割と最近だったような気もするけどひょっとしてまだコミックスに乗ってない話なのかあるいは自分の幻覚だったのか
誰かわかる人がいらっしゃったらよろしくお願いします
銃声と跳弾の音が夜の山中に響き渡る。
さっさとここを切りぬけて車の後を追いたいのだがそれが出来ない。
エンジンの音すらもはや聞こえない。
よりにもよって、ヤツの身内――しかも、以前極秘裏に接触しようとしていた、例の薬の開発者と思われる娘が……それも、おそらくはあの子の……
(クソッ! 私としたことがなんという失態だ!)
あの瞬間、まず車を襲撃し運転手を無力化しておくべきだった。
そうすればその後あの二人を襲撃してもそう簡単には逃走できなかったし、仮に実行しようとしても運転手を引きずり下ろすというワンステップが入るために必ず隙が出来ていたのは間違いない。
そうだ、そうするべきだったのだ。だというのに――
奴の――あの女の顔を見た瞬間に、判断を誤った。
あの女を先に抑えておくべきだと錯覚してしまった。
(せめてここで、どちらかだけでも確保しなければ……っ)
そうでなければ、あの男に合わせる顔がない。
あの老人の駒である大柄な男、例の組織に繋がるあの女。
厄介さで言えば間違いなくあの女だ。ここで逃がすのはかなり不味い。
だが、放置しておけば後々被害が大きくなりそうなのは男の方。
香坂夏美を音もなく攫った連中は、一人一人が間違いなく最精鋭だ。
それを指揮しているこの男も、ここで抑えなければさらにやっかいなことになる。
(手が足りん……っ。これほどまでの事態に陥るとは!)
手が止まりそうになる。
迷ってはいけないと頭では理解しているのに心が迷う。
だからこそ、行動が求められる。
優先すべきはあの男だ。誘拐した二人の行き先を知っているだろう奴を抑えれば、さらわれた二人の奪還計画を立てられる。
「くっ……そこを退きなさい! アイリッシュ!」
女が、男が身を隠している辺りに向けて発砲している。
男がそれに応戦しているが、こちらへ隙を見せる気配はない。
飛び出そうとすれば、その瞬間にけん制の一撃が飛んでくる。
女も、あの二人を追いかけるにはこの場を離れるしかないと判断しているハズ。
男も、あの二人をこの場からすでに連れ去っている以上、急いでこの場を離れたいと思っているハズ。
それでも撃ち合っているのは両者ともに、後退するタイミングを失っているからだ。
(付け入るなら、そこか)
けん制の方向を、男ではなく女の方に変える。
女――自分にとっても因縁のある女は、多少は驚きながらもこちらに応戦しながら距離を取る。
すると、男も自分への圧が減ったことを肌で感じたのかジリジリと下がりだす。
両者の意識が、攻勢から後退に移ったその瞬間を狙って飛び出す。
狙いは男だ。
これまでならば飛び出した瞬間にヘルメットに当たっていたであろう弾丸が紙一重の差でそれていく。
駆け抜けていく背後で、女が走り出す音が耳に入った。
癪だが見逃すしかない。
「くそ! 貴様だけでも!」
男もそれが耳に入ったのか、頭を完全に迎撃に切り替えた。
確かに、もしこの男が万全だったのならば、リーチの短い自分には不利だっただろう。
だが、今この男は利き手が使えない。
加えて見た目以上に痛みが激しいのか、動きが鈍い。
『遅い!』
間合いを詰めて、拳銃を蹴り上げる。
やはり利き手でなかったためか、あっさり男の手から拳銃は吹き飛んだ。
(もらったぞ!)
意識を刈り取るため、顎を揺らそうと狙った瞬間。
やや離れた所に突然複数の足音が響く。
『――っ!』
男は、ニヤリと笑っていた。
「ピスコは随分とあの男にご執心だし、あまり手を出すなと言っていたが」
いつの間にか、サブマシンガンを持った男たちに囲まれていた。
同時に離れたところから――さきほどあの女が逃げていった方向からけたたましい銃声がする。
あの女狐め、やられたか!
