元は普通の一軒家だった透君――旦那様の家も、最近急に家主が引き払ったという周囲の家や土地をいくつか買い占め、今ではちょっとした屋敷へと変貌してしまいました。
旦那様が言うには、主に鈴木相談役からのゴリ押しと、その系列建築会社が本気見せた結果だそうですが。
「で、最後にここらの部屋がだいたい寝室兼客室。念のためにそれぞれ鍵はつけておいたし、あとで決めた寝室で
「とお――旦那様、本当によろしいのですか? 離れとはいえ、すごく立派な家なんですが」
「もうこの際気にせずに使ってくれ。ここは完全に桜子ちゃんの家だ。あぁ、そうそう。あとで軽く避難訓練行うから、そん時確認してくれ」
そしてその影響を一番受けているのは、多分この私だろう。
おかしいなぁ。私、普通のアパート住まいのただの家政婦だったのに。
「旦那様の敷地内に家があるのはいろんな意味で安心だし安全だし便利なんですが……お家賃は……」
「そっちも気にしないでくれ、マジで。こちらの内情把握したうえで気を利かせて動いてくれる人は貴重なんだから……正直光熱費やら水道電気その他もろもろ全部こっちで良いような――」
「さすがにそれは破格すぎるので止めてください! 絶対ですよ!?」
小さく舌打ちする自分の雇い主が心底恐ろしくて頼もしすぎる。
この年下の雇い主に甘えてたら、いつの間にか本当に飼い殺しにされそうなので油断しちゃダメなんです。
「まぁ、真面目にこっちの落ち度でもあるからなぁ。ウチの家政婦って事で顔バレしてから尾行や待ち伏せ、付きまといが増えただろう?」
「それは……えぇ、まぁ」
旦那様の執事の人達が誘導してくれなかったらと思うと、今でも冷や冷やする。
家のそばに隠れていたテレビの人達に気づいた執事の人が、そのまま私をセーフハウスまで送り届けてくれた。
「実際、あの後ウチでも調べてみたらメディア以外にもミーハー……かどうかは分からんけど面倒そうな連中が潜んでたり、ひどいのだと室内への侵入を試みてた奴もいたし……桜子ちゃんにはむしろ悪いことをしてる。せめて安全面くらいは確保してやらんと申し訳が立たん」
「……お給料や諸々の補填、手当に社内保険でもう十分っていうかお腹いっぱいなんですけど……」
正直、単に私がオートロックのマンションとかに引っ越せばいいだけじゃないかと思う。
現にお金は凄くたくさんある。
ちょっと前までタイムセールで出来るだけ安いお肉を買ってた自分が、特に気にせず牛肉だって買えるようになったし、疲れた時だって気軽に外食や宅配を使えるようになった。
「若林社長から、桜子ちゃんのことを頼むと頭を下げられたからね」
自分より三つも年下で、自分よりもずっとエラい男の子が懐から何かを取り出す。
新しい表札だ。
旦那様の苗字である『浅見』に続いて『越水』『中居』『中北』『灰原』の横に自分の苗字が『米原』がかけられた。
「まぁ、これからもよろしくお願いします」
「――はい! 旦那様!」
「――さてジョドー、メアリー、相手の動きは?」
「ギリギリまで桜子様への接触を狙っていたようですが、こちらで動きをけん制致しました」
「裏を辿ったが、やはりまっとうな連中ではない。おそらく貴様に近い一般人である米原桜子の誘拐、そして利用が目的だったのだろう。……どうする?」
「根っこまで引き抜け。俺の周囲に裏の手段で手を出す事の意味を、馬鹿共に示すいい機会だ」
「では、手段も」
「問わん」
「犠牲もか?」
「くどい」
「全部踏みつぶせ。最優先事項だ」
「かしこまりました」
「了解した」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
〇4月10日
桜子ちゃんが改修終わったウチの離れに住むことになった。
仮にも職場に住まわせるようなもので、気疲れしないかがすごく不安だったけど今の所そういう様子はなし。
桜子ちゃんは気を遣いすぎるタイプだし、子供を使うようで気が引けるけど楓を使うか。
こう言っちゃなんだけど、楓ってば実は京極君にとって姉弟子に当たっちゃうんだよね。
対人関係スキルに限定すればの話だけど。
恩田さんも単に、色々面倒でやっかいな幼年時を乗り切るためにちょっとした距離の測り方や調整のコツを教えただけだったけど、もともとフレンドリーな楓はそれを見る見る吸収していった。
