「うーーーーーーーん…………」
「世良さん、あまり根を詰めても仕方ないですよ。一息入れましょう」
「そうは言うけどさぁ、安室さん……」
法務省並びに財務省に警察から提供してもらった密輸や密航、その他もろもろのデータと自分のデスクでにらめっこしている世良真純と、彼女に休息を促す調査部部長・安室透の姿があった。
「昨日安室さん達がこっそり解決した銀行強盗もそうだけど、麻薬の密輸が減った代わりに銃火器やそのパーツの密輸が馬鹿みたいに増えてる。……急にだよ? 複数が関わってる可能性はあるけど、あの爺さんが関わっているならなにか癖というか……あると思うんだよ。方向性が」
資料を見て気が付いたことや思いついたことをメモ帳にとにかく書き出している真純の作業を、安室は微笑ましい目で見ていた。
「件数が増えすぎて警察の手が回らなくなってる。聞いた安室さん? 杯戸署の方なんて、ここ最近署も交番もガラ空きらしいよ? とにかく現場が多すぎてさ」
「本当かい?」
「ほら、三池さん。ボスの家政婦さんの友達っていう婦警さんと昨日会ってさ、ちょっと話していたんだ」
「あぁ、杯戸署の……なるほど」
真純も行き詰っていることには気づいているのか、内線でメイドにコーヒーと軽食を注文してから、頭の後ろで腕を組んで「んーーーーーーっ!!」と伸びをする。
「そういえば安室さん、昨日の出動ってどういう流れだったの?」
「あぁ、人質になってた妊婦さんの旦那さんからの通報……通報って言っていいのかな。まぁ、依頼が越水さんの所に来てそれからウチに……って感じだね」
「警察じゃなくて探偵事務所――っていうか、民間企業の方に来るとはねぇ」
「時間がない状況というのもあったんだろうけど……君が聞いた通り、警察の手が足りなくなってきているってことだろうね」
「それで無茶な依頼がこっちに回されるのかぁ」
「設立当初からストーカーやDV被害者がこっちに駆け込む事は多かった。ちょっと物騒な顛末もあったから……まぁ、そこらの実績を買われて……って所かな」
「うっへぇ。昨日の強盗もそうだけど、三日前のストーカーですら銃持ってたから危ないんだよなぁ」
ちょうどメイドが運んできた熱いコーヒーを少し啜りながら、真純は自分の脇腹の辺りをポンッと叩く。
「病院の検査で問題ないのは診断書で知っているけど、念のためしばらくは養生しておくんだね」
「了解了解」
実際撃たれたその箇所――紅子の件があってさらに強化されたジャケットのおかげで傷一つないその部位をポンッと叩いて笑って見せる真純に、安室は苦笑を見せる。
「それと、所長からも説明はあっただろうから分かってると思うけど――」
「カウンセリングだろう? 分かってる分かってる、受けてくるよ。先生はボスの選んだ人だし、信用はしてるさ」
どうしてもここ最近は銃が関わる犯罪が増えている。
警察官の中にも殉職した人間はやはりおり、そうでなくても関わった人間が銃を向けられた際の死の恐怖を忘れられずに退職してしまうケースが全国で増えている。
それを受けて、探偵事務所や調査会社のほうでも、それぞれ緊急事態に出くわした人間はカウンセリングを義務付けるようになった。
なお、所長である浅見は検診もカウンセリングも膨大な量を取られている。
「これ以上銃が出回ったら、本当に僕らが表に出なきゃ治安維持が回らなくなっちゃうよ」
「……まだ高校生の君に、そんなことを考えさせなきゃいけないのはなんというか……すまない、我々の力不足だな」
「我々って……僕らは仲間じゃないか」
その言葉に安室は小さく目を見開く。
「……そうか。うん、そうだね」
安室は疲れたようにため息を吐く。
「世良さん、一息ついたら向こうから提供されたデータと我々が関わった事件の資料を会議用にまとめておいてくれ。今度の月末会議の議題にする……というか、どっちにせよなるだろうしね」
「となると、簡単にまとめたパワポ用とは別に、詳細まとめた配布資料を人数分用意すればいいかな?」
「できれば明後日までに頼む。こっちで一度チェックするよ」
「了解だよ、安室
サンドイッチと添え物のフライドポテトを勢いよくパクついてコーヒーで流し込んでから、改めて自分のデスクに向かう真純を満足そうな顔で少しの間見守った安室は、自分のデスクについて作業を始める。