「これ以上あの男の手にカードが増えるのは面白くない」
男が、サッと右手を上げる。
「じゃあな」
(駄目だ、やられ――)
思わず体が強張る。
そして次の瞬間――急に誰かに引っ張られ、地面に押し倒されていた。
『貴様……浅見透っ!?』
「間に合った!」
自分と契約した男が、自分の上にいた。
同時に大量の銃声が鳴り響き、男の体にめり込む弾丸の衝撃が彼の体を通じて自分にも伝わってくる。
しがみつかれているために浅見透の顔はわからない。
例の防弾素材のスーツのおかげで貫通した弾丸が自分を貫くことはない。
だが、その分浅見透にかかる衝撃は尋常なものではないとわかる。
今でも、自分の服が血でどんどん濡れているのがわかる。
ただでさえこんなに負傷しているのだ。いつ心臓が止まってもおかしくない。
だが、自分の体に伝わる力強さはこの男の生存を示していた。
しばらく男が耐えていると、ついに銃弾の雨が止んだ。
顔を上げる。
今の今まで銃弾の雨にさらされていた男の顔を。
男は、笑っていた。
片方の目を包帯で覆い、顔は血にまみれ、虚ろな目をした男は笑っていた。
――……今の弾倉、全部撃ち尽くしたな?
男は立ち上がっていた。
片腕は確実に脱臼していて、足も震えているが、
そこには、一人の男が立っていた。
――バカが。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
一応、事件は終わった。
いや全然全く終わっていないのだが……まぁ、そういうことになった。
青蘭さんと取引して城館の中でこっちの退路を塞いでいたバカ共をぶっ飛ばしながら青蘭さんが言う比較的安全な退路に向かってるうちに、外でごちゃごちゃ動いている連中の足音っぽいのが聞こえた気がしたので、また燃える覚悟で炎の中走り切って抜け出したらメアリーが馬鹿共と交戦してる所に出くわした。
正直、覚えているのはそこらへんまでだ。
メアリーを射線から引っぺがして地面に押し付けて、死にかけた時に思いついたことメアリーに託して気が付いたら病院のベッドの上。
なんか暴れたような記憶はあるんだけど記憶があいまいで……。
救急車が駆け付けた時には、どうして心臓が動いているのかわからない程だったんだよ!? って医者にスンゲー怒られた。
コナン達は青蘭さんの道案内で無事なルートから抜け出したという話だ。
外に出てからコナンと瑞紀ちゃんでもう一度青蘭さんを捕まえようとしていたらしいが、連中――枡山一派に水を差されて結局逃げられたらしい。
地下にいた蘭ちゃんたちも無事だった。
メアリーから聞いた話だと、連中が夏美さんをかっさらっていった道というか仕掛け通路がそのまま開きっぱなしだったらしい。
おかげで全員、消防や警察が来る頃には安全な場所まで避難することが出来たが……
そうだ、少なくともエッグに関わる事件は終わったけど、肝心要の事は何一つとして終わっていない。
(完敗だな……)
夏美さんと志保が攫われた。
気を失っていた阿笠博士がコナンたちに志保が攫われたことを伝え、コナンたちがそれを目暮警部に話して、Nシステムを駆使して問題の車を特定、後を追ってもらったのだが見失ってしまったとのことだ。
まぁ、そう簡単にしっぽを出すはずもなかったか。
「……すまなかった」
「気にすんなメアリー。俺の戦略ミスだ。もっと早く数を揃えておけば対処できてた」
今俺は病院に叩き込まれている。
まぁ、仕方ない。
メアリーの話だと、死ぬほど撃たれまくった後に弾倉を交換しようとして得物を一時失った馬鹿共をシバき倒して、そのままメアリーと協力して幹部っぽいヤツと格闘してたけど途中で俺が倒れて、結果幹部っぽい男には逃げられたって話だった。
「メアリーこそ大丈夫か? かなりヤバイ状況だったろ?」
「貴様の方こそ、こうして会話が出来ているのが不思議としか言いようがない。よく生きていたな」
まぁ……うん。
記憶がだいぶ朧気だけど、何も見えなくなって音を頼りにぶん殴ったり避けたり蹴り飛ばしたり物投げたりしてた……ような?