どれくらいかと言うと、ふなちが『楓様が将来悪女にならないように見守りませんと……』と危惧するレベルだ。
それはそれで心配し過ぎだと思うんだけどなぁ。
勘ではあるけど、あれ多少天然混じってるぞ。
ともあれ、人が隠しておきたい事とか、あるいは本当の欲求などには敏感な楓だ。
桜子ちゃんになにか不味いと思うことがあればそれとなく忠告してくれるだろう。
観察眼という一点のみなら恩田さんと同レベルで頼りになる。小学生だけどそれ言ったらおしまいだよなぁ。
『P.S』
全部杞憂だったかもしれん。
普通にリビングで一緒に酒飲んで七槻と一緒に寝とるわ。
今ふなちが毛布取りに行っとる。
ひょっとしたら、薄々桜子ちゃん周囲のプレッシャーを感じ取ってたのかもなぁ……。
こうも気持ちよく馴染んでくれると嬉しいもんだ。
アパート時代同様に桜子ちゃんから部屋のカギ預かってるし一息ついたら運ぼう。
〇4月17日
病院船の設計をしてくれた美波子さんがいる
八代の名前はしっかり出したし何の用だろうと思ったら、普通にウチ――正確にはカリオストロとヴェスパニアへの持ちかけだった。なぜそれで俺の所に来るのか……。
百歩譲ってカリオストロは分からんでもないがヴェスパニアには普通に窓口あるだろうに……。
コイツら、腹に一物持ってそうな奴らだから正直近づきたくないんだよなぁ。
美波子さんだけスカウトしたい所だけど、今のうちに造船関連で頼れるところはないんだよなぁ。
自前の造船所を持とうって話もあるけど、それはカリオストロでの話だし当面は無理。
ただ、特殊な状況下に限って厄介ごとは必ず起こるハズなので特に海に関しては個人装備はもちろんだけどその他用意できるものは出来るだけ揃えておきたい。
船は出来るだけ自前で持ちたい。
製造コストはもちろん維持費も馬鹿にならんし、下手したら赤字になる可能性あるけど海運は複数の国を跨いで拠点を持つこちらにとって無視できない大動脈だ。
その維持に、できるだけ他所の手を入れたくない。
とりあえず八代からは吸収できるものを可能な限り吸収して、こちらの用意が整うまでの代理として使わせてもらおう。
〇4月18日
いきなり変な依頼が来るのはいつもの事だけど、自首したいから昔の事件の証拠を見つけてくれってのはどうなのよ。
依頼者はよくレストランでピアノやらヴァイオリンを弾いてくれる
事の始まりは30年前にさかのぼる。
音楽一家として高名な設楽家――ご令嬢の
今の苗字が違うのは、お父様の死後、母方に預けられたからだという事だ。
その響輔さんと父、羽賀弾二朗さんがまだ幼い響輔さんにストラディバリウスをプレゼントした。
だが30年前に設楽家当主――調一朗氏が、自分の息子である降人さん――蓮希ちゃんの父親だ――に弾かせてほしいと貸し出したことで事態がややこしくなる。
その音色を耳にして、調一朗氏が欲を出してしまったのだ。
どうしてもストラディバリウスを自分の物にしたくなった調一朗氏は、それを返却する際にレプリカとすり替えた。
なぜすぐバレるやり方を選んだのかとマジで思うんだが、まぁ、人間誰だって愚かになる瞬間はあるわな。
当然気付いて怒った弾二朗さんは直訴し、口論になった。
俺ならこの時点で証拠集めて警察に介入してもらう所だがそうはならず、結果激しい口論の末に弾二朗氏は階段から落下、重傷を負ってしまう。
この時点で救急車を呼べばその後の悲劇はなかったのだろうが、欲や願望に目がくらんだ人間はえてして正解を選べない。
見殺しにしたのだ。
三男の弦三朗氏に自分達を縛らせて強盗の被害を演出し、ストラディバリウスは持っていかれてしまった! それは偽物だったけどなぁ! という自作自演を行った……らしい。
馬鹿かな? と思うけど上手くいったらしい。
まだなんとも言えんけどこれが事実だったら、当時の警察連中見つけ出して一通り説教事案ですわコレ。
弾二朗氏はその後死亡。妻の千波さんも、夫の看病していたが生来の身体の弱さが祟り、弾二朗氏より先に他界。
そのためストラディバリウスは設楽家のモノになってしまったというのだ。
本人もすっかり忘れていたのだが、一年前にそのストラディバリウスの調律を任されたことで思い出したそうだ。
…………。
これ話を聞いてからずっと思ってたんだけどさ。
設楽家の人間はマジで馬鹿か天然なのかな?
