ベルくんちの神様が愛されすぎる   作:(◇)

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今回は短めです。主人公を書きたい。


五話下

 とある喫茶店、オラリオ東に位置するメインストリートを上から眺められるその席は、店の中でも一番人気な場所だった。そんな場所でロキは頬杖をつき、外のにぎわいと半比例するような気だるげな表情で溜息を吐いた。

 そのままダンジョンへ突っ込んでしまいそうなアイズを昨日捕まえて、今日はデートとしゃれ込むつもりだった。現にアイズは自分の隣に立っている。喫茶店で護衛の様に立たなければならない元凶こそがロキが溜息を吐いた理由だった。

 女性が口元に笑みを作る。ロキへと向けられた微笑みは男女問わずに慈愛を感じさせ、やがて彼女の魅力に堕とされていくだろう。たとえ身体を隠す様に紺色のローブを纏っていても彼女――『美』の神フレイヤの魅力を全て妨げることはできなかった。

 

「その胡散臭い笑みぃこっちに向けんのやめーや」

 

「あら、美人は貴女の好物でしょう? 喜ぶと思ったのだけれど」

 

「幾ら好きな見かけで腹が減っていても、爆竹で出来たもん口ん中には入れへんやろ? あと美人は好きやけど美神は別になぁ」

 

 お前やイシュタル見る限り面倒くさいだけやろ、と。その言葉と共にロキは強い視線をフレイヤの隣に居る獣人から感じていた。我らが主神を貶めるのは許さんと、そう意味を込められた物をロキは涼しげに流す。

 

「オッタル」

 

「……失礼いたしました」

 

 フレイヤの隣に護衛するような位置で経っていた男性――オッタルが小さく頭を下げる。それはロキに向けられたものではなく、声をかけたフレイヤへのものだった。

 【猛者(おうじゃ)】オッタル、オラリオ唯一のレベル7であり、都市最強と呼ばれる人物を前にアイズも気を抜くことは無かった。ロキとしては護衛させるつもりで連れてきたわけじゃない、と文句の一つでも言いたくなったが、目の前の神はのらりくらりと躱して微笑むだけだろう。

 

 どうしてこうなったのか、答えは簡単だ。偶然、の一言で済んでしまう。

 怪物祭にアイズと乗り出そうとして、まだ朝食を取ってないからと喫茶店の見晴らしのいい場所でアイズと話しながらブランチを取ろうと考えたのだ。

 店内が妙に浮ついていることに気が付いた時点で引き返せば良かった。しかしお忍びで来ているような格好のくせして、大男を護衛につけたその女神と目が合ってしまい、あろうことかロキに向かって手を振ってきたのだ。

 周り右しようとしたところで魅了にやられた従業員に、案内しますと声を掛けられた時点で諦め、フレイヤ達と相席をすることした。フレイヤの前で自分が尻尾撒いて逃げたなどと言う噂を立てられたら堪らないだろう。

 

「そっちもデートの真っ最中だったんやろ? ウチ等無視して続けておけばよかったやん」

 

「いいじゃない、友神(ゆうじん)を見かけて声をかけて席に誘うことが、そんなに可笑しい事だったかしら?」

 

「それな、そっちから見ればどこぞの美神(イシュタル)に閨を共にしようって言われてるんと同じような気分になるで」

 

「ふふ、ベッドから蹴り落とすついでに天界に返してあげたくなるような状況ね」

 

「流石にそれはウチも引くわ」

 

 天界に返してやると言うのは下界の子供たちに言うところの、アイツぶっ殺してやる、である。

 

「そんなに嫌がらなくてもいいじゃない」

 

 もう、と。少し眉を落としつまらなそうに言うフレイヤに、奇妙な物を見たと言うようにロキは頭の後ろを掻く。

 

「……まぁ邪険にしてたのは認めたる。つってもウチもそっちも仲良くお喋りしましょなんて関係じゃないやろ」

 

「偶には、よ。最近は大きな出来事もなかったから、貴方も暇をしていたんじゃないかしら?」

 

「否定はせーへんな」

 

 眷属(こども)達が遠征に行ってしまい少し退屈をしていたのは認める。しかしホームに残った眷属()達に絡んだりと、まぁ悪くは無いと感じる日常は過ごしていた。

 