多分妨害されていたんだろう通信が復活してから、即座に瑛祐君が救急車を呼んでくれたという事だ。
俺と阿笠博士はその中に叩き込まれたらしいんだけど、まったく覚えてねぇ。
「本当に……よく生きていてくれた。そして……すまない。実に……面目ない」
いつもクールに表情を動かすことのないメアリーが、ベッドの脇で珍しく申し訳なさそうにしていた。
「行先は……やっぱりロシア?」
「間違いない。事が事なだけに報道はされていない。というか、最後のお前の指示通り抑え込んだ」
「上手くいったようだね」
メアリーは、小さく肩をすくめ
「まぁ、今は大盗賊スコーピオンとお前の死闘というセンセーショナルな話題があるから尚更、な」
「事件そのものの概要が誘拐事件の隠れ蓑になったか。まぁ、それならそれでいい」
例の組織の人間ではなく、枡山さんに攫われたのはある意味不幸中の幸いだ。
あの人ならば志保を殺しはしない。
多分だけど、枡山さんが志保と会ったらいい服与えて豪華な食事でもふるまって普通に会話でもしてるだろう。
本当の意味での狙いは間違いなく俺と俺の戦力だ。
こちらにとっての最重要人物である志保を奪還するには、こちらから戦力連れて乗り込まないといけない。
逆にいえば、その分日本――それも東都でここまで築いてきた独自の監視網にどうしても穴が空いてしまう。
その隙に、多少なりとも仕込みを進めるつもりなのだろう。
こっちの網に仕掛けるのか、舞台に仕掛けるのか。
……まぁ、枡山さんなら全部やるよね。
ついでに、志保から多少なりとも情報収集といった所か。
俺の身内でかつ知恵者でもある志保からは、反応一つでもこっちの手の内をある程度は察せるだろう。
……これ以上数を揃えられる前に、どうしても一度当たっておく必要があるな。
捕まえた連中も多少はいるが、本当に多少だ。
クッソ、枡山さんめ。ちょうどいい暇つぶしを手に入れたと思ってるんだろうな。
「乗り込むのか?」
「当然。体が動き次第すぐにでも動く。医者には無茶言ってる自覚はあるけど、今回だけは押し通させてもらう」
「……浅見透」
「ん?」
「私はお前を疑っていた。いや、今も疑っている」
知ってる。
「お前は……あまりに異質すぎる。お前自身の身体能力もそうだが……人材、人脈、資金。そのすべてが異常なほどに豊富だ。今の会社を組み立てたのがほんの二か月前とは思えないほどに……お前の成長ぶりは不可解すぎた」
すいません。数年なんです。
誰も信じてくれないというか理解できないんだろうけど数か月は数か月じゃないんです。
昨日は昨日じゃないこともあるし、明日が明日じゃないことなんて珍しくないんです。
何言ってんだろうなぁ。俺。
「……どうにかお前の裏を探ろうと小細工を働いた。お前の過去には必ずなにかあると。それを材料に、もっとこちらに有利な交渉を持ち掛けられるかもしれないと」
すいません特に何もないんです。
あぁ、いや、工藤とか志保の事は確かに隠し事か。
江戸川コナンと灰原哀のカバーストーリーには、念には念を入れて偽装ダミーいくつか仕込んだし。
……そういやぁ、病院の偽装ラボに潜入しようともしていたなメアリー。
「今更私を信用しろとは言えない。だが――」
「メアリー」
いや君、猜疑心と慎重さが力になるタイプだろうに。たまに変な所で動いちゃうけど。
そして使命感が強い。
うん、俺を止めなきゃならんと君が思った時に、君は間違いなく俺を刺す。絶対に刺す。
後ろからブッスリと。ザックリと。
迷わず君は俺を刺す。
そういう存在でいてくれなきゃ困る。
「変わる必要も変える必要もない。メアリーは間違いなく、俺が持つ最高の切り札だ」
じっとメアリーがこっちも見る。
その視線にどう返せばいいのかわからなくて、とりあえずじっと見つめ返した。
しばらくそうしていると、彼女は何かを諦めたように……いや、呆れたように静かにため息を吐く。
「浅見透」
「うん」
「この身体、改めてお前に預ける。思うままに使い潰せ」
使い潰せと来たかこんにゃろう。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「それで、透君の様子は?」
「事件の後は大人しく入院されていますわ」
「……大人しく?」
「えぇ、大人しく」