自分を上司として慕い、仕事で十全に応えようとしてくれる部下が一人でもいてくれるのならやる気が出るのが安室透――浅見探偵事務所調査部部長としての習性だった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
〇6月2日
相変わらず忙しい日々である。
税関やら入管から回してもらったデータから、ここ最近の密輸対策を練り直すことになった。
というよりは、行政側へのアドバイザー兼予備人員の貸し出しという所か。
もとは犯罪国家だったということで大々的に言えなかったが、ウチのカゲのノウハウで使えそうなものは取り入れたいらしい。
こちらとしても日本政府のセクションとのパイプは喉から手が出るほど欲しかったので助かる。
病院船の方は、より調整した二番艦が主力になりそうだ。
先日艤装を終えた一番艦は、さっそく離島や寂れた港町などを周回する処女航海を行ったのだが問題点がいくつか見つかった。
問題点から各船員からのヒアリングで気になった部分を全部リストアップして、美波子さんに送ってある。
ヘリの方も、ウチの関連会社でライセンス取って生産してる機体二機のうち片方を阿笠博士と小沼博士のコンビがあれこれいじくりまわしている。
とんでもない魔改造機になるのちょっと怖いけど、まぁなんとかなるだろう。
いざってときは多分爆発したり墜落したりしてワンシーン飾る役になるんだろうから、そうなりそうな時は俺が乗るようにしておかなくちゃ……。
〇6月5日
どうも、雑な殺し屋もどきが大量発生しているようだ。
いや、まさか蘭ちゃんが殺されかかるとは思わんかった。……人違いで。
しかも本来のターゲットが俺の知り合いでビビった。美佐の奴、相変わらず敵作る性格してるなぁ……。
わざわざ山梨まで彼氏とキャンプって……しかもそこでも容赦なく喧嘩売るあたりさすがだわ。
前の彼氏と付き合ってる時と変わってねぇ……。
美佐がいい奴だってのは知ってるけど、ついつい彼氏を試したくなるその面倒くさい性格はなんとかしとけって言っておいただろうに……。
問題はあれだ、殺し屋(仮)の男だ。
どうも以前に駅のホームで男を突き落として殺害していた所を、美佐の今の彼氏に見られたらしい。馬鹿かな?
しかも自分の犯行を目撃した男から依頼をたった100万で受けて今回の仕事をやったと聞いた時のジョドーの顔が今でも忘れられない。
あそこまでこう……苦々しいというか忌々しそうな顔は初めて見たよ。
よっぽどあの男の事気に入らなかったんだろうな。
ついでにその殺害方法が眠らせたままダムの放流先の川に車ごと放置というのを聞いた時の顔は、本当に筆舌に尽くしがたかった。
でも今回だけじゃないんだよなぁ。
なんか本気で、変な暗殺者もどきが増えている。
蜘蛛の連中の方がある意味100倍マシかもしれん。
馬鹿な敵って時に有能な敵の何倍も厄介な時があるからなぁ。
〇6月7日
紅子のお付きの子がウチの仕事に加わるようになった。
それこそ紅子が初めて関わった――あるいは解決した交霊会殺人事件の関係者だ。
紅子曰く、心の弱い子だったから心配だったという事で色々面倒を見ていた所、今では俺よりも二つ年上なのに紅子にすっかり懐いている。
いやぁ紅子、人前でも紅子様呼びさせるのどうかと思う。
……うん、あの時の顔を見る限り、多分言ってもやめてくれないって所だろうけど。
ともあれ、裏方としては確かにいい書類捌きの腕を持っている。
できるだけペーパーワークは減らしたいんだけど、組織が増えるとどうしてもなぁ。
というか、組織が大きくなってから仕事の量も規模も増えているからホントもう……。
〇6月10日
電話が来た。ルパン三世から。
なんで毎回毎回公安の風見さんがいるときに電話してくるのさ。めっちゃくちゃ焦るだろうが。
まぁ、今回は悪い話じゃなかったからまぁヨシとしよう。
何年か前に突然行方不明になった世界一の富豪ハワード・ロックウッドが所有していた会社のいくつかの買収依頼だった。
理由がちょっとよく分らなかったけど、後始末どうこう言ってたからそういうことなのだろう。
正直助かる。ホントに助かる。特に鉄鋼、造船、運輸の三つをある程度抑えられそうなのが本当に助かる。
おかげで自分の拠点になる日本、カリオストロ、東欧の三か所の運営や開発が楽になる。
ただルパンさんや、ちょっとこの会社量は……正気かい?