 軽食も食べ終わった。煮えたぎるような温度だったコーヒーは冷めて、すぐに飲み干せる程度の量まで減っている。

 さっさと離れようとカップを傾け残ったコーヒーを流し込もうとした時だった。

 

 

「それに、もうすぐ貴方に呼び出されそうだったから、先に話の場を作っておこうと思ったのよ」

 

 

「……ほーん」

 

 

 相変わらず不敵な笑みを見せるフレイヤに、カップ越しにロキは適当な返事を返す。そして静かにテーブルへと置きなおし、軽く手を振って給仕を呼んだ。

 

「すまんなー、給仕くん。ちょいとコーヒーのお代わり頼むわ。砂糖たっぷりでなー」

 

 フレイヤが近くに居るからか浮ついたように注文を承る給仕を見送り、ロキは頭を回転させる。

 

「まっ、そないに話をしたいんならもう少し話そか。コーヒーが来て飲み終わるくらいまでやけど」

 

「そうね。貴方との会話は有意義だもの。甘党だったとは知らなかったけれど」

 

「この後にもアイズたんとのデートが控えとるやろ? まぁそれに備えての頭の栄養補給やな」

 

 フレイヤと朗らかに話している最中、ロキは頭の中を全力で回転させていた。

 オラリオで【ロキ・ファミリア】と【フレイヤ・ファミリア】は二大派閥に当たり、関係性としては明確な敵対はしていないが牽制し合っているような状態である。片方が大きく動けばもう片方も動かざるを得ない状況にあった。

 

 その上でフレイヤはロキに呼び出されるような状況、つまり今から何らかのアクションを起こすと明言してきたのだ。

 

 ハッキリ言ってロキから見たら寝耳に水の話だった。今現在フレイヤが大きな動きを見せているという情報は全く入ってきていなかった。だからこそ適当に相手していたし、少しでも予兆が有るのならそれ相応の準備をしていただろう。

 

「(大きな動きの情報は入っとらん。しいて言うんなら珍しく【神の宴】に参加した程度か? いやそん時にそれとなく探りは入れたけど、周りに働きかけている様子は無しやろ? ……アカンな、ホンマに分からん)」

 

 フレイヤが神の宴に参加するのは珍しい。当然ロキもある程度警戒はしていたが、軽く友神達に話を聞いてみてもフレイヤは暇だから来たと言った様子だった。

 ガネーシャをドついてからかったヘスティアが逃げ去った後は、終わりまでなんやかんやでフレイヤ、ヘファイストスと共に過ごした。警戒の意味もあったが普段通り過ごすフレイヤにロキは気を抜かされていた。

 とりあえず意気消沈しているガネーシャを置いて、男神(バカ)達が勝手に色々女神格付け(ランキング)を始めた結果ガネーシャファミリアのホームは爆発した。一番人気が何故かヘファイストスになっていて本人も困惑していたことを覚えている。まぁこれらは些細なことだとロキは頭の片隅に押しやる。

 

「(……いや待て、周りじゃなくてウチに話を通しておく必要がある?)」

 

「整理は終わった?」

 

 フレイヤが微笑む。軽い会話の時間稼ぎはばれていると分かっている。舌打ちをしたい内心を殺し、ロキは道化師のように軽く薄笑いの表情を見せた。

 

「ま、だいたいな。そんでウチ『個人』が面倒くさそうになることだけが分かったわ。ジブンが動くと碌なことにならへん」

 

「……へぇ」

 

 アタリか、と。ロキは勘で言った事を顔には出さず思う。

 

 これはロキ個人に迷惑が来るものであっても、ファミリアを巻き込むほどの物ではないとロキは当たりを付けた。

 大規模の物なら今ここでロキに明かす理由が無い。横車を押す様に今このタイミングで舌戦を仕掛けるのはメリットとデメリットが釣り合わないだろう。

 フレイヤの情報がロキに入らないのは当然だった。重要な情報そのものが無かったのだから。

 

「そんでジブン、何するつもりや」

 

「大したことじゃないわ。貴方の知り合いに当たる神へ繋がりを持とうと思っただけ。それでも貴方に疑われるのは嫌だから先に話しておくべきでしょう?」

 

