けたよ。残念だ……最初は勝てると思っていたが……そんな事無かったぜ」

 

シュウが若干落ち込んでる中、クロメは話し掛ける。

 

「……シュウ、貴方は強い。そして速い。でも、それだけ」

 

「………それだけ?」

 

シュウはクロメに問い掛ける。

 

「技術はある。速さもある。だけど、直線的過ぎる……だから見切られる」

 

「………………成る程」

(もう少し変則的な動きが必要か。考えたら南の戦闘民族の皆んなも結構バラバラな攻撃で見切れんかったし)

 

シュウは自分の戦闘スタイルの改善点を自分なりに模索する。

 

「じゃあ、私は戻るから」

 

そう言ってクロメは戻ろうとする。

 

「あ、分かった。そうだ、付き合ってくれた礼に飴やるよ。ほら」ポン

 

今回はヨーグルト味にした。

 

「ん、ありがとう。じゃあね」パク

 

そのまま飴を口に含みながら戻って行った。

 

「さてはて、体力作りに技術向上とやる事多いね。だけど、必要な事なので頑張ります!」

 

独り言を言いながらククリナイフを片付けて身体を鍛え始める。やはり体力が基本だと改めて痛感しながら。

 

 

 

 

クロメとの戦闘後、シュウは体力作りと戦闘スタイルを模索していると夕方になっていた。

 

「あ、そろそろ夕飯の時間か。……ふぅ、良し!うどん作るぞ!」

 

美味しい物食べて夜に備えねばな!

駆け足で食堂に向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

シュウがうどんを作っていると、ボルスとウェイブも手伝ってくれたので早く出来た。そしてお味の方は………

 

「うん!美味い!中々いい出汁が出てるな。ありがとなウェイブ!」

 

「いやー、まさか余った魚がこうなるとは凄いよな」

 

「うん。本当だよね。私も今度家族に作ってみるよ」

 

料理出来る男3人は盛り上がっていた。

 

「あー、ボルスさん結婚なさってるんですよね。だったらこんな料理もありますよ?」

 

「え?どんな料理だい?」

 

「お!俺も教えてくれよ!」

 

男3人は盛り上がる。

 

 

 

ズルズルズル

 

料理出来ない女3人と男2人はちょっと寂しそうだ。

 

(料理ぐらいなら私も出来る!……ただ、野戦料理だがな!出来ないわけではない!作ろうと思えば作れる!)

 

誰ともなく言い訳するエスデス。

 

(う、美味い………こんなの勝てっこないよ〜。うー、シュウくんのバカ)

 

何故かシュウに八つ当たりするセリュー。

 

「ズルズルズル………お代わり」

 

食に走るクロメ。

 

(これは私も料理出来るようになった方が良いのでしょうかね?)

 

ちょっと危機感を感じるラン。

 

(なーんてスタイリッシュな…いえ、STYLISHな味なのかしら!このコク、味の深み、もう完璧ね!)

「シュウくん!あたしもお代わり!」

 

出汁に興奮しお代わりするスタイリッシュ。遂にSTYLISHになる。

 

こうして楽しい夕飯は終わりを告げた。

 

 

 

 

食べ終えた後、ボルスさんがお茶を用意していた時に遂に来たのである。

 

「エスデス様!ご命令にあったギョガン湖周辺の調査が終わりました!」

 

「……ほお、このタイミング丁度いいな。食後の運動にはもってこいだ。作戦を決めた後直ぐに行くぞ!」

 

その瞬間全員の気配は変わる。戦いに備える為の気配に変わったのだ。

この後、作戦の詳細を軽く行ない直ぐに現地に向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

ギョガン湖 山賊の砦前

 

エスデスを除くイェーガーズのメンバーは砦前にいた。因みエスデスは全員の戦いぶりを見物するそうです。

 

「地形や敵の配置は頭に叩き込みましたが、作戦はどうしましょう?」

 

ランはなんとなしにして聞いてくる。

 

「そうですね。山賊を逃さない為に二手に分かれるか、電撃作戦で素早く全員で片付けて行くか」

 

シュウは簡単に作戦を考える。しかし、

 

「んふ。安心して頂戴。賊は逃さない様に私の手駒を用意してあるから……出てきなさい!強化兵の皆さん!!」パチンッ

 

ズザザザザザサァァァ!!!!

