鈍感な提督と艦娘たち   作:東方の提督

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今回、著しいキャラ崩壊、(人を選ぶであろう)キャラ付けになっています。

山城提督の方、ご気分を害されたらすみません。


ギャグっぽいものに傾いています。途中でシリアスっぽくなりますが…
私にシリアスは無理ですね。はい。


提督と扶桑と時々山城

ある日の昼下がり。

 

 

昼食もとったし、午後の仕事を始めよう、と気合を入れようとしたら。

 

「ふわぁ…」

 

欠伸が出てしまった。

お腹が一杯になったら眠くなるよね。うん。

 

しかし、そうも言っていられない。艦娘たちに示しが付かないし、仕事を溜める訳にもいかない。

さて、眠気覚ましにコーヒーを―――

 

「わっ…提督?どちらへ行かれるのですか?」

 

淹れるために執務室から出ようとしたら、入って来た扶桑にぶつかりそうになってしまった。

 

「ああ、済まない…コーヒーを淹れようと思ってね。…今眠くて…ふわ…」

 

「では、休憩なさっては…?」

 

「…みんな働いてるのに今寝ちゃうのは、なんだか悪い気がして…ね」

 

すると、思案顔でこちらを見て。

 

「…提督、こちらへ」

 

「えっ、わっ、ちょ」

 

いきなり僕の手を取り、執務室へと連れ戻す扶桑。どうしたのだろう。

 

そして、僕をソファーの前に立たせ、彼女はおもむろに座り―――

 

「さあ、どうぞ…?」

 

ぽんぽんっ、と自らの太腿を触っている。

 

しかし、彼女が何をしようとしているのか、皆目見当もつかない。

どういう事だろうか、と首をかしげると。

 

「もう…私と、お昼寝致しましょう、提督?」

 

心なしか顔を赤らめて、扶桑はそう言った。

 

 

-------------------------------

 

 

「提督、ご気分はいかがですか?」

 

「あ、あぁ。も、問題ない…が、一ついいでしょうか?」

 

「はい?いきなり畏まって、どうしたんですか?」

 

この状況の非日常感に思わずテンパってしまった。…では、改めて。

 

「…どうして、こんな事を?」

 

「…お気に召しませんでしたか…?」

 

「いや、そうじゃなくて…」

 

横を向けば、いつもの執務室…傾いているけど。

 

「もう…くすぐったいですよ、提督…♡」

 

扶桑は僕の頭をそっと掴んで、前へと向かせる。

前を見れば、扶桑のたわわに実った二つの…じゃなくて、端正な顔と…()()

後頭部からは、太すぎず、細すぎない彼女の膝の感触と、すべすべした人肌の与える安心感が…

 

 

「なんで、僕は今、膝枕をされているのかな…?」

 

 

-------------------------------

 

 

僕の顔を覗き込むように眺めている扶桑。

その顔は、嬉しそうだったり、時々恥ずかしそうに赤くなったりして。

 

…それは、良いのだが。

 

ぽよぽよ。

 

どこか自分の体勢に納得がいかないのだろう、身じろぎをする際に。

 

ふよふよ。

 

当たっている事に気付いているのか、いないのか…

 

後、どうして女の子はみんな甘い匂いがするんだろうか。

 

同じ人間とは思えない。

 

未だ、自分の置かれた状況が信じられず、そんな現実逃避をしてしまう。

 

「提督が仰ったのではないですか、今眠いのだと」

 

「そうだけど…」

 

違う、そうじゃない。

 

「自室にベッドはあるし…態々こうする必要は…」

 

他にいくらでもやりようはあるんだけどな…

あと罪悪感ががががが。

 

そんな風に、暗に止めるよう仕向けていると。

 

「…提督は、嫌ですか…?」

 

「うっ…」

 

「やはり、不幸型戦艦では、提督のお役には立てないと…」

 

「…」

 

「あぁ…空はあんなに青いのに………私の心は、提督に…」

 

段々涙目になる扶桑。

そこまで言ったつもりはないのだが、罪悪感で身が押し潰されそうになる。

このままではまずい。

 

「嘘です冗談です!嫌じゃないし、寧ろご褒美だよっ!」

 

フォローしようとして―――しまった、口が滑った!?