 貴方を無暗に警戒させるつもりは無いもの。そうフレイヤは言葉を区切る。

 

「一応聞いとくけど、その神のファミリアの階級は?」

 

「……一番下って何だったかしら?」

 

「……オーケー。要するにアレか。新しくファミリア作ろうとしてる神を支援しようっていうアレやろ?」

 

 フレイヤは軽く微笑みその問いに対して肯定した。ロキは動かしすぎて鈍い痛みを放つ額を掌で押さえ、小さく溜息を吐く。

 天界から降りてきた神は下界に全く伝手が無く、一番初めに当てにするのが自分の友神や肉親などである。そして無謀にもフレイヤにそれを頼む神が居たと言う事だろう。

 入れ込ませるならともかく、それ以外でフレイヤが特定の者に入れ込むとなればロキ自身も警戒する自信がある。この場でそれを言ってきたのは互いの手間を短縮するのが目的だった。

 

 ロキとしても自分のファミリアに大きく影響が出るわけでも、最初警戒していた以上にロキ自身に迷惑がかかるわけでもない。勝手にしろと言うのが結論だった。

 

「まぁ入れ込むんを止めるつもりや無いんやけど、ファイたんみたいにダメ神に世話やかし過ぎるのは――」

 

 

『あら、私は本気だったけれど』

 

 

 ふと、フレイヤの発言が唐突に思い出される。

 

『そう言えばヘスティアがファミリアを作ったなら、団員が入ったってことでしょう? どんな子が入ったのか知っている?』

 

『ふぅん、そう。男の子、ね』

 

 

 冗談じゃなかったのか、まさか、という言葉がロキの頭をよぎり、そのままカップへと手を伸ばし中に入ったコーヒーを飲み干した。甘ったるい味がここでは有り難く感じていた。

 

 

「おい、まさかあのドチビの事とちゃうやろな?」

 

 

 がらりと場の雰囲気が変わった。

 道化師の様な感情を読ませない笑顔はそこに無い。蛇だろうが巨人だろうがぶち殺すと言わんばかりの視線がフレイヤへと向けられる。

 

「さぁ? 貴方が誰の事を言っているのか分からないわね」

 

「とぼけんな、阿呆」

 

 二人の従者は動かない。互いが互いの一挙手一投足へと気を配っているからだ。二人が放っているわけではないが、辺りにはそれが殺気として背中に寒い物を感じさせていた。

 店内はいつの間にか彼女たちのテーブル以外に人は居なくなっている。視線の応酬が続き、眷属たちに寒気すら感じさせる程になった頃、フレイヤがおもむろに口を開いた。

 

「面識もできて少しだけ手助けしたくなった、で納得してくれないかしら?」

 

「理由が弱いわ。ヘファイストスがアホらしいほどあのドチビに世話焼いてんのは周知の事実やろが。野郎ならともかく、その辺の三下女神のドチビに入れ込むなんざ、アレになんか有ります言うてるようなもんや」

 

 ロキは思考を巡らせる。ジャブでも仕掛けてみるかと再度尋ねる。

 

「……ドチビんとこの眷属が気に入ったとかその辺りか?」

 

「冗談はやめてくれるかしら?」

 

 にこりと、フレイヤは笑みを見せて拒絶の言葉を出す。ジャブの感触が思ったよりも強く、ロキ自身も内心では驚いた。

 ヘスティアの眷属――ベルに関してはロキも面識が有り、軽く流す程度かと思えば拒絶を明確に示すとは思わなかったのだ。

 

「……面白いでしょう? 彼女」

 

 彼女、という単語が誰の事を示すのかはすぐわかった。それに対して何言ってんだコイツ、と言うようにロキは鼻を鳴らす。

 

「面倒くさいだけや。行動が大体大騒ぎにしてんのは一種の才能やな。つっても今まで眷属の一人も捕まらなくて、鼠みたいにオラリオをウロチョロしているのを見んのは傑作だったんやけど。ドチビに関しては大した情報も入って来いひんし、そっちが目ぇつける理由も無い――」

 

「ロキのそう言う風に彼女に関しては多弁になるところ、私は好きよ?」

 

「――――……なんも嬉しくない告白やな」

 