 

何処からともなく現れる変態…もといDr.スタイリッシュの強化兵達。

 

「うお!」「いつの間に!」

 

「彼等は私の帝具神ノ御手【パーフェクター】で強化手術を施した私兵…将棋で言うと歩の役割になるわ」

 

驚くウェイブとボルスに自慢げに言うDr.スタイリッシュ。

 

「へぇ。他に何が出来るんですか?」

 

何となく気になり聞いてみるシュウ。

 

「この帝具は手先の精密動作性を数百倍に引き上げる……んもう!最高にスタイリッシュな帝具なのよ!」ワキワキワキワキ

 

手をワキワキしながら更に自慢する。

 

「ついでにあなた達がどんな怪我しても死んでない限りアタシが完璧に治療してあ・げ・る♡体に武器までくっ付けちゃうオマケ付きよ♡」

 

Dr.スタイリッシュの言葉に若干引き気味になるメンバー達。しかし、シュウはと言えば……

 

(目からビームやロケットパンチとかロマン溢れる武器とか作れるんかな?ちょっと……いやいや、落ち着け俺!)

 

ちょっと興味があるご様子。

 

「治療は嬉しいけど、支援型の帝具なら戦闘中なら常に護衛は………あ、だから強化兵なのか」

 

「んふ!そうよ。でも、その優しさはプライベートに取っておいてね♡」

 

ウェイブに迫りならが言うスタイリッシュ。ウェイブの顔は青くなるけど。

 

「では、正面から行きますか。Dr.スタイリッシュの私兵が取り零しを仕留めてくれるでしょうし」

 

ランが皆んなに言って意見を聞く。特に反対意見も無いのでそのまま歩いて正門まで向かう事にした。

 

 

 

 

「………!敵だ!皆集まれ!!」

 

ギイイィィィ

 

正門が開き賊がワラワラと出てくる。

 

「おいおい!お前達ここが何処かわかってんのか?」

「正面からとかいい度胸じゃねぇか!」

「生きて帰れると思うなよ!!」

 

弓、剣、槍、銃等を此方に向けながら山賊は吠える。

 

「うっはーっ!可愛い女の子2人に綺麗な女もいるじゃねぇか!たまらねぇなぁ……連れ帰って楽しもうぜ!」

 

山賊が下品な笑いをする。そんな中山賊に問い掛ける奴がいた。

 

「可愛い女の子2人は分かるけど……綺麗な女は誰よ?………ま、まさか!オネエのDr.スタイリッシュの事なのか!」

 

「あらやだ!アタシ!……もおぅ、大胆なんだから♡でも、ゴメンなさいね。アタシイケメンが好きなのよ♡」バチコーン♡

 

シュウが驚愕した顔をする中、Dr.スタイリッシュは体をクネクネさせながらウインクをかます。

 

「ちげーよ!その金髪の女だよ!何でオカマを連れ帰るんだよ!誰得だよ!」

「そうだ!そうだ!」「ふざけんな!」「舐めてんじゃねぇぞ!ガキが!」

 

シュウとスタイリッシュに罵声を浴びせる山賊達。

 

「……………でも金髪の人……男だよ」

 

シュウがポツリと山賊に言う。

 

「「「「「「………………………」」」」」」

 

沈黙が辺りに漂う。そして、

 

「「「「「「お、男だとー!!!」」」」」」

 

「ち、畜生!」「ふざけんな!」「オレ達の期待を返せや!」「そうだ!そうだ!」「………アリだな♂」

 

山賊の悲しき叫び声が響き渡る……数名問題無い奴もいるけど。

そんな中セリューが前に出る。

 

「まずは私とコロで道を開きます。……コロ!行くよ!」

 

「キュウウウウ!」

 

セリューはトンファーガンを構え突撃する。それに追従するコロ。

 