〇6月15日
怜奈さんが殴りこんできた。いや本当に……びっくりしたな。
どうしたかと思ったらCIAの諜報対象の最優先ラインに俺が乗ったらしい。マジか。
おかげで俺とのライン維持が自分の主目的になったそうな。
というか、俺関係の仕事の責任者になったんだとか。
やったじゃん、出世だろう? って聞いたらハンドバッグの紐で首絞められた。
いい機会だし瑛祐君に正体含めて全部話したら? って畳みかけたら股間に膝蹴り食らった。
ごめんて。
とにかく、今後は怜奈さんが今まで以上にこちらとやり取りをすることが多くなる。
……例の組織に関する工作でも使えるかもしれんな。
でも一人だけってのもなぁ。
安室さんとマリーさんをまとめてこっちに引き抜けたらベストなんだけど……。
〇6月17日
ついに俺もスキャンダルを週刊誌にスッパ抜かれた。
俺と怜奈さんに熱愛疑惑だそうだ。
クッソ笑ってたら怜奈さんに首絞められた。今度は素手で。ゴメンて。
でも俺の後ろで俺以上に爆笑してる安室さんと沖矢さんはよかったんですかね。
いつもクールな二人が並んで腹抱えて笑うとか超絶レアな光景ですわ。
怜奈さんスゲー睨んでたけど、それで終わりだもんなぁ。
この間みたいに引っ叩いてもいいのよ?
俺みたいに。
まぁ、くだらん疑惑で燃えるのも悪くないけど大火になりすぎるのも困る。
七槻あたりと相談するかぁ。
〇6月18日
なんだかんだで人気女子アナの怜奈さんの人気が下がるとメディア工作がやりづらくなるし、一応手を打ってきた。
ちょうどこちらで手を打とうとしていた仕事の一つを、怜奈さん経由の相談だったという事にした。正確には、彼女からも相談があったという形で、だが。
そもそもの依頼と言うかタレコミなのだが、東都テレビのとあるプロデューサーの悪質な強要に関する事件だ。
きっかけは、以前関わった
あの事件で殺害された紫條麗華は、占いにかこつけて得た情報を使ってゆすりを働いていた。
そのゆすりの片棒を担いでいた可能性があるとされていたのが、その悪質なプロデューサーだ。
で、その証拠というかまさに強要の被害にあっていたテレビ番組の制作会社社員からの告発によって俺達が動くことになっていた。
これを利用させてもらおう。
まじで向こうの社内でも評判悪い男だったみたいだし、追い落とすのにはちょうどいい。
事件以来紅子と仲のいい、紫條麗華の姪の優華さんも情報提供という形で協力してくれるみたいだし、今度ウチのプロモに参加することになっている女優の緑川くららさんも根回しに協力してくれるそうだ。
……なんかますますメディア方面への参戦に王手かかった気がしなくもないけど、有益な面もデカいしもうしょうがないか。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「貴様、一度この国の……お祓い? でも受けてきたらどうだ?」
「この前神社三か所回ってお祓い受けたら三か所とも俺の番でお祓い棒が裂けたり折れたりして実質お祓い出禁なんですわ」
「……貴方って人は」
おおう、これは不味い。
メアリーが貴様とかお前とか言わずに貴方って呼んでくるときはマジの時だ。
この子マジで俺に呆れている。
そんな目をしないでくれメアリー。
俺だって必死に頑張ってるんだよ。
「頑張りすぎよ」
マジか。
「水無怜奈から報告というか……殴り込みがあってからカゲも私も正直大忙しだ。裏での接触がとんでもない数になっている」
「……暗殺?」
「いや、ノアズアークを回避するために物理的に裏口を作ろうとしているな。自宅や事務所へ侵入しようとしている。パソコンやサーバーに直接仕掛けを作って情報を抜きたいのだろう」
「押さえてる?」
「当たり前だ」
「念のために定期的に盗聴器その他諸々を警戒してクリーニングしておいて」
「すでにジョドーが計画を立てている」
「ん、ならよし」
この子を勧誘するために使ったセーフハウスの内の一件。俺が彼女と密会する時によく使う民家の一室でグデーっと二人並んでダレている。
うん、その時点で薄々感じていたけどメアリーもちょっとお疲れだねぇ。
俺の前でそんな姿見せるの初めてじゃん。
「……透」
「ん?」
「ノアズアークの一件以来、ちゃんと休めているか?」
「……んんーーーーーー」
「…………」
「多分?」
「あぁ、そこで疑問符がついてしまうレベルか」
まぁねぇ。とはいえ仕方ない。
「メディアがあれだけ無神経に連日押しかければ、気が休まる日もないか」
「まぁ、あの人たちもお仕事だからねぇ」
その分こちらに協力してもらうし、余計な事すればどうなるかは近々東都テレビのスキャンダルと共に思い知らされるだろう。
「しばらくは鳥羽初穂にすべて任せて休んでいたらどうだ?」
「俺よりもメアリーでしょ。体弱ってるのに無理させててすまん」
「……貴方だってついこの間刺されたばかりじゃない」
「? もう慣れたから大丈夫だよ?」
頭はたかれた。なぜ?
