悠久たる郷里にて   作:悠里(Jurli)

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S.Y




「これ、探していたのはこの者たちで宜しいか。」

「いや、探しているのはウルグラーd…じゃなくて、そう、その三人だ。」

 思わず、その似つかわぬ口調にもう一度同じ失態をしてしまった。そう、レソルだ。

「では、余はこれにて。」

「待て。何故なぜお前はそんな名前なんだ?連邦人に似つかわしくないが。(口調もな)」

「ああ、余か? 余はユーゲ平野に気まぐれで出現し、ペーセ人として過ごしていたからな。ペーセの名なのだ。」

「き、気まぐれ…」

「左様。では、余はこれにて。」

 最後まで変な奴だったな。奴は一体……。

「それよりヴァイユー!」

 耳をピョコンと。

「何あ在りたや?」

「知りたいです、私。」

 ああ、久々に聞く声だ。やっぱり仲間、盟友(メイナ)はいいもんだ。

「知りたいって、何をだ?」

「今まで何をしていたか。です。」

「ラジオの修理なんて、絶対にぜったいに嘘だよねえ!?」

「あ、すまん。嘘だ。」

 レフミーユが若干想定外と言うような顔をした。

「本当に嘘なの!?」

「うむ。あの手紙に付いた指紋について調査をしてきた。結果は、一致なしが四十七パーセント、ヴァイユの指紋が九パーセント、レフミーユ・セプロノ・クアの指紋はゼロ、ファリシーヤの指紋が四十一パーセントだった。」

「故、第三者あこん事件ん関わるとー。」

「…第三者、ですか。」

「そうだな。まあ、これで私以外の疑いは限りなく0になったな。」

「ヴァイユはやってないでしょ。」

「とは言え、一応9%付いてるからな。」

「この火事も、関係あります。恐いです。」

「あんまり心配しても身体に悪いし、捜査は警察に任せて息抜きしようよ!」

「そうするか。アイルとか、パイグの文化にもほとんど触れていないしなあ。人探しも兼ねて戻るか。」

 そして、ふたたび神社へ我々は戻った。

「こん近くん、わん村あるえ、そん処ん行くあー。」

「近くって言ってたけど、いつ付くの?」

「すぐ着くあー。」

「まだ、ですか?」

「すぐ着くあー。」

「まだ着かないのか?」

「すぐ着くあー。」

「着く在り。」

「『すぐ』って言ってたけど、めっちゃ歩いたよ!?」

「嘘つき…です。」

「ああー!疲れたー!」

 

族王、族王!(nim2 iou, nim2 iou!)」(部族長、部族長!)

  「噫、書王。彼等何?(a, ak1 iou. zap2 ge nan?)」(ああ、書記長。彼らは誰?)

其男BAIYU, 猫耳在LEPMIYU, 月色目TEPLONO.(ze1 ki1 baiyu, ne2 lua1 aim2 lepmiyu, xem1 pok ta2 teplono.)」(その男はヴァイユ、猫耳があるのがレフミーユ、黄色い目をしたのがセプロノです。)

  「善人乎?(kait cuk2 yun?)」(友達?)

在。心目於族。(aim2. hia1 ta2 ye nim2.)」(はい。民族について見せたいです。)

  「噫……在。心識於族。(a......aim2. hia1 can2 ye nim2.)」(ああ…よし。知って欲しい。)

一、心付族衣。在乎?(et2, hia1 kun2 nim2 tak1. aim2 yun?)」(じゃあ初めに、民族衣装を着せたい。ありますか?)

  「在。而貝類無。出於手乎?(aim2. ua dit2 suo2 mun1. yan2 ye huop1 yun?)」(あるけど、装飾品が無い。作る?)

 

名前くらいしか聞き取れなかったが、クアが説明してくれた。

「Siss mirvia nim2 tak1. Coss laozia perger'd zalizal?」(彼らは民族衣装を貸す。パイグの装飾品作る?)

 

「作る作る!楽しそう!」

「楽しそう、ですね。」

「おお!」

 

そうして、部族長が民族衣装を持ってきてくれた。クアによるとどうやら二種類あるらしく、二之衣と四之衣というらしい。どちらも簡素な作りだが、着用のし易い四之衣を貸してくれるそうだ。そして、首飾りの材料は陶器だそうだ。宝石で作る場合もあるようだ。さてと、

 

 粘土をこねる。陶芸もPMCFの文化だ。粘土は余り触ったことは無いが、ひんやりしていて気持ちが良い。そして、岩絵具をつけ、植物の灰や長石の粉を水で溶いた釉薬を塗る。いよいよそれを窯で焼く。パン窯のような見た目の小型のものだ。

すると美しい球体が出来上がった。クアは「もう少し」というがさっきの件があるので信用出来ない……。と思っていたらレフミーユが完成させてしまった。綺麗なオレンジ色をした、首飾りを掛けている。彼女の笑顔とあいまってとても輝いている。そうして惚れ惚れしていると、セプロノまで完成させてしまった。いけない。遅れている。私は故郷を、そしてこの海を想い、青く着色をした。ふう。やっと完成か。ああ、質素だが美しい。パイグ語も、この服も……そう言えば、首飾りに気をとられて服のことを忘れていた。周りを見渡すと一行ともども着替えていなかった。

 

「着替え、見ないでよ///」 

「と、当然だろ。」

おっと。心がふわり。動いた気がした。

 

 




 S.Yです。いやあ、一ヶ月って早いですなあ……。今回はパイグ語、そして文化に力を入れて書いてみました。
では続いて、FAFS氏の作品にご期待あれ。

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