「セリューさん援護しますよ」

 

シュウはMP28を構えセリューの邪魔をしない様に射撃する。

 

即席の連携だが中々良い流れだった。セリューはトンファーガンと体術を使い、コロはセリューの護衛兼山賊を狩りながら互いにカバーしていた。そして、シュウは銃を使いセリューとコロのフォローに徹していた。

 

1分もしない内に門外に居た山賊は壊滅状態。逃げ出そうとする山賊はシュウが射ち殺して終わった。

 

そしてそのまま各員戦闘に突入する。

 

side シュウ

 

どうも皆さんこんばんは!現在山賊の砦を襲撃中です!

 

 

でも、逸れて孤立しちゃった♡ついでに山賊に囲まれてます。更にMP28は予備共に弾切れです!

 

「このクソガキ!覚悟はいいか!やれ!お前ら!」

 

「「「「「うおおおおお!!!」」」」」

 

山賊が槍を此方に突き出す。それを紙一重で回避。そしてイサカM37でお返し。

 

ダァン!ジャコン ダァン!ジャコン ダァン!ジャコン ダァン!ジャコン

 

モロに直撃を受けた奴はミンチになる。周りの連中も痛手を負う。

 

「このクソ野郎がああああーー「ダァン!」カペッ!」

 

1人がアサルトライフルを此方に向けるものの、アッサリやられる。イサカの弾も丁度切れたのでアサルトライフルを貰います。

 

うん、キチンと整備されてるみたい。流石に武器ぐらいは整備するか。

敵の攻撃を避けながら動作チェックをして射撃開始。

 

ドドドドドドドド!ドドド!

 

アサルトライフルの火が吹くのと同時に山賊から悲鳴が上がる。しかし、容赦はしない。

 

 

 

 

 

「さて、こんなもんかな?「ガハッ!」……まだ生きてたのか」

 

俺は弾切れのアサルトライフルを捨ててイサカをリロードしながら近づく。

 

「ゲホッ…………ハア……ハア……」

 

もはや虫の息か……。俺は銃口を山賊に向ける。すると、山賊は突然笑い出した。

 

「く……くくく……はっはっは!グッ!……ハア、てめぇ……何て目してんだよ……」

 

「目?普通の目だろ?」

 

普通以外どんな目してるのさ?

 

「オレは……一度だけ……特級危険種を見た事がある。………帝国軍にいた時に……うぐ!……ハア……そいつと同じ目してるぜ……この化け物が!」

 

…………………何それヤバくね?俺は特級危険種クラスのガンつけが出来るんか?

 

「………せ、精々……殺されねぇ様に気を付けな………。お前の……様な………奴は必ず……殺される………か……らよ…………」

 

そう言って山賊は死んだ。後味悪いなぁ……飴でも出すか。因みにサイダー味にするぜ!

 

俺は特に気にせず山賊を討伐を始めた。そして何かモヒカンでムキムキの中ボスみたいな奴が出てきた。

 

「うおおおおおーーー!!!!」

 

そいつは雄叫びと共に銃口を此方に向ける。しかし、俺はマグナムを抜きサッサと頭を撃ち抜く。

 

ドオォン! ドサ ガチャン!

 

中ボスはアッサリ死んだ。………しかし、此奴……中々ロマンがある銃持ってるじゃないか!見た目はドイツ産のMG42に見える。しかし……しかしだ!……マガジンはドラムマガジンでは無く、背中に背負ってるランドセルからベルト給弾方式にしてるじゃ無いか!

 

これは……俺に……使えと本能が言っている!

 

俺は本能に従いランドセルを背負いMG42を構える。

 

重い!重いよ!だけど、この重さがトリガーハッピーの為の重さだよ!!

