やべぇよ…、やべぇよ…!
とある平行世界の地球…
そこでは唐突に現れた深海棲艦が世界中の海を支配しており、海における物資の運搬や漁猟ができなくなっていた。
深海棲艦に対抗できない世界各国はどんどん追い込まれていき、もはや勝てる見込みなどなかった…。
しかしある日、深海棲艦と交戦している軍団を世界中の海で発見された。
その姿は女の子であり、体には大砲や錨などが装備されていた。
さらに名前を聞くと返ってくるのは、昔に活躍した戦艦の名前ばかりだった。
そのことから、深海棲艦に対抗できる女の子達にはこの名前がつけられた。
「艦娘」と…
「君には提督になってもらう」
「…は?」
とある施設の一部屋で、上の会話が行われていた。
部屋には高そうな机に肘をのせながら書類を見つめている男とその前に直立不動で立っている男がいた。
「失礼とは思いますが、お聞きしても?」
「なんだ?」
「軍学校の成績は特に秀でるところはなく、凡人としか評価できない私が、なぜ提督という役職に配属されるのですか?」
「知らん、上からの命令だ。黙って聞き入れろ」
(答えになってない件について)
俺は目の前の男を見ながらそう思った。
「いいか、貴様は三日以内に荷物を纏め、パラオにある鎮守府にいけ。そこが貴様の配属先だ」
「…拒否権は?」
「あ?あるわけないだろ!上司に歯向かうな、馬鹿が!伝えることは以上だ!さっさと出ていけ!」
「…はっ」
俺は後ろを向き、部屋を出ていった。
はぁ…、なぜ俺が提督になるんだ、ふざけてるのか人事部。
結局、あの後は着替えなどの荷物を纏め、パラオ鎮守符に向かった。
その道中で、配属先の鎮守符の情報が記録された書類を見たが、嫌な予感しかしない。
過去の戦闘はS勝利ばかりで、轟沈艦も無し。
海域もそこそこの数を解放していた。
ここまで見れば優秀な提督が指揮していたのだと思ったが、違和感を覚えた。
S勝利しかない?
そんなことはありえない。
S勝利ということは大破や中破をほとんどせず、取れるはずの最高の戦闘結果だ。
だが、普通なら全部の戦闘をS勝利にはできない。
そんな簡単に取れるなら戦闘結果をランク分けしていない。
そして、書類の備考欄にある一文。
それが俺を憂鬱にさせる。
そこにはこうある。
この鎮守府に所属していた前提督は失踪。
その後の行方はつかめていない。
と…
「ちっ、新しい提督が来るだと…!ふざけるなよ…、やっと皆が立ち直してきたというのに…!」
「どうするの、○○?」
「ふん、簡単なことだ。新しい提督はこの鎮守府に向かう最中、謎の襲撃によって行方不明になってもらう…。いくぞ、□□。跡形もなく消してやる…!」
「ふぅ…。そうね、皆を守るためには必要なことよね…」