俺に気持ちよく小説を書かせろよぉ!
ピヨピヨ、ポッポ、ピジョン、ピジョットォォォ!
涼「…朝か」
鳥の鳴き声が聞こえ、目を開けるとそこは執務室。
時計が示す時間は6時。
涼「ふぁ~、食堂に行って朝の料理手伝うかぁ…」
まだ厨房の人員は増やせてないし、人が足りないからな。
涼「ん、おはよう。鳳翔さん、間宮さん」
間宮「あ、おはようございます!提督!」
鳳翔「おはようございます、提督。どうしてこちらへ?まだ朝食の用意はできていませんが…?」
涼「いや、まだ人員を増やせてないから手伝いに来た。昨日の食いっぷりを見た限りだとなぁ…」
鳳翔「そう…ですね…。前までの料理ならなんとかなったんですが、これからは辛いですね。下拵えだけでもかなりの時間が要りますし、その上皆さん…」
間宮「今までの反動でかなり食べるでしょうしねぇ…」
涼「まぁ、対策は一応あるから…朝食前に発表するか…。人が集まれば良いけど…」
間宮「もう考えたんですか!?そ、それでその対策とは!?」
涼「それは後のお楽しみだ。鳳翔さん、今日のメニューは?」
鳳翔「…あの提督?さん付けはやめませんか?すごい違和感があるので…。あと、今日のメニューはご飯と味噌汁、焼き魚、卵焼きです」
間宮「あ、私もさん付けは止めてほしいです…。提督は私たちの司令官ですし、呼び捨ての方がよろしいかと…」
涼「あ~…善処する。そのメニューなら卵焼きが一番手間がかかるな。それじゃ、俺が卵焼きするから、二人は他のメニューをしてくれ」
鳳翔、間宮「「はい、了解しました」」
うし、卵焼きは結構な数焼けたな。
大きめに焼いたし、足りるだろ。
あとは他の料理なんだが…
涼「鳳翔…さん。そっちは大丈夫か?」
鳳翔「ふふっ、鳳翔で結構ですよ。はい、お米も炊けましたし、味噌汁もできました。焼き魚の方は…」
涼「すまんな、女性は基本さん付けで呼ぶから、慣れてないんだ。焼き魚の方は…?」
間宮「こっちももうすぐで全部焼けます!大根おろしはどうしましょう?」
涼「なら俺が大根おろしを作るから、二人はご飯や味噌汁を器に入れてくれ」
さて、そろそろ朝食の時間だし、誰か来てもおかしくないが…
赤城「お腹が減りました」
加賀「そうね、赤城さん。たくさん食べましょう」
伊58「おいしそうな匂いがするでち!」
伊19「ほんとなのー!早く食べたいのね!」
翔鶴「前までは食事なんてただの作業でしたが…」
瑞鶴「昨日の食べちゃうと期待しちゃうわね!」
お、来たな。
涼「おーい、飯を食べたいならそこのトレイを持って並んでくれ!そこに今日のご飯を載せるから!」
扶桑「トレイ…?これでしょうか…?」
山城「扶桑姉様!今日は焼き魚だそうですよ!」
北上「お、卵焼きもあるの?いいねぇ」
さてと、お仕事しますかね!
赤城「鳳翔さん!ご飯は大盛りで!」
加賀「私もお願いします」
鳳翔「戦艦と空母の方は全員大盛りにしますから、落ち着いてください!」
愛宕「間宮さーん。大根おろしは多めにしてね?」
高雄「わ、私は少なめで…」
間宮「はい!わかりました!」
涼「ほれ、駆逐艦の子は甘めの卵焼きをやろう」
吹雪「本当ですか!ありがとうございます!司令官!」
初雪「うれ…しい…」
龍驤「なぁ?何でうちまで甘めの卵焼きを渡すん?なぁ?」
吹雪「この卵焼き美味しいです!」
愛宕「やっぱり焼き魚には大根おろしよね♪さっぱりしてるわ~♪」
龍驤「この卵焼き甘いんやけど!?駆逐艦用のやつなんやけど!?」
飛龍「うーん、美味しい♪」
蒼龍「ねー♪」
おしおし、皆笑顔だな。
皆が食い終わったら例の件について話すか。
それまでは…
涼「おーい、お二人さん。片付け手伝うよ」
鳳翔「…呼び捨てにできないからって纏めないでください」
おっふ、なぜバレたし
お?皆食い終わったか?
