インフィニット・ハンドレッド~武芸の果てに視る者   作:カオスサイン

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EPⅥⅩⅢ「文化祭!そして襲撃と…PARTⅥ」

Side音六

「ぐふっ!?…」

「お父さんなんで此処に!?…それに…」

「…」

避難していた筈のデュノアさんのお父さんが現れたかと思うと何者かに撃たれてしまい、デュノアさんは大慌てで駆け寄る。

傷は深く離話す事もままならないようだ。

「ん?!…いってくる!…」

「ね、音六ちゃん?」

ふと私はデュノアさんのお父さんが倒れた所から少し離れた地点にあるトランクに目がついた。

もしかしたらデュノアさんのお父さんが此処に現れた理由は…

私は急いでそのトランクを取りにいこうとする。

だが…ドン!

また何処からか銃撃が飛んできたので私はバリアを展開し防ぐ。

がもう一発の弾丸で肝心のトランクがまた遠くに弾き飛ばされてしまう。

「ッ!…」

「そのブツをおとなしくこっちに渡しなぁ!」

「そんな!?…なんでお前まで此処に!?…イネス・デュノアー!なんでお父さんを撃ったー!?」

デュノアさんが涙を流し悲痛な叫びを上げる。

かつてはーくんの仕事によってその罪を暴露され投獄されていた筈のデュノア元夫人が灰色の機体を纏う姿があった。

「フン、私を裏切った男風情にかけてやる情けなど無いし私の人生が転落した一因でもあるのよ。

ならこうするに決まっているじゃない。

そして私は私をあの地獄から救ってくれたあの御方に頂いたこの力でもう一度表舞台に這い上がり栄光を手にするのよ!

あははははー!」

「「我等女性権利団体に栄光あれ!」」

「!?アンタ達という奴は!…」

「そんな…」

酷い!…そんな身勝手でしかない理由でデュノアさんのお父さんを!…

今考えてみればこの襲撃人数の多さからして脱獄したのは彼女だけじゃなかったんだ…。

ヤタさんがはーくんを呼び出した理由ってもしかして…。

「シャルロット、父親を助けたいのならそこに落ちてるトランクのブツをこっちに寄越しなさい。

そうすればアンタや他の奴等は今だけは見逃してあげるわよ?」

「!…」

「シャルロット駄目よ!」

「おっと動くんじゃないよ!」

「汚い手を!…」

下夫人の妄言を聞いてデュノアさんが揺らぎそうになるが鈴ちゃんが慌てて止めようと叫ぶ。

そこが癪に障ったのか元夫人は又その凶弾をデュノアさん達に向けていた。

そのせいで私達の動きが封じられてしまう…かに見えた。

「【鳳凰打羽陣】!」

「何ッ!?…」

「!…」

「遅いじゃない春季!」

「悪ぃ、大分遅くなってしまったな…」

元夫人を上空から攻撃を仕掛けたのはやっと戻ってきたはーくんだった。

 

Side春季

ヤタさんの情報と感じた予感により急いで学園に戻ってきた俺は惨状に絶句するしかない。

「やっと出てきたわね…夏季斑…いえ織斑春季!」

「一つ聞く。

この惨状はアンタ達の仕業だな?」

「ええそうよ、お前への憂さ晴らしもかねてね!」

なんて奴だ!…己が罪を認め恥じず挙句にローグさんを撃ち殺そうとしたとは…。

「イネス元夫人並びに女性利権団体!アンタ等にはもう法の裁きだけでは足らない事がよく理解出来た。

此処からは俺のやり方でいかせてもらう!」

「よく言うわね、こっちには人質がいるしまだこれ以上の人数がいるのよ?

どう足掻いたって無駄なのよ!」

「無駄?何を勘違いしているんだ?」

「なんですって!?」

確かに戦力の差は今は向こうが有利だ。

だが俺は冷静に言葉を紡ぐ。

「俺は…俺達は決して一人の力だけで戦っている訳じゃないんだ!」

「何を世迷言を!もういいわ!」

元夫人は再びローグさんへ銃口を向け撃とうとした。

「ッ!」

それにシャルや鈴は身を伏せる。

だが放たれた弾丸はローグさんを貫く事はなかった。

「何ッ!?…」

この場にいた襲撃者は全員唖然とする。

何処からともなく一振りの刀が降って来て弾丸を斬り裂いたのだ。

「うちの可愛い生徒に手を出した愚か者はお前等か?」

鬼神といっても過言ではないオーラと打鉄を纏った千冬姉さんが某勇者立ちで姿を現した。

 

Side千冬

「ぶ、ブリュンヒルデ…織斑千冬ですって!?」

襲撃者共の数があまりにも多いとの報告を聞いた私は打鉄を纏い彼女達の前に出た。

私が出てくる事が予想外だったのか怯んでいる。

「貴様等は一つ勘違いしているようだが私はモンドグロッソ選手として引退したのであってIS操縦者をやめた訳ではないぞ!」

「クッ!?…だけどいくらブリュンヒルデの貴方でもこっちには人質がいる上この人数なのよ?」

「フッ!所詮は愚か者の極みだな…周りをよく見てみろ」

「なん…!?」

「「ひいいい!?」」

「あ!?お前達逃げるな!…」

私が出撃してきたのが予想外だったのか一目散にほとんどの襲撃者が逃げ出していた。

残ったのは元々私ではなくISを信奉してた者達か。

「さあ、この場で残ったのは貴様達だけのようだがどうする?」

「ならばこの力でブリュンヒルデ、お前さえも消せばいいだけのこと!

