あの後タツミに何があったのか聞かれたが、のらりくらり逃れ最後にタツミのズボンのチャック全開である事を指摘して話は終わった。
そして俺はフェクマから下山する事を2人に伝え別れた。
ただ、別れる際ブラートの熱い視線が怖かったです。………どうしてこうなった。
*年上キラー「ゴメンナサイ。間違えちゃいました(・ω<) テヘペロ」
しかし、俺はフェクマから下山した事を後悔する事になる。ただ、フェクマに残ったら残ったで後悔はしてただろうけど……。
フェクマから下山してから2週間ぐらいたっただろう。傷も大分癒えてはきたが、まだ多少痛いのは仕方ない。特に最後の殴り合いは真剣だったので尚更だ。
ただ、ファイブブーストは帝具使いやブラートの様な格上と戦ったお陰か普通に使えるレベルになっていた。更に嬉しい事にシックスブーストも5分ぐらいなら平気だ。それ以上は頭がヤバいけどね。
なんだかんだでレベルアップしてるので更に身体作りが必要だろうな。やる事が一杯で大変だ!
そんな事を思いつつ俺は帝都のメインストリートにある土産屋にいる。何故土産屋にいるかって?その土産屋にブドー大将軍とエスデス将軍のデフォルメされたグッズが販売されていたのだ。
ブドーバッチにエスデスバッチ、団扇から鉢巻、更には御守りと来たもんだ。まぁエスデスグッズの方が多いけどね。やっぱりこのエスデス将軍は美人何かな?スタイルはええんかな?見てみたいもんだな!
グッズを買おうか迷いつつ下心満載な俺は背後にいる人物に全然気付かなかった。
side エスデス
私は今帝都の警備と挨拶回りをしている。大抵の者は私の姿を見ると道を開けて頭を下げるか壁際まで下がり近くの者と話す。しかし、私を見ると皆同じ反応だから少々つまらん。
そんな中土産屋の近くを通る時、黒髪の少年を見つけた。鼠色のコートを着込み背中にはポンプアクション式のショットガンを身につけていた。
偶々似た格好をしている。そう思った……だが、私は土産屋に足を運んだ。まぁついでに挨拶回りも必要だろうしな。
カッ カッ カッ カッ
店員が私の姿に気付いた様だ。慌てる姿が滑稽だ。だが、少年はまだ気付いては無い。
「うーむ、どっち買おうかな?ブドーバッチかエスデスバッチか……。マグナムの先端に付けてオシャレしたいしな。MP28の先端にも欲しいな。イサカは如何しよう?」
そう少年は言いながら中々の大口径のリボルバーを取り出す。間違いない、この少年が報告書に合った子だろう。
私はまだ気付いて無い少年の横顔を見る。真剣な表情でブドーバッチと私のバッチを見比べている。しかし、アッサリ結論は出したみたいだ。
「よし!エスデスバッチにしよう!人気なのはエスデス将軍の方だろう。美人と言うお墨付きだし!それにブドー大将軍は引きこもりだし。尚且つおっさんだしな!すいませーん!エスデスバッチ3つとエスデス団扇1つ下さーい!」
如何やら私のグッズを買うのを決めた様だ。いい事だ。しかし、店員は口パクをしている。恐らく私の所為だろう。しかし、この少年は違った。
「………えっと、『わたしは、ホモ、です』………ホモはフェクマでお腹いっぱいだよ!馬鹿野郎!」
店員の口パクに言葉を付け足したのだ。しかも内容が面白い!更に店員は首を横に振り口パクをする。
「…………何々、『わたしは、ドS、です』…そうか、俺はどっちでも無いわ。つうか、まだ童貞ですから分かりませんが何か問題でも!」
少し惜しい気がする内容だ。だが、店員は更に首を横に振り口パクを再開する。
「………うーんと、『店長の加齢臭がキツイ』悪口はいかんぞ悪口は」
「んな事言ってねぇよ!隣を「ガシッちょっと裏に行こうか(満面の笑み)」て、店長!ち、違いますって!あいつがバタン←ドアを閉める音」
「……………」
「……………」
互いに沈黙する。すると少年が先に口を開く。
「中々楽しそうな職場だね。えっと、エスデスバッチ3つと団扇1つで……あー、細かいのが無いけど良いや。お金置いとくよー!釣りは要らね!」
そう言って少年は土産屋を後にする。しかし、私は少年を呼び止めた。
「そこの少年。少し良いか?」
「はい?………WOWスッゴイ美人発見」
これが私と少年……いや、私の運命の恋人シュウとの最初の会話だった。
side out
土産屋でエスデスバッチと団扇買ったらスッゴイ美人に声掛けられた。……でも、この人バッチの人に似ている?
「えっと、失礼。何かご用ですか?」
「大した事では無い。ただ、確認したくて声を掛けただけだ。君はシュウという名前で合ってるか?」
何故か名前を知ってる美人さん。
「……そうです。でも、何故名前を?そして、貴女は一体……」
「あぁ、まだ名乗って無かったな。私の名はエスデスだ。帝国軍の将軍だ。少年、君が買ったバッチと団扇のモデルでも有る!」
少しドヤ顔するエスデス将軍。しかし、何故将軍クラスの人が俺を?
「以前ナイトレイドの帝具使い2人と交戦して撃退したそうだな。その時の警備隊の報告書を読ませて貰ったのだ。だからもう少しその辺りの事を詳しく話したい。良いかな?」
取り敢えず拒否する理由が無いので大丈夫だと伝える。
「なら、場所を移動しよう。場所は……そうだな、甘味所の甘えん坊にしよう」
そうエスデス将軍は言いながら先導する。その後に続きながら考える。
なーんか面倒事になるか?いや、上手く誤魔化せば問題ないか?ま!俺なら何とか出来る!