「……いつぞやの時みたいにパイプ椅子使って腹筋とか」
「しておりません」
「……服作りとかの趣味も」
「しておりません」
「……所員の皆には?」
「こっそり色々と指示を飛ばしているようです。特に恩田様には」
「……本気で大暴れする気だね」
「ですわね」
幻のインペリアル・イースターエッグをめぐる事件は酷いことになった。
殺人にこそ至らなかったが、被害は甚大。
香坂夏美さんと哀ちゃんが誘拐された。
正直、実感が湧かなかった。
あの家に戻っても実感が持てず、楓ちゃんの面倒を見るために留守番をしてくれていた桜子ちゃんに事の次第を話して、彼女が慌てふためき、泣き崩れたところを見てようやく実感が湧いた。
透君が意識を取り戻して面会が可能になった時にすぐに伝えたのだが、すでに彼は知っていた。
……ひょっとしたら、取り戻そうとして失敗したのかもしれない。
それなら、いつぞやの偽札騒動の時並みの大ケガも納得できる。
「透君は、僕たちに足場を固めろと言った」
「調査会社の事ですわね」
一度目のお見舞いの時、透君は純粋に体がどこまで動くかを気にしていた。それと、楓ちゃんや桜子さんといった家の人間の様子も。
ちょっと色々動く必要があって間が空いた今日のお見舞いでは、コナン君達毛利家の人たちが気落ちしていないか気にしていた。
「そういえば、私たちが入る直前までどなたかいらっしゃったような気がしたのですが……誰もおりませんでしたわね」
「あんまり気にしない方がいいと思うよ」
多分、透君が個人的に雇った人間だろう。
隠密行動に長けているとなると、きっと諜報や護衛などで動く透君の隠し札だ。
僕らが興味本位で首を突っ込んでいい事ではない。
下手に知ってしまったら、彼の足を引っ張ることになりかねない。
「……私達、何もできませんでしたね」
「……うん」
今回も、僕たちは出遅れた。
一連の事件の流れをコナン君と瑞紀さんから教えてもらった。
今回、下手すれば大勢の人間が殺害されていたところを防いだのは、瑞紀さんの活躍が大きい。
横浜に向かう船の中での動きから犯人を青蘭さんに絞っていた瑞紀さんは、不自然にならない程度に彼女の周囲をマークして、彼女の動きを阻害していた。
おかげで、あの時マリアの指輪を見せびらかしていた寒川さんを襲おうとしていた彼女を牽制できた。
城の中でも、彼女の動きを阻害したのは瑞紀さんと、彼女の動きから何となくを察したコナン君。
その一番活躍していた二人が、爆薬が仕掛けられていた事に気づけなかった事をひどく後悔している。
瑞紀さんが紅子ちゃんと……多分、手品師の助手さんかな。どこか見覚えのある、美人な女の人と一緒にお見舞いに行っていたのは知っていた。
ちょうど自分たちの前に来ていたのだが、瑞紀ちゃんはかなり気落ちしているようだ。
普段底抜けに明るくて、所員としてもマジシャンとしても透君のサポートをしてくれる彼女のあんなに暗い顔は初めて見た。
助手の女の人も、きっと彼女の事が心配なのだろう。ひどく心配そうな顔をしていた。
「相手は枡山さんだ」
「ええ」
「透君は、間違いなく乗り込む。今回の件、上から圧力がかかったせいで警察の動きが鈍い。目暮警部たちは独自に動くって言ってたけど……」
「あの、それなんですけど越水様」
「? なに、ふなち?」
「今回の件、ひょっとしたら警察を抑えているのは浅見様かもしれません」
「……え?」
思わず足を止めて、ふなちの顔を覗き込んでしまう。
ふなちはやや大げさに「むむむむむぅ~~~~っ」とうなり、
「先ほどお部屋に入った時に浅見様が、携帯電話を閉じてそっと枕元に隠したのを覚えてらっしゃいますか?」
「うん、覚えてる。いつものヤツっぽかったけど」
「ですが、扱いがやや乱暴な浅見様にしては携帯の四隅の傷が少なかったですわ。塗料も剥げてませんでしたし」
「……言われてみれば」
そういえばそうだった……気がする。
いけない、最近観察する癖を無くしかけてる気がする。
特に今回は、いけないな。色々焦ってる。
僕の悪い癖だ。
「前に一度、多分あの携帯でお電話されている所を見かけまして。ちょっと違うなぁと気にかけていたのですが」
「誰と話していたか分かる?」
「少しだけ漏れてきた声は多分……公安の風見様だったかと」
公安?