まずは!」

「!させん!」

そう言って確かイネス・元デュノア夫人だったか?が人質のデュノア氏を再び撃とうとしたので私は瞬時加速で間に入り刀を振るいその凶弾を斬り裂いた。

「何ッ!?…」

「所詮は少しの力を得ただけでいきがるだけの俗物だな。

春季!他の者達も!」

「しまった!?」

「うおおおー!」

「てやあっ!」

「「きゃあああー!?」」

私の合図で春季達が元夫人達に集中砲火をかけた。

「デュノア氏の事は此方で引き受ける!

そしてコレを!」

「織斑先生ありがとうございます!…」

デュノア氏を救い、回収したトランクを一番近くにいたセラフィーノへと投げ渡した。

後の事態の収拾はお前達に任せたぞ!

デュノア氏を抱え私は作戦指揮を練り直す為一度作戦本部に戻った。

 

Side春季

「サンキュー、千冬姉さん」

姉さんのおかげで此方の劣勢はようやく覆された。

「コレは!…」

「音六ちゃん、ソレって結局何が入っていたの?」

「恐らく束博士とあのシャーロットって人が開発した新しい私達の力だと思う…はーくんコレ!…」

「よっと!コレは…」

「ソレらはきっとはーくんが扱うのが良いと思う…」

鈴が聞くとトランクの中身を見た音六はそう答えたながら一部取り出した物を俺へと渡してきた。

それはイチカ兄さん達や元夫人達が扱っている物と同じ様な紅い鉱石と星の紋様が入った何か、アンプルだった。

「クソッ!」

集中砲火のおかげで機体共にボロボロで立ち尽くす元夫人を見据える。

「よし…使ってみるか!」

音六に言われ決意した俺はそのアンプルを右腕に差す。

「クッ!?…」

キイィン!

その瞬間、俺の中に膨大な量の情報が流れ込んできて気が付くと不思議な空間にいた。

そこには音六に良く似た女性がいた。

「『…』」

「君は?…」

「『私は六夢…まーくん、貴方が私の力を求める理由は何?…』」

音六似の女性、六夢、恐らく千式雷牙のISコア人格だ。

それにしても言動から何までそっくりだ。

彼女にそう問われすぐに答えた。

「それは!…」

「『ん…やっぱりまーくんはまーくんだね!…』」

六夢は俺の返答に満足したかのように微笑んだ。

 

「春季!?」

「大丈夫だよ…」

「本当に?…」

「うん!…」

「ああ、大丈夫だ!」

少しの頭を抱えていたので、鈴に心配されるが俺はすぐにそう告げる。

音六の方は確信めいたようで俺を信じてくれていたようだ。

そして俺は確信する。

音六や皆と共に守る新たな力を得た事を。

「俺の声に答えてくれ!千式雷牙!六夢!」

「ツクモお願い!二重展開!」

「そして来い!『焔牙<ブレイズ>』!」

俺は機体を展開しながら鉱石を左手に、そして空いた右手を掲げそう叫ぶ。

音六も機体に呼びかけながらそう叫んだ。

<千式雷牙、第二次移行ヲ開始シマス>

それと同時に機体の進化を告げるウィンドウが現れ眩い閃光に包まれた。

音六の付喪月神も同時にだ。

「春季と音六ちゃんの機体が!…」

「セカンドシフトを果たしたんだ!この土壇場で!?」

鈴達が驚きの表情に満ちている。

俺の新たな力、千式雷牙・轟星!

一際輝きを放つ増設された雷色の背部ブースターと強化された装甲、右手には強化された雷砲血神と鳳凰、フェニックスが彫られた一振りの白金の銃剣、左手には付喪紅炎装が装備されていた。

そして今迄片目だけだった金色の瞳の輝きを両目から放っていた。

そう、彼はある者の考案で造られた特別な血清〔聡明の星紋<ルキフル>〕によって魂が昇華され完全なそしてオリジナルの純粋なヴァリアントにもひけをとらない人工型ヴァリアントとして遂に覚醒を果たしたのだ。

魂と結び付いた事で生まれた武装である焔牙『銃剣 フェネクスヴレイガンソード』を構えた。

 

Side音六

「感じるよツクモ!…」

はーくんと同時に覚醒を果たした付喪月神・陽雷。

まるで月と太陽が重なり合ったかの様な激しい輝きを放つはーくんと同じ雷砲血神が左手に装備されていた。

 

 

 




Side?
「ほう!…よもやアレがこの世界で生かされるとはな!
持て余した暇で造って一応渡しておいたのが役に立ってよかったぜ!
一時は不測の事態でどうなる事か肝を冷やしたが…」


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