なら…
涼「…そのままでいい!聞いてくれ!」
全艦娘「…っ!?はい!」
涼「皆が知っての通り、今厨房で料理してるのは鳳翔……さんと間宮さ…んの二人だけだ」
鳳翔、間宮((またさん付けしましたね…))
後ろの二人の目線が刺さって痛い。
涼「だが、これからは二人だけでやるには料理の量が多すぎる。俺もできるだけ手伝いしに来るが、執務もあるため毎日手伝えるかわからない。そのため、臨時のお手伝いを、ここにいる艦娘の中からやってもらいたい」
全艦娘「…」
神通「…あの、提督…。発言よろしいでしょうか…?」
涼「ん、構わない。あと、いちいち許可をとらなくて良い」
神通「は、はい…。あの…具体的にどういったことをするのでしょうか…?それがわからなくては…」
涼「あー、それもそうだな。ありがとう、助かった。やる作業について野菜を切ったり、皿に料理を盛り付けるなどの補助だ。調理や味付けは、先任の二人に任せる。人数は1日に4人で夕食まで。7日ごとに分けたいから全部で28人は欲しい。やってくれた人には別途に給料を渡す。アルバイトのようなものだと思って欲しい」
長門「1日ずつで交代する意味はあるのか?鳳翔や間宮のように厨房でずっと働くというのは?」
涼「あぁ、それには少し理由がある。当番の日は1日中厨房に籠りっきりになって出撃ができないだろう?だが、お前らは出撃がしたい…そうだろう?」
摩耶「当たり前だろ。私たちは兵器だぜ?敵を落とさなきゃ何のために存在すんだよ」
涼「…まぁ、そういうことだ。短い間隔にしてしまうと出撃できる機会が極端に少なくなる。それを防ぐための28人シフトだ」
陸奥「でもそれじゃあ、鳳翔さんはどうなるの?彼女は出撃できないわよ?」
涼「それは本人に了解を得ている」
五月雨「そ、そうなんですか!?鳳翔さん!?」
鳳翔「えぇ、本当よ。私はここで皆のご飯を作って、出撃する前の元気をつけてあげたいの。臆病者だと…思うかもしれないけどね…」
涼「そんなことはない。貴女と間宮の二人がいなければ、ここの艦娘は食事がとれず、出撃の時に力が出せない。誇れ、貴女たちは彼女達を守っている」
鳳翔「…ありが…ぐす…ございます…」
後ろから鼻をすする音がする。
涼「他に質問は?…ないな。ちなみにこれからの一週間は研修のようなものをするため、午前は町に出れない。それでもいいとやってくれる者はこの紙に書いてくれ。書けたら…そうだな。神通」
神通「は、はい!」
涼「書けたら俺のところに持ってきてくれ」
神通「了解いたしました」
涼「よし、話は以上だ。この後はヒトマルマルマルに執務室のある建物前に実弾を装備して集合だ!忘れるなよ?」
全艦娘「はいっ!」
さてと、あいつはもう着いたかねぇ?
○神通side
提督が出たあと、皆は厨房のお手伝いについて話していた。
天龍「たりぃな…。俺はしたくねぇ」
那智「私もだ。その時間は鍛練に当てたい」
時雨「うーん…。僕はしてもいいかな?」
名取「わ、私も…鳳翔さんや間宮さんの負担を減らせるなら…」
天龍さんなどの出撃したい方はやる気はないようですね。
時雨さんのような穏やかな方はやってもいいようだけど…決心がつかない…といった感じです。
川内「なぁ、神通?あんたはどうするのさ?」
神通「川内姉さん…」
川内「あんたがやりたいっていうならやったらどう?私はする気ないけどさ」
那珂「そうだよ、神通ちゃん!やりたいって思うならやらなきゃ!」
川内姉さん、那珂…。前提督の時も励ましてくれた自慢の姉さんと妹。
神通「…えぇ、ありがとう姉さん。私やってみるわ」
川内「頑張ってよ、神通!何かあったら頼っていいからね」
私は提督に渡された紙に名前を書く。
そこには時雨、吹雪、名取、妙高、羽黒、榛名などの名前が書かれていた。
どうやら私が28人目のようだった。
神通「…そういえば、そろそろヒトマルマルマルね。姉さん、早く集合場所へいきましょう」
那珂「え!?もうそんな時間なの!?は、早くいかなきゃ!」
川内「えぇ!?走れー!」
そういって、姉さん達は走っていった。
私も急がなきゃ!
○陸奥side
あともうすこしでヒトマルマルマル…。
提督はこんなところに集めてどうするのかしら?
