インフィニット・ハンドレッド~武芸の果てに視る者 作:カオスサイン
Side春季
「…」
一部を除いて沈黙が走る。
その一部とは先程から戯言を喚く駄姉と同調する信奉者達だ。
それよりもコイツ等は!…
「黙りなさい織斑教諭、それに他の教師諸君も!君らはまだそんな事を言っているのかね!
教師として最低限の事もまたもやしないでおいて!」
「!?」
俺が怒りを口にする前にこの世界の轡木理事長が怒号を上げた。
またもやって…前にもやらかした事あるのかよ…。
「で、ですが明らかに彼等は危険ですよ!?」
「はあー…」
まだ納得しないのか更に駄姉は喚き出す。
それに理事長は頭を抱え、胃の辺りも押さえていた。
「だったら1VS1の模擬戦で白黒つけろや!
異例だがな」
「ほう!という事ですが如何がですかな織斑教諭?」
同じような事を言われうんざり来たのか月夜がそう言ってくる。
理事長はそれだ!と言わんばかりに進言していた。
「それならば話が早いな!」
駄姉は何かを企んでいるような目でそれを受け入れる。
「分かりました。
また明日以降受けて立ちましょう!」
さてと備えるか。
~翌日の放課後~
「おい!どういうつもりだ夏季斑!何故セラフィーノが居る?
話が違うではないか!」
俺は音六と一緒にアリーナに踊り出る。
既にアリーナで待ち構えていた駄姉が叫ぶが全く説得力が皆無である。
「それは此方の台詞ですよ織斑教諭?
アリーナ周辺に取り巻きを待機させていますよね?
それぐらい分からないとでも思っていたんですかね?」
「何っ!?…」
俺が企みを看破すると駄姉は目に見えて狼狽していた。
「まあ彼女達をけしかけても別に構わないですよ?
だけどそれで俺達に勝てるだなんて思わない方が良いですよ?」
「ふざけるな!相手は二人だ、一斉にかかれ!」
駄姉は俺の挑発に見事に乗り一斉に俺達に攻撃を仕掛けてきた。
十分後、駄姉以外の俺達に仕掛けてきた取り巻き集団は全員ISを強制解除させられていた。
「なっ!?…」
その光景にありえないとばかりに驚愕する駄姉。
そしてその内の一人を叩き起こしてこう言った。
「貴様等、何故こうもたった二人相手になんて体たらくだ!」
「も、申し訳ありません!で、ですが何故か急に機体が不調をきたしてしまい…」
他の取り巻きも彼女の言った事に同意するかのように首を縦に振った。
「なんだと!?…おい貴様等、一体どんな卑怯な事をした?!」
「俺達は何も?…全ては慢心して相手を貶める事しか出来ない彼女達の自業自得の結果ですよ」
「そんな馬鹿な!?…」
ここで種明かししようか。
確かに駄姉の言う通りに間接的には一枚噛んでいる。
音六が戦闘中にエナジーを解放し、取り巻き達が扱っているISの人格コアと対話。
対話したその結果、普段から碌な扱い方しかされてこなくて不満を募らせていたコア人格達がこれを機に強制的に超最低限のシステムに引き落とし切り替えたのだ。
だからこそその引き落とされた超最低限システムに引っ張られた操縦者が本来の実力を発揮出来なくなり現在に至る。
まあ、実力も糞もコイツ等には全く以て皆無なんだけどな。
さてと後は駄姉一人だけ…そう思ったその時
ドゴン!
一向に現れる気配の無かった奴等がアリーナシールドを突き破って侵入してきた。