鈍感な提督と艦娘たち   作:東方の提督

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全編ほのぼのです。
前回を読んでいない方はそちらから読むと話が分かりやすいと思います。


提督と第六駆逐隊(後編)

「ふふーん♪司令官とごはん♪司令官とごはんー♪」

 

「司令官さんとご一緒できて嬉しそうなのです、暁ちゃん」

 

「ええ。まぁ、この雷様の力なら司令官を誘う事ぐらい余裕よねっ!」

 

「というか、暁が大した事ないだけ」

 

暁の鼻歌が止まる。

 

「ぐぬぬ…響、言ってくれるわね…」

 

「本当の事だからね」

 

そんな軽口をお互いに言い合っている第六駆逐隊と一緒に、僕は食堂に向かっているのだった。

先程までの暁との一件で、割といい時間になってしまっていたため、今から外へ食事に行くには少し遅いのだ。

…暁は、本当は外食したかったようだったが。

 

「暁はヘタレ」

 

「な、なんですって!?」

 

「まぁ、そうね」

 

確かに。もっと深刻な話をされると思っていたので、実のところ僕も拍子抜けしたのは内緒だ。

しかし、響と雷の反応が不服そうな暁。質問の矛先を電へと向けて。

 

「むむむ…電はどう思う!?」

 

「はわっ!?…うぅ…確かに、あれだけの事に時間をかけすぎ、なのです」

 

「がーん!」

 

口で言うのか…

 

「はわわっ!?」

 

「えーん!しれーかーん!」

 

「おっと…よしよし、暁」

 

ショックを受け、僕に抱きつく暁と、言い過ぎてしまった、と顔に書いてある電。

いつもはそのような事を言わないような、電までもに言われてしまえば、暁の反応は当然と言える。

一方で、大多数(二人)の同意を得たおかげか、少し調子に乗った響が、さらに姉をおちょくり始めてしまった。はぁ…

 

「こら、響。お姉さんになんて事を」

 

僕はそう言い、彼女の頭に軽いチョップをいれた。すると。

 

「ぐふっ」

 

そう言い残し、床に倒れこんでしまった。えっ

 

「えっ、ちょっ、響?」

 

「ふふっ…この程度では…沈まん…さ…不死鳥の名は…伊達じゃ…ない…」

 

「えっ、えっ」

 

いきなりの事に動揺してしまった僕。すると。

 

「大丈夫よ、司令官」

 

「いつものおふざけ、なのです」

 

「………やはり、皆には効かないか」

 

「効く訳ないのです」

 

「見慣れた光景だし、大体司令官そんなに強く叩いてないもの」

 

ですよね。良かった。

 

「心臓に悪いから止めてくれ…」

 

「司令官には効く、と…なるほど」

 

「止めるのです、響ちゃん」

 

電が止めてくれた。優しい子だ。本当に止めてくれよ、響…?

 

 

そんなやりとりをしていると。

 

「もー!皆して暁を無視してー!ぷんすか!」

 

「だ、大丈夫だよ、暁。無視してないよ」

 

暁が復活した。ちょっと忘れたのは内緒だ。

 

「まぁ、今日の暁はとても気分が良いから特別に許してあげるわっ!」

 

「ああ、ありがとう」

 

「さぁ、行きましょう。電はお腹が減ったのです」

 

おっと、そうだった。

本来の目的地へ行くため、僕らは歩き始めた。

 

 

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漸く食堂に着いた。

 

「長い道のりだったわね、司令官」

 

「司令官、早く入ろう?」

 

「そうしよう、お腹も空いたしね」

 

扉を開け、食堂に入ると、出迎えてくれたのは―――

 

「いらっしゃいませー…あら、提督」

 

「いらっしゃいませ…えっ、提督さん!?」

 

この鎮守府の食堂を切り盛りする、間宮さんと伊良湖ちゃんである。

 

「お久しぶりです、提督」

 

「あはは…中々時間がとれず…」

 

間宮さんにも言った通り、僕は艦娘とよく食事をとるため、どうしても食堂に行く回数が減ってしまっているのだ。

とは言え、数日前に来たのだが…

 

「もう、私たちだって寂しいんですからね、提督。こまめに会いに来て下さらないと…ふふっ」

 

「は、はい、善処します」

 

来ないと何が起こるのか。

 

「それにしても…モテモテですねぇ、提督?」

 

そうなのか…?僕はどちらかというといじられているだけなのではないか。

 

「提督さんが一人で来る事の方が珍しいですよね。…ぃいなぁ…」

 

「あら。なあに、伊良湖ちゃん?もしかして…提督に何か言いたい事が?」

 

「ひゃいっ!?」

 

ニヤニヤした顔で、真っ赤な顔の伊良湖ちゃんをいじる間宮さん。なんだなんだ。

 

「何かあったの?」

 

「な、にゃんにもないでしゅ!…もう!間宮さんっ、やめてくださいよっ」

 

「うふふふふふ…」

 

深くは追及しまい。

 

「間宮さん、ぜーったい提督さんには内緒ですよっ!」

 

「はいはい…うふふっ…」

 

「もう…提督さん、ほんとになんにもないんですよ?私たちにも優しくしてもらって…ありがとうございます」

 

「そう言って貰えると嬉しいな。もうちょっと食堂にも来るようにするね?」

 

「いえ、こちらこそ…ふふっ、やったぁ…」

 

伊良湖ちゃんが何か小声で言っていた気がするが、大丈夫だろうか。

そう思っていると、何かが僕の腕を引っ張った。

 

「もう、いつまで話しているのかしらっ!?」

 

暁か。…しまった、彼女たちを忘れていた。

 

「司令官は私たちより彼女たちの方が好みかな?」

 

「司令官は天然ジゴロなのかしらっ」

 

「もう…皆言いたい放題なのです。…でもちょっと寂しかったり…」

 

矢継ぎ早にお叱りの言葉を頂いてしまった。善処しよう。

 

「あらあら、少し立ち話が長くなってしまいましたね。」

 

お腹も空いたし、ここを占領し続ける訳にはいかない。

 

「じゃあ、どれにしようかな―――」

 

「はいはーい!暁はね―――」

 

 

食事中も変わらず、賑やかに時が過ぎていった―――

誰かと一緒に食べるのは、やはり良いな。

 

 

 

 

 

 

 




以上、第六駆逐隊の皆さんでした。これにて完結です。尻切れとんぼですが一応。
ネタが思いつかなかったんです。ごめんなさい。

今回間宮さんと伊良湖ちゃんを出しちゃいました。彼女たちも艦娘なのでいつかメインで提督に絡ませます。
提督の呼び方は勝手に決めてしまいました。独断と偏見で。
どうでもいいですが、彼女たちはどうしても
「間宮さん」「伊良湖ちゃん」
と呼びたくなってしまいます。何故でしょうか。

こんな感じで今回は終わらせていただきます。次回は…未定です。

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