罪の意識とまではいかなくてもその死に携わった男の息子が、なんらかのきっかけで余計な事を思い出すんじゃないかとかそういう恐怖はなかったのか?
ともかく、響輔さんがそのことを、現場にいた源三朗氏の奥様――
本来なら、自分の手で残る人物を殺害する予定だったらしいが、先日の王道大学の事件を聞いて俺の所に来たということだ。
俺ならば、遠い過去の事件でも解決してくれるのではないか、と。
なんとかしてやりたい気持ちはある。
文字通り最後の最後、道を踏み外す直前に頼ってくれたんだ。
加えて、おそらく羽賀さんが話したことは、真実かどうかはともかく嘘は言っていない。
が、なにせ三十年前だ。
本当に自作自演の強盗ならば隙は必ずある。なにせ思い付きでのその場しのぎだからないはずがないんだが……さすがに三十年はキツい。
これが一桁内だったら普通の調査でなんとかできたと思う。
十五年以内でも多分どうにかできた……が、三十年か。
正攻法で無理なら、横から攻めるしかない。
そうなると、お父様の死と同様に階段から転落死した詠美さんの件で自首しようとしている響輔さんの動きは利用できる。
そもそも、きっかけは響輔さんであっても詠美さんは完全な事故死――それも即死だったし、そのきっかけに至るところで攻めれば他の人間の口を割らせられるかもしれない。
うん、整理してみて落ち着いた。
やっぱこれは探偵だけじゃなくて弁護士の協力も必要だな。
妃先生に相談してみよう。
法廷での立ち回り次第では、完全勝利は難しくても痛み分けで真実を引っ張り出せる可能性はまだあるかもしれない。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「相変わらずの活躍ねぇ。今度は山形県警の隠ぺい工作を暴いて、大物逮捕に貢献?」
「暴いたっていうか……うんまぁ、こっちとしても色々小細工働いたから素直に喜べないんだけど」
珍しい人に酒に誘われた。正確には二人で飲まないかと聞かれたので、ウチの店のVIP用の個室を用意した。
いや、この人に誘われること自体は珍しくないんだけど、大抵由美さんか捜査一課の誰かが引っ付いてきてたからなぁ。
「それでもお手柄はお手柄でしょう? もうちょっと誇りなさいよ。それとも透、貴方ロシアみたいなドンパチじゃないと手柄の内に入らない大物になっちゃった?」
「……美和さんには敵わないな」
佐藤美和子警部補――最近だいぶ仲良くなって気軽に呼び合うようになったけど、今思うとあれ由美さんに引っ張られたな。
麻雀で勝負している時に罰ゲームで点数の下から一番と二番が互いを気軽に呼び合ってみるってのを引きずって……そのまま……。
あのアル中雀士!
今考えたら打つ前にガンガン俺の口にスピリタスぶち込んだのは仕込みに気付かせにくくするためか!?
何がしてぇんだあんにゃろう!?
