この馬鹿みたいな転生に悪態を   作:変態転生土方

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終わり、平定!


エピローグ この馬鹿みたいな転生に悪態を

 ここから先は後日談のようなものになる。

 クリスと約束していたアルダープが所持しているという神器は、バルトが彼とすり替わったことによってあっさりと手に入った。

 バルト曰く、容姿と体重に不満があるが、概ね満足しているとのことだった。

 すり替わっていても暇を見つけては姿を変え、あちこちに出現しているらしい。

 そう聞かされると、何か仕込まれている気がしてならないが。

 クリスは地上での活動を一旦止め、天界に帰っていった。

 どうやら女神エリスとしての仕事が溜まっているらしい。

 

「ダクネスのこと、よろしくね?」

 

 と去り際に言っていたが、オレの力だけでどうにかなるとは思えない。

 それとめぐみんだが、どうやら新しいパーティを見つけたらしい。

 上級職の冒険者しか採用しないという募集用紙を目を輝かせて見せてきた彼女は

 

「まさしく私のことではありませんか!」

 

 と意気揚々に向かっていったのだが、ちらっと見えた募集用紙にある「アットホームで和気藹々」という文字が嫌に脳内に残っている。

 大丈夫だといいんだけど。

 カズマとアクアは、外壁の補修仕事を辞め、溜めた資金で冒険者デビューしようとしているみたいだった。

 ギルドで出会った時の「これからお世話になる」というセリフがオレに対してなのかギルドに対してなのかは謎だけど、知らずの内に冷汗が背中を伝っていたのを覚えている。

 次にミツルギ。

 めぐみんと踊った次の日にノコノコと部屋にやってくるものだから、NOの文字を突きつけて強制的に排除した。

 その後、報告のためか王都に戻ったらしい。

 バルトの姿の一つとして王族専属の占い師があったことを思い出し、訪ねてみたところ「フフフ……」と意味深に笑っていたからとりあえず殴っておいた。

 そしてダクネスとゆんゆんは――。

 

 

 

 

 1

 

 

 

 

「お、光った」

 

 数日後、オレはアクセルのすぐ近くにある平原に座り込んでいた。

 理由は言わずもがな、アクアとカズマの監視だ。あとついでにめぐみん。

 オレの嫌な予感は的中し、「アットホームで和気云々」と記載していた募集者は、カズマとアクアだった。

 ほかにも「病気が治りモテモテになった」、「宝くじに当たった」などと盛りに盛っていたらしい。

 そもそも駆け出しの冒険者が集まる街で募集条件が上級職オンリーってどうなんだ。

 

「うーむ。めぐみん、また魔法の威力が上がってないか?」

「毎朝打ってるから扱いに磨きがかかってるのかも……」

 

 嫌な磨きのかかり方だな。

 そう思っていると、神妙な顔をしたダクネスが目に入る。

 

「どうしたんだよ、そんな顔して」

「うむ。前々から思っていたのだが……」

 

 一呼吸置き、

 

「爆裂魔法の威力とはどれほどのモノなのだろうな……っ!」

「お前……! やめろよ、絶対試すなよ! フリじゃないからな!」

「心配してくれるのか? エドワード。ふふ、大丈夫だ。防御力には自信がある!」

「ちっげーよ! 爆裂魔法を耐えたなんてバレたら変態認定待ったなしだからだ!」

 

 爆裂魔法はその使用魔力が膨大で、撃てば術者が魔力枯渇で倒れるが故にネタ魔法と嘲笑われている。

 しかし威力は折り紙付き。

 ブッパすれば大体のモンスターは跡形もなく消し飛ぶのだ。

 それを耐える、耐えてしまうであろうダクネスの存在がバレるとこれから行く先々でUMAを見るような目で見られてしまう。

 

「閃いた。モンスターに偽装して近づけば……!」

「ゆんゆん、あのアホを取り押さえろ」

「は、はいっ!」

 

 「ぬあーっ」と変な声を上げて地面に倒れるダクネスを見届けてため息を吐く。

 まったく、飽きないやつらだ。

 

「……ん? カズマとアクアだ」

 

 アクセルへと続く道をカズマがめぐみんを背負い、その後ろをアクアがついて行っている……のだが。

 

「な、なんかぬるぬるしてるような」

 

 ゆんゆんの言う通り、めぐみんとアクアは粘液のようなものが付着しているように見える。

 あれってもしかして――。

 

「ジャイアントトードの粘液かっ!?」

 

 ゆんゆんの拘束を打ち破り、勢いよく立ち上がったダクネスが言う。

 

「なんで嬉しそうなんだよ……」

「パーティメンバーをわざとトードに飲み込ませ、その後救出してぬるぬるプレイ……! しかもギャラリー付き……!? な、なんという鬼畜の所業だ……! どう思うエドワード!?」

「どうも思わねーよ……」

 

 はあはあと息を荒くするダクネスを横目に、立ち上がる。

 

「さ、オレたちも帰るか」

 

 

 

 

 2

 

 

 

 次の日の昼、オレはギルドにいた。

 カズマたちを見守るためにも長期のクエストには出れず、短期のクエストもない時はこうしてギルドに来てボーっとしている。

 

「あの」

「んー?」

 

 そんなオレの後ろに、一人の少女が立っていた。

 目立たない色のフードをしているが、僅かに見える奇麗なブロンドの髪と、整った顔立ちに、ブルーサファイアの瞳。

 一目見て、どこかの貴族令嬢だと感づく。

 

「あなたが……エドワードさんでしょうか?」

「ああ。オレは確かにエドワードだけど」

 

 「どちら様?」と問おうとした時だった。

 目の前の少女は「まあ!」と手を合わせると、

 

「ようやく会えました!」

「あー……どういうこと?」

 

 いまいち理解が追い付かない。

 

「あなたに会いに来ちゃいました」

「……も、もしかして――」

 

 背中に走る冷汗、幼い笑顔を浮かべる少女に、これから起こるであろう波乱をオレは想像した。

 

 




第一部 終
時間がないのでとりあえず暇が出来次第追記します

追記
ようやく一部が終わり、原作第一巻に次章から突入します。
おまたせ(息切れ)
一章にていろいろと下準備をした(つもり)なので、二章からは比較的コミカルな面を押していきたいと考えています。
というよりも彼らが絡んでくるとコミカルな方へと強制路線変更不可避なのでえ…。
あいも変わらず更新速度は遅いですがこれからもどうぞお突き合い(誤字にあらず)ください。

では次章でお会いしましょう!

次章「アクセルの日」

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