 口が滑ったのを自覚しロキは口を紡ぐ。

 フレイヤはそんな様子のロキを見て口元に笑みを見せた。

 

「……初めは大した興味も無かったのだけれど、貴方たちが楽しげに話していたから、つい気になったの」

 

「……それで?」

 

「面白そうだと思ったのよ。ころころ表情が変わる彼女を見るのが。だから少し見ていようと思っただけ」

 

「……」

 

 ロキは黙って耳を傾ける。

 ロキ自身、ヘスティアをからかうのが面白いことは否定しない。事あるごとに自分の豊満な胸を自慢してくるのはウザいとは思うが。馬鹿みたいなやりとりは自分の眷属に絡むときと違った感触であり、天界でありきたりであったが悪くはないと考える。

 

「彼女は次はどんな表情を見せるのか、これから何を感じるのか。……私達はこうして確立されてしまったけれど、それを久しぶりに見たいと思うのはおかしな事かしら?」

 

「……」

 

 ロキは応えないが肯定の意思はあった。既にオラリオで二大派閥と呼ばれた自分たちが、今更初心のころに戻るなど有り得ない。だから懐かしく思い出に浸る程度は理解できる内容だった。

 ……尤も、それを見守るなら自分の眷属にやれと言いたくもなるが。

 

 柔らかな風が店内へと入りロキ達の頬を撫でた。それと同時に互いの間にあった剣呑な空気が入れ替えられていくようだった。店の中の客たちが徐々に増え、それと同時に固まっていた店員たちも慌ただしく動き出す。

 

「……そっちがドチビに目ぇかけるんなら勝手にしい。つかどいつもこいつもウチとドチビを関連付けするのはやめろや」

 

「そうさせてもらおうかしら。あと、男神達の間で貴方と彼女の組み合わせ、攻めと受けのどちらもかなり流行っていたわよ?」

 

「一偏どころか何度も〆ないと分からんようやなあの男神(アホ)どもは」

 

 頭が痛い、とロキは額を押さえ、フレイヤはそんなロキを見て微笑む。

 

「貴方が絡むから気になるのだと思うけれど? 昨晩も彼女と話していたでしょう?」

 

「見とったんか。流石に早々にストーカーはウチも引くで」

 

「偶々目に入っただけ。夜風に当たって外を見ていた時に――」

 

 と、不自然なところでフレイヤは言葉を切る。その視線は当時の動作を再現したように窓の外に向けられており、その状態のまま固まっている。その不自然な動作にロキは首を傾げた。

 

 

――

 

 

『申し訳ありません、神様。待たせてしまいましたか?』

 

『ううん、いま来たところだよ。……下界に降りてきて一度は言いたいセリフをやっと言えた!』

 

『感想はどうですか? 神様』

 

『待っている間はワクワクしたけれど……ベル君と一緒に出掛けた方が行くまでの時間を楽しめたかもしれないね。ベル君は?』

 

『神様と似たような感想です。ただその、心の準備をする時間が取れたのでそれはよかったかなぁと、思いました』

 

『ほーう、なんだベル君照れているのかい? それなら今度はどんなことを言ってやろうかなー。『お風呂にする?ご飯にする?それとも…』なーんてどうだい!?』

 

『それ言われた僕の『おとうさん』は『おかあさん』が言い切る前に口塞いでベッドに突入していましたね』

 

『そ、そういうのはまだ早いんじゃないかな? 日も高いんだから』

 

『……ぼ、僕もそう思います』

 

『~~! よし! この話題終わり! 時間は有限なんだお祭りを回ろう!』

 

『そうですね。どこか行きたいところはありますか?』

 

『まずはジャガ丸くんを食べて、それから座って何処に行こうか考えようか』

 

 

――

 

 

「…………………」

 

「おい、何やフレイヤ。急に黙って」

 

 ロキからは外で行われていた会話は耳に届かなかった。祭りの喧噪で聞こえなかったと言うのもあるが、内容がフレイヤにとって不快であったことは理解できた。

 外を見るフレイヤの表情は暗く冷たい物だった。明確に表れてはいないが無表情であることがロキにそう判断させていた。

 

「ねぇロキ、貴方は彼女の眷属(こども)と話していたのでしょう? どんな印象だったかしら?」

 