「? どうかした、透?」
「いや……自分の脇の甘さをちょっと痛感してるというかなんというか」
「ふーん?」
今度アイツの所に行くときは餃子でも持っていくか。ニンニクたっぷりの奴。
女として死ぬがよい。
……だめだ、アイツ普通に受け入れそうだ。「これビールが進むわー!」とか言ってガツガツ食ってビールやら発泡酒やらで流し込む光景が目に浮かぶ。
「まぁ、でもちょうどよかった。美和さんにはちょいと頼みたいことがあったんだ」
「あら、なにかやっかいな事件?」
「まぁねぇ……。なにせ三十年近く前の事件だからどうにも……」
「それって、もう時効は過ぎてるんじゃない?」
「それだけの話だよ。頼まれたら何とかしてみせるのがウチの仕事」
おかげで最近、引きこもりの娘をなんとか外に出してほしいとか、公園にいつもいる男を何とかしてほしいとか、俺や越水の所を無料でなんでも出来る集団と間違えているような話も出てきてる。
一般大衆は俺達をなんだと思っているのか。
大体はなんとかしてみせているけどさ!
でも線引きもあるんだってば!
「……そう。そうよね。……君はいつだって」
飲みに誘った割にはそれほど飲まず、むしろ散々俺に飲ませる美和さん。
……まさかと思うけど由美さんと同じ戦法取るつもりか?
いいだろう、ビールごときで俺を酔いつぶせると思うなよ。
俺を潰したければ由美さんみたく開けたばかりのスピリタス瓶を口どころか喉にぶち込んでからが勝負だという事を教えてやろう!
「いいわ」
「へ?」
「事件の内容にもよるけど、大事な事なんでしょう? 詳細を教えてくれれば、可能な限り当時の資料や証拠品を揃えてみる」
「お、おう」
「その代わりに透、お願い。君に見つけてほしいの」
「……何を?」
「私のお父さんを殺した――犯人を」
「
「えぇ、そう呼ばれている強盗殺人事件よ。……十七年前の、だけど」
なるほど、また面倒な話だ。
十七年前の事件となると証拠は……いや待て、強殺なら。
「襲われたのは民家? 店舗? それとも銀行?」
「銀行よ」
よし、ならまだ勝ちの目がある。
「顔を隠した雨合羽の人物が銀行に押し入り、5億5千万を奪い逃走したの」
「殺人はその時に?」
「ええ、止めに入った警備員が、犯人の持っていた猟銃で殴殺されてる」
「……殴殺? 射殺じゃなくて?」
「ええ、そう」
猟銃がフェイクだったか弾が入ってなかったか、あるいは……あくまで脅し目的だったか?
「で、その犯人を追っかけてトラックに轢かれて死んだのが私の父。佐藤
「……さっき殺されたって言ってたって事は……突き飛ばされて?」
「えぇ……そう証言している目撃者がいるの。そして父は救急車に搬送されるまでずっと呟いていたの、「しゅうしろう」って」
「それで
普通に考えると犯人の名前だけど、まぁ例によって例のごとくミスリードだろう。
違うキーワードがないと意味が見えてこないと見た。
「手掛かりは防犯カメラの映像」
「それも10秒足らずのね」
「顔を隠していたのは?」
「帽子にサングラス、マスクにレインコート」
「……ま、銀行襲うなら当然だけどしっかり用意してたな」
うーん、これだけだと後は現場見るしかねぇか。
ただ、現場の銀行はもう証拠なんてゼロだろうし、一番の問題の美和さんのお父さんが亡くなった場所も、当時は豪雨だったから証拠の類は洗い流されちまってるハズ。
まぁ、だから当時の捜査も難航したんだろうけど。
「それと、もう一つ」
考えていると、美和さんが周囲を警戒して顔を寄せてきた。
ここ、VIP用の個室なんですが……密談とか打ち合わせに使うから防音対策はバッチリだし、亀倉さん達が料理やお酒運んでくるときは事前に一報あるようになってるし……。
「カンオっていう言葉を、父が警察手帳に書き記してたの」
「カンオ?」
「ええ、カタカナ三文字。当時の警察は外に漏らさないようにしてたけど、どうやら前後の記述から重要な人物だと考えられてたみたい。……すごく聞かれたもの。カンオと言う言葉に聞き覚えはないか。なにか思い出さないかって」
「……カンオ、ねぇ。どうして佐藤刑――あぁ、その、
「ええ……なにも分からなかったわ」
分からなかった……ということはそこに書いていなかったということだろう。
逆に言うと、一々書くまでもないことなんじゃないか?