引かれたかな…?と思ったけど、そこには。

 

「提督…♡そこまで言って下さるなんて…♡」

 

今まで見たこともない程に口元が緩み、頬を赤く染める扶桑の姿が。

ええっ、何その反応!?想定外だよ!

 

「ふ、扶桑…?」

 

「うふふ…♡て・い・と・く…♡」

 

 

-------------------------------

 

 

あぁ…疲れた。

…あの後特に何もなかったけど。ほんとだよ?

 

あのやりとりで疲れがどっと出た気がする。

 

おかげで…眠く…なって…

 

「ふふ、提督?お休みになってもいいですよ?」

 

扶桑はそう言うと、子守歌を歌い始めた。

 

あぁ…心地良いなぁ…

 

力が抜けて…もう…

 

ぁ………

 

……

 

 

 

 

×××××××××××××××××××××××××××××××××××××××

 

×××××××××××××××××××××××××××××××××××××××

 

 

 

「ふふっ…提督、漸く眠っていただけましたか…」

 

私はそう呟きながら、自らの膝の上に乗る彼の頭を撫でる。

 

提督、最近毎日深夜までお仕事なさっていたみたいだし…

これぐらい、良いですよね。

 

頑張りすぎて、体を壊してしまったら、元も子もないのに…

 

 

 

貴方がいるから、みんなは頑張ることが出来るんです。

 

貴方を守りたいから、みんなは頑張っているんです。

 

貴方はそれを、見守ってくれるだけでいい。

 

褒めるだけでいい。

 

それだけで、百人力なんですよ?

 

それに、貴方が倒れてしまったら、きっと悲しむ子は沢山…いえ、みんな悲しみますよ、提督。

 

ですから。どうか、ご自愛を。

 

 

 

「なんて…ね?」

 

面と向かって言えたなら、どんなに良い事だろうか。

 

…あぁ…提督、私は―――

 

「狡い女なんです…」

 

今日だって、彼がどういう人であるか分かっていながら、あのような意地の悪い事をして。

 

 

それに、本当の事は自分が一番分かっている。

 

「みんなは頑張っている」?

 

「みんなが悲しむ」?

 

「みんな」なんて言ったけど。結局は。

 

 

「私を、見て欲しい…」

 

 

「みんな」じゃなくて、「私」。

 

私を見て。

 

私を褒めて。

 

 

 

私を見捨てないで、提督…

 

 

 

…そして今、私はまた、狡い女になって。

 

 

これぐらい、良いですよね…?

 

 

誰に尋ねる訳でもなく。自分に言い聞かせて。

 

 

少し可愛らしくも感じる寝顔を、無防備にも曝す彼に。

 

 

未だ、眠り続ける彼の、顔に、唇に、私の顔を近づけて。

 

 

こんな私を、どうか、許して、ね…?

 

 

心の中で、懇願しながら。

 

 

 

彼の顔はどんどん近づいて。

 

 

 

互いの唇が、

 

 

 

重なりそうな程に、

 

 

 

近づいて。

 

 

 

 

そして。

 

 

 

 

 

唇が、完全に、重なる―――

 

 

 

 

 

寸前で。

 

「扶桑姉様っ!?私のいない間、提督に何か酷い事をされてはいやああああああ扶桑姉様ああああああ!?」

 

唐突に、それは阻まれた。

 

 

 

×××××××××××××××××××××××××××××××××××××××

 

×××××××××××××××××××××××××××××××××××××××

 

 

 

「………!」

 

「………」

 

大きな声が聞こえてきて、僕は目が覚めた。

 

何か言い争っているのだろうか、二人の女性の声が聞こえる…

 

「ね……っ!こ…………ど………………か!………っ…」

 

「こ……や……ろ?じ……………そ……………………き……………」

 

というか、この声は…

 

「…大体、提督がそんな事をさせる人ではない事、貴女もよく分かっているでしょう?」

 

「ぐっ…ならば何故っ、このような………ちっ、起きたか…」

 

「山城、いい加減に………あら、提督。おはようございます」

 

やはり、扶桑と山城の声だった。しまった、すっかり寝てしまった。

現在時刻を確認すると、小一時間寝ていたことが分かる。

 

