このお話は著しいキャラ崩壊が起こっている可能性が高いです。
「この子はこんな事言わない」という強い信念をお持ちの方はすぐにブラウザバックを。
作者の趣味(ヤンデレ)全開です。◇にご注意ください。
「…っと、ここまでにしようか」
「そうだね、提督」
ある日のお昼過ぎ。今日の秘書艦は時雨だ。
もう今日は職務を果たしたし、残りはどう過ごそうか…
と、僕が考え始める前に、彼女に声をかけられた。
「ねぇ、提督。僕と散歩に行かない?」
「あ、あぁ。いいけど―――」
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「本当に良かったの?鎮守府内を回っているだけで」
「大丈夫さ、提督」
そう。僕が今、時雨と歩いているのは鎮守府内の廊下。
何故、外出しないのか。何故、先程少し誘いを渋っていたのか。
それは―――雨が降っているから。
業務が早く終わったのも雨のおかげだ。良い事かは分からないが。
基本、雨天では出撃などは行わないことにしている。コンディションの悪い時に態々戦闘しても、勝ち目は薄い。晴天時でも分からないのに。
それに、彼女たちは人間。風邪でもひいたら、大事な時に出撃できない、なんて事態になってしまう。
僕が彼女たちの体調を気にするのは、そういう面からでもある。
だから、今日はほぼ休日のようなものだ。…哨戒を行っている子たちもいる。
外にも出ずらいし、時雨も何かする事があるのだろう、と思っていたので、先程のような反応になってしまった。
「折角仕事が早く終わったんだし、他の子たちとも話したい、よね?…ごめん、気を遣い過ぎたかな?」
「そんな事ないよ、時雨。ありがとう」
そんなやりとりをしていると、彼女が口を閉じた。
「ふふっ…それに―――」
と、思えば微笑みだし、こんな事を言い出した。
なんだろう。目で先を促した。
「―――提督と、二人っきりで過ごせるだけで十分さ」
「あはは、そう言って貰えると嬉しいよ。…少し、恥ずかしいけど」
「っ…そう返されると、僕も、照れちゃうな…」
そう言ったきり、お互い黙ってしまった。だが、居心地は悪くない。
聞こえるのは、雨の降る音と、二人分の足音。
そこに、少しずつ混ざるのは、一人の笑い声。
この声は―――
「夕立…?どこに―――」
「あそこだね」
くすくす笑う時雨が指で示す方を見ると、窓がある。そこから眺めてみれば―――
楽しそうに笑う、夕立の姿が。雨の降りしきる中、外ではしゃいでいる。
うんうん、元気そうで何よりだ。子供は風の子―――えっ、外にいるの!?
「ゆーうーだーちー!早く中入ってよー!」
僕は窓を開け、そう叫んだ。
「ぽいっ?…あっ、てーとくさーん!提督さんもくるといいっぽーい!」
「分かってないっ!?…しょうがない、早く行こう」
そうひとりごち、僕は夕立の元へ急いだ。
―――その場に、時雨を一人残したままだという事を、忘れて。
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「ふふっ、提督ってば…」
あの人は、本当に優しい人だ。今だって、僕たちのために動いている。必死に。
ちょっと雨に当たったぐらいでは、
優しい優しい僕の提督。依存してしまいそうな程に優しい貴方は。少し、僕たちに厳しく接する事を覚えた方がいいかもしれない。でないと―――
僕はもう、自分の気持ちを抑えられなくなってしまう。
「しかし、折角の二人っきりを邪魔した夕立には、少しお灸を据えなきゃ、かな?」
別に酷い事をするつもりはない。彼女もまた、彼を愛しているから。女の勘だ。それを妨げるつもりはない。けれど、負けるつもりも、ない。
「それとも、僕もあんな風に構ってもらえばいいのかな…」
「風邪をひいて、提督に看病してもらう…そういうのもいいかも…♡」
考えられ得る彼へのアプローチを思い描きながら、僕は後を追った。
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夕立を引っ張り、建物の中へ連れてきた。ふう、疲れた。
「まったく。風邪でもひいたらどうするんだ、夕立」
「ごめんなさーい。気を付けるっぽいっ」
「ほんとに分かってるのか?…このこのっ」
「きゃーっ♪」
僕に頭をタオルで乾かされている夕立。
その顔は、実に楽しげだ。
「…ん、よし」
「提督さん、ありがとっ」
「いいえ、どういたしまして。…ところで夕立?」
僕は、気になる事を聞いてみた。
「ぽいっ?」
「なんで外に出てたの?」
「んふっ♪それはね―――」
「雨が好きだから、さ。ねっ、夕立?」
後ろから声が聞こえた。時雨か。…しまった、彼女を置いてきてしまっていたか。