となると身近にあった人か物で……。
普通に聞くと意味不明となると内部の隠語とかじゃなくて……もっとアバウトな物か。
となると妥当なのは短縮形……あるいはあだ名?
「美和さん、お父さんと親しかった人って覚えてる?」
「え?」
「思いつく限りでいい、片っ端から挙げてみてくれ」
ビールのジョッキの結露を吸い込み、円形の染みが出来てる紙のコースターをひっくり返してボールペンを出す。
「そうね……親しい人……あ」
「思いついた?」
「えぇ、お父さんの高校時代の野球部仲間が……でも、それがどうして――」
「名前は? できるだけフルネームでお願い」
「えぇと……バッテリーを組んでた
「いや、もういい」
こういうキーワード系のヒントってのはパターンが絞られる。
並び替えか他言語の書き換え、あるいはカタカナ読み、特定パターンによって五十音順、あるいはアルファベット順でのずらしなど。
今回の場合他にヒントがないからずらし系の線は薄い。となると……。
(コイツだな)
ウチのスタッフを呼び出すボタン――とは別に、俺がこの席に着いた時だけに用意されるベルを軽く鳴らす。
するとすぐさま扉がノックされる。
入るように促すと、ジョドーが畏まりながら入ってくる。
「旦那様、御用は?」
「この名前の人物を探ってくれ。彼女の父親の友人だ。出来るな?」
「はっ、お任せください」
相変わらず無駄がない。それでこそ俺の片腕。
いやマジで有能だ。桜子ちゃんの件も真っ先に敵の動きに気付いたのはジョドーだし、何気に格闘訓練で師匠とプレッシャー変わらんし……あの伯爵、なんで負けたんだ?
「ちょ、ちょっと透! どういう――」
「銀行を襲ったって事は、当然通し番号は記録されてんだろう?」
「えぇ、それが?」
「仮に時効になったとしても、通し番号の記録はチェックしてるハズ。だけど今も出てきていない。違う?」
もしそうなら、捜査はともかく手掛かりはもうちょっと出来てるはずだ。
「その通りよ。まだ使われてない……」
「時効から二年も経つのに?」
「それは……」
「仮にロンダリングしていたならそっちはそっちで痕跡は見つかっていたハズ。ここまで出揃わないという事は、多分犯人は時効が切れるまで札一枚使っていないと思う」
「時効が切れるまでって……それは二年前に」
「まだだ」
まぁ、亀倉さんみたいに時効を勘違いしているパターンもあるけど、これは多分……。
「犯人にとって、時効はまだ終わってないんだ」
クソッ、この俺が注がれた酒を残すことになるとは!
と言っても、こういうパターンって聞かされた時点で
「美和、上に上がってシャワー浴びて、一応酔い覚ましておけ。まだ遅い時間ってわけじゃないし、やってもらいたいことがある」
美和――さん、やっべぇ呼び捨てにしちまった。
とにかく、美和さんは目を白黒させている。
「状況次第じゃあ今日中にお父さんの仇を押さえる」
けど、その前に美和さんに確認してもらいたいからほらスタンダップ!
詰めのために必要な一手の確認、美和さんにしてもらいたいんだから!!
※原作と微妙に時間がズレているのは、サザエさん時空があさみんの性で更にねじくり曲がったためだという理屈で納得いただければ幸いです。
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もはや皆さんおなじみの本庁の刑事恋物語。その第三弾こそ佐藤刑事のお父さんにまつわる事件『愁思郎事件』の確信へと迫るストーリーです
本来の原作では時効を過ぎて三年となっていますが、本作ではいろいろねじれて一年短縮、二年の時点で話が始まりました。
原作では思わぬ推理で、誰よりも早く犯人に気が付いた高木刑事。
だが我が家の食卓に着いていたものは全員一発で犯人が分かっていた模様そりゃそうだ。
白鳥ももうちょっと頑張れば多分気づけただろうに……
うん、見直してみたら容疑者4人ともちゃんと会ってるな
原作ではこの愁思郎事件と同時進行で放火事件も進むのですが、今思うとこの放火犯、無駄にスケールはデカイのになぜかやってることが小さい……
あれか今でいう無敵の人の亜種だったのかもしれない。