「提督?起き抜けに申し訳ございませんが、第二艦隊帰投につき、資料に目を通して頂けると…」

 

「うっ、済まない…それと、ありがとう。足は痛くない?」

 

「はい、大丈夫ですよ。お気遣い、ありがとうございます」

 

「いやいや、長時間拘束してしまったし…当然だよ。…さて、午後の仕事を―――」

 

始めようか、と言葉を続けようとしたが。

 

「待ちなさいよ、提督。何さらっと無かった事にしようとしているの」

 

扶桑に合わせ、流そうとしたのだが…ばれてしまった。

 

山城には今日、第二艦隊の旗艦を任せていた。

扶桑も、妹が居ないと知っているからこそ、あんな大胆な事をしたのだろう。

…不幸にも、その様子をバッチリ見られてしまったようだが。

 

顔を合わせたくない。が、放っておく訳にもいかない。

ちらりと様子を伺うことにして―――すぐ逸らす。

 

うわぁ…すっごい怒ってらっしゃる…背後に龍が見えた気がする。

 

「山城。少し落ち着いて、私の話を聞いて?…提督を膝枕していたのは、私から願い出た事なのっ」

 

「そんな事、あるはずありません。…大方、この男が大義名分を振りかざして、姉様を無理矢理従わせて…っ…」

 

話がどんどん変な方向へと拗れていく。このままではまずい事になるので、弁解しようとするが―――

 

「あまつさえ、姉様の唇まで奪おうとするなんて…これ以上、女の敵を生かしておく訳にはいけません!」

 

「ま、待ってくれ!山城!」

 

「問答無用です!砲戦、用意して!」

 

ダメだ、全く聞いてない!?

 

こういう時は…

 

「主砲、よく狙って!」

 

逃げるしかない!

 

「てぇーっ!」

 

声と同時に跳んで避ける。

背後から、爆音と、熱風が。

着弾したのは、数瞬前まで、僕が立っていた場所。

 

 

…明日の朝日を、拝むことは出来るだろうか。

 

 

 

×××××××××××××××××××××××××××××××××××××××

 

×××××××××××××××××××××××××××××××××××××××

 

 

 

「今日こそあの不届き者を倒し、姉様と…ふふ、ふふふ…」

 

上官に対し、酷い評価を付ける山城。

こんな事を言ってはいるけれど、彼の事も大好きなのだ。

…同じくらい、いや、それ以上に、私の事が好きなようだけど。

 

このままではいけないので、最終手段に出る。

 

「山城。…私、貴女の事、嫌いだわ…っ…」

 

勿論、嘘だ。

…彼女には申し訳ないが、私への愛を利用させてもらう。

こうにでも言わないと、もう止まらない。

 

「姉様っ!?何故そのような事を仰るのです!?」

 

「…だって、私の話は聞かないし………ぃところで、邪魔するし…」

 

でも。

 

邪魔してくれたから、これ以上罪が増えなかったのだけれど。

 

「…?…姉様、今なんと?」

 

そんな事を言っても、彼女には伝わらないし。

よく分からないが褒められた、なんて調子に乗っても困る。

 

「…なんでもないわ。兎に角、暫く口は利きませんからっ」

 

それに。

 

「がーんっ!姉様っ!後生ですからぁ!」

 

「つーんっ」

 

「ね、姉様ぁああああああ!?」

 

 

私は狡い女だもの。こんな意地悪くらい、良いわよね?

 

 

 

 




改めて言います。山城提督の方、ごめんなさい。
あと理不尽暴力系ツンデレが苦手な方もごめんなさい。

別に悪意を持っている訳ではありません。
不器用過ぎて手が出てしまう子というイメージなんです。
提督も好き、姉も好き、その間で葛藤しているのが故の行動なのです。
…いつか山城メインを…

話は変わりますが。
これは、扶桑お姉様の絶対領域に指を這わせ、すべすべしたい煩悩からできたお話です。だから一話が長いんですね。はい。
それと、お姉様から溢れ出る人妻感はなんでしょうか。存在がえっちいです(

真っ先に山城に撃たれるべきは私。やはり許されません。

書きたい事は書いたので、これで失礼します。
もし間隔が空いてしまっても、気長に待っていただけると嬉しいです。






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