しかも実弾装備…。
わからない…、あの提督の考えは全然わからないわ…。
陸奥「ねぇ、長門…?貴女、あの提督の考え…わかる?」
長門「…わからん。前提督とやることなすことが全く違うからな…」
そうよね…、前提督は戦果と自分の欲望が全てだったから分かりやすかったのよ…。
けど、高垣提督は違う…。
私たちを兵器と扱わず、まるで人間のように扱う。
私たちは自分が兵器だと思ってる。
人間より強い身体能力に、傷ついたとしても入渠したらすぐ治る。
轟沈しても、建造でまた同じ艦娘を造ればいい。
だからあの前提督も私たちをどんどん轟沈させていった…。
金剛「…テイトクが来たヨー!」
長門「全員整列せよ!」
提督の姿を見つけた金剛が声を張り上げ、それを聞いた長門が号令する。
全員が綺麗に並んだところで提督が到着した。
涼「…来る前に整列を終わらせるとか本当に優秀だな…。まぁいいか…優秀なのはいいことだし…」
提督が私たちの姿を見て、ため息をつく。
仕方ないじゃない…、前提督の話が早く終わるよう、皆で必死にやったから体に染み付いてるのよ…。
涼「さて、ここに集まった理由を話そう。君たちの目の前にあるのは何だ?答えろ、陸奥」
陸奥「…執務室のある建物よ」
そう…、前提督に暴力や夜伽をやらされた忌まわしき建物…。
ここを見るたびにあの日の記憶が思い出される…、フラッシュバックのようなものね…。
そのせいでここに来るのに拒否反応を起こす艦娘もいる…。
その子達は今、必死に我慢してここに集まってるわ。
涼「そう、俺も君たちがここで前提督の理不尽にさらされたことは把握しているし、未だその記憶に魘される艦娘もいるだろう…」
陸奥「…!それを知っているのにここに集めたの!?貴方は一体何がしたいのよ!?」
ふざけないで!知っているのに集めるなんて…!
涼「何がしたい…か。俺は何もしないさ。やるのは君たちだ」
妙高「…どういうことですか?」
陸奥「いい加減にしてちょうだい!さっさと用件を言って!私たちはここから一秒でも早く去りたいのよ!」
涼「去るだと?去ってどうする?また悪夢に魘されるだけだぞ」
五十鈴「ならどうしろっていうのよ!?」
涼「簡単だ。この建物を破壊すればいい」
全艦娘「……え?」
え?破壊する?建物を?
涼「聞こえなかったか?この建物を壊せって言ったんだよ。何のために実弾を装備させたと思ってる?」
あ…、なるほど…じゃないわよ!?
陸奥「は、破壊しろって貴方…!?」
涼「この建物は前提督の指揮下だった象徴といってもいいだろう。なぜなら、ここで君たちはひどい目にあったのだから」
そ、それはそうだけど…!
涼「前提督の悪夢を終わらせるには、この建物の破壊は必須だ。別に爆破解体してもいいが、お前達自身で壊して終止符を打つことが今後のためだと思っている。さぁ、どうする?自分達で未来を切り開くか?それとも赤の他人に切り開いてもらうか?好きな方を選んでくれ」
そんなの…、そんなの…
陸奥「舐めないでちょうだい…」
涼「へぇ…?」
陸奥「私たちで終わらせるに決まってるじゃない!そうよね、皆?」
長門「あぁ!当たり前だ!」
金剛「最高デース!こんな日が来るなんて!」
瑞鶴「艦載機たち!準備はいいわね!?」
足柄「みなぎってきたわね!」
夕立「素敵なパーティの始まりだね!」
皆が笑顔で砲門や弓を構えている。
涼「…よし!これが新生パラオ鎮守府の最初の作戦とする!目標は忌まわしき眼前の建物!全艦娘!構え!」
全艦娘「…っ!」
涼「スゥ…てぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
ドォォォォォォォォォォォンンン!!!!!!
その日
私たち、パラオ鎮守府の艦娘を包んでいた
悪夢という霧は
綺麗に消え去った…
厨房のお手伝い
戦艦ー榛名、扶桑、陸奥、山城の計4名
空母、軽空母、水上機母艦ー翔鶴、瑞鶴、祥鳳、千歳の計4名
重巡ー妙高、羽黒、筑摩、鳥海、古鷹、最上の計6名
軽巡ー名取、神通、由良、五十鈴の計4名
駆逐艦ー吹雪、時雨、電、響、初春、五月雨、睦月、如月、白雪、綾波の計10名