「あの電話、おそらく仕事用の中でもあまり外に出せない方達の受け取り用ではないでしょうか」
「……確証はないけど、仮に捜査を止めているのが透君だとする。となると理由は……」
「あまり表に出てほしくない事情があるということかと。浅見様の事ですから多分、誘拐された二人に関してなにかあるのかと」
「…………」
「越水様、踏み込みますか?」
誘拐された二人について、という意味だろう。
気にはなる。
夏美さんもそうだけど、特に哀ちゃん。
あの子は透君が連れてきた子だ。
それに雰囲気もおかしい。
コナン君と同じだ。見た目と中身にズレがある。
そういえば、恩田先輩がコナン君の過去について調べていたっけ。
気になることが出来たとかで。
うん、こっそり資料を集めてた。
コナン君と……確か、透君をこっちの道に引き込んだってことになってる男。
工藤新一について、なぜかこっそり調べている節がある。
江戸川コナンと灰原哀。
どちらも透君がかなり気を配ってる子供だ。
特にコナン君は、彼に自分が作ったネットワークや情報を好きな時に使えるように下笠姉妹に通している。
尋常じゃない。
確かに、調べたら彼の本当の目的に近づけるかもしれない。
でも――それは今じゃない。
「……いや、止めておこう」
いつもならば透君を止めるところだけど、これほどの事態だ。
僕が代わりになんとかしてみせるなんて口が裂けても言えない。
悔しいけど、悲しいけど、あの二人を取り戻すには透君――浅見透の全力が必要だ。
くだらない好奇心で足を引っ張るわけにはいかない。
くだらない嫉妬や感情で、取り返しのつかない事態が起きるような事があっては絶対にならない。
「今は透君の指示通り、こっちの会社の拡大に集中しよう。数があればあるいはどうにかなったかもしれないって浅見君は零していた。さすがに警察でもうかつに動けない事態ではどうしようもないだろうけど、ここから先はわからない。あるいはそういう時が来るかもしれない」
必ず透君は大暴れして、そして二人を連れて帰ってくる。
その後、事態がどう動くか……対処できるようにしておかないと。
「透君から、警備部門を増強しておくことを言われてる」
「ドバシセキュリティガードで講習を受けた人間、紹介してもらえるように手配しておきますわ」
「あとは退職した警察官で、まだまだ元気な人とかも視野に入れておいて」
「かしこまりましたわ」
寂しくなってしまったあの家に戻ろう。
楓ちゃんが哀ちゃんがいないことを怪しまないように話を作らなきゃいけないし、そもそも話をしていない。
怪我をした阿笠博士の世話をしていると言っているが、怪しまれないように話を作りこんでおかなくちゃ。
大丈夫。多分そう長くはない。
浅見透が、万全の状態で取り組もうとしているのなら――大丈夫だ。
超ひっさびさのrikkaコラム
〇ドバシセキュリティガード
『ボディガード 毛利小五郎』
アニメオリジナル(第794話)
DVD:PART25-4
作中に登場する警備会社です。
ここでは警備員……というより警護かな。に関する講習や実習を行っており、われらがオッチャンこと毛利小五郎がここで訓練する所からスタートするアニメオリジナル回。
印象的なのが、アニオリでもガッツリ眠らされることが多いおっちゃんがしっかり活躍した話でございます。