そして最後に自分に問う
そんな気構えで大丈夫か?
そして答えは勿論
大丈夫だ。問題無い。
と。
フラグである。
甘味所甘えん坊
実はここ偶に来ていたりする。名物品が中々美味いのだ。
「エ!エスデス将軍!こ、これはこれは!本日はどの様な御用で!」
あー、店主さんガッチガチになってる。
「そう畏るな。挨拶回りと客として来ただけだ。これからは私が帝都の警備をする」
「ははー!心強い限りですエスデス様!こ……これはほんの気持ちです」
おっ!賄賂だ賄賂!初めてこういう所見たわ。エスデス将軍はそのお金を摘むと、店主の目にガッツリ押し込み、
「私に賄賂はいらん。次やったら痛い目に合わせるぞ」
と。ただ、店主の「ぎゃー!もう充分痛いです!」のコメントを聞いた時はだろうなと同意した。
「さて、名物を貰おうか」
「自分も同じ物お願いします」
椅子に座りながら注文する。それから直ぐに注文の品が来たが、何時もより2割り増しで来てた。ラッキー!
「では、改めて質問させて貰おうか。ナイトレイド2人と交戦した時の状況について聞きたい」
「まぁ、良いですよ。多分報告書と殆ど変わら無い内容ですが」
そう言いながら当時の状況を話す。アルバイトの帰りに偶然発見。そして警備隊の知り合いが殺されかけたので助けた。相手を負傷させるも目潰しされ逃す。
「成る程。しかし、帝具使い2人相手に無茶をするものだ。勝算は有ったのか?」
「勝算はありません。何せ帝具使い2人との戦闘ですよ?連携もかなり出来てました。だから自分の目標はセリューさん……あっと知り合いの警備隊の方です。セリューさんを逃す事、足止めを行い警備隊の増援を待つ。この2つを達成出来れば良かったので」
元々勝ち目が無いなら無いなりに戦えば良いだけの事。それに……
「何より俺が生き残れば良い事でしたしね」
そう、1番はやはり死な無い事。
「……そうか。中々良い事だな。それが君の強味なのだろう」
(生き残ろうとする強さもある。殆ど完璧だな。後は無垢な笑顔だけだ。さあ!笑顔を見せろ!)
心無しかエスデスの周りに謎のオーラが出始める。それに気付かないシュウ。
更にリーチがかかる。
「強味……ですか。確かに、何時も思ってます。自分が旅をしている時や賊、危険種を殺す時も……。生き残ることを考えます」
この時代を生きて学んだ事。それは弱肉強食だからこそ生き残る力が必要なのだと。
「でも、俺はあんまり強く無いんですよね。いや、大抵の人よりは強いですよ?……でも、殆ど勝ちたい戦いに勝てて無いからな」
しかも勝ちたいと思う人の殆どの連中はあの世行きと来たもんだ。
少し黄昏た表情をするシュウ。
「そうか。シュウ、お前には輝く何かがあると私は感じている。だからそう悲観するな。お前はまだ若い。これから強くなれるぞ」
エスデス将軍がシュウを慰める。その姿を見た甘えん坊の店主は目を見開く。
「エスデス将軍……。帝国最強と謳われてる人に其処まで言われたら悲観なんてしてられませんね。何か自信が出てきました!ありがとうございます!」(無垢な笑顔発動)
更に、
*年上キラー「前回のお詫びに1.5倍のボーナスタイム入ります!( 'ω')و ̑̑」
「………………………あ」
トクン
この時、1人の乙女が恋に堕ちた瞬間だった。
「シュウ、お前は今はまだ弱い」
エスデス将軍立ち上がりながらはシュウに言う。そんなエスデス将軍を見上げるシュウ。
「だから……今から私の物にしてやろう!そして私がお前を鍛え上げてやろう!」
そう言いながら高速で胸元から首輪を出して一瞬でシュウの首に首輪を付ける。
「……え?え?……さっきの感動的な事が全部台無し何ですけど?良いの?」
突然の展開について行けないシュウ。しかし、エスデス将軍は気にしない。
「何、安心しろ。最初は戸惑うかもしれんが時期に慣れる。だから「ガチャガチャ カチャン」……む?」
目を瞑りシュウに語りかけていたが、首輪を一瞬で外してファイブブーストを使いダッシュで逃げ出すシュウ。更に、
「俺を拘束したければやってみろ!わっはっはっはー!逃げ足は誰にも負けた事が無いわ!」
自信満々な笑顔を見せながら走り去るシュウ。
(今の笑顔も良い!)
そんな笑顔すら良いと感じる乙女フィルター。しかし、伊達に帝国最強を謳われてる訳ではない。
「やれやれ、染めがいのある奴だ。だからこそお前を私の物にする!!!!」パチンッ
その瞬間シュウの前に氷の壁が出来る。そして勢いが止まらず壁に突っ込むシュウ。
「え?ちょ!「バコン!!」はぶっ!」バタ…
顔面から勢いよく突っ込み鼻血を出しながら倒れ……そうなシュウを優しく抱き抱えるエスデス将軍。速い!
「鼻血が出てるな。………ふむ。ペロ、チュッ。続きは私の部屋でな。今はこれで我慢してくれ」
そう言いながら鼻血を舐めとり、氷を鼻に当てるエスデス。シュウ?ガッツリぶつかった為意識を無くしてます。勿体無い!
こうして、シュウはエスデスにお姫様だっこされながら共に王宮に向かって行った。
そんな一部始終を見ていた奴が屋根の上に居たが、余りの展開に呆然としていたのは仕方ない事だった。