申し訳ない事をした。そう目で訴えかけると、問題ない、といった風に返してきた。
「………あっ、時雨!」
「ふふっ、くすぐったいよ、夕立」
時雨の姿を見るや、飛びついて頬ずりする夕立。微笑ましい光景だ。
暫くそれを眺めた後、質問を続けた。
「それは、どういう?」
「なんでかは分からないけど、好きっぽい!」
「やっぱり、僕たちの名前が雨に関係しているから、かな?僕も好きなんだ」
なるほど。分かるような、分からないような。
そう思っていると、時雨からこんな質問が。
「提督は好き?」
「そうだな…僕も好き、だな。どちらかというと」
「っ!?」
「て、提督さん…♡」
「なになに、どうしたの?」
「なんでもないよっ!?…んんっ、続けて!」
「なんでもないっぽい…♡」
反応がおかしい。雨の話ではなかったのか。
とりあえず、話を戻して。
「止んだ後の虹が特に楽しみでね、つい期待してしまうんだ」
「そうそう、それからね―――」
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そんなたわいもない話をし続けて、時は経ち。
「もうこんな時間…そろそろ、夕食だね」
「ご飯っぽい!楽しみっぽい!」
「そろそろお開きにしようか。…じゃ、またね、夕立、時雨」
「うん…じゃあね、提督」
今日も良い日だった。彼女たちの趣味や好きなものを知る事ができたのだから。
やはり、雨の日も悪いものではない。
そんな事を考えて。そういえば、雨は止んだだろうか、とふと思い、窓の外を見やった。
―――雨は、未だ止まずに、降り続いている。
寧ろ、先程よりもさらに強くなっている気がする。
今夜は嵐になるだろう。
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「さて、夕立。僕たちも―――」
「ごめんね、時雨」
「えっ?」
「先に行っててほしいっぽい」
「でも―――」
「大丈夫、ちょっと急用を思い出しただけっぽいっ!」
「ちょ、ちょっと―――」
あたしは、その場を駆け足で立ち去った。
「夕立…?」
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急用、なんて勿論嘘で。本当は―――
彼と彼女が目だけで通じ合えるほどに仲睦まじい様子を見て、彼女に嫉妬をしていた。
そして、二人の様子に動揺した自分を落ち着かせるために。彼女から一刻も早く離れるために。走って。走って。
誰もいない廊下で立ち止まり。
荒ぶる気持ちを整理するため、まじないをするように、呟く。
「大丈夫、きっと提督さんは―――」
「結局は、あたしの所に、戻ってくるよね?」
そう、きっと。
きっと?
いや、必ず。
絶対。
絶対に。
彼女には渡さない。例え、姉妹の関係であっても。この気持ちは、誰にも譲れない。
絶対に、彼はあたしの所に。
けれど。もし。もしも、戻ってくることがなければ。その時は―――
捕まえる。あたしに縛り付ける。
力づくで、彼をあたしから離れられないようにする。
その為なら、手段は選ばない。
「でもでも、提督さんが嫌な思いをするのはあたしも嫌っぽい…」
「どうすればいいかなぁ…?」
「…ま、いっか。とりあえず…」
「ごっはんー♪ごっはんー♪なに食べようかしらー♪」
考えても何も思いつかなかったので、ご飯を食べることにしよう。
腹が減っては戦はできぬ、と言うし。
あたしは来た道を走って戻り、食堂へ向かった。
いかがでしたか。今回は時雨と夕立です。病んでます。かなりやばいです。爆発寸前です。3000文字です。本気出しました。いつももですよっ!?
白露型はどうしても某所の絵に影響されてヤンデレチックになってしまうのです。
こういうのが好みでない方は本当に申し訳ありません。
私のイメージの話へ。
よく、時雨は忠犬、夕立は狂犬などと称されますが。きっと、どちらも忠犬であり狂犬である、と私は勝手に思っています。
一緒にいる事も多い(と思っている)ので知らず知らずとお互いに影響しあっている…といいなぁ。
ただ、若干違う病み方だと思うのです。二人とも独占したいところは同じですが。
時雨は、爆発したら激しくなるタイプ。誘ってるんだよねこっちから行っちゃうよ的な。
夕立は、常に激しい一方で実は不安を抱えているタイプ。我儘放題は寂しさの裏返し的な。
こんな感じです。はい。
私もこんな風に好かれてみたかった。いつも言ってますねこいつ。
あと、駆逐艦―――というか子供だからこそ、自分の愛の異常性がいまいち分かっていない感じなのも私的にはポイント高いです。何言ってんだこいつ。
さぁ、この提督の明日はどっちだ(すっとぼけ)
今回はここまで。次回は…どうしよう。お楽しみに。
失礼します。