「明日くらいにお前はまた刺されてそうだな」
「うーん、まぁ大丈夫じゃない?」
大丈夫大丈夫死なない死なない。
俺を殺しうるのはもうちょっと本気になった組織の連中か枡山さんくらいのもんだ。
「女と会う予定があるなら気をつけろ」
「ん?」
「お前が気に入る女は大体危険人物だ」
「異議を! 異議を申し立てたい!」
「黙れ」
ひどいや! ちょっと情が重かったり環境に押しつぶされそうでこう……脳内でエラーが起こっちゃってついつい殺人に走っちゃいそうになる子が多いだけじゃん!
ちゃんとエラー因子取り除いたらめっちゃいい子になるんだぞ!
「それで、今のお前の懸念は?」
「あーー……CIAがちょっと不穏」
「連中か……」
「どうも、身元隠した奴が国内にいるFBIに接触しているっぽいのよ」
「? そんな報告は受けていないが?」
「こっち来る前にカゲの諜報部門がそれっぽいのを掴んで、今ジョドーが裏取り中」
「……違法捜査中のFBIを使い勝手のいい鉄砲玉にするつもりか?」
「捨て駒とも言うね」
まだキャメルさんには伝えていない。
というか、どう説明すればいいのか……。
そもそもFBIにどうして欲しいのか自分の中で答えが出ていない。
いやまぁ、そのうち出来るだろう役目がハッキリするまではジッとしていて欲しいってのが本音なんだけど、そういうわけにもいかんだろう。
「FBI側となんとか交渉したいんだけど、えらく警戒されていて碌な接触が出来ないんだよなぁ」
「例の英語教師はどうだ? 毛利蘭や鈴木園子とも近いから接触しやすいだろう?」
「なぜか一番俺を警戒しておりまして……ハイ」
「……美人だったろう?」
「うん」
「お前の好みか?」
「……うーーーーん?」
「なるほど、大体わかった。ならば仕方あるまい」
どういうこっちゃ。
「多少なりとも頭が回るマトモな女ならば、不用意にお前に近づこうとはせん」
「おいこら」
抗議しようと立ち上がった瞬間、足掬われてベッドの上に放り投げられた。
痛……くはないな。気を遣ってくれたのか?
「横になったままでいい。これからお前はどう動くつもりだ?」
……マジでこれ気を遣ってくれてるっぽいな。
メアリーの目から見ても疲れが溜まってたか。
「組織というか俺個人?」
「組織の方が再編でしばらく大きな動きが取れんだろう、たった
「まぁねぇ……。とりあえず、しばらくはカリオストロで動くつもり」
「カリオストロ?」
「今の俺の最大の弱点は、女王陛下だ」
カリオストロの事件で女王に即位したけど、政治に関しては勉強中の人間だ。
加えて出来るだけ会話を重ねて信用を得ているつもりだけど、それでも文化の違いがあるし常に向こうにいられるわけではない。
「余計な風説で、お前とクラリス女王の間に不和を起こす者がいるのか?」
「今はまだ……ただ、今すぐにでもそういう動きがあってもおかしくない」
カリオストロの事件は俺のイメージそのものでもある。
ここでそのカリオストロの姫――女王からの信頼を失ったなんてスキャンダルが出たら俺にとってデカい向かい風になる。
経済力なんかは充分得たけど、いくら金を払っても手に入らないのがイメージだ。
(金持ちがあちこちに寄付する理由がよく分かるなぁ……)
「…………透」
「ん?」
「イギリスのSISも動いている」
「…………なんて?」
イギリス? 以前向こうに恩田さんと初穂を誘拐対策の研修で行かせたことはあったけど、別にデカい付き合いなかっただろう?