俺はテンションMAXで山賊を探す。スピード重視の戦闘スタイル?……今日はお休みです。

 

それから山賊を探していると何か待ち伏せしてる集団と出会った。そして俺は声を掛けた。

 

「よう!ここで何してんだ?」

 

何と無くフレンドリーに話しかける。すると、

 

「今、コッチに敵が来るらしい。しかも帝具使いだ。だがよ、相手は人間。つまりこれだけの銃弾からはよけられねぇよ!」

 

こちらに顔を向けず前を向いたまま返事をする山賊。

 

「つまり、待ち伏せして撃ち殺すわけだな」

 

「おうよ!それに頭もこれなら上手く行くって言ってたからな!何が帝具使いだよ。頭はこの帝都近郊じゃあ最強の山賊なんだぜ!」

 

「成る程な。つまり、この作戦で敵を一網打尽にするって訳か!」

 

「連中が此処に来た事を後悔させてやらねぇと…!来たぞ!皆構えろ!」

 

「「「「「おおう!!!」」」」」

 

いやさ……待ち伏せ何だからさ声のボリュームは下げようぜ?まあ……直ぐに終わらせるか。

 

ジャキン

 

「ロックン……ロール(ボソ)」

 

ボボボボボボボボボボ!!!!

 

山賊の悲鳴が響き渡る。俺はそれを打ち消す様に引き金を引き続ける。

腕が吹き飛ぶ奴、頭が無くなる奴、身体中穴だらけになる奴……それでも俺は的確に仕留めていった。

 

 

 

 

「シュウか。お前こんな所にいたのかよ」

 

声はウェイブだったが、見た目はフルアーマーになっていた。

 

「おおウェイブか!何だよその鎧!カッコいいじゃん!」

 

「お!お前もこの鎧の良さが分かるか!」

 

「分かる分かる!どんな攻撃も防いでくれそうだし」

 

「分かってるじゃねぇか!此奴は帝具【グランシャリオ】だ」

 

やっぱり帝具か。しかし、帝国兵の鎧もこんな感じだよなぁ。昔からデザインはあまり変わらないんだな。

 

「というかシュウ。お前のその銃はどうした?」

 

「山賊から奪った」

 

「……そ、そうか。まあ、何にしても無事で良かったよ」

 

この後ウェイブと共闘しながら山賊を討伐していく。攻撃が効かない前衛、圧倒的火力の後衛。バランスが良く次々と殲滅していった。

 

side out

 

あの後、他のメンバーと合流し山賊を殲滅させた。そして投降者が居るか確認する。

しかし、全員投降者確保は無し。理由を挙げるなら降伏せず逃げるか戦うかの何方かしか選ばなかった山賊が悪いと。

此方も慈善事業では無いので仕方ない所はある。

ちょっとだけしょげているセリューさんに声を掛ける。

 

「セリューさん。無事で何よりです」

 

「あ、シュウくん……うん、シュウくんも無事で良かった」

 

「……投降者を確保出来なかったのは残念です。でも、それに拘って死んでしまったら残念所では無いですよ。だから、今は生き残れた事を喜びましょう!」

 

「シュウくん………そうだね。ありがとう!」

 

シュウはセリューを慰めつつ周りを見渡す。山賊の砦は半壊。山賊の死体も様々な状態だ。バラバラやミンチ、果てには黒焦げ。いやー、悪い事はしない方が良いね!

 

「諸君、ご苦労だった。無事賊を狩る事が出来たな」

 

そこにエスデスが皆に声を掛ける。

 

「中々良い戦いで良かったな。まあ、これで互いの事も多少は理解しただろう」

 

いやー、皆個人プレーだったな……あ、俺もかw

 

「さて、もう夜も遅い。帝都に帰還するぞ」

 

エスデスはそう言って帝都に向かう。イェーガーズメンバーもそれに続く。

 

(危険種と同じ目か………ふっ、最後に中々気の利いた事を言われたもんだな)

 

シュウは飴を咥えながら心の中で毒吐くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、シュウ。今日は良く頑張ったな!ご褒美に私が背中を流してやろう!///」

 

唐突に大変な事を言うエスデス。

 

「いやー、流石に遠慮します」

(このままだと、近い将来理性が吹っ飛んで襲うか襲われるかの何方かの未来しか見えねぇ……どうしよう?)

 

割と本気で心配するシュウであった。

 


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