「……まぁ、及第点やな。5段階の評価付けで、ウチのアイズたんやそっちの【猛者(おうじゃ)】が5だったら、あの子は3ってところやろ」

 

 背景に何かが有る、主神に忠誠もある、実力は自分ではよく分からないが、それは度外視してその評価だ。

 少しぐらい裏になにかあった方が面白い、神達はそう感じる者達だ。それはヘスティアも例外ではないだろう。離反の意思は全くなく、ベルがそのままヘスティアの下で成長し続ければ、初代の団長としてファミリアをまとめ上げその基礎を作り出していくだろう。

 そう考えれば一番初めの眷属として、適している人物であるとロキは考える。優先はしないが、最初に自分の所に入団したいと言っていたのなら、まぁええかと応えるかもしれない。

 

「……濁った灰色。私はそう思ったわ。染色に失敗して様々な色を混ぜてしまったよう。なのに染めてしまったからもう変わりようがない」

 

「……」

 

 フレイヤの言っていることが彼女が見たベルの魂の色であるとロキは察する。

 フレイヤが視線をロキへと戻す。フレイヤの口元にわずかな笑みが見えるが、それは好意的とは真反対だった。

 

「そうね……ロキ、もしもあなたの眷属、例えばそこにいるアイズ・ヴァレンシュタインがペットを飼い始めた。それがドブネズミだった。貴方はどうするかしら?」

 

 その比喩の内容は取り繕う気もないと言うように直接的だった。

 純粋な透明は既に染められている。そしてそれはこびりついて取ること出来ない。そんな布を使う誰かに、フレイヤに思うところがあるのだろう。

 それに対してロキは淡々と答える。

 

「まぁ、ウチなら風呂に入れるように言うくらいや。他人の趣味に口出すなんざ、普通は無粋いうもんやで」

 

「……ええ、その通りね。つまらない質問だったわ」

 

 その言葉を最後に暫し静粛が訪れる。

 普通、などとは言ってみたがロキ自身もフレイヤも普通からほど遠い存在であることは理解している。

 何を起こすかなど考えるのは容易かった。

 

「……少し、考えたいことができたからこれで失礼するわね。行きましょう、オッタル」

 

「そうか。まぁ暫く顔合わせんことを期待するわ」

 

 フレイヤの言葉にロキは軽く手を挙げて答える。

 そのまま店内を後にする神とその眷属を見送り、完全に居なくなったことを確認すると、どっと椅子の背もたれへと身体を預けた。

 一言、面倒くさ、と呟く。

 

「ロキ、さっきの話は……」

 

 そこで護衛として傍に控えていたアイズがロキへと話しかけた。アイズとしても話の内容の節々は理解でき、それが自分の知人の事であるため心配だったのだ。

 

「んー、アレか。……でかいことは起きんやろな。アイズたんが心配しなくても大丈夫やで」

 

 ロキとしてはそうなる確信はあった。ただしベルがご愁傷様な目に合うことは想定できるが、そこは頑張ってくれとロキは思う。

 なにより自分のお気に入りであるアイズが何やら気にしているのが面白くなく、ちょっとぐらい酷い目に合ってもいいぐらいに考えていた。

 

「ウチ等はウチ等で祭りでも楽しもか。とりあえず後でジャガ丸くんでも食べよ」

 

 まぁ座りぃ、と。ロキに促され先ほどフレイヤが座っていた場所へとアイズは座った。ロキは給仕を呼んでコーヒーのお替りを頼んでいる。そして何か思い出したように、ロキはアイズに向けて口を開いた。

 

「アイズたんも気を付けるんやで。孤高気取ってああいう風に過ごしておると、普通の友人の作り方も分かんなくなるんや」

 

 本当に面倒くさい、と。ロキの呟きがアイズの耳に残った。

 




この小説のベルは事前登録のレアぐらいの有効度です。★3から4ぐらいで初心者にお勧めの。
某聖杯探索のソシャゲで性能を位置づけするなら槍兄貴。ちなみにヴェルフは軍師、リリルカは童話作家に当たるでしょう。

原作ベルは文句なしの★5SSRです。ここのヘスティアはリセマラし忘れてますね……。
フレイヤとヘスティアの関係はソシャゲで見たことあるような関係です。

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