……あぁいや、ハワード・ロックウッドの遺した会社関係があったか。
泥棒のおじさんマジで勘弁してくれ。
いや食いついたのは俺だけどさ。
ちょっと規模デカすぎるんだわ。
「あれ? ひょっとして暗殺者増える感じ?」
「いや、今の所そういう話はない。ない、が……」
メアリーがこんだけ言いづらそうにするの滅多にないな。
「透、言うまでもないが甘言に気を付けろ。ここから先、お前を取り込みたい連中は山ほど出てくる」
「知ってる。俺とか恩田さんに女あてがおうとする連中、ドン引くくらい増えたからな……」
角を立てずに断るの、滅茶苦茶疲れるんだよね。
「多分、例の組織も末端の連中はとっくに紛れ込んでる」
「あぁ。お前が情報ラインを分けていてくれたのは本当にありがたかった。助かる」
「メアリーを失うのは痛手だからねぇ。下手にバレたら困る」
なにせ、コナンや志保、それにメアリーの身に起こった肉体的な
組織の人間もほとんど知らないだろう。
「……SISはお前の行動の分析を重視している。行く先々に監視が付くだろう」
「まぁ、CIAもやってることだろうし」
「……あぁ、その……」
「ま、大丈夫。先手を打つために色々用意するのは当たり前だし、そこに卑怯どうこうもないし」
その上で周りの安全を確保するために手を打つのが俺の仕事なわけで……なんでこうなったんだ?
「俺の仕事は刺されたり撃たれたりすることだけと思ってたんだけどなぁ」
「そんな仕事があるか」
あるのよ。
盛り上げ役というかピンチ役というか。
「まぁ、大丈夫大丈夫」
「……相手は国だけではない、実質世界だ。それでも勝てると言うのか?」
「勝つ必要はない」
勝つって事は相手を負かすことになる。
それじゃあいつかこっちが折れてしまう。
「必要なのは、盤面に乗ってもらうことだ」
「透、それなりに貴方のことは信用できるようになったし、信頼もしているつもりだけど……」
「たまに貴方が詐欺師に見えるわ」
「訴訟」
《rikkaの回顧録》
〇タイムリミットは15時!
アニメオリジナル:File376(Part13-6)
コナン世界はミステリー世界、ミステリー世界という事は犯罪の世界。
そしてそんな世界にやっぱり現れる妙な『殺し屋』
そんななんかの一人が出てくるのはこの話、『タイムリミットは15時!』です。
いやホントにね……色々勘違いと言うか間が悪くて蘭ちゃんが殺されかけるという話。
お前、そんな依頼の受け方でよく殺し屋やれてたな……。
しかも捕まった理由も自分のしょーもない運転ミス。
おまえ……おまえ……。
よくお前それやったなぁ……ってのはアレですね、『元太少年の災難』のアイツとかも挙げたい。
そして本作の実質ヒロインという常山美佐。本当にヒロインである。
そもそも蘭ちゃんずっと寝てて台詞が最初と最後にしかない。
所々でいい人そうな雰囲気見せるキャラではあるんだけど、面倒くさそうな面もスゲー出てるといううーーーーん。
コナンの美人キャラの中でも、実に評価に困るキャラである。
〇殺意はコーヒーの香り
アニメ:File513~514(Part17-7)
コミックス60巻
青山先生が書いた事件とアニオリの事件は当然違いがある。
それぞれの作風が出る物です。
(浦澤先生は……あの……ええ……昆虫人間の発想よく出てきましたね)
だが、たまにこれアニオリじゃなかったっけ? って勘違いしてしまうくらい一風変わったエピソードがコレ。
いやホントにこうなんというか……。
強いて言うなら、私の大好きなアニオリ版千葉刑事のストーリーに近い空気です。
多くは語れない……アニメ化が2008年なので、未視聴の方もいらっしゃるかもしれない……ぜひとも見てもらいたいエピソードです。
《追記》
このエピソードに出てきた某プロデューサーですが、自分の好きなエピソードでもあるアニメ512話『砕けたホロスコープ』で名前だけ出ていたらしい。観直してみたらマジだった。
これよく気が付いたなぁと思いつつ、今回ちょっと設定を捏造して登場させました。